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マンションの部屋を選ぶときに、「一階だから」という理由でテラス付き物件を排除してはいませんか?そもそも、テラスは意味はどのようなものなのでしょうか。また、マンションの中でも、限られた戸数しかない貴重なテラス付き住戸の魅力や、実際にテラスがあればどんな暮らしができるかを、ハコリノベのチーフコーディネーター 小西昌子さんに教えていただきました。
よく似た印象を受ける名称ですが、一般的には以下のように分類されます。
●テラス
石やコンクリートブロックを敷いて地面よりも一段高くした屋外スペースのこと。屋根の有無は関係ないが、2階のベランダの床が屋根になっていることが多い。掃き出し窓や扉をはさんで室内と、庭があれば庭とつながり、屋内と屋外をつなぐ中間的スペースとなっている。傾斜地に建てられた階段状のマンションの場合は、1階以外にも存在することがある。
●ベランダ
住戸の外壁から外にせり出していて、ある程度の雨風をしのげる屋根や庇(ひさし)があるスペースのこと。一般的なマンションの屋外スペースの多くがベランダにあたる。
●バルコニー
屋根や庇(ひさし)がないベランダのこと。屋根がない分、ベランダよりも日当たりがよく開放感がある。形状により、「ルーフバルコニー」や、物干しや家事空間として利用される比較的小さい面積の「サービスバルコニー」などの種類がある。
●ルーフバルコニー
バルコニーのうち、下階の屋根(ルーフ)を床として利用したもの。最上階に、通常のベランダやバルコニーよりも広く造られることが多い。
ただし、ベランダもバルコニーも法的に定義された言葉ではありません。「ベランダよりもバルコニーの方がおしゃれなイメージがする」といった理由で、一般的にはベランダに当たるスペースをバルコニーと呼ぶ場合もあります。図面だけで判断せず、必ず現地で実際の形状を確認しておきましょう。

マンションの専用庭とは、その住戸の居住者だけが使える小さな庭のこと。主に1階住戸に付いています。使えるのはその部屋の居住者だけですが、基本的には共用部分になるので、管理規約で定められた使い方しかできません。管理費とは別に専用庭使用料がかかる場合がほとんどです。
その専用庭と室内との間の、上階のベランダの床が屋根になるあたりに、石やタイルやブロックを敷いて、庭より一段高くしたスペースがテラスになります。
マンションの専用庭についてもっと詳しく
→マンションの1階のメリットとデメリットは?専用庭を活用しておしゃれに!

テラス付き住戸の一番の特長は、「庭とつながっていること」。また、リビングやダイニングの窓から出入りできるようになっている場合が多く、窓を開ければ、部屋の床がそのまま延長したような広がりと開放感が得られます。テラスは上階ベランダの床が屋根となっている場合が多く、多少の雨や強い日差しも防げます。一般的な住戸であれば、ベランダでザバザバと水を使って掃除やガーデニングはできませんが、下階のないテラス付き住戸ならそれが可能。ベランダよりももっと自由でのびのびとした暮らし方が可能です。ほかにも、たとえばこのようなことができます。
・土いじり、お砂場遊びなど、「庭のある暮らし」ができる
・外気や日差しを浴びながら、お茶や軽食が楽しめる
・本格的なガーデニングや家庭菜園ができる
・水撒きやプール遊びも、思う存分楽しめる
・ペットの軽い運動ができる(※ペット可のマンションの場合)
・大きめの収納を置いて、室内の空間を広く使うことができる
・真上からの日差しを受けながら、ふとんや洗濯物を干せる
・大規模修繕の際に、テラスに置いているものを庭で保管できる
「『ちょっと外に出る』ことで得られる開放感は思った以上に大きい……コロナ禍の際にそう気づかれた方も多いのではないでしょうか。人は、地面に近い方が落ち着きを感じられるものですし、小さな子どもさんには、家庭で安全に『土遊び』ができることで情操教育上も利点があるはず。親にとっては、子どもの足音などで余計なストレスを感じずに暮らせるというメリットも大きいでしょう。規約次第ですが、テラスにペットを出すこともできます。1階限定でマンションを探される、子どもやペットのいるご家族は多いですよ」(小西さん)

テラスと専用庭の使い方は各マンションの規約によって定められているため、禁止事項も物件ごとに異なります。よくある禁止事項にはたとえばこのようなものがあります。
・もともとの形状を変える
・BBQや喫煙で煙・ニオイを発生させる
・大人数や大声で歓談する
・裸になる
など。
「庭があればBBQができる!」と思い込んで購入し、入居後に「実はできない」ことが分かってがっかりすることもあります。契約前に規約をしっかり確認しておきましょう。
「ガーデニングができるといっても低木や草花に限定され、大きな木を植えることはできない、といったケースがほとんど。基本的に『もともとの形状を変える』ことは禁止されているので、マンションの外観イメージを変えるような大きな木を植えたり、簡単に取り外せないコンクリートのテラスを増設したりといったことはできないでしょう。規約内容はマンションによってかなり異なります。事前にしっかり確認しておくことが大切です」(小西さん)
アクティブで充実した毎日が送れそうなテラス付きマンション。自分たちの暮らし方に合うかどうか判断するためにも、メリットとデメリットのどちらも押さえておきましょう。
基本的には1階住戸になるテラス付きマンション。1階だからこそのメリットや、テラスや庭があることによるメリットがたくさん。上で述べた「できること」のほかにもこのようなものがあります。
「室内の専有面積以外に、自分たちだけで使える大きな屋外空間が得られる、という点が一番のメリットといえるでしょう。テラスから、専用ガレージや門扉にそのままつながるようなマンションもあり、その場合はより一戸建て感覚の暮らしが可能です。また、テラス付きマンションは数が限定されるので、それだけ希少価値もあります」(小西さん)

