住みたい街ランキングでトップ10常連の『浦和』。2021年のランキングでは昨年から2ランクアップの8位に選ばれ、安定した人気を見せています。アクセスや生活の利便性だけでなく、教育環境の充実や街の落ち着いた雰囲気も人気の理由の一つと言えそうです。
浦和は江戸時代、中山道の宿場町として『浦和宿』が整備され、明治時代に県庁が置かれたことで、埼玉の中心的な都市へと発展してきました。現在も埼玉県庁やさいたま市役所、埼玉県警察本部、さいたま地方裁判所などが置かれ、行政の中核を担っています。
浦和駅はJR京浜東北線・宇都宮線・高崎線・湘南新宿ライン・上野東京ラインの5路線が乗り入れ、都心へのアクセスも抜群。JR湘南新宿ラインを利用すれば、池袋までは20分程度、新宿までは25分程度、渋谷までは30分程度でアクセス可能です。また、浦和駅周辺は道路が整備され、歩道も広くとられています。大きすぎない繁華街はギラギラした雰囲気もなく、落ち着いた雰囲気です。
また、核テナントに伊勢丹を有する『浦和コルソ』や『イトーヨーカドー浦和店』など、浦和駅周辺は西口を中心にショッピング施設も充実しています。2015年には『アトレ浦和』North AreaとSouth Areaが先行オープン。2018年には浦和駅直結の複合ビル『JR浦和駅西口ビル』が誕生し、1~4階に『アトレ浦和 West Area』、5~7階にはトレーニングジムや女性専用の岩盤ホットヨガスタジオなどが入りました。
東口には『浦和PARCO』があり、アパレルショップや映画館のほか、地下1階にはスーパーのヤオコーやドラッグストアも入ります。2019年に行われた大型改装では、既存の7店舗がリニューアル。浦和駅前エリア初出店となるジーユーなど、3店舗が新規オープンしました。
西口・東口とも、商店街が点在。東口には戦前から続く『前地通り商店会』や完全バリアフリーな歩道が特徴の『浦和駅東口大通り商店会』、飲食店が充実している『東仲町商店会』などがあります。
西口のイトーヨーカドー周囲にひろがる『なかまち商店街』には約70店舗が集結。隣接する『うらもん商店街』は、風情を感じさせる石畳調の街並みが魅力です。老舗店が並ぶなかに近年できたおしゃれなお店も混じり、新旧の調和を感じさせます。
浦和は『文教の街』としても知られ、『埼玉県立浦和高等学校』や『埼玉県立浦和第一女子高等学校』『埼玉大学教育学部附属小学校・中学校』『さいたま市立浦和中学校・高校』などの学校が集まります。
文教の街としての歴史は1873年(明治6年)、旧埼玉県の教員養成施設『埼玉師範学校(現・国立埼玉大学 教育学部)』の開校によりスタートします。1895年には『埼玉県立第一尋常中学校(現・県立浦和高校)』が、1900年には『埼玉県立高等女学校(現・県立浦和第一女子高校)』が、1901年には『埼玉県女子師範学校』が開校。先進的な教育環境が整備されたことで全国から学生が集まり、教育の街として発展を遂げました。
また、浦和は『文化都市』としての一面も持ちます。『鹿島台』と呼ばれるエリアは昭和初期に40人以上の芸術家が暮らし、『浦和アトリエ村』と呼ばれていました。画家・奥瀬英三のアトリエ兼住居や、詩人・立原道造が手がけた芸術家のための週末別荘『ヒアシンスハウス』など、現在も見学できる施設が残されています。
ほかにも芸術や教育にまつわる施設が充実。『椅子の美術館』としても知られる『埼玉県立近代美術館』では、館内の各所に多彩なデザインの椅子を常時数十種類展示しています。
市立美術館である『うらわ美術館』は常設展示がなく、企画展のみで構成されているのが特徴です。『浦和ゆかりの作家』と『本をめぐるアート』をコレクションの中心に据えています。
ほかにも、子どもたちの学びの場として『さいたま市青少年宇宙科学館』があります。プラネタリウムや宇宙劇場などが設けられるほか、気象衛星ひまわりの模型も展示され、見どころが満載。県立浦和高校の卒業生でもある宇宙飛行士の若田光一さんが名誉館長を務めています。
浦和のサッカーの街としての歴史は古く、1908年に埼玉県師範学校に蹴球部が創設されたことが始まりです。現在のさいたま市役所は師範学校跡地に建てられているため、『埼玉サッカー発祥の地』とされています。
