元金均等返済は損か得か 元利均等返済との違い、返済シミュレーション例を紹介

公開日 2018年10月09日
元金均等返済は損か得か 元利均等返済との違い、返済シミュレーション例を紹介

住宅ローンの返済方法といえば元利均等返済と決めつけていないだろうか。もう一つ、元金均等返済という方法もあり、意外とおトクだったりするので紹介しよう。

元金均等返済とは?

住宅ローンの返済方法として一般的なのは元利均等返済と呼ばれる方法だ。これは元金と利息を合わせて均等に返済していく方法、つまり毎月返済額がずっと均等になる返済方法を指す。毎月返済額が安定しているので返済計画が立てやすい点がメリットだ。

元利均等返済は金利が変わらなければ毎月返済額も変わらないが、返済額に占める元金と利息の比率は毎回変わる。ローン残高が多い返済当初は利息も多いので、返済額に占める利息が多く元金は少なめだ。そのため、ローン残高が減りにくいというデメリットがある。

元利均等返済
元利均等返済

一方、元金均等返済というのは元金を均等に返済していく方法のこと。イメージ図で示すと、元金部分はずっと同じ額を返していくので長方形の形になる。これに対し、利息はローン残高が減っていくのに応じて少なくなるので、右下がりの直角三角形のような形だ。

つまり、元金均等返済は返済当初の毎月返済額が多く、徐々に少なくなっていく返済方法というわけ。元金が毎月確実に減っていくため、当初の元金の減り方が元利均等返済より早いメリットがある。ただし当初の返済額が元利均等返済より高くなる点がデメリットだ。

元金均等返済
元金均等返済

元金均等返済は多くの銀行で取り扱っており、元利均等返済とどちらかを借りるときに選ぶことができる。

元金均等返済はおトク?

元金均等返済で住宅ローンを借りると、返済額はいくらになるのか。3000万円を35年返済、金利1.40%で借りたケースで試算したのが下の図表だ。

図表を見ると、毎月返済額は当初の10万6428円から10年ごとにちょうど1万円ずつ下がっている。1万円なのはたまたまだが、元金均等返済はこのように毎月返済額が徐々に減っていく。35年間の総返済額は約3737万円だ。

元金均等返済の毎月返済額
当初 10万6428円
11年目 9万6428円
21年目 8万6428円
31年目 7万6428円
総返済額 約3737万円
※3000万円を金利1.40%、35年返済で借りたケース

同じ条件で元利均等返済の場合を計算してみると、毎月返済額は9万393円と、当初は元金均等返済より1万6000円以上低い金額だ。だが、その差は徐々に小さくなり、16年余りで逆転する。

さらに元利均等返済の場合の総返済額をみると約3797万円と、元金均等返済より約60万円高い。このように、元金均等返済は元利金等返済に比べて当初の毎月返済額が高くなるが、徐々に返済額が低くなっていずれ逆転し、総返済額では軽くなるのが特徴だ。

イラスト

元金均等返済の注意点

元金均等返済はローン残高の減り方が早く、総返済額が元利均等返済より軽くなるメリットがあるが、最大のネックは当初の毎月返済額が増えることだろう。

毎月返済額が増えるということは、同じ毎月返済額で借りられる額が少なくなるということでもある。例えば金利1.40%、35年返済の場合、毎月10万円の返済で借りられる額は元金均等返済が2810万円なのに対し、元利均等返済は3310万円。毎月15万円の返済では元金均等返済が4220万円、元利均等返済が4970万円だ。

借入可能額の比較
毎月返済額 10万円 15万円
元金均等返済 2810万円 4220万円
元利均等返済 3310万円 4970万円
※金利1.40%、35年返済のケース

また元金均等返済は多くの銀行が扱っているが、扱っていない銀行もあるので注意が必要だ。ちなみに【フラット35】では元金均等返済を選ぶことができる。

元金均等返済が向いているのはどんな人?

では元金均等返済が向いているのはどんな人かというと、まず「当初は返済に余裕があるが、いずれ教育費などの支出増の見込みや収入減などの心配がある人」が挙げられる。元金均等返済は当初の返済負担が重いが、徐々に負担が減るので将来のリスクを抑えることができるからだ。

数年後に買い替えを予定している人にも適している。というのも、元金均等返済はローン残高が当初から着実に減っていくからだ。家を売却するときにローン残高が多く残っていると、売った価格でローンを返済しきれない「担保割れ」を起こすリスクがある。担保割れになるとローンを完済するのに足りない分を自己資金などでまかなわなければならず、買い替え計画に支障が出かねない。だが、元金均等返済はローン残高の減り方が大きいので、そうしたリスクも回避しやすいといえる。

例えば3000万円を金利1.40%、35年返済で借りた場合で比較すると、元金均等返済は元利均等返済に比べて5年後で約84万円、15年後では約177万円、ローン残高が少なくなっている。

ローン残高の比較
元金均等返済 元利均等返済
5年後 約2572万円 約2656万円
10年後 約2143万円 約2287万円
15年後 約1715万円 約1892万円
※3000万円を金利1.40%、35年返済で借りたケース

元金均等返済にはデメリットや注意点もあるが、メリットを活かせればおトクな借り方だといえる。住宅ローンを借りるときには元金均等返済も選択肢の一つに加えてみてもよさそうだ。

最後に、元金均等返済のメリット・デメリットと注意点をまとめておこう。

元金均等返済のポイント

メリット
・元金の減り方が早い
・毎月返済額が減っていくので後がラク
・総返済額が少なめ

デメリット
・当初の毎月返済額が多い
・その分、借りられる額が減る場合がある

注意点
・扱っていない銀行もある

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