マンションの収納が足りない!を解消するアイデアと収納術

公開日 2023年09月29日
マンションの収納が足りない!を解消するアイデアと収納術

マンションのようなコンパクトな収納スペースでも、ものが整理された気持ちのいい空間を工夫次第で実現することは可能です。「マンションの収納が足りないから部屋が片付かない……」というお悩みを解消する収納術や、気持ちのいい空間をキープする収納のアイデアなどについて、今回は整理収納アドバイザーの西口理恵子さんに教えていただきました。

マンションの収納は本当に足りない?

マンションの収納率

住まいの床面積の内、収納面積が占める割合を示す“収納率”でみると、マンションの収納率は8%~10%、一戸建ては13%程度が一般的と言われています。一戸建てとの比較で考えると、マンションの方が収納スペースは少ない傾向があるといえそうです。

「昨今、マンションは1戸当たりの床面積のコンパクト化が進んでいることもあり、収納率が7%を切るプランも少なくありません。例えば70m2の住戸で、収納率7%であれば収納面積は4.9m2となります。

収納スペースが少なくても、整理収納の基本を押さえておけば、工夫次第でより快適に暮らすことは可能ですが、人が暮らすために必要なものの量を考えると、収納率10~12%程度を確保しておくのが安心です。3~5%の足りない部分については、本棚などの収納家具を購入し、補完することが望ましいでしょう」(西口さん、以下同)

収納がたくさんあるというのはうれしい反面、収納のせいで人が暮らすスペースが狭くなってしまうのも考えものです。そもそも、住戸の広さがコンパクトなのであれば、収納計画を効率よく立てて、より快適に暮らすための床面積の配分を考えたいもの。“収納が足りない”と感じていたら、自分の暮らしに本当に必要な収納はどのくらいなのか、考えるチャンスかもしれません。

マンション収納のカギは適正量と定位置

「ものの適正量定位置を決めることで必ず部屋は片付きます」と西口さん。

今のマンションの収納が足りないと感じているのであれば、まずは適正量と定位置を決めることからはじめるのが正解です。

適正量は必ずしも「必要な量」や「はいる量」でなくてもOK

まず、収納量の考え方には 「必要な量」、「持ちたい量」、「はいる量」の3パターンがあり、適正量とはその3つのパターンから自分が選んだ量のことです。無理にものを減らすのではなく、持ちたい量が自分にとっての適正量であれば、入る場所を確保する方法を考えればOK。まずは自分で適正量を決めるというのがポイントになります。

そしてまず、適正量を決めるためには、片付ける場所のものを全て出し、種類別に分けて何をいくつ持っているのかを明確にすることも不可欠です。

定位置は細かく決める

適正量が決まれば、次に考えるのは定位置です。「片付けとは元の位置に戻すこと」なので、ものの定位置を細かく決めることで、片付く家にすることができます。

「定位置を細かく決めるには、区切ることが大事です。大きな空間をそのまま使うのではなく、棚板やラック、収納ケースなどを上手く使えば、ものの定位置を決めやすくなります」

マンションのキッチン収納術の記事で適正量と定位置についてもっと詳しく
マンションのキッチン収納術 狭くても効率よく収納するポイントは?実例も紹介!

マンションの収納は量よりも適材適所で考えるのが大事

適正量と定位置が片づけの肝になるということからわかるように、収納の「足りない」を解決する上で大事なのは適正量を使いやすくしまえる場所を確保できるかという点です。

住まいの収納が足りないと感じている場合、物の量に対して、住まいの収納量が足りていないということもありますが、そのほかにも、収納スペースの使い方に問題がある場合も少なくありません。

「既存の収納を使う場合も、家具を購入する場合も、サイズは気にしていても、使い方をあまりイメージできていないことが多いものです。収納プランを立てる時にまず大事なのは、使う人の動作や動線です。

使う場所に使うものを置くのは大前提であることに加え、動線が長いか短いかで、使い勝手が全く違ってきます。物の量やサイズだけで収納場所を決めるのではなく、使用頻度なども考慮して収納のプランを立てるようにしましょう。また、どのような収納にするかは“したい暮らし”に合わせて考えるものなので、どんな暮らしがしたいのかをイメージし、具体的に紙に書き出してみることも大事です

暮らし方に合わせた収納のイメージ
暮らし方に合わせた収納が片付く家のポイント(イラスト/KAZMOIS)

整理収納は一気に進めない

適材適所に収納するというルールを理解して収納プランを立ててみても、その内面倒になったり、忙しさのせいにしたりして、結局気持ちのいい暮らしをキープできないという人も多いのではないでしょうか。

