「ファミリー向けマンション」とは?2LDKから4LDKの間取り例や特徴を教えて!

公開日 2022年09月29日
「ファミリー向けマンション」とは?2LDKから4LDKの間取り例や特徴を教えて!

「ファミリー向けマンションってよく聞くけど、具体的にどんなマンションを指すの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのでは?ここでは、不動産コンサルタントの岡本郁雄さんに、ファミリー向けとそれ以外のマンションの違いや、よくある間取り例、暮らしやすさの違いなどをお聞きしました。

ファミリー向けマンションってどんなマンションのこと?

マンションの広告を見ると「シングル向け」「新婚世帯向け」「DINKS(子どものいない夫婦だけの世帯)向け」「ファミリー向け」といった言葉が出てきます。それぞれにはっきりとした定義はありませんが、シングル向けはワンルームや1LDK、新婚世帯向けといえば2DKや1LDKが思い浮かびます。

しかし、「ファミリー」となると、子どもがいない夫婦から多世帯家族までを含むため、間取りのイメージもあいまいになりがちです。具体的にはどれくらいの広さや間取りのマンションを意味するのでしょうか。

一般的には「ファミリー=夫婦と子ども」のイメージ
一般的な「ファミリー=夫婦と子ども」のイメージイラスト
子どもの年齢によっても、ファミリーの生活スタイルや必要な空間は大きく変わる

「ファミリーという言葉からは『30代の夫婦』をイメージされると思いますが、たとえば都心では専有面積の広いマンションを購入する50代のシニアも目立ちます。
ライフスタイルが多様化する中で、最近では『ファミリー向けマンション』というくくり方はあまりされなくなってきています。

ただ、一般的には『ファミリー向け』といえば、『主としてファミリーが買うことを前提に作られた、やや広めのマンション』を意味します。学校や公園が近くに揃っているなど、子育て環境が整ったマンションを『ファミリー向け』とすることもあります」(不動産コンサルタント 岡本郁雄さん 以下同)

マンションは、ファミリーで住むために購入する人が約4割に及ぶ
「マンションの購入理由トップ5」データ
ファミリーはマンション分譲の最大のターゲット。ファミリー向けの物件ももちろんたくさん供給されている。2021年首都圏新築マンション契約者動向調査より(表作成/SUUMO編集部)

ファミリー向けマンションの広さはどれくらい?

国土交通省では、世帯人数によって「最低これくらいは必要(最低水準)」と「これくらいあれば理想的(誘導居住面積水準)」という、以下のような居住面積の指針を出しています。

世帯人数別の居住面積の目安
最低水準 誘導居住面積水準
都市部 それ以外の地域
1人暮らし 25m2 40m2 55m2
2人暮らし 30m2 55m2 75m2
3人暮らし(3~5歳児1人まで) 35m2 65m2 87.5m2
3人暮らし(全員6歳以上) 40m2 75m2 100m2
4人暮らし(3~5歳児1人まで) 45m2 85m2 112.5m2
4人暮らし(全員6歳以上) 50m2 95m2 125m2
住生活基本計画(全国計画)における誘導居住面積水準及び最低居住面積水準(2021年国土交通省 )

夫婦と子ども2人のファミリーなら、「最低でも50m2、都市部なら95m2、郊外なら125m2欲しい」ということ。ただし、50m2以上でもワンルームや1LDKであればシングル向けとしてつくられることが多く、「ファミリー向け」とされることはあまりありません。また、子どもが就学年齢かどうかでも、推奨面積が違ってきます。

「賃貸マンションの場合、『シングル向け』は専有面積が20m2~30m2未満が中心になり、40~50m2台は『DINKS(子供のいない夫婦だけの世帯向け)』、60m2以上あれば『ファミリー向け』と紹介される場合が多いようです。分譲マンションの場合はそれより少し広くなり、ファミリー向けは70m2が中心に。間取りにもよりますが、66m2ほどあればファミリーで住むことは十分に可能です」

ファミリー向けマンションの間取りは?

一般的に「シングル向け」といわれるのがワンルームや1K、1DK、1LDKなど。
「DINKS向け」「新婚世帯向け」といわれるのが2DKや2LDK、それ以上の部屋数がある3K、3DK、3LDK、4K、4DK、4LDK、5K、5LDK以上が「ファミリー向け」とされることが多いようです。

「子どもが同性だったり、リビングで勉強するスタイルだったりすると、子どもが2人いても子ども部屋は1部屋でも困りません。必要な部屋数は暮らし方次第。いずれ子どもが自立して出ていけば、子ども部屋は不要になります。部屋数が少なくても、1室を2室に分けて使えるような間取りであれば、家族が増えても減っても対応できます。今後の家族のあり方も考えておきましょう」

引き戸を全開するだけで、3LDKを2LDKにできる間取り
引き戸の使い方で3LDK⇔2LDKにできる間取りのイメージイラスト
子どもが小さい間はリビングの一角のスタディーコーナーとして使い、学齢期には引き戸を閉めて独立した1室にできる

ファミリー向けマンションの設備や共有スペースの特徴は?

