【2025年】住宅ローン金利が上昇傾向の今、変動金利と固定金利はどっちがお得?金利上昇期の金利タイプの選び方をFPが解説

最終更新日 2025年09月01日

【2025年】住宅ローン金利が上昇傾向の今、変動金利と固定金利はどっちがお得?金利上昇期の金利タイプの選び方をFPが解説

住宅ローンを選ぶとき、変動金利にするか固定金利にするか。数年前までは、史上最低金利の変動金利を選択する人が多数派でした。しかし、固定金利、変動金利共に上昇している最近は、どちらを選択するか迷う人が多いようです。そこで今回は、最近の住宅ローン金利の動向を整理した上で、変動金利と固定金利それぞれのメリットとデメリット、特徴、ライフステージの変化に合わせた選び方などを紹介します。
2025年以降、固定と変動のどちらを選べばいいのか考える上での参考にしてください。

変動金利のメリット・デメリット

変動金利とは、市場金利の動向に合わせ、定期的に金利が変動するタイプで、次のようなメリットとデメリットがあります。

変動金利のメリット

・市場の金利が低下すると、借入金利も低下するため返済額が減る

変動金利のデメリット

・市場の金利が上昇すると、借入金利も上昇するため返済額が増えてしまう
・金利の動向によって返済額が変わるため、返済計画を立てにくい

固定金利のメリット・デメリット

固定金利は、経済情勢にかかわらず、契約時に約束した金利が完済するまでずっと変わらないタイプで、次のようなメリットとデメリットがあります。

固定金利のメリット

・市場の金利が上昇しても、契約時に約束した金利は変わらないため、返済額が変わらない
・申し込み時点で返済総額や月々の返済額がわかるため、返済計画を立てやすい

固定金利のデメリット

・市場の金利が低下しても、契約時に約束した金利は変わらないため、金利低下のメリットがない
・固定金利の金利は変動金利より高く設定されているため、変動金利より金利負担が大きい

固定金利期間選択型(当初固定型)やミックス金利もある

住宅ローンの金利タイプには、変動金利と固定金利を組み合わせた「固定金利期間選択型(当初固定型)」や「ミックス金利」もあります。それぞれの特徴も理解しておきましょう。

固定金利期間選択型(当初固定型)の特徴

「最初の5年間の金利が●%」など、返済開始から一定期間が固定金利で、固定金利期間が過ぎたら変動金利に移行するタイプです。

ミックス金利の特徴

「借入額の70%を固定金利、残りの30%を変動金利」など、異なる金利タイプを組み合わせたプランで、変動金利と固定金利のメリットをバランスよく取り入れることができます。

変動金利と固定金利共に上昇。2025年までの金利推移をチェック

2024年、変動型住宅ローン金利が軒並み上昇

変動金利と固定金利について理解したところで、実際に住宅ローンの金利がどのように推移しているのか、まずは変動金利について、住宅金融支援機構が公表しているデータを見てみましょう。

民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)
民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)
(出典/住宅金融支援機構)

※ 主要都市銀行のHP等により集計した金利(中央値)を掲載。なお、変動金利は1984年以降、固定金利期間選択型(3年)の金利は1995年以降、固定金利期間選択型(10年)の金利は1997年以降のデータを掲載
※ このグラフは過去の住宅ローン金利の推移を示したものであり、将来の金利動向を約束あるいは予測するものではありません

今でこそ「変動金利=金利が低い」というイメージがありますが、30年ほど前のバブル期には、変動金利でも約8.0%で推移していました。しかし、バブル崩壊とともに金利は急低下し、20年以上にわたって低水準のまま横ばい状態が続いていました。

ところが、2024年3月、日本銀行がこれまでのマイナス金利政策を転換したのを機に、「短期プライムレート」が2024年8月に引き上げられました。その影響を受け、同年10月に一部大手銀行が変動型住宅ローン金利を引き上げたのです。さらに2025年4月には店頭金利を2.875%以上に設定する金融機関が増加。それに伴って優遇による実際の適用金利も上昇しました。

2025年7月現在の主な銀行の変動型金利は、大手銀行で0.5%~0.9%程度、ネット銀行では0.7%~
0.9%台という水準になっています。また、金利の見直しと併せて金利優遇の幅を縮小するケースもみられます。

このように、住宅ローンの変動型金利は大きな転換点を迎えました。とはいえ、平均的な金利水準はまだ1%未満と歴史的に見れば依然として低水準です。未払い利息が発生するような急激な金利上昇は、現時点では考えにくい状況です。