ルール作りだけをしても、片付けられない、続けられないということは、前述した収納のカギとなる「適正量」と「定位置」を実はきちんと決めきれていないということがあるかもしれません。

そこで大事になるのは、整理収納は一気に進めようとはせず、まずは1日1収納、短い時間に区切って家を整えていくことだと西口さんは言います。

タイマーなどをセットして、時間を区切ることで、集中力はアップし、作業もはかどります。短い時間であれば思いの外あっという間に過ぎるので、無理なく続けられるというのもポイントです。

ものの数をきちんと把握して定位置を決め、住まいの収納が整えば、あとは短時間の片づけで必ずリセットできる家になるそうです。

まずは無理せずコツコツと、時間はかかっても整理収納の土台をきちんと整えることが、片付く家への近道になります。

リビングの収納術

既存の収納スペースを使うにしても、収納家具を買い足すにしても、上手な収納の使いこなし方は知っておきたいものですよね。部屋ごとに片づけのアイデアや収納のコツを教えてもらいました。

家族構成やライフスタイルにもよりますが、リビングで必要になるものといえば書類や文具などの小物類です。しかし、一般的なファミリータイプのマンションの場合、リビングの近くの廊下や洋室には収納スペースがあっても、リビング自体に小物などをしまえるような収納スペースが設けられている間取りはあまり見かけません。

使うものを使う場所に収納するというのは大原則なので、リビングに近い場所であっても、廊下の物入れなどに、リビングで使うものを入れるというのはあまりオススメできません。

リビングと引き戸でつながる部屋にクローゼットがある場合も、クローゼットの奥行きは60cm程度のものが多いので、小物や書類を収納するには奥行きが深すぎる上、使う場所から3歩以上離れると、元の位置に戻さなくなるという弊害が出てくるので、やはりリビングで使うものはリビングに収納できるよう、収納家具などを設置して、リビングに収納スペースを確保するのがいいでしょう。書類や小物類であれば、壁面に奥行30cm程度の棚を設置すれば、十分収納できます。

収納するものがたくさんあるのであれば、天井いっぱいまでの高さの棚を設けるのもいいですが、頭よりも高い位置の収納は使いにくく、圧迫感もあり、費用もかかります。そのような棚を設置するのであれば、高い位置には年に1回使うなど、使用頻度の低いものをしまい、1カ月に1回以上使うものなどは、目の高さから腰の高さまでのゴールデンゾーンにしまえるよう、プランニングするのがいいでしょう。

また、棚を設置する場合は、一部扉付きのものもいいですが、扉のない、ものを飾るためのスペースを確保するのもオススメです」

ゴールデンゾーンのイメージ
目の高さから腰の高さまでは収納のゴールデンゾーン(イラスト/KAZMOIS)

廊下の収納術

廊下に半畳サイズ程度の物入れがあるマンションの間取りをよく見かけますが、奥行きが深く、何を収納すれば上手く活用できるのか、悩む人も多いのではないでしょうか。

「収納の奥行の基準寸法としては、30cm、45cm、60cmなどがあり、小物などを収納する場合は30cm程度の浅めの収納が使いやすいサイズです。一方、45cm~60cmの奥行であれば、季節の家電やスーツケースなど、大きなものもしまえるサイズになります。

廊下などに設けられている物入れは、奥行き80cm~90cmのサイズのものが多いので、奥行45cm程度のスチールラックなどを物入れの中に設置すると、ラックの手前に身体を一歩入れて使用することができるので、使い勝手が良くなります。また、棚を入れることで棚板分、物を置ける面積が増やせるので、収納量も増やすことができます。

また、床を使わずに収納力を増やすには、壁を上手く使うのが効果的です。ラックの手前の左右の壁の部分には有孔ボードを設置し、フックなどでものを掛けられるようにするのもオススメです」

有孔ボードを壁に取り付けた廊下収納
有孔ボードとフックなどを組み合わせると、物を掛けて収納することができ便利(写真提供/HANA(「カシータ垂水駅前」モデルルーム))

なお、廊下は通る回数は多いものの、その場で作業などをすることはない場所です。使用頻度が高くよく使うものではなく、使用頻度が低いものを入れておく場所として活用するのに適している収納だといいます。

「廊下収納には、クリスマスツリーなどの季節の装飾品や家電、スーツケースなどをしまうほかに、収集日まで置き場所に困る段ボールなどの資源ごみの定位置にするのもいいでしょう。また、手紙や写真、絵など、時々見返すこともあるけれど、頻度高く手にとることはないようなものを家族それぞれの“思い出ボックス”を作って、廊下収納にまとめてしまうというのもいいですね」

