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マンション、団地、アパート、ハイツ、コーポ。これらは全て集合住宅の呼び方です。違いはどこにあるのでしょうか。この記事では、マンションと団地、それぞれの定義や特徴、住まい選びの際に知っておきたいメリットやデメリットも解説。UR都市機構の団地やマンションなどの集合住宅管理やリフォーム、リノベーションを手がけるJS Reform(日本総合住生活)の北田晃彦さんと瀧本加奈子さんにお話を聞きました。また、団地をリノベーションして自分に合った暮らしを実現した実例も紹介します。
最近、古い団地を購入して、素敵にリフォームやリノベーションをして暮らすライフスタイルが、ネットや雑誌などで紹介されることが多くあります。では、団地はマンションとはどう違うのでしょうか?
マンションは、一般的には鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の3階建て以上の建物に、独立した複数の住戸が配置されている集合住宅を指します。
団地は、一つの土地に建てられている複数の建物のこと。建物は集合住宅だけでなく、戸建てのケースもありますし、「工業団地」と呼ばれるように工場などが建っているケースも団地です。なお、この記事では、戸建てや工場などではなく、複数棟の集合住宅が建っているものを団地と呼ぶことにします。
マンションの特徴は物件によってさまざまです。3階建ての低層マンションから、タワーマンションと呼ばれる超高層のマンションまで高さも違いますし、1棟内の総住戸数、共用設備の有無やグレードなども物件次第。賃貸マンションを借りる場合も、分譲マンションを購入する場合も、さまざまなバリエーションから選ぶことができます。
一方、団地にはどのような特徴があるのでしょうか。
「さまざまなタイプがありますが、多いのは5階建てでどの棟も南向きに建てられている団地です。エレベーターはなく、『階段室型』と呼ばれる各階の隣り合う2住戸で階段を共有する形式です。そのため、一つの棟に複数の階段室があるのが一般的です。古い団地は壁式構造のケースが多く、これがリノベーションやリフォームの際に影響します」(北田さん)
また、団地は分譲タイプより賃貸タイプの方が多いのだそう。
「当社が管理を行ってきた団地は約90万戸あるのですが、2:7の割合で圧倒的に賃貸が多いです。とはいえ、団地の数が多いため、中古で購入する場合は複数の候補から選ぶことも可能です」(瀧本さん)
集合住宅には、ほかにアパート、ハイツ、コーポなどさまざまな名称で呼ばれる建物があります。
アパートは小規模で、2階建てなどの低層の建物。多くが木造や軽量鉄骨造で建てられています。
ハイツやコーポは建物のオーナー(大家さん)などが自由につける名称で、法律による違いや定義などはありません。
マンションと団地、どちらに住もうか迷っている場合は、それぞれのメリットやデメリットを把握したうえで、物件探しや内見をするといいでしょう。まずは、マンションと団地を比較した場合のメリットを見ていきましょう。
マンションは同じ物件でも広さや部屋数、間取り、内装デザインなどプランがさまざま。家族の人数やライフスタイルに合わせて選ぶことができます。
宅配ボックスやエレベーター、オートロックのほか、物件によってはゲストルームやキッズルーム、コワーキングスペースがあるなど、共用設備や共用施設が充実している点が魅力。大規模マンションになると、棟内にコンビニエンスストアや保育園があるケースも。
団地タイプの集合住宅に比べると、新築物件が多いのはマンション。中古マンションでも、築5年以内などの築浅物件を選びやすいのもメリットです。
マンションの場合、敷地内の防犯カメラやエントランスのオートロックがあるのは一般的。築古物件を除いた物件によってはエレベーターホールにもオートロックが導入されているダブルオートロックになっていたり、エレベーターが訪問するフロアにしか停止しないシステムになっていたり。他にも24時間有人管理など、セキュリティ面でより安心な物件も選びやすいといえます。
共用設備や共用施設が充実している分、団地と比較すると家賃や価格が高めの傾向にあります。
分譲マンションも分譲タイプの団地も、毎月管理費と修繕積立金を支払います。分譲マンションの方が金額が高い傾向があるため、入居後のランニングコストが高くなる点がデメリットといえます。

