宝塚市は「歌劇のまち」で知名度は全国区。大阪、神戸に近く、緑豊かで生活に便利な住宅地

宝塚歌劇団の大劇場がある宝塚市は、大阪の都心や神戸・三宮まで30～40分と交通の便のよい街です。宝塚駅は2021年住みたい街ランキング総合12位で、１位の西宮北口へもわずか10数分の距離。宝塚市は行政区28位です。六甲山系などの自然に恵まれ、高級住宅地が多く、温泉地としても有名です。

阪急宝塚駅は宝塚線、今津線のターミナル駅。駅前には「宝塚阪急」や「ソリオ宝塚」など商業施設がそろっています（撮影／川谷信行）

歌劇、温泉、ゴルフ場などさまざまな顔を持つ宝塚市

兵庫県の南東部に位置する宝塚市は人口約23万人。大阪方面と結ぶ阪急電鉄が宅地開発に力を入れたこともあり、仁川や逆瀬川、雲雀ヶ丘といった高級住宅街が早くから開けました。大阪、神戸近郊の落ち着いた住宅地というイメージが定着しています。大阪や神戸が通勤圏ながら、六甲山系や長尾山系に囲まれた緑豊かな住宅地であることが人気の理由のひとつです。
市内には、阪急西宮北口から宝塚駅を結ぶ今津線が南北に走り、宝塚駅から大阪梅田駅までを結ぶ宝塚本線が東西に走っています。阪急宝塚駅から歩道橋を渡るとJR宝塚駅につながります。JR宝塚駅のある福知山線は尼崎駅と福知山駅を結ぶ鉄道です。
阪急宝塚線沿線は宝塚大劇場がある宝塚駅や安産祈願で知られる中山寺のある中山観音駅などがあり、特徴ある街並みが広がっています。一方、阪急今津線沿線は閑静な住宅地の多いエリアです。
また、阪急宝塚駅近くには宝塚温泉、JR武田尾駅には武田尾温泉と温泉の街も点在。仁川競馬場やゴルフ場などでも知られています。宝塚市は大阪のベッドタウンであるとともに、歌劇や温泉などさまざまな顔を持っているのが特長です。

武庫川添いにある宝塚大劇場が印象的（撮影／川谷信行）

宝塚駅周辺は買い物客などのにぎわいの中に文化の香り

阪急のターミナル駅・宝塚駅とJR宝塚駅が隣接するエリアが中心部で、周辺には商業施設が集積しています。阪急百貨店や専門店街「ソリオ宝塚」は、ファッション、雑貨、飲食などのショップやカフェ、レストランがそろい、市役所のサービスステーションなどの利便施設も整っています。
ショッピングゾーンから宝塚大劇場に通じる約300ｍの道路は「はなの道」と呼ばれる美しい並木道です。春は桜が咲き誇り、散策に最適。沿道にはカフェ、グルメの店が並んでいるほか、宝塚出身の漫画家・手塚治虫さんの創作の世界を紹介する市立手塚治虫記念館や、地元ゆかりの芸術家の作品を展示する市立芸術文化センターなども集まり、文化の香りが感じられる一角です。

宝塚大劇場に通じる「はなの道」は、春は桜の名所に（撮影／川谷信行）

宝塚大劇場の西隣には、劇場のオフィシャルホテルとして1926年（大正15年・昭和元年）に創業した「宝塚ホテル」が昨年６月、１駅離れた宝塚南口駅前から移転、開業しました。旧ホテルの様式やしつらえを引き継ぎ、オレンジ色の瓦屋根やベージュ色の壁面、アーチ型のエントランスなどが瀟洒な雰囲気を醸し出しています。
宝塚駅から2駅南の阪急逆瀬川駅にも、「アピア逆瀬川」というショッピングモールがあります。スーパーマーケットをはじめ、ファッション、雑貨、サービス、家電量販店、飲食店など様々な業種の店が入り、こちらも便利な地域です。市役所の最寄り駅でもあります。

