みなとみらいの玄関口、桜木町。行政機能や最新の観光スポットなど、再開発が続く

公開日 2021年05月30日
みなとみらいの玄関口、桜木町。行政機能や最新の観光スポットなど、再開発が続く

「住みたい街ランキング」で近年、上位を保持している横浜の隣駅、桜木町。実は「横浜」をイメージするときに、桜木町が玄関口である『みなとみらい21』を想起していることもあるかもしれません。近年では商業施設や大型ビルだけでなく、タワーマンションや行政施設の建設も相次ぎ、居住エリアとしての発展にも注目が集まっています。

横浜市役所新庁舎の完成で、桜木町に注目が集まった2020年

2020年6月、横浜市役所が関内駅前から移転し、新南口が新たにできた桜木町駅。JR京浜東北線、横浜線、横浜市営地下鉄ブルーラインの3線が利用可能で、隣の横浜駅までは電車で3分、品川駅へは30分ほどでアクセスできます。徒歩圏内には横浜駅まで25分ほど、そのほか、10分程度で東急電鉄・みなとみらい駅まで到着するため、目的地に合わせて使い分けることができます。

新南口から新しくできた横浜市役所新庁舎までは徒歩3分。全長232mの歩行者デッキ『さくらみらい橋』で結ばれ、橋のかかる大岡川や海を見ながら直通できるようになりました。通路部分に屋根が設けられたこの橋を利用すれば、雨の日も快適に行き来ができます。

桜木町駅前
(写真/PIXTA)
駅と横浜市役所新庁舎を結ぶ、さくらみらい橋
『さくらみらい橋』を通れば、駅から海を見ながら横浜市役所新庁舎へ直通できる(撮影/齋藤憲二)

駅前には新南口の供用開始とともに『JR桜木町ビル』がオープン。同ビル内には『JR東日本ホテルメッツ横浜桜木町』や商業施設『CIAL桜木町ANNEX』が入っています。さらにビルのエントランスには、桜木町駅が日本で最初の鉄道駅『旧横濱駅』であることにちなみ、『旧横濱鉄道歴史展示(旧横ギャラリー)』が設けられています。

新名所の誕生で、一層輝きを増す『みなとみらい21』

32階建ての高層ビルとなった横浜市役所の新庁舎は『ラクシスフロント』という名称。そして、みなとみらい大通りを挟んだその正面玄関前には、同じく2020年に高さ200m、58階建ての大型分譲マンション『ザ・タワー横浜北仲』が完成しました。1階から3階は商業・文化施設『KITANAKA BRICK&WHITE(北仲ブリック&ホワイト)』となっており、市役所訪問時にも気軽に立ち寄れるスポットとなっています。

横浜市新市庁舎とザ・タワー横浜北仲
みなとみらいが一望できる横浜市庁舎と58階建ての大型分譲マンション『ザ・タワー横浜北仲』(撮影/齋藤憲二)

さらに2021年4月22日には、世界最新都市型循環式ロープウェイ『YOKOHAMA AIR CABIN(ヨコハマ・エア・キャビン)』がいよいよ運行を開始。桜木町駅と、『ワールドポーターズ横浜』の前、新港ふ頭にある『運河パーク』の約630mをロープウェイで一直線に結びます。

駅周辺には『コレットマーレ』をはじめ、『CIAL桜木町』『MARK IS みなとみらい』などがあり、気軽に買い物を楽しめます。少し足を延ばせば横浜・みなとみらいのシンボルである『横浜ランドマークタワー』や『横浜赤レンガ倉庫』『横浜クイーンズスクエア』『臨港パーク』など、子どもから大人まで楽しめる施設が徒歩圏内。多くのショッピング施設があるので休日の買い物にも困ることはないでしょう。

2021年の終わりごろには、桜木町から徒歩で20分ほどの横浜駅寄りの58街区に地上21階建ての『横濱ゲートタワー』が開業予定。オフィス機能をメインに、クリニックや保育所、横浜の新名所としてプラネタリウムも併設し、多くの人でにぎわうことでしょう。

2023年3月には桜木町駅 徒歩7分の位置に地上28階の超高層ビル『MM37タワー』が、同年10月には約2万人を収容する世界最大級の音楽アリーナ『Kアリーナプロジェクト』が竣工するなど、多くの開発・開業を控え、桜木町はますます魅力的なエリアとなりそうです。

桜木町駅と新港ふ頭を結ぶヨコハマ・エア・キャビン
桜木町駅と新港ふ頭を結ぶ、横浜観光の新たなシンボル(写真/PIXTA)

駅の西側、野毛エリアや文化施設、歴史的な建築物の存在が魅力を増す

みなとみらいの煌びやかなイメージがあるだけに、住む場所、暮らす場所としてはどうなのかが気になるところ。みなとみらいとは駅を挟んだ逆の西側にある野毛エリアは桜木町と違う一面が街の魅力を増しています。

駅から歩いて3分のショッピングセンター『ちぇるる野毛』や、10分ほどの日ノ出町駅前にある『京急ストア』など、駅から近いところにも庶民的なお店が多く、日常の買い物には困ることがありません。

また、昭和の風情が残り、約600ほどの店舗があると言われる野毛の横丁での食べ歩きも人気です。シーズン化されている「食」のドラマ『孤独のグルメ』にも登場する店など、昭和の渋い『せんべろ」イメージが先行しているこのエリア。近年は焼き鳥や居酒屋、バーなどに加えて、オシャレなバルや女性でも気軽にひとりでふらっと立ち寄れる若い人向けの店が増えてきています。

桜木町駅の西側、夜の野毛小路
昭和の時代の風情が今なお残る野毛小路一帯(撮影/齋藤憲二)

