マンション購入はデメリットだらけって本当?メリットや後悔しない対策を解説

公開日 2024年08月06日
マンション購入はデメリットだらけって本当?メリットや後悔しない対策を解説

「マンションはデメリットだらけ」といわれることがありますが、本当なのかな?と気になっていませんか。確かにマンションは、一戸建てと比較すると、人によってはデメリットと感じる部分があるかもしれません。しかしメリットや注意点をきちんと理解すれば、快適なマンションライフを送ることができるでしょう。

本記事では、マンションがデメリットだらけといわれるのはなぜなのか、それは本当なのかをさくら事務所の土屋輝之さんに伺い解説します。マンションを購入するメリットや、後悔しない物件選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

「マンション購入はデメリットだらけ」って本当? そういわれる理由は?

「マンションは購入するとデメリットだらけ」といわれるときに、よく挙げられる理由を紹介します。

管理費・修繕積立金などの維持費がかかる

マンションのデメリットとして真っ先に挙げられるのが、所有している限り管理費や修繕積立金などの維持費がかかり続けることです。

国土交通省が令和5年度(2023年度)に実施した「マンション総合調査」によると、月々の管理費負担の平均は1万7103円、修繕積立金の平均は1万3378円。住宅ローンを完済しても、毎月約3万円を維持費として支払い続けなければなりません。(出典:国交省マンション総合調査 管理費負担平均

しかもそれらは購入時点で、すでに複数回の値上げが計画されていることも多く、また物価の高騰で値上げが実施されることもあります。そのため「老後も払い続けることができるのか」と不安に感じる人も少なくないようです。

管理費・修繕積立金の値上がりのイメージ
マンションの管理費や修繕積立金は、値上がりが計画されていることも多い(画像/PIXTA)

「確かにマンションでは管理費を強制的に徴収されます。しかしそのおかげで、自分たちの手を煩わせることなく、掃除がおこなわれ設備などがメンテナンスされた建物で暮らせます。

修繕積立金にしても、管理組合や理事会が確実に機能していれば自分で考えずとも計画通りに修繕がなされていきます。一戸建てであれば、それらはすべて自分たちで管理・計画しなければなりません。そして物価の上昇にともない修繕費が高くなるのは、一戸建てでも同じです。

そう考えれば、管理費・修繕積立金がかかることは、住居の管理やメンテナンスに時間を割けない人にとってはメリットになり得ると思います」(土屋さん/以下同)

管理規約により生活を制限されることがある

集合住宅であるマンションでは、管理規約を守って暮らす必要があります。マンションによっては「楽器の演奏は禁止」「ベランダでの喫煙禁止」など生活を制限されるケースがあり、そのことをデメリットと感じる人もいるようです。

「管理規約で制限されることは、必ずしもデメリットとはいえません。例えば騒音やタバコのにおいなどが気になる人にとっては、管理規約できちんと制限が設けられていることは逆にメリットになり得ます。

それは、管理規約は区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)とあわせ、『守るべきもの』とされているためです。規約を守らない人に対しては、管理組合の理事長から『規約を守ってください』といってもらえますし、場合によっては退去を求めることもできるでしょう。

管理規約があるからこそ、秩序が守られた環境で安心して暮らせる、と考えてはいかがでしょうか」

理事会に参加する必要がある

マンションの所有者は管理組合を構成して、自分たちのマンションを管理します。そして管理組合は代表となる人(理事)を選出して理事会を結成し、マンションの維持・管理にかかわる業務を執りおこないます。

理事は輪番制となっているケースも多く、「理事会に参加するのが面倒」「理事になりたくない」と感じる人もいるようです。

「マンションでは建物や設備を含め、どうやって維持管理していくかは自分一人で決められません。そのため積極的に理事会といった場に参加して、意見をいえる機会があるのはよいことだと思います。

しかしどうしてもそれが嫌だと思うのであれば、マンションの管理自体を外部に委託している『外部管理者方式(第三者管理)』を採用しているマンションを選ぶ方法もあります。ただし外部管理者方式のマンションは、それに応じたコストがかかる点は理解しておきましょう」

駐車場代が別途かかる

車を所有している場合、一戸建てでは自分の敷地内に駐車できるのに、マンションだと別途費用が必要になることをデメリットと感じる人もいます。

「一戸建てで敷地内に駐車スペースを設けるためには、それだけの土地を確保する取得コストが必要です。また将来車を手放したとしても、駐車スペースに対する固定資産税や都市計画税がかかり続けます。

マンションがある同じエリア内で一戸建てを建てる場合、それだけの敷地面積を確保する必要があることを考えると『一戸建てなら駐車場代がいらないから安く済む』とは一概にいえないと思います」

マンションの駐車場
車を所有している場合は、管理費・修繕費以外に駐車場代もかかる(画像/PIXTA)