昭和の時代には学生サッカーの活躍が目立ち、浦和市内の高校が全国大会で多くの優勝をおさめています。1950年には『浦和レッドダイヤモンズ』の前身となる、三菱自動車工業サッカー部が創設。1993年に日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が開幕し、1996年にクラブ名を浦和レッドダイヤモンズに変更しました。
浦和レッズに関するイベントも多く、ホームの浦和駒場スタジアムで行われる『REDS Festa』をはじめ、浦和駅周辺を中心に開催される『サッカーのまち 浦和フットバル』、秋の『レッズハロウィン』など、さまざまなイベントが実施されています。
アトレ浦和West Areaにある浦和レッズのオフィシャルショップ『レッドボルテージ』では、さまざまなグッズや試合チケットを販売。ショップ前の地下道は『サッカーストリート』と呼ばれ、デジタルサイネージによる情報発信などを行っています。
なお、浦和レッズのもう一つのホーム『埼玉スタジアム』でゲームが行われる際、多くの人が利用する『埼玉高速鉄道(埼玉スタジアム線)』では、延伸構想があがっているようです。実現されるのか現時点では未定ですが、終点駅を現在の浦和美園駅から東武野田線の岩槻駅まで延伸。さらに将来的には蓮田駅まで延伸する構想となっています。
2000年以上の歴史を持ち、地域住民からは『つきのみや』の愛称で親しまれる『調(つき)神社』。名前から月侍信仰とも結びつきが強く、現在もうさぎの石像や絵馬など、神社の各所にうさぎが見られるのが特徴です。併設される『調公園』は、7月の『浦和まつり』や12月の『十二日まち』など、浦和を代表するイベントの会場にもなっています。
平安時代に弘法大師が創建したとされる『玉蔵院(ぎょくぞういん)』は、浦和でも有数の桜の名所。樹齢100年以上のしだれ桜が咲き誇り、毎年多くの人を楽しませます。
また、浦和を代表するグルメの一つがうなぎです。江戸時代、浦和近郊の沼地ではうなぎが多く獲れ、その味の良さが評判となり『浦和のうなぎ』として知られるようになりました。毎年5月には『浦和うなぎまつり』が開催され、うなぎ調理の実演やうなぎ弁当の販売、うなぎのつかみどりなどが行われます。
現在、浦和駅西口の南高砂地区では再開発が進められ、地上27階、高さ約100mの新たな複合ビルが2024年度に竣工される予定です。高層階には約530戸の住宅が設けられ、低層階には商業施設が入居。3~5階には、『さいたま市民会館うらわ』が移転し、3ホールで計650席を設けられるほか、集会室や展示室、スタジオなどが設置されます。
マンション開発も進められてきて、駅西口には『ライオンズマンションコスタタワー浦和』、31階建ての『エイペックスタワー浦和』など、タワーマンションが立ち並びます。
浦和は昔ながらの住宅街が多く、西口・東口ともに駅から少し足を延ばすと閑静な住宅街が広がります。特に学校が周囲にある『別所』『岸町』『常盤』などのエリアは、県内でも有数の住宅街です。
浦和の家賃相場は駅徒歩10分以内、築10年以内の賃貸マンションの場合で、1Kが8.4万円、1LDKで12.3万円、2LDKでは16.7万円です。賃貸アパートで築年数を問わないならもう少し相場が下がり、ワンルームで5.9万円、1Kが6.2万円、1LDKで9.73万円になります。
埼玉県内では高水準ですが、都心と比べれば十分リーズナブルと言えます。
1K | 1LDK | 2LDK |
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8.4万円 | 12.3万円 | 16.7万円 |
都心へのアクセスだけでなく、大型ショッピング施設や商店街が集まり、生活の利便性が高い浦和。賑わいがありながらも緑のある落ち着いた街並みは、世代を問わず心地よく感じられるのではないでしょうか。治安も良好で教育環境も整っていることから、ファミリーにも暮らしやすい街と言えそうです。
埼玉県庁やさいたま市役所の所在地で、行政の中核を担う
商業施設や商店街も充実。生活の利便性が高い
都心部へのアクセスが良く、落ち着いた住環境もある
浦和は文教の街としても知られている
サッカーの街としても発展。現在も浦和レッズが存在感を示す