マンションの不動産取得税はいくら?計算方法やかからないケース、軽減措置を解説

公開日 2024年02月29日
マンションの不動産取得税はいくら?計算方法やかからないケース、軽減措置を解説

マンションなどの不動産を取得すると、不動産取得税が課税されます。不動産とは土地や建物など動かすことのできない財産。山林や畑、事業用の土地、工場、店舗なども不動産です。この記事では、個人が所有したり売買したりする住宅用のマンションの不動産取得税について解説。税額の計算方法や税金がかからないケース、軽減措置などを知っておくことで、マンション購入の際の資金計画にも役立ちます。

不動産取得税とは何?かからないのはどんなケース?

不動産取得税とは?どんなときに課税されるの?

不動産取得税とは、不動産を取得した際に、一度だけかかる税金のこと。その不動産の所在地の都道府県に納める地方税です。戸建てやマンションなどの住宅を新築、購入したときだけでなく、買い替えや建て替え、増改築のほか、交換や贈与で不動産を手に入れた場合も不動産取得税の課税対象になります。

なお、不動産取得税は取得した際に「一度だけかかる」税金ですが、「一度だけ」というのは一生に一度、というわけではありません。取得の都度、不動産取得税の対象になります。例えば、2軒目の家を購入した場合、取得した人は2度目の不動産取得税がかかることになります。

住宅は土地と建物それぞれに課税される

マンションや戸建てを取得した場合、不動産取得税は建物と土地、それぞれに対して課税されます。下の図のように戸建ては「建物」と「土地」のそれぞれの取得者に課税。例えば、親が所有している土地に子どもが家を建てた場合は、子どもが取得した不動産は「建物」のみですから、建物に対する不動産取得税が課税されることになります。

では、マンションの場合はどうでしょう?マンションは一つの建物を複数の人で所有します。そのため、課税される対象が戸建よりも複雑。マンションの場合、建物に対する課税は、建物全体に対する専有面積の割合をもとに按分して課税されます。そのため、同じマンション内で専有面積が同じ住戸なら、税額も同じになるのが一般的です。

ただし、2018年4月1日以降に課税が開始された高さ60mを超える一定の新築タワーマンションの場合、建物の階数等による差異が課税標準額に反映され、同じ床面積でも上層階の住戸が高めになる傾向があります(課税標準額が1200万円を超える住戸の場合)。

土地は敷地全体を専有面積の割合で按分した敷地権の持ち分に応じて課税されます。

戸建てとマンションの不動産取得税はどこにかかるかを説明するイラスト
(イラスト/杉崎アチャ)

不動産取得税がかからないのはどんなケース?

不動産取得税がかからない非課税枠がある

不動産取得税には非課税枠が設けられているため、課税されないケースがあります。また、後述しますが、非課税枠以外にも軽減措置によって不動産取得税の税額がゼロになる場合もあります。ここでは、居住用のマンションの取得の際に関わりそうな非課税枠について紹介しましょう。

相続でマンションを取得した場合は非課税

不動産を相続で取得した場合、不動産取得税は非課税になります。

ただし、遺言書で財産内容と受贈者が指定される特定遺贈があった場合、受贈者が法定相続人(亡くなった人の配偶者や子ども、孫など)以外であれば非課税にはなりません。また、贈与も非課税にはなりません。ですから、相続対策として生前贈与を行い相続時精算課税制度を利用しても、不動産取得税の課税対象になります。

不動産取得税の計算方法と軽減措置は?

不動産取得税の本則の計算式

不動産取得税の税率は原則4%。計算式は以下のようになります。

・不動産取得税の本則の計算式

土地の税額 土地の課税標準額×4%
建物の税額 建物の課税標準額×4%

「課税標準額」とは税率を乗じる直前の金額のことで、原則として評価額のことです。評価額とは、購入したときの価格(時価)ではなく、原則として固定資産課税台帳に登録された価格=固定資産税評価額と呼ばれる公的な価格のこと。評価額は売買での価格よりも低いのが一般的。土地は時価の7割程度、建物は5~6割程度が目安といわれます。なお法律上、軽減措置(特別控除)により評価額から減額された価格も課税標準額と呼び、総務省・都道府県のホームページの不動産取得税に関する解説などではこの文言を利用することもありますが、取引の現場では、評価額をもとに軽減措置の適用や税額の計算について記載・説明されることが多いため、ここでは評価額をもとに説明することにします。