キッチンの収納術

マンションのキッチンは一戸建てよりもコンパクトで、パントリーなどもないものが一般的です。最近は吊戸棚のない開放感のあるカウンターキッチンが人気ですが、通常のファミリータイプのマンションのキッチンであれば、3~4人家族の必要量は十分に収納できるようになっています。

それに加え、背面に使いやすい食器棚を選べば、収納力を補うことも可能です。

「カウンターキッチンの場合は、背面に置く食器棚の選び方で収納力も変わってきます。

例えば、キッチン背面の食器棚は上下の収納が分かれていて、電子レンジなどの家電を置きやすいセパレートタイプのものを選ぶことも多いと思いますが、最近は下の収納部分の高さが以前よりも10~15cm程高いものも見かけるようになりました。高さが85cmか100cmかでは引き出し1段分の差があるので、収納力は随分変わります」

また、キッチンは特に作業の動作や動線に合わせて“ものの定位置”を決めることで、格段に使いやすくなります。

鍋やフライパンはコンロの下、使用頻度の高い食器は食洗機から体の向きを変えるだけでしまえる位置、重たいホットプレートなどはキッチンカウンターや食器棚の下の浅い引き出しなど、使い方をイメージして、収納プランを立てるのが片付くキッチンにするポイントです。

キッチンの背面収納のイメージ
動作や動線に合わせた場所に収納することで、使いやすも片づけやすさもぐんと変わる(イラスト/KAZMOIS)

洗面所の収納術

洗面所の収納と言えば、洗面台の引き出しやシンク下、鏡裏の収納。そして、備え付けのリネン庫など。収納スペースはあまり確保されていないにもかかわらず、洗面用品、洗濯まわりのもの、タオル、家族人数分のお風呂上りに着る服など、洗面所は収納したいものが沢山あり、散らかりがちな場所です。

「洗面所はそもそも収納スペースが足りないということもありますが、要らない物が蓄積されやすい場所でもあります。頂きものの固形石鹸や、ホテルでもらったアメニティなど、ほとんど使わないのにため込んでいるものが収納スペースを占領していることがあるので、まずは使わないものは思い切って処分しましょう。

使用頻度が低くても、必要なものであれば頭の上の方に収納するのもいいでしょう。毎日使うものは、目の高さより低い場所にしまうと使いやすくなります

ものを減らして、収納位置を工夫しても、物が片付かないという場合は収納量を増やす工夫が必要になりますが、その場合は隙間を上手く活用するのがオススメです。

「洗面台と洗濯機の間や、扉の後ろなど、10cmでもいいので隙間があれば、収納スペースを設けることは可能です。

また、洗面台の下のスペースも、排水管などが邪魔でものを収納しにくいイメージがあると思いますが、奥行きが45cm~50cmあることも多い空間なので、上手く活用すれば収納量をかなり増やすことができます。

排水管をよけて空間を仕切ることができるようなラックなどもありますし、カゴや収納ケースと組み合わせれば、引き出し収納のようにすることもできます。ホームセンターや100円ショップなどでも購入できる収納グッズなどを活用するといいですね」

洗面台周辺の収納のイメージ
目より低い位置に毎日使うもの。洗面台の下も空間を仕切れば、洗剤のストックなども効率よくしまえる収納に(イラスト/KAZMOIS)

気軽に購入できる収納グッズなどは世の中に沢山ありますが、何を購入していいか迷うものです。そんな時は検索エンジンで画像検索をするのがオススメだと西口さんは言います。

「お店に行ってから考えるのは中々難しいので、まず検索して出てきた画像などを参考に、自宅の収納スペースに合う収納グッズにはどんなものがあるのか、使い方、組み合わせ方などのアイデアを参考に検討するのがオススメです。その上で、購入する前にきちんとサイズを測るというのも大事なポイント。収納グッズを買ってしまってから、スペースに収まらないということを防ぐために、事前の準備が肝心です」

寝室の収納術

寝室にはクローゼットがつきものですが、壁付けのクローゼットのほかに、ウォークインクローゼット(以下、WIC)やウォークスルークローゼット(以下、WTC)などがあり、それぞれ特徴があります。

「壁付けのクローゼットの場合は比較的デッドスペースが少ないというメリットがありますが、扉のスペースが必要になるので、ベッドやソファなどを置きにくくなることもあるかもしれません。

