[マンションVS一戸建て]選んで正解なのはどっち?価格・資産価値・住み心地を徹底比較!

最終更新日 2023年05月16日
[マンションVS一戸建て]選んで正解なのはどっち?価格・資産価値・住み心地を徹底比較!

「マイホームが欲しい!一戸建てもいいし、マンションも魅力的……いったいどっちを選んだらいいの?」悩めるあなたのために、一戸建てかマンションかを比べる上で考えておきたい項目を、住宅ジャーナリストの大森広司さんのアドバイスと一緒に紹介します。価格、資産価値、住み心地などあなたに向いているのはいったいどっちなのか、あらゆる角度からじっくり考えてみよう。

マンションVS一戸建て「物件価格や諸費用が安いのはどっち?」

一番気になるのはやはり「お金」。問題は、物件価格以外にもお金に関わる事柄がたくさんあること。物件価格が安くても、ランニングコストが莫大にかかる家なら、トータルコストであっという間に追い越してしまいかねない。どういう「お金」に気をつけておけばいいか、知っておこう。

物件価格が安いのはどっち?

中古住宅で比較した場合、練馬区では中古一戸建てに比べて中古マンションの物件数が多い。さらに、「2000万~3000万円未満」の場合は約1.8倍、「3000万~5000万円未満」になると約3.1倍、中古マンションの方が中古一戸建てより物件数が多くなる(下グラフ参照・練馬区の例)。

しかし、町田市の例のように、一戸建ての物件数が多いエリアでは、一戸建ての方が安い物件が多いこともあるのだ(下グラフ参照・町田市の例)。町田市の場合は、どの価格帯でも中古一戸建ての方が多い。特に3000万円未満のお手ごろ価格の物件が、中古マンションの約2倍そろっている。

中古マンションと中古一戸建ての価格帯別物件数の分布図(練馬区の例)
東京都練馬区 中古住宅の価格帯別物件数(SUUMO調べ※1)
(図作成/SUUMO編集部)
中古マンションと中古一戸建ての価格帯別物件数の分布図(町田市の例)
東京都町田市 中古住宅の価格帯別物件数(SUUMO調べ※1)
(図作成/SUUMO編集部)

エリアによって、マンションが主流で一戸建ての数が少ないエリアや、逆に一戸建てが主流のエリアもある。お手ごろ価格な物件が探しやすいかどうかは、エリアによってかなり違うため、希望するエリアの特徴を押さえておこう。

■マンションの平均価格(首都圏の場合)
種別 平均価格 平均専有面積
新築マンション 6055万円 61.09m2
中古マンション 3487万円 61.95m2
出典:株式会社東京カンテイ「マンションデータ白書2020」から抜粋
■一戸建ての平均価格(首都圏の場合)
種別 平均価格 平均建物面積
新築一戸建て 3997万円 98.9m2
中古一戸建て 3258万円 100.1m2
首都圏の場合は新築マンションの平均価格が突出して高額な一方、中古マンション、新築一戸建て、中古一戸建ての平均価格にあまり差はない。
出典:株式会社東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書2020(首都圏)」から抜粋

諸費用が安いのはどっち?

不動産の購入時にはさまざまな税金や手数料といったお金が必要になる。それらをまとめて「諸費用」と呼ぶが、それも「どんな物件をどう買うか」によって大きく違ってくる。
新築マンションではほとんどの場合、修繕積立金として数十万円が必要になり、新築一戸建てでは「水道負担金」といった支払いが求められる場合もある。
また、マンションも一戸建ても、中古物件は一般に仲介手数料がかかるため、新築より高くなるのが一般的(新築でも媒介業者がいる場合は仲介手数料が必要)。ローンの借り方によっても手数料に大きな差が出てくる。
合計金額の目安としては、新築マンションの場合は物件価格の3%~5%、新築一戸建て、中古住宅の場合は5%~10%、といわれている。