軽減措置で税率が低くなる

土地と住宅に対する不動産取得税の税率は、本則の4%から3%に引き下げられています。また、宅地や宅地と同じ扱いの土地(宅地評価土地)では評価額は2分の1に軽減されます。

・不動産取得税の軽減措置

宅地評価土地の税額 土地の評価額×1/2×3%
住宅の税額 建物の評価額×3%

この軽減措置は2024年3月31日の取得までが適用ですが、2023年12月に公表された「2024年度税制改正大綱」では、不動産取得税に係る軽減措置(税率4%から3%への軽減、土地の評価額の2分の1に軽減)は、2027年3月31日までの取得に適用が延長される内容が盛り込まれています。

一定の要件を満たすと受けられる建物と土地の軽減措置

マンションの建物に関する軽減措置

建物は評価額から一定額が控除されます。不動産取得税は評価額に税率をかけたものが税額ですから、控除後の金額が小さくなるほど税額は下がるということ。いくら控除されるかは新築された日に応じて下の表のように決められています。

建物の評価額からの控除額(新築、1982年以降に建築の中古、耐震基準適合既存住宅の場合)
新築日 控除額
1997年4月1日以降 1200万円
1989年4月1日~1997年3月31日 1000万円
1985年7月1日~1989年3月31日 450万円
1981年7月1日~1985年6月30日 420万円
1976年1月1日~1981年6月30日 350万円
1973年1月1日~1975年12月31日 230万円
1964年1月1日~1972年12月31日 150万円
1954年7月1日~1963年12月31日 100万円

この軽減措置を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 床面積50m2以上240m2以下
  • 新築マンションの場合、マイホームのほかセカンドハウスも含む
  • 中古マンションの場合、
    ①個人が自己の住居用に取得したもので、かつ
    ②1982年1月1日以降に建築された建物。または、新耐震基準に適合していることが証明された建物(住宅の取得日前2年以内に調査が終了していること)

専有面積50m2未満でも軽減措置が受けられることがある

建物の軽減措置を受けるために必要な「床面積50m2以上240m2以下」という要件。この床面積の定義には注意が必要です。まず、不動産取得税に係る床面積は、登記上の面積とは異なります。マンションの場合、共用廊下やエントランスなどの共用部分を住戸の専有面積で按分し、専有部分に加算した「課税床面積」という面積が基準になります。つまり、登記上の床面積が50m2未満のマンションでも、床面積50m2以上の要件を満たす可能性があります。逆に、登記上の床面積が240m2以下でも、課税床面積は240m2を超えてしまい軽減措置の対象外になることもあります。また、事務所兼用として企画されたSOHOマンションは基本的に居住部分のみの床面積で要件を満たしているかどうかを判定し、軽減措置の適用が可能ならばその部分のみに適用することになります。

新築の長期優良住宅は控除額が増える

新築の建物の場合、「認定長期優良住宅」に認定されると、新築の控除額1200万円が1300万円にアップします。この軽減措置は2024年3月31日の取得までが適用ですが、「2024年度税制改正大綱」では、2026年3月31日までの取得に適用が延長される内容が盛り込まれています。

マンションの土地に関する軽減措置

建物に関する軽減措置が受けられるマンションの場合、土地についても軽減措置が受けられるのが一般的です。不動産取得税の軽減措置は以下の(1)と(2)のいずれか高い金額が税額から軽減されます。

(1)4万5000円
(2)土地1m2あたりの評価額×住宅の床面積の2倍(上限200m2)×住宅の持分×不動産取得税の税率

マンションの不動産取得税の軽減措置について話す夫婦のイラスト
(イラスト/杉崎アチャ)

シミュレーションで不動産取得税を計算

新築マンションの建物と土地の不動産取得税のケーススタディ

不動産取得税には要件を満たすことで適用される軽減措置があります。軽減措置を受けられるマンションのケースで、建物と土地の税額がそれぞれいくらになるかを試算してみます。

【マンションの条件】
・新築マンション
専有面積70m2
土地面積60m2
取得日 2024年2月1日
建物評価額 1600万円
土地評価額 1200万円

【建物の不動産取得税】
建物の評価額から控除額1200万円をマイナス
1600万円―1200万円=400万円
  ▼
軽減後の金額に不動産取得税の税率をかける
400万円×3%=12万円
  ▼
建物の不動産取得税は12万円

