東日本大震災を経て、私たちの意識はどう変わったのだろうか?環境について、家族の絆について、思いを深めた人が多かったのでは。30年後に子どもたちが安心して暮らせる社会にするために、もっと小さなエネルギーで、快適に暮らせる家づくりを。未来に向けて、いま私たちが設備や建材選びで、できることを考えてみよう。
75%の人が環境・省エネ意識に変化あり、と答えた
多くの人が今年3月11日の東日本大震災を経て、環境・省エネ意識が変化したことがこのアンケート結果からもうかがえる
アンケート/実施時期:2011年8月、調査方法:インターネット、対象:2年以内に注文住宅購入または注文住宅をリフォームした人、有効回答数:104、実施機関:マクロミル
省エネって、ガマンする事じゃない。省エネに役立つ設備・建材を選べば、ラクして経済的で快適な暮らしになる
断熱材は、熱の出入りを抑えるために床や壁、屋根(もしくは天井)に詰めるもの。家を断熱材でくるむと、ちょうど魔法瓶のように、熱が逃げにくく、外の温度も中に伝わりにくくなる。きちんと断熱した家は、冷暖房の効き目がよいので、冬は暖かく、夏は涼しい。断熱材が高性能になるほど、冷暖房のエネルギーを少なくできておサイフに優しい。省エネ設備を導入する前に、まず押さえておきたい。
窓や玄関ドアから逃げる熱も少なくしたい。そんなとき効果を発揮するのが、複層ガラスや断熱サッシ、断熱ドア。冬の寒い朝、窓辺に近づくとひんやりする。出かける前の玄関で「寒い!」。そんな不快さもこれらの建材で解消され、家中どこにいても温度差が少ないので、部屋から廊下に出ても、夜のトイレももう大丈夫。これらを用いて、もっと小さなエネルギーで冷暖房できる家をつくろう。
食器洗い乾燥機は手洗いに比べて、大幅に使用水量が減ることを知っているだろうか?ガス代や電気代を合わせて計算すると、手洗いに比べて年間約1万円おトクというデータも※。洗っている間は、のんびりくつろいだりできるのもいいところ。家事時間の短縮+経済性でも生活に採り入れたい。
(※省エネセンター調べ。手洗いの給湯機温度40℃、使用水量65L/回、冷房期間は給湯機不使用。手洗い、食器洗い乾燥機とも1日2回使用)
家庭では冷暖房をはじめ、照明やコンロなど、いろいろな用途にエネルギーが使われている。その割合をみると、給湯が約29.5%と約3割を占める(資源エネルギー庁・エネルギー白書2010より)。その給湯にかかるエネルギーを低減してくれるのが、エコキュートやエコジョーズといった高効率給湯機。以前と同じようにお湯を使っていても、機器を変えるだけで、省エネになる。
トイレは、水の勢いを増したり、便器の形状に工夫したりすることで、節水化がどんどん進んでいる。10年ぐらい前には大10リットルや8リットルだったものが、最近は大4リットルタイプも登場。とくに大家族にとっては、うれしいおトク感だ。汚れも落ちやすくなっていて、少ない水で簡単にキレイになり、ふだんの掃除もラク、といいことずくめ。新しいトイレなら、使うだけでエコで快適。
夫の帰りが遅い場合など、お風呂のお湯が冷めてしまって、いつも追い焚きしている。そんな家庭にうれしいのがこの設備。浴槽にも風呂フタにも断熱材を入れて魔法瓶のような構造にした高断熱浴槽だ。6時間たっても約2℃しかお湯の温度が下がらないという製品もある。追い焚きしなくても温かいお湯に入れるので、お風呂の時間がバラバラになってもそのまま入れて、おトク。
わが家で電気をつくり、CO2排出を少なくする。一つひとつは小さなことでも、みんなが行えば、子どもの将来もクリーンな世界に
再生可能エネルギーという言葉をよく聞くようになったが、太陽光はまさにその代表格。屋根に太陽電池を載せて、太陽光を受けて発電、その電気を家庭で使えるようにするのが太陽光発電システムだ。搭載する太陽電池の容量によるが、比較的小規模な住宅にも搭載できる3kWのシステムで、真南に向けて設置した場合、家庭で年間使う電気の53%をまかなうことができる(太陽光発電協会試算)
わが家で発電できるだけでもおトクなのに、さらにおトクなのは発電した電気が余った場合、10年間は電力会社が電気料金の約2倍で買い取ってくれること。23年度に太陽光発電を導入した場合の買い取り価格は、1kWh当たり42円※。毎月の電気代を見るのが楽しみになるだろう。
(※ページ下で紹介する家庭用燃料電池などを導入し、W発電を行っている場合の買い取り価格は1kWh当たり34円)
いまどれだけの電気をわが家が発電し、どれだけ使っているのかそれをリアルタイムでチェックできるのが、太陽光発電のモニター。リビングやキッチンに置いておけば、子どもたちの関心の的にも。発電量に応じてCO2の削減量が木の数で表示されるなど、環境への貢献度もわかりやすく表示される。モニターを見ながら親子で会話を楽しむことで、子どもたちのエコ意識も育っていくだろう。
ガスを使って、電気とお湯を一緒につくりだすのが家庭用燃料電池。化学反応を利用した方法で発電する。発電するときに熱が発生するので、その熱を有効に使ってお湯をつくりタンクに貯めて必要なときに使う。そんな無駄のない一石二鳥のシステムだ。
また家庭用燃料電池とは別に、ガスエンジンで発電し、その排熱でお湯をつくるシステムもある。
太陽光発電も家庭用燃料電池も一緒に導入して、W発電を行うこともできる。日中発電する太陽光発電、夜間も発電できる家庭用燃料電池。その組み合わせで、わが家で発電できる量が増え、同時に、CO2削減量もアップ。経済的にもおトク感が増し、環境への貢献度もアップする。こうした家が増えることで、よい環境づくりに一歩近づき、子どもたちに明るい未来を残すことができるだろう。
エコ設備には補助金が活用できるものがある。国のほか、自治体でも実施していることがあるのでお住まいの地域の行政のホームページを見てみよう
家庭用燃料電池「エネファーム」を導入する場合
●補助金額
1台当たり上限85万円※
●補助金の対象となるシステムの主な条件
燃料電池普及促進協会が指定するシステム
継続して6年以上使用できること
●応募締め切り
2012年4月27日(金)17時
●申し込み窓口
燃料電池普及促進協会
太陽光発電システムを導入する場合
●補助金額
1kW当たり4万8000円
●補助金の対象となるシステムの主な条件
1kW当たり価格60万円以下(税抜。安全対策などの特殊工事を除く)
最大出力10kW未満
●応募締め切り
2012年3月30日(金)
●申し込み窓口
太陽光発電普及拡大センター
※2012年3月30日17時以降の補助金申請到着分については、補助金上限が70万円に減額される予定
※2012年2月27日時点の情報です。応募期間内でも予定額に達した場合、締め切られることがあります。
停電や節電の体験を踏まえて、今注目されているのが蓄電池。すでに蓄電池付きの住宅も売り出されていたり、蓄電池単体での販売も始まっている。太陽光発電や家庭用燃料電池と連動して用いることで、電気使用のピーク時に蓄えた電気を使うなど、ピークカットに貢献しながら、購入電力を減らせる。また、停電時の備えにもなる。