■種別による諸費用の違いと合計金額の目安
新築マンション 中古マンション 新築一戸建て 中古一戸建て
印紙税(各種契約書に貼る収入印紙代)
ローン借入費用(事務手数料、保証料など)
保険料(火災保険料、地震保険料など)
登記費用(登録免許税、司法書士報酬など)
仲介手数料
不動産取得税
固定資産税精算金
修繕積立基金
水道負担金
合計金額の目安(物件価格に対して) 3~5% 5~8% 6~10% 6~13%
※●は必要、△は必要な場合と不要な場合がある、-は不要

一般的には一戸建てがやや高めになるが、ローンの借り方によっても大きな差が出てくる。諸費用の額も物件価格と合わせて考えておこう。

結論!物件価格や諸費用が安いのはどっち?

●物件価格では・・・新築マンションが高く、それ以外はほぼ同じ
●諸費用では・・・新築マンションが安く、それ以外はほぼ同じ

「エリアにもよりますが一般的なファミリー向け物件の場合、床面積はマンションが70m2~80m2、一戸建ては90m2~100m2程度が中心なので、価格帯が同じなら一戸建てのほうが床面積当たりの価格は低めです。しかし資産価値の面で考えると、駅から近い物件が多いマンションのほうが値下がりしにくい傾向はあるでしょう」(大森さん)

マンションVS一戸建て「資産価値が高いのはどっち?」

「資産価値の高さ」は、「耐用年数」と「売りやすさ」で考えてみよう。
耐用年数については、税法上の評価基準では「木造一戸建ては22年、マンション(鉄筋コンクリート造等)は47年」となっている。不動産市場でも、築20年を超えた一戸建ては、土地だけの価格にしないと売りにくいこともあるようだ。しかし、実際には一戸建ての寿命は維持管理によっても大きく変わり、最近は寿命100年以上という「長期優良住宅」も登場。もちろん、土地の「利用価値」は何十年たっても残る。

一方の「売りやすさ」は、主に立地によって変わる。例えば人気の立地に立つマンションなら、当初の販売価格より値上がりする物件もある。いずれ売却する可能性があるなら、都心などへの交通アクセスの良い駅から徒歩7分以内で、管理の行き届いた物件を選んでおくとよいだろう。

「一戸建ても立地は重要ですが、駅から徒歩10分以内だとかなり価格が高くなるので、10~15分前後を目安に考えてみましょう。また、一戸建ての場合は、利便性だけでなく、周辺に一戸建てが多い落ち着いた街並みといった『環境』も資産価値に影響を与えます」(大森さん)

マンションと一戸建ての資産価値の推移
一戸建ては早めに下がり、マンションはゆっくりと下がっていく。
(「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」(国土交通省)を元に、SUUMO編集部が作成)

ランニングコストが安いのはどっち?

マイホームを維持運営するために、またそこで生活していくために必要なお金はどれくらい?一戸建てとマンションそれぞれで、どのようなお金がどれくらい必要になるのか、確認しておこう。

マイホームのランニングコスト
1)管理・メンテナンス費
2)税金(固定資産税)
3)光熱費
4)駐車場代

1)管理・メンテナンス費

マンションは毎月「管理費・修繕積立金」の支払いがあるため、長い目でみると高くなるケースが多い。例えば、「管理費」と「修繕積立金」を月2万円と仮定しても、50年間では1200万円にもなる。
ただし、一戸建ても、家を長持ちさせるためには定期的な点検や修繕が必要。屋根や外壁の修繕費用として数十万円~数百万円の費用が必要になる時期もある。またマンションも、長期的にみると壁紙の張り替えやガス給湯器の取り換えなど、管理費や修繕積立金以外のメンテナンス費は必要になる。
毎月必ず支払いがあるのがマンション、必要に応じて支払いが発生するのが一戸建て、だと考えておこう。

2)税金(固定資産税)

