住宅ローン控除はいくら戻る?年収に基づいた計算方法や適用条件を確認

最終更新日 2024年10月11日

住宅ローン控除はいくら戻る?年収に基づいた計算方法や適用条件を確認

住宅ローンを借りると、一定期間、年末ローン残高の0.7%が所得税・住民税などから控除され、確定申告で戻ってくるのが「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」。でも、同じ金額のローンを借りても、実際に戻ってくる金額は人によって違う。そこで、住宅ローン控除の仕組みをおさらいしておこう。

住宅ローン控除とは?住宅の性能や入居年によって最大控除額や控除期間が異なる

住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高に応じて、一定額が所得税などから控除される制度。会社勤めの人などは、その年の所得税があらかじめ勤務先から納税されているので、納めすぎた分については確定申告で還付してもらうことができる。

控除期間は新築か中古か、入居年が2022~2023年か、2024~2025年かによって13年間と10年間。最大控除額は入居年や住宅の性能、新築か中古かによって異なる。詳しくは下の表1を参照してほしい。最も多く控除されるのは認定長期優良住宅・認定低炭素住宅を取得して2023年中に入居したパターンだ。控除期間は13年で、毎年の最大控除額は5000万円の0.7%で35万円、全期間の最大控除額は455万円になる。

【表1】住宅ローン控除の概要
住宅ローン控除の概要をまとめた表
※1 買取再販とは中古住宅を事業者が買い取り、リフォームやリノベーションをしたうえで事業者が売主となって再度販売する住宅 
※2 2023年までに建築確認を受けた新築住宅のみが対象

毎年35万円が戻ってくるなんて、家計にとって大助かりな制度。しかし、「認定長期優良住宅・認定低炭素住宅を取得して2023年中に入居」したからといって、必ずしも最大控除額の455万円を還付してもらえるわけではない。最大控除額が適用されるには、年末ローン残高が13年間5000万円を超えていて(当然、借入額は5000万円を超えている必要がある)、なおかつ、年間の所得税と住民税で50万円を超えている必要がある(※)。
※所得税から控除しきれない額は住民税からも控除される。ただし、所得税の課税所得金額等の額の5%、または9万7500円のうち小さいほうの額が上限

住宅ローン控除はいくら戻る?控除額を左右する条件

住宅ローン控除で戻る税額は、さまざまな条件で違ってくる。

(1)購入・建築する住宅の性能

取得した住宅が「認定長期優良住宅・認定低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」「そのほかの住宅」のいずれになるかで、控除対象となる住宅ローン残高の上限が違ってくる。例えば、子育て世帯と若者夫婦世帯(※)については 「認定長期優良住宅・認定低炭素住宅」のローン残高の上限が5000万円だが、「そのほかの住宅」では2000万円。どちらも年末に6000万円のローン残高があったとすると、「認定長期優良住宅・認定低炭素住宅」を取得した人のその年の最大控除額は5000万円の0.7%で35万円だが、「そのほかの住宅」の場合は2000万円の0.7%で14万円しか控除されない(どちらも新築で2024年までに入居した場合)。住宅の性能が高い方が控除額の優遇がされているといえる。
※ちなみに子育て世帯とは19歳未満の子どものいる世帯、若者夫婦世帯とは夫婦のいずれかが40歳未満の世帯

認定長期優良住宅とは

長く快適に暮らせる性能の高さを認定された住宅

認定低炭素住宅とは

二酸化炭素排出量を抑えた住宅

ZEH水準省エネ住宅とは

年間エネルギー消費量を正味ゼロまたはマイナスにする住宅

省エネ基準適合住宅とは

断熱等性能等級(断熱等級)4以上かつ一次エネルギー消費量等級(一次エネ等級)4以上の性能を有する住宅

そのほかの住宅とは

上記以外の住宅

(2)購入・建築する住宅が新築か中古か

新築住宅の場合は、控除対象になる住宅ローンの年末残高の上限は3000万~5000万円(2024年入居の場合、子育て世帯・若者世帯含む)だが、中古住宅では3000万円が上限となる(2024年・2025年入居の場合)。このように新築よりもローン残高の上限が低いだけでなく、控除期間も10年間と新築より3年短くなっている。

(3)入居年

新築住宅の場合は、いつ入居したかによって対象となる年末ローン残高の上限が違ってくる。実際に、2024年よりも2025年入居の方が「認定長期優良住宅・認定低炭素住宅」なら年末ローン残高の上限が500万円、「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」「そのほかの住宅」は1000万円低くなる(子育て世帯・若者世帯含む)。