■主な銀行の住宅ローン変動金利の動き(2024年4月→2025年7月)
主な銀行の住宅ローン変動金利の動き
※2025年7月の(  )内の数値は2024年4月からの上昇幅。適用金利は最優遇時のもの

【フラット35】は半年で0.5%アップと急上昇。現在は横ばいに

全期間固定型住宅ローン【フラット35】の金利は、変動型金利よりも2年早く2022年から上昇トレンドに。同年10月時点には1.48%だったのが2023年3月には1.98%と、半年で0.5%アップを記録したのです。これは、固定型住宅ローン金利の指標となる長期金利が、景気の回復や「マイナス金利」解除の期待感などから急上昇したためです。

なお、2024年以降は落ち着いた動きで推移しており、2025年7月現在の金利は1.84%です。
※文中の金利は「借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付き」の最も低い金利。

住宅ローンの金利は変動金利と固定金利のどっちがお得なの?

住宅ローンの金利だけを比べると、変動金利のほうが固定金利よりも低く設定されていて、一見お得に感じます。しかし、長期間にわたって返済を続ける住宅ローンの場合、金利の上昇は返済計画を狂わせてしまうことから、安心して返済を続けられるという点では固定金利のほうが勝っています。

また、変動金利と固定金利にはそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらがお得になるかは借入金額や返済期間、ライフプランなどによって違います。

次のポイントに注目して、それぞれの返済プランに合った金利タイプを選ぶといいでしょう。

変動金利の仕組みや「5年ルール」「125%ルール」もチェックしよう

変動金利にするのか、それとも固定金利にするのか決めるとき、「市場の金利が上がったら翌月から返済額が増えてしまうの?」「変動金利にしたら毎月金利をチェックしないといけないの?」といった疑問があるかもしれません。

まず、変動金利の金利は、「年に2回・6カ月ごと」に見直されるのが一般的です。そのため、市場の金利が上昇しても、すぐに金利が見直されることや、2カ月連続で金利が上昇することはありません。

また、住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」がありますが、変動金利で元利均等返済を選ぶと、「5年ルール」と「125%ルール」によって返済額が急に増えない仕組みになっています。

不動産査定イメージ
(画像/PIXTA)

元利均等、元金均等とは? 住宅ローンの返済方法

住宅ローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の大きく2種類があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。

元利均等返済とは

毎月の返済額が変わらない返済方法です。月々の返済額が一定のため、返済計画を立てやすくなるのがメリットですが、元金の返済ペースが遅いことから、利息の負担が大きくなるというデメリットがあります。

元金均等返済とは

毎月、一定の元金を返済する方法です。元本の返済が早く進むことから支払総額を抑えられるメリットがありますが、返済当初の返済額が多くなるというデメリットがあります。

元利均等返済と元金均等返済について詳しくはこちら
元金均等返済は損か得か 元利均等返済との違い、返済シミュレーション例を紹介

変動金利で元利均等返済を選んだときのルールとは

住宅ローンの5年ルール

変動金利で元利均等返済を選ぶと、金利が上昇しても5年間は月々の返済額が変わりません。これを「5年ルール」と呼びます。

住宅ローンの125%ルール

変動金利で元利均等返済を選ぶと、金利上昇時には次の5年間の返済額が急増する可能性があります。そこで、金利が上昇しても従来の返済額の125%を超えないようになっており、これを「125%ルール」と呼びます。

なお、「5年ルール」と「125%ルール」は、導入していない金融機関もあります。変動金利を選ぶ際には金利が上昇したときのルールや、金利の見直し方についても必ず確認しておきましょう。

不動産相場イメージ
(画像/PIXTA)

変動金利と固定金利 ライフステージに合わせた選び方

では、住宅ローンを組むときには変動金利と固定金利のどちらを選べばいいのでしょうか。決断のヒントとなる、ライフステージに合わせた選び方をご紹介します。

変動金利が向いている人

変動金利は固定金利より金利が低めに設定されていますが、「金利が上昇すると返済額が増えてしまう」「金利の動向で返済額が変わるため、返済計画を立てにくい」というデメリットがあります。そのため、次のような人は変動金利が向いているといえるでしょう。

  • 返済期間が短いため、金利上昇のリスクは小さいと考えている
  • 借入金の額が収入に対して小さいため、金利の変動リスクが小さいと考えている
  • 手持ち資金があるため、金利が上昇したら繰り上げ返済でリスクを回避できると考えている
  • これからも低金利が続き、金利が大きく上昇する可能性は低いと考えている

また、共働きをしていて世帯収入が多い人や、子どもがすでに独立をしている人などは、「変動金利にして金利負担を減らし、金利上昇時には繰り上げ返済を上手に活用する」などの工夫をするといいでしょう。