一戸建てとマンションで大きく違うのは、土地に対する税額。

マンションの場合、敷地面積を専有面積で按分したものが土地の区分所有になるので、土地に対する税額は低めになり、一般的には一戸建てのほうが高めになる。

一方、建物では「減価償却期間」の違いによって大きな差が生まれる。減価償却期間の長いマンションの方が、固定資産税が高い状態が長く続くことになる。

固定資産税の軽減措置の点では、軽減される期間が一戸建ては3または5年、マンションは5または7年。つまり、「土地に対しての税額は一戸建てが高め、建物に対してはマンションが高め、軽減措置はマンションが若干有利」ということになる。

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マンションと一戸建てのランニングコストの比較イメージ
(画像/PIXTA)

3)光熱費

平均床面積がコンパクトで、気密性・断熱性に優れているマンションの方が、一般的には光熱費は抑えやすいといえるだろう。ただし、部屋の位置やマンション全体の日当たりによっても冷暖房効率は大きく違ってくる。
また、マンション並みの高気密・高断熱の一戸建ても増え、さらに進化した「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」も登場。「ZEH」とは、断熱性・省エネ性能の大幅な向上に加え、太陽光発電などでエネルギーを「創る」ことにより、年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)の収支をゼロ、もしくはプラスにすることを目指した住宅のこと。「創エネ住宅」とも呼ばれる、この進化した一戸建てなら、光熱費はマンションよりも断然お得になるだろう。

4)駐車場代

毎月必要なコストの中でも、意外に大きいのが駐車場代。都心部などを除き、一戸建ては駐車スペース付きの物件が一般的。つまり、車を持っていても駐車場代はかからない。対するマンションは、毎月1万円~地域によっては2万円ほど、さらには駐輪場代も必要になる場合がある。毎月1万円としても1年で12万円、20年で240万円の差に。
住宅ローンの毎月返済額が1万円高くなるのと同じなので、車を所有する際は管理費・修繕積立金と一緒に駐車場代も資金計画に組み込んでおこう。

結論!お金の面で選んで正解なのはどっち?

●資産価値では・・・当初はマンションが有利だが、どちらも立地次第
●ランニングコストでは・・・管理費などの固定費が少ない一戸建てが有利

「エリアにもよりますが一般的なファミリー向け物件の場合、床面積はマンションが70m2~80m2、一戸建ては90m2~100m2程度が中心なので、価格帯が同じなら一戸建てのほうが床面積当たりの価格は低めです。しかし資産価値の面で考えると、駅から近い物件が多いマンションのほうが値下がりしにくい傾向はあるでしょう。
維持管理費は、月々の支払いがあるマンションのほうがコストが高く見えますが、一戸建ては屋根や外壁のメンテナンスを自分でしなければなりません。
固定資産税はマンションの方が負担が軽い場合が多いことも考えると、購入後のコストはどちらが得かは一概には言えません。
ただ、10年程度で売却したり人に貸したりする予定ならマンションのほうが適しているかとは思います」(大森さん)

お金の面では比較すべき項目がたくさんあり、どちらが得かは項目ごとに異なるうえ、エリアや物件による違いも大きい。自分が住みたい街、住みたい家ではどうなのかを調べてみよう。

「維持管理費は、月々の支払いがあるマンションのほうがコストが高く見えますが、一戸建ては屋根や外壁のメンテナンスを自分でしなければなりません。
固定資産税はマンションの方が負担が軽い場合が多いことも考えると、購入後のコストはどちらが得かは一概にはいえません。
ただ、10年程度で売却したり人に貸したりする予定ならマンションのほうが適しているかとは思います」(大森さん)

お金の面では比較すべき項目がたくさんあり、どちらが得かは項目ごとに異なるうえ、エリアや物件による違いも大きい。自分が住みたい街、住みたい家ではどうなのかを調べてみよう。

一戸建てかマンションか、コスパで悩む宇宙人一家

マンションVS一戸建て「住み心地がいいのはどっち?」

何事も、お金だけでは真価は判断できないもの。では、お金の次、もしくはお金以上に重要なものとは?それは住んでからの満足感=「住み心地の良さ」だろう。住み心地を左右するあれこれについて比較してみよう。

より広いのはどっち?

