分譲マンションの管理費とは?「相場」は?修繕積立金との違いも徹底解説

最終更新日 2025年10月15日

分譲マンションの管理費とは?「相場」は?修繕積立金との違いも徹底解説

分譲マンションを購入する際、つい見過ごしがちなのが、住んでからの管理費や修繕積立金。毎月必ずかかってくる管理費などの諸費用は、ローンの返済とともに月々の固定支出となるため、マンションの購入予算を考えるタイミングでしっかり検討しておくべきお金です。この記事では、分譲マンションの管理費の用途や相場を確認し、自分に合ったマネープランの立て方を解説します。

管理費とは?修繕積立金との違いは?

マンションを購入すると、住宅ローンの返済以外に毎月「管理費・修繕積立金」がかかります。マンションの管理会社である大京アステージに、その違いについて聞いてみました。
「管理費と修繕積立金は、その使用目的が大きく異なるため、原則的に「管理費」と「修繕積立金」は分けて経理処理しなければなりません」(大京アステージ担当者)

管理費

管理費とは、マンションの共用部分の日々の維持・管理のために使うお金です。
代表的なのは、マンションの日常的な清掃などを担う管理員の人件費です。ほかに、共用部分で使う掃除用具、電球やトイレットペーパーのような備品や消耗品費、照明器具や消防設備の故障など日常で発生する修繕の費用、防犯カメラやAEDを設置している場合はそのレンタル料など多岐にわたります。

「管理費」の主な使い道

  • 管理員人件費
  • 公租公課
  • 共用設備の保守維持費および運転費(共用部の水道光熱費含む)
  • 共用部分などに係る火災保険料、地震保険料その他損害保険料
  • 経常的な補修費
  • 管理組合の運営に要する費用
エレベーターの定期点検イメージ
エレベーターの定期点検費用や電気代、共用部分の水道光熱費なども管理費で賄われる(画像提供/PIXTA)

修繕積立金

修繕積立金とは、数年に一度のマンションの大規模な修繕に備えるお金です。このお金は、日々発生する小規模な修繕に対応するものではなく、マンションのエントランスや外壁、廊下などの「共用部分」の経年劣化や不具合に対する修繕に使います。長期的な修繕計画に基づいて蓄えておき、必要に応じて使っていきます。また、住む人のニーズや資産価値の向上を図る共用部分のリフォームにも対応します。例えば、エントランスにスロープを設けるバリアフリーリフォームや、耐震工事などです。

「修繕積立金」の主な使い道

  • 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
  • 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
  • 敷地および共用部分などの変更(共用部のリフォームなど)
防水塗装や外壁の補修イメージ
防水塗装や外壁の補修などを行う大規模修繕は一般的に12年周期が理想的といわれる(画像提供/PIXTA)

管理準備金、修繕積立基金

そのほかに、新築マンションの購入時に初回だけ発生する費用として、「管理準備金」や「修繕積立基金」があります。「管理準備金は、初回の管理費を集める前でもスムーズに管理を開始するためのお金で、清掃用具の購入や火災保険料など、管理組合として一時的に必要となる多額の支出に対応するための資金となります。一般的に、1戸当たり数万円程度です。
また、修繕積立基金は、マンションの購入者が引き渡しまでに数十万円程度のまとまった金額を一括で支払います。築5年以内など、修繕積立金がある程度貯まる前に発生する修繕に対応する原資とするため、管理組合発足時に相当額を有するよう蓄えておく必要があるのです。修繕積立金に充当され、将来の適正な修繕積立金を確保する意味もあります」(大京アステージ担当者)

管理費の相場とは?管理費の金額は何によって変わるの?

管理費の平均相場は230.1円/m2

国土交通省が発表した「令和5年度マンション総合調査結果」によると、分譲マンションの管理費の全体の平均は230.1円/m2(駐車場などの使用料や専用使用料からの充当額を含む、以下同)。ファミリータイプの70m2の住戸のケースで算出すると、月額1万6107円です。では、管理費の多寡は何によって決まるのでしょうか。
「通常のマンションは、購入する住戸の専有面積に応じて管理費などの負担額が変わってきます。使用頻度は勘案しません」(大京アステージ担当者)
つまり、2階に住んでいてエレベーターをあまり使わない人も、30階に住んでいて頻繁にエレベーターを使う人も、管理費の負担分には影響がないということ。同じマンション内での管理費の違いは、住戸の広さで負担が決まるということになります。