一般的なマンションと比べた場合の、団地のメリットについて見ていきましょう。
団地は広い敷地に棟と棟の距離を大きくとってゆったりと建てられていることが多く、その場合、採光や通風に恵まれた住環境が得られます。
広い敷地を生かして、公園や遊具が設けられることも多く、子どもの遊び場や散歩のできる緑の環境が身近な点がメリットです。
築年数の古い5階建てまでの団地にはエレベーターがありません。それはデメリットですが、視点を変えれば階段の上り下りが健康づくりにつながる、というメリットにもなります。
「4~5階に住んでいる高齢者の方にお会いすると、息も上がらずに階段を上られている方が多いです」(北田さん)
賃貸の場合は更新料が不要な物件が多く、家賃も比較的安め。分譲の場合も周辺の同規模のマンションに比べると価格は比較的安いといえます。
分譲の団地の場合、エレベーターやオートロック、豪華な共用施設などがない分、管理費や修繕積立金が一般的なマンションに比べると割安になっています。
大規模な開発で誕生した棟数の多い団地は、人口増加を見越して周辺にスーパーやクリニック、小学校など生活や子育てに便利な施設がそろっていることが多くあります。ただし、団地誕生から数十年を経て居住者が減少している場合は、周辺環境が変化していることもあるので注意が必要です。
「古くからの団地では、団地名がバス停名になっているくらい敷地の近くにバス停があり、最寄駅までのアクセスが意外に便利なこともあります」(瀧本さん)
建てられた当時の建築基準法を上回る水準で建てられている団地は、建物のつくりが頑丈な点もメリット。
「一般的なマンションよりも柱や、特に梁が太くなっています。また、築年数が古い団地でも躯体のコンクリートが良好な状態を維持しているケースが多いです。多くの団地が頑丈に丁寧に建てられている点は安心です」(北田さん)
団地は1960~1970年代に多く建てられました。新築当時からの入居世帯は子世代が独立して団地を出て行ったり、高齢化によって徐々に居住者が減ったりしているケースが多くあります。ただし、リノベーションをした住戸に若い世代の入居が増えるなど、活性化している団地もあります。
「団地の階段は幅が狭く、人がすれ違うのがやっと。大型の家電や家具の搬入が階段からは難しいため、ベランダから入れることになり、別料金がかかることがあります」(北田さん)
10階建てや20階建てなどの高層の団地にはエレベーターがありますが、高度成長期時代に多く建てられた5階建ての団地には、ほぼエレベーターがありません。疲れて帰宅するときや、重たい荷物があるとき、子どもが小さくベビーカーでの移動が必要な場合などは階段の上り下りが負担になります。
エレベーターだけでなく、古い団地ではオートロックや宅配ボックスなどの共用設備や施設がないケースが多いため、豪華な共用設備・施設を望む人にとっては物足りないといえます。

マンションも団地も各住戸の所有者で建物全体を維持管理していきます。
良好な住環境が続くかは、管理組合が適正に活動しているかどうかが大切。
「古い団地では外部の管理会社に委託するのではなく、居住者や所有者で管理する自主管理を採用しているところがあります。建物や設備のことなど、専門的な知識が必要になりますから自主管理は大変。団地によっては、長く管理を担当されている方がいて自主管理がうまくまわっているところもありますが、団地の購入の際には確認しておいた方がいいポイントです」(北田さん)
そのほか、一般的なマンションの購入の場合と同様、長期修繕計画は立てられているか、大規模修繕のための修繕積立金は貯まっているかなど、不動産仲介会社に依頼して確認してもらうといいでしょう。
団地を購入して、リフォームやリノベーションをする予定なら管理規約の確認が必要です。管理規約によって、できない工事やプランの制約が決められているからです。
「床をフローリングに変更できない団地もあります。また、土曜日の工事が認められていないケースも要注意です」(瀧本さん)
1週間のうちに工事ができない曜日が多ければ工期が長くなり、今住んでいる住まいの家賃が余計にかかるなどコスト面でのデメリットがあります。
「似た外観の団地でもA棟ではフローリングにできたのに、B棟ではできない、ということもあります。建てられてから長い年月の間に行われたリフォームやリノベーションで、課題が出てくるたびにルールが整備されていき、細かなルールが決まっているところも多くあります」(瀧本さん)
購入を希望する住戸の棟の管理規約を確認することが重要です。
「古い団地は壁で建物を支える壁式構造が採用されていることが多く、その場合、取り外せない室内の壁があり自由な間取り変更ができません。また、構造上、浴室をユニットバスに変更することができなかったり、広い浴室にできなかったりするケースがあります。コンクリートの躯体に床材を張り付けた直床の場合は、排水の勾配がとれず水回りの移動ができないことも。天井も直天井になっていると照明器具を移動させるのに天井を下げる必要が出てくるなど制約があります」(北田さん)
ほかにも、給排水管を流れる水音の問題で階下の居室の上に浴室などの水回り設備を移動できない、床下の配管を通す都合上、浴室や洗面室の段差が必要でバリアフリーにできないなどの制約もあります。
管理規約でのルールだけでなく、建物の構造によるさまざまな制約もあるのが団地のリフォーム、リノベーション。工事を依頼するなら、団地のリフォーム、リノベーションのノウハウが豊富な会社を選ぶといいでしょう。