まずは、同じ予算で手に入る広さを比べてみよう。町田市の例では、3000万円未満の物件の場合、中古一戸建ては建物面積80m2以上の物件が主流で100m2以上も珍しくない。一方、中古マンションは60m2~70m2台の物件が多い。100m2以上の広さが欲しいと思っても、中古マンションではなかなか見つけられないのが実情だ。床面積だけを比べると、他の多くのエリアや新築物件でも「一戸建て>マンション」という傾向が見られる。ただ、一般的にマンションのほうが廊下や階段といったムダなスペースは少ない。床面積だけでなく、空間がうまく使えている間取りか、も、合わせて考えておこう。

中古マンションと中古一戸建ての物件の広さを比較(3000万円未満・町田市の場合)
3000万円未満の物件の場合でも、一戸建ては80m2以上が主流で、マンションは80m2未満が多くなる。
東京都町田市の中古住宅の建物面積(専有面積)分布(SUUMO調べ※2)
(図作成/SUUMO編集部)

風通しや日当たりがいいのはどっち?

一戸建ては窓を全方向につけられるので、風や日差しを取り込みやすい。住宅密集地でも、天窓や中庭などのプランニングの工夫で通風・採光を確保できる。ただ、隣家や道路が近いと、窓はつけられてもカーテンを開けられないことがある。
一方、マンションは窓の向きと数が限られるが、上階は前が抜けて明るく、南向き以外でも採光が取りやすい。また、中高層階マンションなら、窓からの見晴らしに恵まれていることが多く、開放感が得られる。

設備が充実しているのはどっち?

どちらの場合も、ほとんどの設備は標準仕様でなくても有料オプションでつけることができ、「何がついているか」で判断することは難しい。最近は、複層ガラスを使った高気密・高断熱の物件や、一戸建て用の宅配ボックスなど、マンションならではと思われていた設備や仕様が一戸建てでも見られるようになってきている。
ただし、マンションはスケールメリットが働いて、最新設備を安価で導入しやすい。ディスポーザーや24時間ゴミ出し、ゲストルームやライブラリー、無料インターネットなどの共用施設があるのはマンションだけといえるだろう。

一方、一戸建てならどんな設備も自分の判断でつけられる「自由」がある。庭を設備と考えると、ガーデニングやDIY、ゴルフやサッカーの練習、車やバイクの手入れにペットを飼うことだって可能。「マンションがいいけど庭も欲しい」人には、1階の庭付き住戸という選択肢も。

■主な人気設備
ディスポーザー 生ゴミを瞬時に粉砕しシンクに流せる。ゴミ捨ての手間が省ける
食器洗浄乾燥機 家事の手間と時間を大幅カット。節水・節電などの機能が向上中
浴室換気乾燥機 浴室の換気や暖房ができる。雨の日の洗濯物の乾燥にも便利
複層ガラス 2枚のガラスを重ね断熱性を高めた窓。外気の影響を受けにくい
床暖房 空気を汚さず足元から温まる。リビングに標準仕様が多い

地震やセキュリティ……安心して暮らせるのはどっち?

マンションも一戸建ても、新築であれば震度6強~7程度では倒壊しない強度の「耐震等級1」以上を保有している場合がほとんど。最近では、より頑丈な耐震等級3を採用する一戸建ても増えてきている。一方マンションでは、免震構造や制震構造を採用する物件があり、災害発生時のための備蓄倉庫や自家発電装置の導入なども進んでいる。

