SUUMO(スーモ)は、住宅・不動産購入をサポートする情報サイトです。
コロナ禍における新しい生活様式のなかで、手ごろな価格で広さを確保できる郊外の住宅を求める動きが出ているといいます。「住みたい街ランキング」においても2021年は、郊外化の傾向が鮮明になりました。茨城県で唯一50位以内にランクインした「つくば」の街の様子や生活環境について紹介します。
秋葉原駅からつくば駅までの20駅、58.3kmを結ぶつくばエクスプレス。関東地方の主要幹線のなかでは2005年開業と新しく、終着駅となるつくば駅が住みたい街として注目され始めたのもそのころからです。秋葉原まで最速45分という交通利便性に加え「すべての駅にホームドアを設置」「無線LANが使える」「電車内や駅がきれい」など、設備に関する評価も高い路線です。
つくばエリアには、筑波大学やJAXA筑波宇宙センターなど、官民合わせて100を超える研究・教育機関が集積。研究学園都市としての歴史は古く、1963年に研究・学園都市構想が閣議決定されて以降、1980年までには国の試験研究機関をはじめとして基幹的な都市施設がほぼ完成しました。計画都市だけあって、広い道や緑豊かな公園が多く、買い物にも便利。さらには市の行政施設なども駅前にあり、住みやすく居心地がいいと評価されています。


実はつくば駅前は一時空洞化が懸念されていました。2017年~2018年にかけて、商業施設『クレオ』に入居していた西武百貨店筑波店や、駅前のつくばセンタービル内のレストラン街『アイアイモール』の閉店、イオンつくば駅前店など、撤退が相次いだのです。
ところが、2020年6月にはつくば市がつくばセンタービルのリニューアル案を公表。コワーキングスペースやシェアオフィスなどを整備する形で2023年度中のオープンを目指しています。
市が再開発に向けて舵を切った背景には、市民の中心市街地活性化に対する関心の高まりがあります。2017年12月のつくば市議会の定例会において「つくば中心市街地の魅力あるまちづくりのための施策を講じることを求める決議」が全会一致で可決されたことを受け、2018年7月に市は「つくば中心市街地まちづくりヴ ィジョン」を作成。2019年には市議会議員22人からなる「つくば中心市街地まちづくり調査特別委員会」が設置され、今後のまちづくりのための調査や提言が行われています。
その甲斐あってか、2021年にはクレオ跡地一帯が『エスコンシティつくば』として生まれ変わります。まず、旧西武棟がリニューアルし、大型商業施設『トナリエつくばスクエア』が開業。3棟の商業施設からなり、1階~3階の商業フロアには、県内初出店の店も多く入ります。オフィスとなる4~6階はIT系や外資系企業のほか、研究開発型企業が入居予定です。

さらに、同じプロジェクトの一環として、旧イオン棟跡には2022年10月の竣工を目指し、総戸数218戸、地上18階建ての分譲マンション『レ・ジェイドつくば』を建設中。駅から2階のメインエントランスまでは、ペデストリアンデッキで繋がり、ベビーカーでのお出かけや買い物もしやすくなるでしょう。
また、2021年10月に竣工予定の『プラウドつくば』など、新築マンションの建設が予定されていることもあり、これからも多くのファミリー層に支持される街になりそうです。
つくば駅のすぐ近くには、複数の診療科をもつ『つくばシティアビル』や『筑波大学附属病院』、ドクターカーを茨城県内で初めて導入した『筑波メディカルセンター』などがあります。かかりつけのクリニックから総合病院まで、充実した医療機関が身近にあり、何かあったときにはすぐに通えることも大きなポイントです。

自然が豊かなこともつくばを語るうえで外せないポイントです。日本百名山にも選ばれている筑波山が北部にそびえ、その途中には、3000~4000種類ものベゴニアが栽培されている『筑波山ベゴニアガーデン』があります。
つくば駅から徒歩30分ほどの場所には、洞峰沼を中心とした約20haの『洞峰公園』が。また、車で10分ほどのところには、1985年の科学万博跡地を利用した『科学万博記念公園』があります。科学万博記念公園内には、芝生広場や池、アヤメ園、そして全天候型テニスコートが5面あり、休日はたくさんの家族連れや若者たちでにぎわいます。
地域コミュニティーによるイベントも盛ん。つくば駅から徒歩1分、2haの広さがある『つくば市中央公園』では、8月の終わりにつくば市最大の夏祭り『まつりつくば』や冬のイルミネーション『つくば光の森』など、多彩なイベントを開催しています。まつりつくばは市民には欠かせないイベント。「わたしたちのまつりつくば」をキャッチフレーズに、自然・歴史・科学・多様な文化というつくば市の魅力を集め、街が一体となって盛り上がります。日本一の大きさといわれる『万灯神輿』、つくば万博の際に記念につくられた『万博山車』が、大通りを練り歩く姿は迫力満点です!
また、公園内につくば市民ギャラリー、さくら民家園があるほか、隣接して実物大のロケットや世界最大級のプラネタリウムを見られる『つくばエキスポセンター』や『筑波宇宙センター』、『茨城県つくば美術館』、『つくば市立中央図書館』などがあり、子どもの知的好奇心をそそる教育・研究施設が多数あります。