大規模マンションの管理費相場は必ずしも割安とは限らない

管理費は、マンションごとに異なります。各家庭のライフスタイルによって家計がさまざまなように、管理費もマンションで提供されるサービス内容や付帯設備の内容、グレードにより異なります。
「管理員やコンシェルジュ、警備員などの有人サービスを手厚くすると管理費が大きく影響を受けやすい傾向にあります。また、管理員人件費やメンテナンス代などのさまざまな費用を『何世帯で負担するのか』に目を向けると、同一のサービスや同額の施設維持費の場合、戸数按分で管理費が安くなることが考えられます。しかし、共用施設の充実度や管理サービスの内容によっては、必ずしも大規模マンションの管理費が割安になるとは限りません」(大京アステージ担当者)

令和5年度の調査結果をマンションの規模別に見ると、総戸数20戸以下のマンションの管理費の平均は244.1円/m2、総戸数501戸以上では257.4円/m2となっています。これにより、大規模マンションではスケールメリットが働く場合もある一方で、充実した共用施設やサービスの影響で管理費が高くなるケースもあることがわかります。

マンションイメージ
マンションの管理費は規模とも関連がある(画像提供/PIXTA)

大規模ながら、タワーマンションは管理費が高い

大規模マンションの管理費は割安傾向と紹介しましたが、タワーマンションの管理費だけは高い傾向にあるので注意が必要です。調査結果では、20階以上のタワーマンションの管理費の平均は338.5円/m2で、70m2の住戸なら月額2万3695円ということになります。同じ広さでマンション全体の平均額と比較すると、月々7500円以上もの差があります。

「タワーマンションは、スカイラウンジやフィットネスジムなどの豪華な共用施設や、コンシェルジュや夜間警備員などの有人サービスが充実しています。また、居住者が外側を拭き掃除できないFIX窓を専門業者が屋上からゴンドラを使用して清掃するケースが多いことも特徴的です。さらにタワーマンションは駅近で利便性の高いエリアであることが多く、近隣相場と合わせて駐車場代などが高額になりやすい傾向があります。敷地面積も限られているため平地式よりも機械式駐車場の比率が高く、メンテナンス代がかさむケースが多いことから、一般的な物件よりも駐車場などの使用料を含む管理費などが高額になりやすい場合があります」(大京アステージ担当者)

●マンションのタイプから見る月々の管理費
m2単価 70m2換算の毎月管理費
全体平均 230.1円 1万6107円
規模別 30戸以下 239.8円~244.1円 1万6786円~1万7087円
31戸以上100戸 213.2円~235.3円 1万4924円~1万6471円
101戸以上500戸 208.1円~226.7円 1万4567円~1万5869円
501戸以上 257.4円 1万8018円
形態別 20階以上 338.5円 2万3695円
※出典:「令和5年度マンション総合調査結果」(国土交通省)の「管理費総収入」より抜粋、使用料(駐車場使用料など)・専用使用料からの充当額を含む※70m2換算は編集部試算

管理費や修繕積立金は、安いほどいいの?

暮らしやすいマンション環境の維持には管理費は不可欠

よく、“マンションは管理を買え”といわれます。これは、管理状態が良いマンションを買いましょうということです。
管理状態が良好なマンションは、

  • 行き届いた清掃による「清潔さ」
  • 優れた防犯性や定期的な設備等のメンテナンスによる「安心感」
  • 居住者の暮らしに寄り添った管理スタッフの「ホスピタリティ」などを兼ね備えている
  • 将来、賃貸や売却する際にも良い影響を与えるため、資産価値の維持・向上にもつながる

などの点で、快適な生活を送ることができます。

管理費は、このような良好な住環境や資産価値を維持するために使われる不可欠な費用です。
「建物設備やお客さま(居住者)のニーズは物件ごとに異なるため、管理会社は既存のサービスのレベルを維持・向上させるだけでなく、住む皆さまの要望に耳を傾けることでそれぞれに最適なサービスをご提案できるように努めています」(大京アステージ担当者)