性能・設備面ではマンションがやや有利といったところ。一戸建ての場合は「すぐに公道に出られる=避難しやすい」安心感も見逃せない。

防犯性では、一戸建てでもホームセキュリティが普及してきているものの、マンションは二重、三重のセキュリティチェックが当たり前。建物のエントランスにオートロックを設け、居住者以外の出入りを厳しく制限。昼は管理員、夜は警備員による24時間有人管理も珍しくなく、駐車場、駐輪場、エレベーターなどにも防犯カメラが設けられている。コストについても、管理費で賄われるため、一戸当たりの負担は少ない。「鍵ひとつで安心して出掛けられる」のもマンションの利点といえるだろう。

侵入窃盗の場所別発生状況データ
一戸建ては、4階建て以上の中高層住宅に比べて4倍以上も多く侵入窃盗が発生している。
※「その他の住宅」…3階建て以下の共同住宅、テラスハウス等(出典:「警視庁ホームページ」侵入窃盗の場所別発生状況(警視庁生活安全総務課)を元にSUUMO編集部が加工)

騒音が気にならないのはどっち?

一戸建ては開口部が多いため、外部から音が入ってきやすく、隣戸と窓が向かい合っていると意外に声が漏れ伝わるもの。ただし、子どもが走り回っても「下階に迷惑をかけるのでは?」と気に病む必要はない。

一方のマンションは建物自体の防音性が高いため、窓を閉めると外の音はほぼ聞こえず、雨が降っていても気付かないほど。最近はコンクリートスラブやフローリングの遮音性能がアップし、上下階の防音性も高まっている。

結論!住み心地・快適さで選んで正解なのはどっち?

●広さでは…一戸建てが有利だが、マンションの方が廊下などのムダな面積は少ない
●風通しや日当たりでは…通風・採光は一戸建てが有利。眺望はマンションが有利
●設備では…マンションが有利だが、最近では一戸建ての設備もレベルアップ
●安全・安心は…一戸建ての耐震性も高くなっているが、特に防犯性でマンションが有利
●騒音は…上下階の音を気にせず暮らせる点で一戸建てが有利

「複層ガラスを採用しているマンションなら高い断熱性が期待できますが、最近は一戸建ても断熱性が高まっているので、必ずしも『夏暑く、冬寒い』わけではありません。

遮音性については、一戸建てなら子どもが走り回っても気になりませんが、マンションも一定の遮音性を確保している物件が多く、上の階の音に悩まされるケースは少なくなっているでしょう。とはいえ、すべての生活音を無くせるわけではなく、衝撃が伝わることもあるので、集合住宅住民としての思いやりやマナーは必要です。上下階の音が気になる方は、一戸建てを選んでおいたほうがいいかもしれません。

日当たり・通風について、周囲の建物に左右されやすい点は一戸建てもマンションの低層階も同じです。マンションの中高層階であれば、南向きでなくてもそれなりの採光は期待できるでしょう。

防犯・防災はマンションなら安心感が高めですが、高層階の場合はエレベーターが止まると生活に支障が出るリスクはあります。一戸建ても家具を固定するなどの地震対策や、水害の多い地域を避けるといった点に注意すればリスクを抑えられるでしょう」(大森さん)

住み心地を左右する条件はたくさんあり、求める条件はまさに百人百様。機能性を高めるにはコストもかかる。「自分が何を優先させたいか」を一度じっくり考えておこう。

「複層ガラスを採用しているマンションなら高い断熱性が期待できますが、最近は一戸建ても断熱性が高まっているので、必ずしも『夏暑く、冬寒い』わけではありません。

遮音性については、一戸建てなら子どもが走り回っても気になりませんが、マンションも一定の遮音性を確保している物件が多く、上の階の音に悩まされるケースは少なくなっているでしょう。とはいえ、すべての生活音を無くせるわけではなく、衝撃が伝わることもあるので、集合住宅住民としての思いやりやマナーは必要です。上下階の音が気になる方は、一戸建てを選んでおいたほうがいいかもしれません。

日当たり・通風について、周囲の建物に左右されやすい点は一戸建てもマンションの低層階も同じです。マンションの中高層階であれば、南向きでなくてもそれなりの採光は期待できるでしょう。