【土地の不動産取得税】
軽減措置を適用する前の税額を出す
1200万円×1/2×3%=18万円
  ▼
土地に対する軽減措置は(1)と(2)のいずれか高い金額を18万円からマイナス
(1)4万5000円
(2)(1200万円÷ 60m2 ×1/2)×(70m2×2) ×3%=42万円
  ▼
(2)の金額の方が高いので
18万円―42万円=―24万円
  ▼
0円未満のため、結果として土地の不動産取得税は0円

建物と土地の不動産取得税額を合計して、税額は12万円になります。

不動産取得税の目安を事前に知るには?

不動産取得税は不動産の購入価格ではなく、評価額(固定資産税評価額)と税率から算出されます。つまり正確な評価額がわからなければ税額はいくらになるのかわかりません。中古マンションの場合は、売主に毎年送付されていた固定資産税の納付書に固定資産税評価額が記載されていますから、不動産仲介会社の担当者に評価額を確認してもらうといいでしょう。新築マンションの場合、課税を行う都道府県が物件の調査を進めて評価額を算定しますが、竣工直後では評価額が算定済みとは限りません。物件の販売会社がおおよその税額の目安を出していることが多いので、モデルルームなどで担当者に尋ねてみるのがおすすめです。

納税方法や軽減措置を受けるための手続きは?

不動産を取得したら申告を行うのが原則

マンションなどの不動産を取得したら、原則としてその不動産を管轄する都道府県税事務所に不動産取得税申告書を提出します。申告の期限などは都道府県によって異なり、例えば、東京都の場合は不動産を取得した日から30日以内、大阪府は20日以内、愛知県は60日以内と自治体によって幅がありますから注意しましょう。

申告後、6カ月程度で不動産取得税の納税通知書が送られてきます。

なお、不動産取得税の申告期限内にその不動産の登記を行った場合は、都道府県税事務所への申告は原則不要になるのが一般的。住宅ローンを借りてマンションを購入した場合は、売買契約や住宅ローン契約と同時に、所有権の保存登記も行うため、不動産取得税申告書の提出をしなくても、納税通知書は送られてきます。

マンションの不動産取得税の軽減措置の手続きは?

不動産取得税の軽減手続きはどのように行えばいいのでしょうか。

東京都の場合は、新築マンションを取得し、軽減措置が受けられる場合は、不動産取得税申告書を提出する際に、「全部登記事項証明書」「平面図」「長期優良住宅認定通知書」などの必要書類を揃えて申告を行います。

中古マンションの場合は、不動産取得税申告書の他に住民票を提出。取得したマンションが1981年以前に新築された物件の場合は、「耐震基準適合証明書」「建設住宅性能評価書」「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類」のいずれかの提出が必要になります。

軽減措置の適用の結果、税額がなければ軽減措置の手続きは終了となり納税通知書は送付されません。税額がある場合は税額が軽減された納税通知書が送付されます。

なお、自治体によっては不動産取得税の申告や登記をした後、軽減措置の申告をしなくても税額が軽減された納付書が送られてくることがあります。対応は自治体によって異なるため、管轄の税事務所か、その地域の事情を知っているマンションの販売会社や不動産仲介会社に確認するといいでしょう。

不動産取得税はコンビニでも納税できる

不動産取得税は送られてきた納税通知書に記載されている期限までに納税をします。納税方法はさまざまで、東京都の場合は、金融機関窓口だけでなくクレジットカードやスマホの決済アプリ、コンビニエンスストアでの納付などが可能。納付方法によっては納付できる税額に上限があるなど条件がありますから、納税が必要な場合は事前に確認しておきましょう。

東京都の場合の不動産取得税の納付方法一覧

不動産取得税は、住宅用の不動産を取得する場合なら軽減措置によって軽減されたり、税額がゼロになったりすることが多い税金です。住宅用のマンションを購入するなら、軽減措置の対象になるのかを確認しておきましょう。

まとめ

土地や建物などを取得した場合に課税されるのが不動産取得税

それぞれの不動産に対して、取得時に一度だけ課税される

要件を満たすことで、税額が軽減される

不動産取得税の申告や軽減措置の手続きは、都道府県によって詳細が異なる

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文/田方みき イラスト/杉崎アチャ
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