管理費は費用対効果のチェックが重要

毎月支払うマンションの管理費は、安ければ安いほど良いのでしょうか?お財布事情としては、毎月の支出が少ないのはありがたい話です。しかし、マンションの管理費は提供されるサービスに比例するので、単に安さを求めるのではなく、「自分が求めるサービス内容と対価となる管理費がマッチしているか」という観点でチェックするのが良いでしょう。ハード面では共用施設、ソフト面ではサービスの量や質、その内容です。例えば、管理費が高くなっても24時間有人管理やコンシェルジュサービスに価値を置く人もいるでしょうし、管理員は、週に3回程度巡回する程度で十分だから管理費は抑えたい、という人もいるでしょう。また、マンションにジムが付いている場合、利用しない人にとっては管理費を押し上げるコストになりますが、わざわざ会費を支払ってジムと契約している人にとっては、会費だけでなく往復の時間も節約できるうれしい共用施設となります。何が無駄となり、何に価値を置くかは人それぞれなので、自分がマンションにどんなサービスを求め、何にお金をかけたいか、しっかり吟味してマンション選びをすることが大切です。
なお、豪華な共用施設、とりわけプールや滝や水盤といった水を使ったものや、ホテルライクな人的サービスは管理費を押し上げがちなので頭に入れておきましょう。

管理費・修繕積立金までイメージしてマンション購入予算を検討しよう

毎月のローン返済のほかに管理費・修繕積立金がかかることも忘れずに!

管理費や修繕積立金は、マンション購入後に発生するお金ですが、購入予算を考える段階で資金計画に織り込んでおくことが重要です。
「マンションを購入する際、管理費や修繕積立金の金額を気にしないで買う人も多くいます。けれども、管理費などを失念していたり、賃貸暮らしのときと同程度の返済額なら大丈夫だろうと甘い見通しを立てていたり、目いっぱいの返済計画で購入予算を立てると危険です。実際に、購入後1年くらい経ってから家計運営が厳しいと相談にいらっしゃるケースもあります」(ファイナンシャルプランナー・竹下さくらさん、以下「竹下さん」)
家賃は支払っている実績がある金額だから、同額でローン返済すれば安心と思ってしまう方もいるかもしれません。しかし、マンションを購入すると、ローンの返済に加えて月々2万~3万円程度かかる管理費や修繕積立金、ほかにも毎年税金がかかります。家賃相当額をベースにマンションの購入予算を考えるなら、家賃から管理費・修繕積立金の2万~3万円を引いた額が毎月の支払可能額と思ってください。

マンション購入予算イメージ
マンションの購入予算は、月々の住宅ローン返済額だけでなく管理費・修繕積立金も規模も考慮しよう(画像提供/PIXTA)

管理費・修繕積立金は将来値上がりすることも

管理費や修繕積立金は、将来値上がりする可能性があることも想定しておく必要があります。
「管理費は、管理組合の年間総支出によって決まるため、従来と同じ収支状況であれば基本的に管理費は変わりません。しかし、長く住んでいれば、経年による補修費の増加、保険事故の増加に伴う保険料の上昇、最低賃金の上昇による人件費の増額、消費税の増税など、経年劣化や社会情勢の変化によって管理費の改定が必要となる場合があります」(大京アステージ担当者)。住人の高齢化とともに自動車を手放す方が増えれば、駐車料収入の減少分を管理費の増額によってバランスを調整するケースもあります。
また、修繕積立金は、当初の積立金を抑え、5年程度ごとに段階的に増額する「段階増額積立方式」を採用しているマンションが多いことから、将来値上がりするものだという認識も大切です。「マンションを購入して10年ほど経つと、修繕積立金の改定の話が出てきて、住宅ローン減税の恩恵が終了するため、急に家計負担が重くなりがちです。ちょうどその頃、教育費のピークを迎える家庭も多く、余裕のない購入計画は危険性が高まります」(竹下さん)

マンションの価格やローン借入額に比べると、管理費や修繕積立金は小さい金額と思いがちですが、“家を買ったら毎月2万~3万円くらい住居費が増えても頑張れる気がする!”というのは、おおむね気のせいです。管理費や修繕積立金は、ローンの完済後も住み続ける限り続く必要なお金ですから、老後も支払い可能な金額なのかも含めて確認し、無理のない購入計画を立てましょう。

まとめ

小規模マンションの管理費は高くなる傾向があるものの、大規模マンションの管理費が必ずしも割安とは限らない

ただし、タワーマンションの管理費は高めなので注意して管理費はマンションのサービスや共用施設の量や質に比例する

自分が求めるサービスと管理費のバランスが良いマンションを選ぼう管理費・修繕積立金は、マンションは購入後ずっとかかるお金。マンション購入予算は、毎月の返済と管理費・修繕積立金の支払いが無理なくできる範囲で考えよう

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