リフォームやリノベーションの自由度が低い

マンションは、構造や管理規約によってリフォームやリノベーションの内容に制限が設けられている場合があります。例えば水まわりの移動が禁じられていたり、好みの床材を使用できないケースがあったりして、不満を持つ人もいます。

「確かに床スラブの上に直接床材を張ったような構造のマンションだと、水まわりリフォームの制限が大きいケースがあります。どのような制限があるのかは、あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。

ただし近年は、柱や梁(はり)、床などの構造体であるスケルトンと、間取りや設備、内装などのインフィルを明確に分け、ある程度自由に変更できるマンションが主流です。一戸建ても構造によっては、抜けない柱や壁があり希望の間取りにできないこともあります」

高層階は災害時の避難に不安がある

近年人気のタワーマンションなどでは、災害が発生して電気が止まったときに避難が大変になることをデメリットと感じる人も多いようです。

「確かに高層階に住んでいると、エレベーターを使わずに避難するのは大変です。しかし実際のところ、地震が発生したときなどに避難所に避難するのは、圧倒的に一戸建ての人が多いのです。それは、マンションは地震に強い建物であるため『在宅避難』が原則だからです。

マンションは鉄筋コンクリート造であるため木造の一戸建てと比べると構造が丈夫で、火災リスクも低めです。そのため普段から災害に備えて水や食料を備蓄する『自助』を心掛けていれば、過度に心配する必要はないと思います」

ダンボールに保管された非常食
「在宅避難」が基本のマンションでは、入念に備えているケースが多い(画像/PIXTA)

騒音に気を遣う

マンションは上下左右、斜め階に他人が暮らしているため、騒音に気を遣うことをデメリットとして挙げる人もいます。とくに小さな子どもがいる場合、のびのびと暮らしにくいのでは、と感じることが多いようです。

「近年、人々の近隣に対する許容度が下がってきているように感じています。そのため騒音に気を遣うのは、マンションに限ったことではなく、一戸建てであっても同じではないでしょうか。

このような問題は、互いの顔が分かっていれば緩和されることもあります。そのため近隣の住人と、普段から適切にコミュニケーションを取ることが大切だと思います」

マンション購入で得られるメリットは?

一見デメリットのように思えることでも、考え方次第ではメリットになり得ることが分かりました。またマンションには、マンションだからこそ得られるメリットもあるので紹介します。

同じ予算なら利便性が高い場所に住みやすい

家を購入するときに、通勤や通学の利便性を重視する人は多いでしょう。マンションは駅前など利便性が高い場所に建てられていることが多く、なかには駅に直結している物件もあることがメリットです。

「もちろん駅前に一戸建てを建てることも、土地さえあれば可能です。しかしそういった利便性のよい場所は土地代が高く、一戸建てを購入しようとすると高額になったり、もしくは狭い家しか建てられなかったりしがちです。

そのため同じ予算であれば、マンションを選んだほうが、利便性がよい場所に住める可能性が高くなります」

セキュリティー面で安心できる

マンションはエントランスがオートロックになっていたり、各所に防犯カメラが備えられていたり、セキュリティー性が高い傾向があります。なかには24時間管理人や警備員が常駐している物件も少なくありません。

「もちろん一戸建てであっても、コストをかけさえすればいくらでもセキュリティー性を高められます。マンションでは、月々の管理費を払うだけで、自分で特別なことをしなくても、一定レベルのセキュリティーを確保できることがメリットだと思います」

マンションの監視カメラの画像
マンションは月々の管理費を払うことで、一定レベルのセキュリティーを確保しやすい(画像/PIXTA)

耐久性が高い

マンションは鉄筋コンクリート造であるため、木造が主流の一戸建てと比較すると、耐久性と耐震性が高いこともメリットとして挙げられます。

「マンションは一定程度の手入れをきちんとおこなっていれば、理論上は80年から100年程度住むことができます。近年は木造住宅の耐久性も高くなってはいますが、鉄筋コンクリート造と比較すると、耐震性・耐久性はどうしても劣る傾向があると思います」

メンテナンスの手間が少ない

マンションは、管理組合が策定する大規模修繕計画に沿って修繕積立金が積み立てられ、計画的にメンテナンスがおこなわれます。

また「今年はお金がないから来年にしよう」とずるずると先送りにしてしまい、気がついたらひどく劣化していた!といった事態も避けられます。

共用施設やサービスを利用できる

マンションには、24時間いつでもゴミを出せるゴミステーションや宅配ボックスなど、便利な共用施設がある物件が増えてきました。なかには、住人が自由に利用できるジムやキッズルーム、ゲストルームなどを提供している物件もあります。

ただし共用施設やサービスが充実しているマンションは、それだけ価格に反映される傾向がある点は理解しておきましょう。

マンションの宅配ボックス
マンションでは、自分で用意せずともさまざまな共用施設を利用できる(画像/PIXTA)

マンション選びで後悔しない! 購入時のポイントと注意点は?