ファミリー向けマンションには、夫婦ふたり、または子どもと一緒に快適に暮らすための設備がたくさん用意されています。ロボット型掃除機用の電源をクローゼット内に用意する、といった、小さいけれども便利な工夫にも注目を。最近のファミリー向けマンションに装備されている設備をピックアップしてみました。

●ファミリー向けマンションに付いている設備の例
キッチン 対面式キッチン/食器洗い乾燥機/浄水器/パントリー/ディスポーザー
水回り 1坪以上の浴室/追い焚き機能付き・保温浴槽/全自動お掃除浴槽/浴室乾燥機/温水洗浄便座
セキュリティ TVモニタ付インターホン/セキュリティシステム
収納 全居室収納/ウォークインクローゼット/シューズインクローク/ファミリークローゼット/トランクルーム
その他 ワイドバルコニー/スロップシンク/専用庭/床暖房/宅配ボックス/24時間ゴミ出し可

「家族の人数が増えると家事負担が増えるので、少しでも減らせる設備があるといいですね。たとえば食器洗い乾燥機や浴室乾燥機など。ゴミの量もそれだけ増えるので、キッチンにディスポーザーがあれば便利です。収納も、家族の人数に比例して必要になります。キッチンは、子どもがいる世帯向けに、家族の様子を見守りやすい対面式が用意されることが多いようです。子どもが勝手にバルコニーに出ないように、鍵が二重に用意されている物件もあります。

共有施設にも特徴があります。たとえば、キッズルームや提供公園などが用意されることが多いでしょう。マンション内に認可保育園などの保育施設が併設されていたり、キッズルームの横に保護者が子どもを見ながら親睦を図れるスペースが用意されている物件も登場しています。子どもがいる家庭は自転車を数台お持ちだったり、車保有率が高いので、駐車場の台数や駐輪場を借りる場合の条件なども確認しておきたいですね」

子育て世帯の交流が図れるキッズルーム
子育て世帯の交流が図れるキッズルームのイメージ写真
キッズルームで子どもを遊ばせながら、親は隣の部屋で見守ることができるタイプも登場(画像提供/PIXTA)

ファミリー向けマンション/どんな間取りでどう暮らす?

一般的に、既製間取りに自分の生活を合わせていくことになるマンション。2LDK、3LDK、4LDKの間取りそれぞれで、家族がどんな暮らしを送れるかをシミュレーションしてみましょう。

2LDKの場合

基本的には「LDKと主寝室と洋室1室」の間取り。3LDKに比べて床面積はやや小さめの場合が多く、ファミリー向けのマンションでは供給数も少なめです。「2LDKでいい」と思っていても、2室をつなげて使える3LDKであれば2LDKとして使えるので、3LDKでも検討してみてもいいかもしれません。

「子どもがひとりだったり、2人でも同性だったり、リビングで一緒に勉強する家族なら2LDKで十分でしょう。リビングの隣の部屋が、リビングと一体化して使える間取りなら、子どもが独立した後は広々1LDKにもできます。2LDKに4人以上で暮らす場合は、収納量に注意して。家族が増えれば、特に子どもが生まれると物が増えるので、それだけ収納スペースが必要になります」

2LDKの間取り例
ファミリー向けマンションの2LDKの間取り例
ファミリー向けマンションの2LDKの間取り例
廊下がない2LDKなら、専有面積が多少狭くても、部屋数を確保しながらゆったり暮らせる

3LDKの場合

基本的には「LDKと主寝室と洋室2つ」の間取り。ファミリー向けのマンションでは中心となる間取りなので、物件数が多く探しやすいでしょう。

「可動間仕切りを採用した3LDKの間取りなら、ライフステージに合わせて使い方を変えていくことができます。子どもが小さい頃は2LDKとして使い、学童期には3LDK。子育て終了後は、広いLDKと夫婦それぞれの個室にすることができます。2LDKでも80m2以上あれば、子どもが2人の4人家族でも、リビングを勉強部屋にするなどの工夫で快適に暮らすことができるでしょう。また、物件を選ぶ際に注意したいのは間口の広さ。間口が狭い縦長の間取りの場合は、部屋数をつくるためにどうしても廊下が必要になり、それだけ居住空間が小さくなります。間口が7m以上あるワイドスパンのマンションなら、専有面積は同じでも居住空間の割合が大きくなりますよ」

在宅勤務の割合が増えてきていることを考えると、3LDK なら3人家族でも全員に個室を用意できるので安心。また洋室1室を収納部屋にして、他の居室をすっきりさせることもできます。子どもが3人いる5人家族の場合は、同性の兄妹を同じ部屋にする、もしくは、2部屋を3人共同の勉強部屋と寝室にする、といった使い方で3LDKを住みこなすことができそうですね。