防犯・防災はマンションなら安心感が高めですが、高層階の場合はエレベーターが止まると生活に支障が出るリスクはあります。一戸建ても家具を固定するなどの地震対策や、水害の多い地域を避けるといった点に注意すればリスクを抑えられるでしょう」(大森さん)

住み心地を左右する条件はたくさんあり、求める条件はまさに百人百様。機能性を高めるにはコストもかかる。「自分が何を優先させたいか」を一度じっくり考えておこう。

マンションか一戸建てか、住み心地で悩む宇宙人一家

マンションVS一戸建て「いろいろ考えるとどっち?」

お金と住み心地以外にも、マンションと一戸建てにはさまざまな違いがある。例えば、自分たちにぴったりの物件に巡り合いやすいのはどっち?20年後の自分たちに合っている、合わせやすいのはどっち?どんな点が違って、どんな点がより優れているのか、考えておこう。

物件数が多くて探しやすいのはどっち?

「探しやすさ」を考えるときにまず大切になるのが、「選択肢が多いこと」。下のデータを見ると、マンションと一戸建てではマンションの方が約2.65倍供給量が多い(首都圏の場合)。つまり、マンションの方がたくさんの物件の中から、より自分に合ったものを選べる、ということになる。ただし、新築に限ると一戸建てがマンションに比べて約1.4倍多い。また、供給量の比率はエリアによってかなりの差があり、例えば郊外の住宅地などでは、当然一戸建ての供給量が多くなる。住みたい場所が決まっているなら、SUUMOのアプリでどちらが多いか調べてみるのも一手だ。

■首都圏で1年間に販売された物件数の比較
種別 物件数
新築マンション 36,535件(分譲戸数)
出典:株式会社東京カンテイ「マンションデータ白書 2020」(2021年)より抜粋
種別 物件数
中古マンション 181,750件(新規登録件数)
出典:(公社)東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」(2021年)より抜粋
種別 物件数
新築一戸建て 52,193件(分譲戸数)
中古一戸建て 30,096件(流通戸数)
首都圏では、一戸建てよりもマンションの方が約2.65倍たくさん供給されている。
出典:株式会社東京カンテイ「一戸建て住宅データ白書 2020(首都圏)」(2021年)より抜粋

利便性がいいのはどっち?

一般的には「利便性=駅からの距離」と考えられてきた。駅に近い場所にはマンション、少し離れた場所には一戸建てが建てられることが多いことから、その利便性についてはマンションが有利だといえるだろう。マンションの5割以上が駅から徒歩7分以内だが、一戸建ては駅徒歩15分以上が約4割と最も多く、バス便も珍しくない。「一戸建ての場合、駅から徒歩10分は近いほう。駅からの距離を重視するなら、マンションのほうが選択肢は豊富です」(大森さん)

首都圏のマンションは7割近くが駅徒歩7分以内
マンションと一戸建ての最寄り駅までの徒歩分数分布
マンションで最も多いのが「駅徒歩5分以内」、一戸建てで最も多いのが「駅徒歩15分超」になり、駅からの近さではマンションが圧倒的に有利といえる
※首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の新築住宅の最寄駅までの徒歩分数分布(SUUMO調べ※3)
(図作成/SUUMO編集部)

しかし、最近ではコロナ禍によって「利便性」に求める要素が変わってきているようだ。
「SUUMO 住みたい街ランキング2021 関東版※」の総合順位では、大宮は4位、浦和が8位にランクイン。「夫婦だけ」なら浦和は2位、大宮は3位に躍進するほか、「夫婦+子ども」のファミリーでも浦和と大宮は上位に。

コロナ禍で「住みたい街が変わった」と答えた人は全体の3割にも及び、それは埼玉の人が最も多くなっているのだそう。通勤しないのであれば、「駅が近い」という利便性はそれほど必要ではなく、「医療施設が充実している」「一回の外出で複数の用事を済ませられる」などといった利便性の方が重要度は高くなる。「自分にとって大切な利便性」は何か、を考えてみてもいいのかもしれない。

住みたい街ランキングについてもっと詳しく
SUUMO住みたい街ランキング

間取りは変えられる?マンションで出来ないリフォームとは?