そして注目したいのは、子どもの教育環境です。研究学園都市の名にふさわしく、つくば市は「教育日本一」を掲げ、市をあげて教育に力を入れています。
まず、文科省の教育課程特例校に指定され、2012年度から市内全ての公立小・中学校を9年編成へ移行。「つくばスタイル科」という独自の次世代教育カリキュラムを設けました。これは、環境、キャリア、歴史・文化、健康・安全、科学技術、国際理解、福祉、豊かな心という8つの分野を、小中一貫の9年で習得するというものです。
国際社会で活躍するための次世代型スキルや、情報通信技術を取り入れた最先端の教育にも力を入れており、電子黒板やタブレットの導入など、ICT教育の環境整備が進んでいる点も見逃せません。
また、筑波山や市内の自然環境を活用した環境教育事業、料理を「作りすぎない」「すてない」「流さない」をキーワードにしたエコ・クッキング事業、桜川稚魚放流・魚捕り体験事業、環境マイスター育成事業などの野外学習を官民連携で行っています。
さらに、つくばには『宇宙航空研究開発機構』に代表される数多くの研究施設があります。展示室や見学コースが設けられているため、最先端技術などに身近に触れることが可能。正門を入ってすぐの「ロケット広場」には、50mもある本物のロケット「H-IIロケット」の実機を展示しています。展示館「スペースドーム」には日本の宇宙開発を進めて来たJAXAの歩みと取り組みの現状を分野ごとに紹介。実際に燃焼実験に使われたロケットエンジンやさまざまな人工衛星の試験モデルが数多く並んでおり、子どもだけでなく、親にとっても楽しい場所でしょう。お土産にはJAXAや宇宙に関連したグッズとして、宇宙食やステーショナリーを購入できます。
知的好奇心を育みやすい環境であることも子育て世帯に評価される理由なのでしょう。

つくば市の家賃相場は、茨城県内のほか地域と比べると若干高めかもしれません。しかし都内と比べると段違いに下がります。駅徒歩20分内、築年数30年以内の賃貸マンションの場合で、1Kは2.3万円~6万円、4万円台前半の物件が多めの印象です。2LDKは5.6万円~18万円と幅広く、8.5万円前後の物件が中心。3LDKになると5.9万円~10万円の範囲で数、特に7万円台前半~8万円台前半がボリューム帯です。
駅徒歩20分以内、築年数を問わない賃貸アパートなら少し相場が下がり、1Kなら2.3万円~7.5万円まで幅広く、4万円前後の物件がボリューム帯。1LDKは5.5万円~8.5万円で、7万円台前半の物件が多めの印象です。2LDKになると5.6万円~18万円と幅広く、特に7.5万円~8.5万円がボリューム帯です。(SUUMO掲載情報より抜粋、2021年2月25日時点)
つくば市は、高い人口増加率を誇り、茨城県のなかで唯一、人口が増え続けているエリア。核となる大学や研究機関の存在をベースに高い教育水準や豊かな自然環境を備えていること、都心から通勤圏内であることや医療機関の充実など、住むにも働くにも、バランスの良い都市であることがうかがえます。これからも開発の予定が控えており、一層の発展が楽しみな街ですね。
つくばエクスプレスを使えば、秋葉原まで最速45分でアクセス可能
研究・学術都市らしく区画整理された広くてきれいな街並み
市内の公立学校はすべて小中一貫校で、教育に力を入れている
筑波山をはじめ、自然や公園、教育・研究施設なども豊富
駅近の再開発マンション、商業施設のリニューアルなど、街がまだまだ成長中
【調査対象物件】賃貸マンション/駅徒歩10分以内、築年数10年以内、賃貸アパート/駅徒歩10分以内、築年数の設定なし(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【データ抽出期間】2020/11~2021/1
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している