野毛坂を少し歩けば駅から徒歩15分ほどのところに『野毛山公園』があり、敷地内には『野毛山動物園』も。100種類以上の動物を無料で見学できるとあって、子ども連れにはうれしい遊び場となるでしょう。また野毛山公園から7~8分程度歩けば、神奈川県で最多の蔵書数を誇る『横浜市立中央図書館』や『神奈川県立図書館』、『横浜能楽堂』などの施設や「関東のお伊勢さま」と親しまれる伊勢山皇大神宮が並び、横浜を代表する文化的な一帯が広がります。

桜木町駅から徒歩8分ほどの野毛山動物園
横浜の高層ビルを背景に、キリンをはじめ100種類以上の動物を無料で見ることができる(写真/PIXTA)

イベントの充実や生活の利便性もファミリー層から高評価

『横浜開港祭』の花火や『ヨコハマトリエンナーレ』など、年間を通して大小さまざまなイベントが開催されているのも桜木町に住む魅力のひとつです。小さなイベントはほぼ毎週のように行われ、いつ行っても楽しめる非日常感があります。

横浜開港祭は毎年6月2日前後に開催されます。2021年は6月2日(水)に開催を予定していますが、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、開催内容を縮小して行う予定とのこと。例年であれば30分間で6000発の打ち上げや音響、レーザービームなどの演出など、圧巻の光景が観られるとあって、毎回多くの人でにぎわいます。

一方のヨコハマトリエンナーレは、横浜市で3年おきに開催される現代美術の国際展覧会。2001年に始まり今年で20年目を迎える本展。昨年は、新型コロナウイルスの影響があったものの2週間延期されて開催されました。横浜・みなとみらいエリア全体で祝祭性を高め、いま、最も旬な現代アートを楽しむことができます。

桜木町駅からも花火が見える横浜開港祭
横浜開港祭の光と音を融合させた大迫力の花火は、初夏の横浜の風物詩(写真/PIXTA)

また、横浜みなとみらい21地区の人口増加を受け、2018年4月から2028年3月末までの10年間の期限付きでみなとみらい線新高島駅に近い地区に「みなとみらい本町小学校」が開校したのも見逃せません。

また、みなとみらいエリアの生活に欠かせない施設の充実が進み、子育て世帯にとっての利便性をさらに向上させています。徒歩圏内には、認可保育園や幼稚園、救急病院や歯科、内科などのクリニックも多数。特に『横浜市救急医療センター』が駅のすぐ近くにあるため、小さな子どもを持つ人にとって、何かあったときにすぐに足を運べる医療機関のある環境は大きな安心に繋がります。

さらには幅広い品ぞろえと魅力的な価格のディスカウントスーパー「オーケーストア」の旗艦店も同エリアに存在。買い物スポットが身近にあることによって生活はますます充実していくことでしょう。

桜木町のランドマーク、赤レンガ倉庫
桜木町のランドマーク、横浜赤レンガ倉庫は歴史的建造物としても名高く、イベントも多々行われる観光名所(写真/PIXTA)

神奈川県内では高めの家賃水準、家賃を抑えるには西側も検討

桜木町駅周辺の家賃は神奈川県内ではかなり高めの水準です。家賃相場は駅徒歩10分以内、築10年以内の賃貸マンションの場合、ワンルームで8万円、1Kでは8.5万円、1LDKで17.1万円、2LDKで28万円、3LDKでは24.45万円となっています。賃貸アパートで築年数を問わないならもう少し相場が下がり、ワンルームで6.15万円、1Kで7.5万円になります。

桜木町駅周辺の家賃相場情報

賃貸(マンション)
ワンルーム 1K 1LDK 2LDK 3LDK
8万円 8.5万円 17.1万円 28万円 24.45万円
賃貸(アパート)
ワンルーム 1K
6.15万円 7.5万円
※SUUMO掲載情報より抜粋、2021年1月31日時点。調査概要はこちら

なるべく家賃を抑えたいという場合には臨海部を避け、紅葉坂や宮崎町周辺、野毛エリアで物件探しをするのが良さそうです。駅から徒歩10~15分ほどにある図書館や能楽堂、伊勢山皇大神宮などの文化的な建造物が点在する紅葉坂沿いは、人通りの多いエリアから離れるため、駅近辺や東側に比べると落ち着いた雰囲気です。

桜木町駅から徒歩8分のところにある伊勢山皇大神宮
伊勢山皇大神宮の裏参道を下りると落ち着いた雰囲気の住宅街(写真/PIXTA)

レジャー・観光スポットやビジネス、商業施設がひしめき合うみなとみらい地区。その玄関口である桜木町駅は、横浜市役所の新市庁舎移転を筆頭に、生活を送るうえで欠かせない施設の開発が相次ぎ、利便性が一層向上しています。

一方、駅の西側には庶民的なエリアや文化色の強い地域など、幅広い世代のニーズに応える住みよい街として、これからも人気の高まりが予想されます。桜木町なら、変化していく街の様子を間近に感じながら、日々の暮らしを楽しむことができそうです。

まとめ

3駅4路線利用可能で、横浜駅まで3分。始発電車もあり

横浜市役所新庁舎の移転をはじめ、新たな開発がめじろ押し

最新型ロープウェイの開通をはじめ、観光・レジャースポットも増加中

桜木町の山側や野毛方面などは、庶民的で生活にも便利

豊富な文化施設や公園があり、落ち着いた雰囲気のエリアも

●家賃相場 調査概要

【調査対象物件】賃貸マンション/駅徒歩10分以内、築年数10年以内、賃貸アパート/駅徒歩10分以内、築年数の設定なし(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【データ抽出期間】2020/11~2021/1
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

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取材・文/竹治昭宏(スパルタデザイン) 撮影/齋藤憲二
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