瀟洒な外観の宝塚大劇場。2020年には宝塚ホテルが西隣に移築、開業し、ホテルと劇場の一体感が高まりました（撮影／川谷信行）

宝塚温泉やガーデンフェスタなど楽しみもいっぱい

宝塚市は古くからの温泉の街でもあります。宝塚大劇場から足を伸ばして武庫川にかかる宝塚大橋を渡れば、対岸は古くからの温泉街。川沿いに温泉旅館やホテルが建ち、「歌劇のまち」のもう一つの顔に触れられます。鎌倉時代にさかのぼる温泉は、鉄分を多く含み茶色く濁った「金宝泉」と、濁りがなく体にやさしい「銀宝泉」があり、どちらも湯冷めしにくいのが特徴とされています。
コンクリート打ち放しの近代的な概観が目を引く日帰り入浴施設「ナチュールスパ宝塚」は、世界的建築家・安藤忠雄氏の設計です。水着で入れる男女共用の露天ジャグジーのほか、岩盤浴やトレーニングジム、女性専用のエステサロン、レストランなどもそろい、楽しみ方はさまざま。歴史ある温泉が身近に利用できるのも「宝塚らしさ」と言えます。
また、ＪＲ宝塚駅から福知山線で３駅、江戸時代から続く山あいの武田尾温泉にも足を伸ばせます。地元の里山を整備する住民団体が整備する「桜の園」を訪問するなど、山歩きやハイキングにも適した場所です。西は六甲山系、北は長尾山系という二つの山地に接する自然を実感できます。

日帰りで利用できる温泉施設「ナチュールスパ」。岩盤浴や露天ジャグジーがあり気分転換に最適（撮影／川谷信行）

市の東部には由緒ある寺社が多く、多くの参拝者を集めています。周辺には宅地も広がり、歴史的な景観との融合が地域の特徴になっています。
阪急宝塚線中山観音駅から参道が続く中山寺は、聖徳太子が開いた西国三十三カ所の札所で、安産信仰で有名です。清荒神駅からは、「かまどの神様」として篤い信仰を集める清荒神清澄寺の参道が続き、飲食店やみやげ物、日用雑貨店など約２００の店舗や露店が軒を連ねています。
また、山本駅付近の宝塚線沿線は、日本三大産地と言われる園芸・植木栽培のメッカで、１００を超える専門店が集まっています。無料の園芸講座も開かれ、毎年４、５月には市内の個人住宅や事業所が自慢の庭を公開する「宝塚オープンガーデンフェスタ」が開催され、花と緑を大切にする文化が一般の住宅地にも根付いています。

医療費助成や相談業務など子育て支援施策が充実

企業や工場が少なく住宅地の多い宝塚市では、若い世代を応援するために子育て支援に力を入れています。保護者の所得が一定額を下回る場合、中学３年生まで医療保険診療の自己負担額を市が助成することで、通院・入院とも医療費が実質無料になります。都市部で珍しく中学校でも学校給食を実施しており、小中学校９年間を通して栄養バランスを考えた食事を提供します。ご飯は学校ごとにたき、アレルギーのある子どものためにリスクのある食材を除去する取り組みを行っています。
老人福祉センターと大型児童センターの複合施設「フレミラ宝塚」を開設し、高齢者と子どもとの交流活動にも力を入れています。施設内にある子ども家庭支援センター「きらきらひろば」には、０歳児から３歳児程度までの親子が遊べるプレイルームが設けられ、保育士や助産師、臨床心理士、管理栄養士による相談も実施しています。

子ども家庭支援センターのある「フレミラ宝塚」は高齢者と子どもの交流の場に（撮影／川谷信行）

大都市近郊の住宅地として人気の宝塚。ファミリータイプの相場は？

宝塚市の家賃相場は以下の通りとなっています。（2022年1月現在）

宝塚駅周辺の家賃相場情報（マンション）

宝塚駅周辺の家賃相場情報（アパート）

緑豊かで上品なイメージの宝塚市は、ファミリー層を中心に高い人気を誇っています。宝塚駅周辺の「川面」「栄町」では駅徒歩圏のマンション供給が多く、武庫川をはさむようにして中高層マンションが建設されています。一方、逆瀬川や仁川方面は一戸建て中心の閑静な住宅街で、逆瀬川エリアの「逆瀬台」「青葉台」「光が丘」や仁川エリアの「仁川台」「仁川高台」などには区画の大きな戸建てが建ち並んでいます。交通や買い物などの利便性はもちろん、六甲山を望む立地や、小林聖心女子学院など私学の有名校があるのも、高い人気の理由のようです。

逆瀬川近辺の住宅街は道幅も広く開放感いっぱい（撮影／川谷信行）

古くからの邸宅街の人気と駅周辺などでのマンション開発に加え、住みたい街ランキング１位の西宮北口にも阪急今津線で直結する足の便で注目度が高まっているようです。宝塚歌劇などの文化や温泉、豊かな自然と歴史も、住宅地の魅力を高める要因でしょう。