山と海に囲まれた古都・鎌倉。IT企業参入など、新しいまちづくりにも期待が高まる

古くから風光明媚な観光地として人気の高い・鎌倉。「住みたい街」としても毎年上位にランクインしています。行政の取り組みや近年の新しい動きなど、若い世代からシニア世代まで、世代を問わずに高い評価を得ている理由を見てみましょう。

山と海に囲まれた、歴史深いフォトジェニックな街並み

（撮影／宮田誠）

（撮影／宮田誠）

鎌倉駅には、JR横須賀線、JR湘南新宿ライン、海沿いを通る江ノ島電鉄の3路線が乗り入れています。JR横須賀線を使えば乗り換えなしで横浜駅まで約28分、渋谷や新宿へも、湘南新宿ラインを利用すれば1本でアクセスでき、 移動がスムーズ。渋谷には最短52分、新宿には最短57分でアクセスできます。この交通利便性が都心から手軽に行ける観光地として、さらには都心通勤のベッドタウンとしても人気を集める理由の一つでしょう。

駅付近には『鶴岡八幡宮』、大仏で有名な『高徳院』、『銭洗弁財天』など、歴史を感じられる散策スポットが多くあります。鶴岡八幡宮に並行する『小町通り』には、2100 を超える土産物屋や飲食店が立ち並び、多くの人でにぎわいます。

鎌倉の文化の起点であり、観光でははずすことができない名所『鶴岡八幡宮』（撮影／宮田誠）

一方で、南に向かって10分ほど歩けば、材木座海岸・由比ヶ浜といった2つの海岸があり、夏は海水浴を楽しむ人が集います。また、日本有数のサーフスポットがあることから、年間を通して多くのサーファーが訪れます。海岸通り沿いにはオシャレなカフェやレストラン、雑貨店なども多く、海水浴シーズンに限らず、多くの人が観光やショッピングに訪れます。

山側のエリアには、寺院巡りの途中で立ち寄りたい隠れ家的なカフェ＆レストランが点在しています。寺社以外にも『源氏山公園』などの散策スポットがあり、海側とは雰囲気が異なる、緑豊かな自然を楽しめます。

天気のいい日には江ノ島に沈む美しいサンセットが見られる（撮影／宮田誠）

観光やショッピングだけでなく、日々の買い物にも便利な環境

街のメインストリートとして、鶴岡八幡宮までの参道と並列して伸びる東口の小町通りは有名ですが、実は駅の西側にも活気あふれる商店街が。西口の『御成通り』は地元の人が愛用するお店が多く、東口に比べ落ち着いた雰囲気で買い物を楽しむことができます。

表通りから一本入った路地裏には、隠れた名店があるのも見逃せません。個人経営のおしゃれなカフェや雑貨店などが多く、住む人には休日週末の散策が楽しみになることでしょう。レトロな店と新しい店が混在するのは歴史ある鎌倉ならでは！　個性的で多種多様なお店が集まっていることで、何度訪れても楽しませてくれる魅力を創出しています。

また、日常の買い物を支えるスーパーやドラッグストアも点在。東口ロータリーには『東急ストア鎌倉店』が、若宮大路沿いには『もとまちユニオン鎌倉店』などがあります。さらに、駅から徒歩5分圏内にある『鎌倉中央食品市場（通称レンバイ）』『鎌倉市農協連即売所』『鎌万水産』には、地元の新鮮な野菜や海の幸が並び、市民の台所として親しまれています。

東急ストアの営業時間は22時までと、会社帰りにも寄れそう！（撮影／宮田誠）

駅前の再整備によって利便性が向上、IT企業も続々集結

現在、鎌倉駅では駅周辺の環境整備が進められています。2020年には西口駅前広場の再整備が完了。喫煙所などが撤去され、広々とした時計台前スペースは新たな待ち合わせスポットになりました。人だまりや通路用スペースを広く確保したほか、新たな観光案内板やバリアフリー化を図るなど、市民や来訪者にとって、快適な空間になっています。