利上げに関する報道が出ると「固定金利のほうがお得なのでは」「変動金利は怖い」と警戒する人も多いですが、現段階では多少の金利変動があったとしても変動金利のほうが低水準である状況には変わりありません。リスクの大小と最新動向を確認しながら、判断しましょう。

固定金利が向いている人

変動金利よりも金利が高めに設定されているうえ、2024年に入ってから上昇傾向にある固定金利ですが、「市場の金利動向にかかわらず契約時の金利が完済まで続く」「契約時に返済額が確定するため、完済までの返済計画を立てやすい」というメリットがあります。そのため、次のような人は固定金利が向いています。

  • 金利の動向に振り回されたくないと考えている
  • 計画的に返済をしたい
  • 返済期間が長いため、将来の金利上昇が大きなリスクと考えている
  • これから金利が上昇する可能性があると考えている

また、子どもがいる世帯は、教育費や進学費用などが必要になってきます。その時期に金利が上昇して返済額が増えると、返済計画が狂ってしまうため、「子どもが独立するまでは固定金利にして、家計のやりくりを優先させる」などの工夫をするといいでしょう。

家計簿をつける女性
(画像/PIXTA)

迷ったら固定金利期間選択型やミックス金利もあり

変動金利と固定金利のどちらにするのか決められない場合には、変動金利と固定金利を組み合わせた固定金利期間選択型やミックス金利も選択肢に入れるといいかもしれません。融資の担当者に依頼すれば月々の返済額や返済総額をシミュレーションしてくれるため、複数のプランを比較してみるといいでしょう。

経済状況が変わったら借り換えも検討 そのときの注意点は?

新しい住宅ローンを利用して、現在借りている住宅ローンを完済することを「住宅ローンの借り換え」といいます。現在利用している住宅ローンよりいい条件で利用できる場合には、以下のタイミングで借り換えを検討するといいでしょう。

変動金利の場合:金利“上昇が見込まれるとき”に固定金利の住宅ローンに借り換える

金利が上昇すると、月々の返済額や返済総額が増えてしまいます。そのため、「金利が上昇したら返済が大変になりそう」と感じたときには、固定金利や固定金利期間選択型の住宅ローンに借り換えると、金利上昇のリスクに備えることができます。

固定金利の場合:金利が“低下したとき”に金利が低い住宅ローンに借り換える

市場の金利が低下し、今後も低金利が続くと予想される場合には、金利が低い住宅ローンに借り換えることで返済総額を減らすことができます。新たな借り入れは変動金利の住宅ローンや、今よりも金利が低い固定金利の住宅ローンなどが想定されます。

窓口で相談を受ける営業マン
(画像/PIXTA)

住宅ローンを借り換えるときの注意点

金利の動向を見て住宅ローンの借り換えをする場合には、次の点に注意する必要があります。

金利の予想は難しい

将来の金利を予想するのは簡単ではありません。「固定金利に借り換えたらさらに金利が低下してしまった」「変動金利にしたら金利が上昇してしまった」ということがあるのを認識しておきましょう。

金利が上昇するときには、変動金利と固定金利の両方が同時に上がる

金利が上昇を始めたため、変動金利から固定金利に借り換えをする場合、その時点で固定金利の金利がかなり上昇している可能性があります。「借り換えたときの金利が天井で、返済を始めたら金利が下がり始めた」ということも想定しておきましょう。

借り換えには手数料が必要、事前にシミュレーションをしよう

住宅ローンを借り換える際には、繰り上げ返済の手数料や新たな住宅ローンの申し込み手数料などが必要です。事前に返済のシミュレーションをして、借り換えの前と後でどのくらい支払い総額が減るのか、手数料を差し引いてプラスになるのかなど、細かく確認しておくことも大切です。

住宅ローンを決めるときには、変動金利と固定金利のそれぞれの特徴やメリット・デメリットを理解した上で、自分たちの暮らしやライフスタイルにはどちらが合っているのかを検討してみてください。

まとめ

変動金利と固定金利にはそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらがお得とは一概にいえず、利用者の借入金額や返済期間、ライフプランなどによってそれぞれ違う

日銀のマイナス金利解除、0.25%の利上げ後も変動金利は低水準が続いている

変動金利は低金利のメリットを受けられるものの、市場の金利動向の影響を受けやすいことから、返済期間が短い人や、借入金の額が収入に対して小さい人、手持ち資金に余裕がある人などに向いている

固定金利は市場の金利動向の影響を受けず、完済までの返済計画を立てやすいことから、金利上昇のリスクを抑えつつ、計画的に返済を続けていきたいと考えている人などに向いている

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