マンション選びで後悔しないために、購入するときのポイントや注意点を伺いました。

新築・中古共通

これから長く住むことを想定しているのであれば、近隣エリアが発達していくのか、将来どのような開発が計画されているのかなど、将来的な環境の変化を確認しておくと安心です。

「将来の開発計画は、不動産会社が調べて重要事項説明書などで説明する義務があります。しかしもっとも確実なのは、マンションがある自治体の役所に自分で直接問い合わせることです。

例えば計画道路などは、計画はあるけれども実現性が不透明なケースは決して少なくありません。その実現性や具体性などは、ご自身である程度動いて調べる必要があるでしょう」

窓口で対応している様子
マンションがあるエリアの開発計画については、役所で話を聞くのが確実(画像/PIXTA)

新築マンションの場合

管理費・修繕積立金の初期設定が適切か確認する

新築マンションでは、管理費や修繕積立金の初期設定を低くしているケースがあります。そういった物件は、最初はよくても、やがて値上げされたときに負担が重くなり生活に影響を与えかねないため注意が必要です。

近隣の相場と比較して明らかに低いと感じる場合は、今後どのような計画になっているかについて、書類をチェックしたり直接不動産会社に確認したりするとよいでしょう。

省エネ性能をチェックする

2024年4月から、建物の販売・賃貸時に省エネルギー性能を表示しなければならないとする「省エネ性能表示制度(建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度)」が始まりました。

マンションの省エネ性能は、住み始めてからの光熱費に直結します。購入に際しては、省エネ性能ラベルをチェックして、どの程度の省エネ性能を有しているのか確認するとよいでしょう。

中古マンションの場合

大規模修繕の実施状況と修繕積立金の残高などを確認する

マンションは「管理を買え」といわれるほど、管理状況が重要です。適切に管理・メンテナンスがなされていれば建物は長持ちし、快適に暮らせるため、大規模修繕の実施状況や修繕積立金の残高などは必ず確認しておきましょう。

「中古マンションのよいところは、どのような人が住み、管理組合をどのように運営しているのかが購入検討時に分かることです。マンションによっては、よい入居者を集めようと、管理状況を積極的に開示しているところもあります。

またご自身で判断できない方は、『マンション管理インスペクション』という、マンションの管理状況について専門家のチェックを受けるサービスもあります」

リノベ済みマンションは内容を確認する

「近年『リノベーション済み』として売り出されるマンションが増えています。自身でリノベーションする手間と時間が不要になることから人気ですが、リノベーションの内容はよく確認が必要です。

築年数によっては、内装がどれだけ新しくなっていても、もともとの給排水管や電気ケーブルなどが交換されていなければ、あとで問題が発生する可能性があるためです。

リノベーション済み物件の購入を検討するときには、壁や天井、床などで隠れてしまっている部分について、どのような改修がおこなわれたのかを確認しておくと安心です」

どのような人が住んでいるかできる範囲で確認する

中古マンションのよいところは、すでにコミュニティーができあがっており、どのような人が住んでいるかをある程度あらかじめ把握できることです。「騒音に気を付けてください」「ゴミ出しのルールはちゃんと守りましょう」など、掲示板にルールを守らない住人の存在が伺えるような張り紙がないか、確認するとよいでしょう。実際に自転車置き場やゴミステーションの様子を見にいくのもおすすめです。

「近年、個人情報保護法が厳しくなり、実際にどのような人が住んでいるのか、属性などを不動産会社が教えてくれることはなくなりました。しかし自分たちでできる範囲で、どんな人が住んでいるかを調べることは、入居後のトラブルを防ぐためにはもちろんセキュリティーの意味でも重要だと思います」

マンションの掲示板
マンションの掲示板を見ると、トラブルの有無などを把握しやすい(画像/PIXTA)

「マンションはデメリットだらけ」が自分にもあてはまるのかを考えよう!

最後にあらためて土屋さんに、マンション購入を検討している人に向けてのアドバイスを伺いました。

「一般的にマンションのデメリットといわれることは、実は人によってはメリットであることも少なくありません。またリフォームの自由度や騒音の問題など、マンションに限らず一戸建てでも同じといえることもあります。よく聞くデメリットが、ご自身にとっても本当にデメリットなのか、よく考えてみるとよいでしょう。

なお近年は令和4年4月に開始した『管理計画認定制度(国交省)』や『マンション管理適正評価制度(マンション管理業協会)』と呼ばれるマンションの管理計画や管理組合の運営状態などを、自治体が認定したり、協会が星マークの数で示す制度ができています。今後はどのように管理されているマンションなのかは、より可視化されていくでしょう」

まとめ

マンションでよくいわれるデメリットは、人によってはメリットになり得る

耐久性の高さやセキュリティーの充実度など、マンションならではのメリットも多い

新築マンションも中古マンションも、管理内容や修繕計画についてはよく確認しておく

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