ブランズシティ千葉ニュータウン中央 （取材レポート）

「例えば土曜日の朝、共用部のフィットネスルームで汗を流し、サウナで心身をととのえ、そして朝食へ──という場合に、その朝食で新鮮なフルーツや野菜を摂れるとしたら素晴らしい休日のスタートになるのではないかと考えました。

もちろん必ずしもサウナ後の朝食である必要はなく、朝食がその一日のための素晴らしいスタートになったり、休日だけの特別な時間になるとしたら、オンオフの切り替えという上でも非常に意味があると考えたんです。

同時に目を向けたのが印西市ならではの特徴です。印西市は千葉ニュータウン中央や印西牧の原などの駅周辺に商業利便が集積する一方、駅から少し離れると豊かな自然環境が広がります。さらに印西市は印旛沼・利根川・手賀沼に囲まれた耕作地帯で従来から農業が非常に盛んな場所でもあり、果物、野菜、お米などを生産している生産者の方々が市内に多くいらっしゃいます。加えて、ドリンクやジャム、軽食などの販売を行う方も複数いらっしゃることがわかりまして、そこからマルシェの実現に向けた具体的な体制構築を進めていきました。

マルシェ自体も入居者の方々に暮らしの一部として楽しみにしていただけるよう、単発の開催ではなく継続的な開催を前提として検討を進めました。継続的な開催ができる体制になったのは、マルシェの運営担当として株式会社マイファーム様に参画いただけることになったことが大きいです」（同 高木氏）

「マイファームは自分たちでつくり自分たちで食べてみる＝『自産自消』の輪を広げることで、人が自然を育て 自然が人を育てる未来を実現する会社です。農業にまつわる多面的な活動を循環させ、人と自然の距離を近づけていきたいと考えています」（桐畑氏）

ちなみに同社代表取締役の西辻氏は、故郷の福井県三国町の耕作放棄地の多さ、後継者不足・高齢化による農家の減少等の問題に気づき、農を取り巻くこうした現状を見直し、農業へのハードルを下げ、関わる人を増やしたいという思いを抱いたといいます。

「その問題意識をスタートに、耕作放棄地や遊休農地などをリメイクし、都心部の方でも気軽に野菜づくりを楽しめる『体験農園マイファーム』や、農業を通じて自分らしく働き生きることを目指したい人や、仕事を続けながら週末で農業を学びたい人のための農業スクール『アグリイノベーション大学校』の運営、食べることで農業を感じられる食の販売・流通事業などを行ってきました」（桐畑氏）

地域や環境と共生するためのそうした取り組みは、東急不動産の掲げる「環境先進マンション」ともリンクするものだと言えます。自然と共生し、持続可能な品質を持ち、人生のパートナーともなるマンションであるという「環境先進マンション」の価値を維持していくという面で、この「マルシェ」が果たすであろう役割は実に注目すべきものになると言えそうです。

「マルシェ」に参画予定の『柴海農園』は年間60品目に及ぶ野菜を有機農法で栽培。また、400年以上も続くという同農園の代表、柴海祐也さんは、株式会社マイファームが運営するアグリイノベーション大学校の講師として様々な野菜の栽培方法から経営のノウハウまでを教える方でもあります。その柴海さんに、柴海農園の特徴などについてお話を伺いました。

「元々当農園はトマト農家だったのですが、周囲にたくさんあった耕作放棄地や遊休農地を借り受けて様々な野菜を生産するようになりました。2009年からは有機栽培（＝有機肥料を使い、禁止された農薬や化学肥料を使用しない栽培方法）を始め、野菜を手にした方々により喜んでいただけて、最高に美味しいタイミングで収穫できる旬の野菜だけをお届けしたいという思いで活動しています。

規格外の野菜等も使用したミックスピクルス、ナスのパテ、ジャム、玄米粉などの加工品も、シンプルな材料で心を込めて作っています。ぜひマルシェを楽しみにお待ちいただければ幸いです」（柴海氏）

他にも千葉県内の養蜂農家であるBlue Tree Honeyの蜂蜜、千葉県が育成した落花生の新品種であるQなっつなども提供予定。サウナを起点に企画され、早くも多様な魅力を放ち始めているこの「マルシェ」。「ブランズシティ千葉ニュータウン中央」の誇る多彩な共用施設に負けず劣らず、注目すべき存在だと言えるでしょう。