メリットがあればもちろんデメリットもあります。入居後に慌てないために、テラス付き住戸のデメリットについてもしっかり検証しておきましょう。
公道や隣戸に面している場合は、通行人や隣人の視線が届く可能性があります。道路との間に植栽や塀で対策されている場合が多いので、実際の見え方を確認しておきましょう。
地面があれば当然雑草が生えてきます。ガーデニングをしなくても、草むしり等の作業は必要になるでしょう。また、数百円程度の少額である場合がほとんどですが、管理費のほかにも毎月「専用庭使用料」が発生します。
外部からの侵入しやすさという点では、中高層階より不利だと言えるでしょう。しかし、それだけに防犯カメラ等のセキュリティ設備が十分に用意されている場合が多く、人目があることで侵入の機会が減るということもあります。
よほど周囲が開けた立地でない限り、1階なので基本的には眺望は期待できません。また、建物が隣接している場合は、庭があっても日当たりがそれほど得られない場合もあります。
地面や植栽に近い分、蚊や蟻、クモや害虫が侵入しやすくなります。どうしても虫の侵入を避けたい場合は中高層階を選んでおく方が無難かもしれません。
マンションが浸水・冠水すると、停電や断水、豪雨によるトイレの逆流などの被害を受ける可能性があります。自治体が公表している洪水ハザードマップや過去の水害記録を確認しておきましょう。
などが考えられます。これらのデメリットが、自分たちの快適な暮らしにどの程度影響するか、考えておきたいですね。
「道路を歩いている人や、隣や上階の人の人目が気になることはあると思います。また、隣も同じようなテラス付き住戸の場合は、そちらからの視線や、コミュニケーションをどの程度取るか、といった問題もあります。ただ、庭があればそれだけ道路から距離ができるので、室内が丸見えになる可能性は低くなるはずです」(小西さん)

メリット・デメリットを知った上で「テラス付き住戸に住みたい!」となったときには、どんな点に気を付けて物件を選べばいいでしょうか?
「庭もテラスも『広ければ広いほどいい』と思う人がいるかもしれませんが、広くなるほど手入れが大変になりますし、専用庭の使用料も高くなります。庭やテラスでできることはたくさんあり、そういったことが好きで使いこなせる人にはとても魅力的な物件。しかし、苦手な人にとっては億劫なこと。手つかずのまま放置されているケースも見られます。庭もテラスも『手がかかる場所』ではあるのです。
『自分はこのスペースをどのように活用したいか』を考えて、そのために必要な広さと、やりたいことができる規約かどうかをしっかり確認するようにしましょう」(小西さん)

流通量が少ないだけに、実際に暮らしている方の話を聞くことも少ないのがテラス付き住戸。「どんな間取りをどんな風に使って暮らしているのか」について、ハコリノベでリフォームした事例をご紹介します。
大型犬2匹と暮らすKさんが、「愛犬にやさしい住まい」を探して見つけたのが、自然豊かな環境に建つテラス付きマンション。リビングの前に明るいテラスが広がる間取りが気に入り、リフォーム前提で購入されました。愛犬たちが安全に自由に走り回れるように、空間全体をゆるく仕切る間取りに変え、メインの床材は滑りにくい塗装で仕上げて、床暖房も再設置。1階だから、愛犬たちが走り回っても足音を気にする必要はありません。リビングのワイドサッシを開けると、気軽に出られるテラスと、一段上がった先には緑がいっぱいの庭が広がり、愛犬といっしょにのびのびと心地よい暮らしを満喫されています。

この実例をもっと詳しく
→愛犬がのびのび過ごせるプラン+小物たちが映えるこだわりの空間
桜並木が眺められる広い専用庭があるのに、庭への出入りはキッチンや和室からしかできず、毎日の暮らしには採り入れにくい間取りでした。そこで、リビングを庭側に移すことをハコリノベが提案。専用庭を望む窓側にモルタル左官仕上げの土間のようなインナーバルコニーも用意し、リビングから屋外へと緑がつながる、開放感いっぱいの住まいを誕生させました。以前から室内で観葉植物を育てるのが趣味だったというNさんは、水をこぼしても平気なインナーバルコニーや広い庭で、緑豊かな日々を楽しんでおられます。

この実例をもっと詳しく
→庭を望む約19畳のLDKが中心。こだわりの素材で創った流行り廃りのないデザイン空間
空間の広がりにこだわるIさんが購入したのは、3LDKのテラス付きマンション。リビングの天井材を取り払ったところ2900mmという想像以上の高さがあったため、木製ルーバーで仕上げて奥行きを見せ、開放感を演出。ワイドサッシから、明るいテラスと庭の空間も取り入れることで、ゆったりとした広がりを感じさせる空間を手に入れられました。

この実例をもっと詳しく
→木製ルーバー、鉄板扉造作キッチン。異素材がクロスオーバーするカフェのような空間
「限定で」探す人も多いほど、魅力にあふれたテラス付きマンション。上手に使いこなして、マンションライフをワンランクアップさせてみませんか?
テラスは屋内と屋外をつなぐ空間。上階のベランダの床が屋根になっていることが多い。
自分たちだけで使える屋外空間が加わることが一番のメリット
専用庭へとそのままつながることが多いので、一般的なベランダよりも広々と使える
専用庭と合わせてガーデニングやプールなど、「何ができるか」はそのマンションの規約次第