3LDKの間取り例
ファミリー向けマンションの3LDKの間取り例
ファミリー向けマンションの3LDKの間取り例
リビング側の1室をどう使えるかで暮らしやすさは変わる

4LDK・5LDKの場合

4LDKは、基本的には「LDKと主寝室と洋室3つ」の間取り。子どもが3人の5人家族でも、子どもそれぞれに個室を用意してあげられます。子どもが4人以上いても、同性の兄妹を同室にすれば十分住みこなせる、ゆとりある間取りです。2世帯同居も可能になります。
4つの部屋に採光を確保しないといけないので、角住戸が使われることが多く、賃貸はもちろん、分譲でも物件数がかなり少なくなります。また、価格も高めになりがちです。5LDKになるとさらに数は限定されます。5LDKが欲しいと思っていても、5LDKをアレンジして住みこなす方が現実的かもしれません。

「4LDKや5LDKの間取りは、部屋数を増やすことでそれぞれの部屋が小さく使いにくくなっていないか、また、各部屋の収納と、住まい全体の収納が十分足りているか、の確認を。家族が増えればそれだけ物が増えます。部屋数だけにとらわれず、収納スペースを含めた専有面積を重視して物件を探すようにしましょう。また、子どもが独立したあとの個室の使い方も考えておきたいですね。子育てが終わってからも暮らしやすい間取りがベストです」

4LDKの間取り例
ファミリー向けマンションの4LDKの間取り例
ファミリー向けマンションの4LDKの間取り例
子育て終了後は夫婦それぞれの個室+広めリビングの2LDKとしてゆったり暮らせる4LDK

ファミリー向けマンションの疑問に答えます!Q&A集

家族のためのマンションを買おうと考えている人も、1人暮らしのためのマンションを探している人も、「ファミリー向け」マンション検討中の人が気になる点をピックアップ。岡本さんに簡潔明瞭にご回答いただきました。

Q1 「独身だけど、ファミリー向けと言われる部屋の広さが気に入った。何か問題ある?」

A「全く問題ありません。高齢の単身者の方でも3DKタイプの賃貸住宅を選ぶ方もいます。大は小を兼ねます。一人暮らしでも、気に入った物件であれば広い方が絶対にいいと思います」

Q2 「ファミリー向けマンションなら、子どもがうるさくても大丈夫?」

A 「大丈夫ではありません。ファミリー向けマンションにも幅広い年齢の人が住んでいます。生活時間帯もそれぞれ違いますし、音がどの程度気になるかは人それぞれ。足音で苦情を受けるといった騒音問題はあちこちで起きています。音を気にするなら、また他人の音が気になるなら、一戸建てにしておいた方がいいでしょうね」

Q3「子どもがいっぱいいるイメージ。夫婦だけだと暮らしにくい?」

A 「ファミリー向けマンションといっても、実は子どもはそんなにいないもの。子どもがいない夫婦だけの世帯はもちろん、高齢者や外国人世帯も住んでいますし、様々なライフスタイルの人が暮らしています。しっかりした管理会社が入っている場合、こうしたトラブルも間に入って対応してくれます。管理人が常勤しているか、など、マンションの管理体制はよく確認しましょう。どんな人が相手でも会釈程度の挨拶を交わす顔見知りになっておくだけで、トラブルが起きにくくなり、暮らしやすくなりますよ」

Q4「ファミリー向けマンションの購入時に気を付けることとは?」

A 「管理費は管理のレベルによって差が大きく、ものすごく安い物件もあれば、タワーマンションなどではかなり大きな額になります。そして、広い部屋ほど管理費は上がります。修繕積立金も基本的には上がっていくものです。ローン以外の毎月のランニングコストが、年収に見合った金額かどうかをしっかり確認しておきましょう。また、保育園の待機児童数や、子どもが通う学校が私学になるか公立になるかで今後の教育費が大きく変わります。そういった点にも気を付けておきたいですね」

ファミリー向けマンションに暮らすイメージイラスト
ファミリー向けマンションにも、様々な種類の世帯や暮らし方をする人たちが住んでいる

家族の形は10年も経てば大きく変わります。今の家族にとって暮らしやすいだけでなく、10年後20年後の家族にとっても暮らしやすいファミリー向けマンションを選びたいですね。

まとめ

一般的にファミリー向けマンションとは『主としてファミリーが買うことを前提に作られた、やや広めのマンション』を指す。

学校や公園が近い、といった子育てに適した立地条件から、ファミリー向けとされる場合もある。

間取りは2LDKから4LDKが中心。間取りよりも70m2という広さを基準に考えよう。

引き戸の使い方で部屋数を変えられる間取りなら、子どもの独立後も暮らしやすい。

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取材・文/伊東美佳 イラスト/もり谷ゆみ
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