マンションの場合、リフォームできるのは専有部分のみ。玄関ドアやサッシは共用部分になるので、自分で勝手に取り替えられない。一方、建物・土地がすべて自分の所有物である一戸建ては、リフォームも増築も自由自在。リフォームのしやすさでは圧倒的に一戸建てが有利だ。

ただし、いったんスケルトンにして大空間をつくるという大胆な間取り変更は一戸建てよりもマンションのほうがしやすいことが多い。どこまでリフォームできるか、購入前にぜひ確認しておこう。

階段のないフラットな空間で生活したい⇒マンションor戸建で平屋?

老後のためにもバリアフリーの空間で暮らしたい、となると、まず思い浮かぶのはマンションだろう。しかし、一戸建てでも平屋ならフラットな空間づくりは可能。ただし、広い土地が必要で、建築費も割高になる。フラットな空間にこだわるなら、やはりマンションが有利だといえるだろう。

結論まとめ!お金も住み心地もいろいろ考えると、最終的にどっち??

●探しやすさは… 首都圏ではマンションの方が供給量は多いが、エリアによる
●利便性は…駅からの距離に限ればマンションが有利
●リフォームのしやすさは…増築もできる一戸建てが有利
●バリアフリーの面では…マンションが有利だが、平屋の一戸建ても人気

「マンションが多い街はマンション暮らしの人が住みやすく、一戸建てが多い街は一戸建て暮らしの人が住みやすい、という傾向があります。まずは、自分が求める物件が多い街で探すのがよいでしょう。逆に自分が住みたい街にどちらの物件が多いかで判断する方法もありますよ」(大森さん)

最終的に大切なのは『自分が何にこだわりたいか?』。予算なのか、防犯性か、探しやすさか?また、永住するつもりなのか、いずれ引越す可能性があるのかによっても、こだわるべき点は違ってくる。「自分がどこでどんな暮らしをしたいか」をイメージして、それに合った物件を選んでみよう。

「マンションが多い街はマンション暮らしの人が住みやすく、一戸建てが多い街は一戸建て暮らしの人が住みやすい、という傾向があります。まずは、自分が求める物件が多い街で探すのがよいでしょう。逆に自分が住みたい街にどちらの物件が多いかで判断する方法もありますよ」(大森さん)

最終的に大切なのは『自分が何にこだわりたいか?』。予算なのか、防犯性か、探しやすさか?また、永住するつもりなのか、いずれ引越す可能性があるのかによっても、こだわるべき点は違ってくる。「自分がどこでどんな暮らしをしたいか」をイメージして、それに合った物件を選んでみよう。

一戸建てとマンションのどちらがいいか、宇宙人家族の対決イメージイラスト

うちはマンションと一戸建てどっちが向いている?ケーススタディで見てみよう

どんな人が向いている?一戸建てとマンション

自分たちがマンションと戸建のどちらに向いているか、まだ考えがまとまらない人は、こちらのチェックシートを使ってみよう。各項目に対する重要度は人それぞれなので、あくまでもひとつの目安としてご活用を!