一方、WIC(ウォークインクローゼット)やWTC(ウォークスルークローゼット)は中に人が入れる大容量のクローゼットです。WTCは出入り口が2つあるため回遊動線を確保することもできますが、奥行きがある分、使いやすい部分と使いにくい部分が出てきます。1歩、2歩の違いでも使いやすさに差が出てくるので、よく使うものは手前に収納するなど、使用頻度を考えて収納する場所を決めるのが大事です」

特に大容量のWICやWTCの場合、衣替えなどはせずに、すべての服を吊るして収納しているケースもあると思いますが、やはり季節が変われば手に取る服も変わるもの。使用頻度が変われば使いにくさを感じるので、季節に合わせて定位置を見直すことも必要だといいます。

同じ場所で、“不便”、“不快”、“不満”の“3つの不”を感じたら定位置を見直しましょう。使いやすい場所に少し移動するだけで、格段に使いやすい収納になります」

また、WICやWTCはコーナーの部分にハンガーバーがあっても、洋服がかけづらく使いにくくなることもあります。このようなスペースには、あえて服をかけようとはせず、思い切って本棚やラックを入れるのも手。ものを置ける床の面積を増やすことで使用頻度の低いものなどをしまう場所として活用でき、収納量のアップも叶います。

ウォークインクローゼット
WICの中も、洋服を掛けにくい部分があれば棚などを入れると、収納力も使い勝手もアップする(写真提供/HANA(「カシータ垂水駅前」モデルルーム))

玄関の収納術

玄関については、大容量のシューズインクローゼットなどが設けられているケースもありますが、十分な容量のシューズクローゼットがない場合もあります。スペースが狭い玄関程、靴などはきちんと収納して、すっきりした状態を保ちたいものです。

靴は人別に高さを分けて収納するようにしましょう。人別に置く場所を決めてから、高さ別に分類し、棚板の高さを変えて調整します。高さを調整することで、無駄な空間がなくなり効率的に収納できます。

また、スペースが空いているところにしまうのではなく、必ずどこにあるのかがわかるようにしておくことで、探す時間がゼロになり、使いやすさもアップします」

シューズクローゼットの扉の内側には、印鑑や鍵など、小物を収納できるスペースが設けられているものもありますが、そのようなものがない場合も、扉の内側にフックなどを取り付けることで、小物を収納できるようになり、細々としたものの定位置をつくることができます。

靴箱のイメージ
棚板の高さを調整して、人別・高さ別にしまうのがポイント(イラスト/KAZMOIS)

また、最近はトランクルームが玄関前やバルコニーなど設けられているマンションもあります。トランクルームなどがあれば、ベビーカーやアウトドアグッズなど、家の中にしまいにくい大きなものを収納するのに便利です。

「トランクルームなど、大きな空間の収納は区切ることで、使いやすさも収納力もアップするので、ラックなどを使って空間を区切ることをオススメします。また、トランクルームは扉にマグネットが付く素材のものが多いので、扉の内側に掛ける収納を設けるのもいいですね。

ただし、住戸の外にあるトランクルームは、コンクリートから放出される水分の影響を受けやすいということも考えておく必要があります。湿気がこもりやすいので、水気に弱いものは避け、上手く活用しましょう」

荷物を預かるサービスなどを利用する方法もある

最近では、マンションの入居者へのサービスとして、クリーニングの保管サービスや専用箱に収納した荷物を割安や無料で預かるサービスなどを提供するマンションもあります。

「なかなかものを減らせないという場合は、外に預けるサービスを利用するのもいいと思います。ただし、一時的に預けるという気持ちで利用するのがオススメです。

預けるにも費用がかかるので、全く使わないものなどは手放す勇気を持つことも必要です。一方で、なかなか手放すことができない人も、一時的に預けることで心の整理ができるということもあるので、限定的に預けるという気持ちで上手く活用できるといいと思います。

また、ものを手放すのがどうしても苦手という人は、そもそも物を増やさないという生活スタイルを選択するのもいいでしょう。最近では洋服や家具、家電などのサブスクサービスも増えているので、そのようなものの利用を検討してみるのもいいですね」

マンションの収納は足りない……と感じることもあるかもしれませんが、必ず工夫次第で片付いた気持ちのいい住まいは実現できます。今回ご紹介したアイデアも参考に、整理された空間づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

マンションの収納は一戸建てよりも少ない傾向はあるが、量よりも適材適所で考えるのが上手な収納のポイント

収納が足りないと感じている人は、まず適正量と定位置を決めて整理してみる

定位置を決める時には、収納スペースに合わせてラックやケースなどを使用して区切ると使いやすい収納になる

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構成・取材・文/島田美那子 イラスト/KAZMOIS
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