新築マンション、中古マンションの物件選びのポイントについて詳しく読む
「新築マンション購入の注意点 契約までと契約後にクリアしたい4つのこと」
さまざまな制約がある団地のリノベーションですが、物件選びやプランニングを丁寧にすることで、今のライフスタイルに合った住まいに変えることができます。ここでは、大満足の団地リノベーションの実例を紹介します。
※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。
緑豊かな環境にある築40年の中古物件を購入。「広い空間でゆったり暮らすこと」「デザインにこだわること」をテーマにリノベーションをしました。リビング・ダイニングは二間を一つにして大空間に。構造上、外せない壁はデザイン性の高い造作家具に生かしています。


[リノベーションの概要]
築年数:40年
間取り:[ Before ] 3LD・K → [ After ] 1LD・K
工期:55日
施工面積:90.39m2
費用:1140万円
エリア:神奈川県
設計・施工:JS Reform
25年前にリフォームしたきりの築48年の住まい。設備の老朽化やカビ、浴室の寒さなど住み心地に限界が来ていました。そこで老朽化による不便さの解消と、今のライフスタイルに合った具体的な提案を受けて住まいを一新。生活動線はそのままに設備や内装を変更。断熱性を高めて結露も防ぐ快適な住まいになりました。


[リノベーションの概要]
築年数:48年
間取り:[ Before ] 3DK → [ After ] 3DK
工期:71日間
施工面積:49.00m2
費用:790万円
エリア:大阪府
設計・施工:JS Reform
「夫婦で快適に過ごせるリビング・ダイニングと、それぞれが仕事や趣味に集中できる場所」がリノベーションへの希望。和室をリビングに取り込みワークスペースに。壁付キッチンを対面式にして一体感のある開放的なLDKが誕生しました。書斎として使う北側の洋室は断熱工事で快適に過ごせる空間になりました。


[リノベーションの概要]
築年数:35年
間取り:[ Before ] 3LD・K → [ After ] 2LDK
工期:58日
施工面積:73.69m2
費用:1202万円
エリア:東京都
設計・施工:JS Reform
細かく区切られた間取りや風通しの悪さが悩みだった物件を、大規模リフォームで間取りから一新。壁や扉を設けずに、家具や造作建具で緩やかに仕切る設計で、実際の面積以上の広がりが感じられる住まいに。仕切りには収納の役目も持たせて、限られたスペースを有効活用しています。


[リノベーションの概要]
築年数:50年
間取り:[ Before ] 3LDK → [ After ] 2LDK
工期:55日
施工面積:54.81m2
費用:1055万円
エリア:東京都
設計・施工:JS Reform
団地とマンションの違いやメリット、デメリット、購入してリノベーションする際の注意ポイントなどを把握したら、自分のライフスタイルに合う選択をしましょう。
団地とは一つの敷地に複数の棟が建っている集合住宅のこと
団地はゆとりのある敷地にあるため、採光や通風が期待できる点がメリット
価格やランニングコストが、同エリア・同規模のマンションに比べて割安
築古の団地に多い5階建てはエレベーターがない、リフォームに制約があるなどがデメリット
リフォーム、リノベーションに制約があるので管理規約などを早めに確認することが大切