A
□資産といえばやっぱり土地だと思う

□少しぐらい不便なところでも広い方がいい

□ご近所とのお付き合いも楽しみたい

□マイホームを買ったら一生そこに住み続けるつもり

□店舗が多くてにぎわっている街より、閑静な街が好き

□家が古くなったら建て替えも検討したい

□住まいのメンテナンスは自分でやりたい方だ

□将来、両親を引き取る可能性がある

□いつか大型犬を飼いたいと思っている

□子どもには思い切りのびのび育って欲しい

□楽器演奏が趣味。子どもにも習わせたい

□マイカーは絶対に持っていたい

□周囲の音が気になるほうだ

□地面が近くて四季を感じられる家がいい

□ガーデニングや庭いじりが好きだ

B
□ご近所付き合いは最小限に抑えたい

□展望台や絶景など、開放的な場所が好き

□鍵のかけ忘れが気になることが多い

□老後を考えると、フラットな家がいい

□家族が3人以下、もしくは子どもが中学生以上だ

□便利でにぎやかな街中で暮らしたい

□蚊や害虫が苦手

□同じぐらいの年代、家族構成の人と集まって仲良く暮らしたい

□家事や掃除の時間を短くしたい

□建物の管理や清掃は誰かがやってくれるとありがたいと思う

□地震や台風を気にせず生活したい

□ラウンジやキッズルームなどの共用施設に憧れる

□将来的に売却も考えられるから資産価値を重視したい

□駅から近いことが絶対条件

□クルマに乗らないので駐車場はいらない

Aの✔が多かったあなた→一戸建て志向が感じられます。
Bの✔が多かったあなた→マンション志向が感じられます
✔が散らばったあなた→「譲れないものがどちらに多いか」を考えてみましょう。

「私たちならどっちが向いていますか?」アドバイスしてもらいました!

「マンションと一戸建てのどちらを選ぶべきか?」考えているうちにわからなくなってしまう人でも、第三者から見ると案外簡単に判断できたりするもの。ここでは2つの家族の例をあげ、大森さんに「どちらが向いているか」アドバイスしてもらうことにした。考え方のヒントにできるかも?

プロフィール1
・夫(35歳)妻(33歳)、子どもは男の子が3人の5人家族。夫も妻も、将来的に転勤や引越しの予定も特にない。自然環境や自然素材に囲まれて暮らしたいと思っている。家族全員、屋外で体を動かしたり、DIYなど自分で何かをつくることが好き。

「自然に親しみたいなら、庭があってすぐ外に出られる一戸建てがオススメ。マンションでも、公園や緑が敷地内に豊富な大規模物件や1階の庭付き住戸なら、希望の暮らしができそうです」(大森さん)

プロフィール2
・夫(40歳)妻(40歳)、女の子1人の3人家族。学生時代から都心で暮らす2人は、すぐ近くに店がそろっている都会暮らしになじんでいる。平日は深夜帰宅も多いが、週末は山にいってのんびりしたいとも思う。定年後は実家に帰るかも??

「都心や駅からの近さではマンションが有利。階段のないマンションなら老後も安心でしょう。平日は都心のコンパクトなマンション、週末は郊外の一戸建てという2拠点居住という選択肢も」(大森さん)

一戸建てかマンションかで悩む2家族のイメージイラスト

マンションと一戸建てのどちらがいいかは、最終的にはもちろん「個人の好み」。ただ、それが「何となくこの家が気に入った」といった一瞬の感覚だけに流されていないか、あらゆる条件を並べて考えてみてから決断しても遅くない。「自分にとって一番大切な項目ではどっちなのか」は特にしっかり考えておこう。

まとめ

お金の面で気になるランニングコストは一戸建てが有利。資産価値では駅近マンションが有利

住み心地の面では、耐震性などの機能性は一般的にマンションが有利、採光・通風は一戸建てが有利

ほかにも利便性やリフォームのしやすさなど、「これから自分がどう暮らしていきたいか」を考えて選ぼう

<調査概要>
※1 2021年3月1日~3月31日掲載で建物面積(専有面積)60m2以上の東京都町田市、または東京都練馬区にあるスーモ登録物件の価格帯別物件数
※2 2021年3月1日~3月31日掲載で建物面積(専有面積)60m2以上の東京都町田市にある販売価格3000万円未満のスーモ登録物件の建物面積(専有面積)別物件数
※3 首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で2021年3月1日~3月31日掲載の建物面積(専有面積)60m2以上のスーモ登録物件の最寄駅までの徒歩分数分布

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取材・文/伊東美佳 イラスト/いぢちひろゆき
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