歴史都市の玄関口にふさわしい景観を目指す鎌倉駅（撮影／宮田誠）

一方東口では、バス停やタクシー乗り場などのロータリーを擁する駅前広場の整備工事が2021年の2月に完了したばかり。歩道が大きく拡幅され、歩きやすくなりました。「タクシーのりば」に加えて「タクシーおりば」や福祉車両用の乗降場を新設。すべてのタクシー乗降場には雨よけの屋根が設けられ、訪れる人に優しい駅前になっています。

また、企業同士の横のつながりを生み、鎌倉で働く人・暮らす人のための地域に根ざした活動が盛んに行われています。東証マザーズに上場したクリエイティブ企業「面白法人カヤック」を始め、IT関連企業が多く集まり、米シリコンバレーをもじって『鎌倉バレー』を形成。鎌倉に拠点を持つ24の企業・団体31（2021年4月現在）社 が『まちの社員食堂』を設営したり、神奈川県とカヤックが共同運営する起業支援拠点『HATSU 鎌倉』が誕生したりと、ユニークな試みが実現しています。

街並みの保全や子育てしやすい環境づくりなど、行政の取り組みも積極的！

鎌倉の街は古くからの寺院や歴史的建造物の名残があり、ほかでは味わえない風情ある街並みが続きます。その美しい景観を守るため、鎌倉市では1995年に「まちづくり条例」を制定。時代の流れにあわせた条例改定を行いながら、まちづくりが行われています。具体的には、JR鎌倉駅とJR北鎌倉駅を中心に広がる市街地を「景観地区」に指定。指定エリア内では、建築物の高さや色に制限を設けているほか、大規模な開発を行う際の届出制度を設けるなどの施策がとられています。2020年4月には『ホテルメトロポリタン鎌倉』が開業し、街並みと調和する落ち着いた外観になっています。

また、2012年には次世代を担う子どものため、市が「次世代育成きらきらプラン」を提唱。待機児童ゼロを目標に保育所の用地を確保したり、低年齢児童を対象とした保育事業所を創設するなどの対策に乗り出しています。さらに、2016年6月からは専門スタッフによる保育所相談サービス「保育コンシェルジュ」制度を導入し、子育て世代が住みやすい街づくりの取り組みが進められています。

2020年4月開業。街並みと調和する落ち着いたカラーとデザインが特徴（撮影／宮田誠）

自然・歴史・街づくりも活発な鎌倉。気になる家賃相場は？

鎌倉駅の家賃相場は、賃貸アパートで駅徒歩10分以内、築年数を問わなければワンルームが8.2万円、1Kが6.3万円、1LDKが8.95万円となっており、近隣の大船駅や逗子駅と比較すると少し高めです。

鎌倉市の家賃相場情報

閑静な住宅街が多く、女性の一人暮らしや子育て世帯も安心して生活できる環境だと言っていいでしょう。ただし夏は海水浴目的の訪問客が増え、混雑やトラブルなども発生する可能性があるため、注意が必要です。

四季を通じて観光やショッピングに訪れる人でにぎわう鎌倉ですが、夕方以降は地元の人が楽しむ静かで落ち着いた雰囲気になります。夏になると商店街や寺院のお祭りが行われ、中でも『鎌倉花火大会』は地元の人に人気のイベントです。

通勤などの交通アクセス、買い物などの生活利便性を重視するなら、鎌倉駅徒歩圏である御成町、佐助、扇ガ谷、笹目町、小町、雪ノ下などが候補になりそうです。一方、自然と歴史の調和した鎌倉らしさを感じながら住みたい人には、佐助や長谷、常盤などのエリアが適しているでしょう。

駅から近く、緑も多い扇ガ谷周辺の住宅街（撮影／宮田誠）

世代を問わず、人を魅きつける力を持つ街「鎌倉」。都心まで電車で1時間ほどとアクセスが良い環境で、飲食やショッピングを楽しみながら自然に囲まれ生活できるのが魅力です。休みの日は駅周辺で買い物やお茶をしたり、七里ヶ浜でサーフィンをしたり、海沿いをジョギングしたり、鎌倉山まで散歩をしたりと、さまざまな過ごし方ができるでしょう。

寺社で行われる文化的なイベントも多いため、歴史や地域のコミュニティに触れながら子育てをしたいファミリーには、特に魅力的な環境です。日常の中に垣間見る非日常感が楽しい、満足度の高い街と言えるのではないでしょうか。