なお、「そのほかの住宅」については、2024年以降に建築確認を受けた物件は、住宅ローン控除の対象外となるので注意。

(4)住宅ローンの年末残高

住宅ローンの年末残高の上限は、あくまでも住宅ローン控除の制度としての「上限」。実際の上限は、ローンを借りた本人のローン残高になる。そのため、上限が4000万円だったとしても実際のローン残高が3000万円ならその年の控除額は最大21万円、ローン残高が2000万円なら最大14万円になる。

(5)所得税額・住民税額

住宅ローン控除の控除額は原則として「所得税」から控除されるもの。納めた所得税よりも多い金額が戻ってくることはない(ただし、控除しきれない分は住民税から一部控除される)。つまり、所得税が20万円の人は控除額が35万円でも、所得税から戻るのは20万円、住民税からも控除される。(※)
※所得税から控除しきれない額は住民税からも控除される。ただし、所得税の課税総所得金額等の額の5%、または9万7500円のうち小さいほうの額が上限

住宅ローン控除の最大控除額がいくらであっても、実際に戻ってくるのは(1)~(5)によって異なるのだ。

住宅ローン控除を計算してみよう

実際にいくら住宅ローン控除を受けられるのか、気になる人も多いだろう。ここでは基本の計算式と年収・借入額別の試算表を紹介する。

住宅ローン控除の計算方法

2024年時点での住宅ローン控除額は、以下の方法で算出できる。

●年間の住宅ローン控除額=年末の住宅ローン残高×0.7%

ただし、前述のとおり税額は住宅タイプや所得税額・住民税額などによって変化する。また、制度内容も改正される可能性があるため、最新の情報を都度確認するようにしよう。

住宅ローン控除はいくら戻る?年収と借入額から試算

実際に住宅ローン控除で戻ってくる金額をイメージしてみよう。ここでは、年収と住宅ローンの借入額別に試算した。なお、試算したのは新築の省エネ基準適合住宅で、夫婦の少なくとも一方が40歳未満の世帯だ。

【表2】住宅ローン控除額早見表(新築、省エネ基準適合住宅の場合)
借入額
年収 1000万円 2000万円 3000万円
400万円 76.7万円 153.4万円 186.5万円
500万円 230.1万円
600万円 230.1万円
700万円
800万円以上
借入額
年収 4000万円 5000万円 6000万円
400万円
500万円 273.3万円
600万円 306.9万円
700万円 306.9万円 354.6万円
800万円以上 364万円
※東京都在住の40歳以下共働き世帯(子どもなし)、配偶者の年収150万円以下。全期間固定金利1.5%、35年返済、2024年4月返済開始。「―」は借入額が年収に対する返済負担率30%を超えるため試算なし(税額試算/NHB税理士法人 福田浩彦)

試算結果を見ると、同じ借入額でも年収によって13年間の控除額に差が出ることがわかる。例えば、4000万円を借り入れたケースでは、年収500万円の人の総控除額が273.3万円なのに対し、年収600万円以上では306.9万円。これは、年収が多い方が、納めている所得税、住民税額が多いからだ。

住宅ローン控除適用のための条件もチェック

住宅ローン控除を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要がある。注意したいのは返済期間が10年以上必要なこと。途中で繰り上げ返済をして、残りの返済期間が10年を切るとローン控除の対象ではなくなってしまう。また、親戚や親からの借り入れは適用されない。そのほか、主な条件は表3を参考にしよう。

【表3】住宅ローン控除を受けるための主な条件
新築住宅
(マンション・一戸建て)
  • 新築または取得日から6カ月以内に入居していること
  • 借り入れした人の合計所得金額が2000万円以下であること
  • ローンの返済期間が10年以上あること
  • 登記簿に記載されている床面積が50m2以上あること
    (2024年までに建築確認を受けた新築住宅で、 合計所得金額1000万円以下の場合40m2以上)
  • 床面積の1/2以上が自分の居住用であること
中古住宅
(マンション・一戸建て)
  • 新築住宅の条件のほかに下記の条件を満たすこと
  • 1982年以降に建築された住宅 (新耐震基準適合住宅)
  • 生計を一にする親族などからの購入ではないこと
  • 贈与された家ではないこと
リフォーム
  • 新築住宅の条件のほかに下記の条件を満たすこと
  • 自分で所有し居住する家のリフォームであること
  • 一定の省エネリフォーム、バリアフリーリフォーム、耐震リフォーム、または大規模な間取り変更や修繕などであること
  • 工事費用が100万円超であること
  • 店舗併用住宅等の場合、居住用部分のリフォーム費用が1/2以上であること

住宅ローン控除では納税額を超える金額は戻ってこない。ローン残高0.7%がそのまま還付されると思っていたら、実際の還付金額が少なくてびっくり!とならないよう、しっかり確認しておこう。

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取材・文/田方 みき、SUUMO編集部
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