家を買うなら「資産価値の維持しやすさ」も考えて選びたい。そこで、資産価値を見極める上で参考となる「PBR(※)」が高い駅ベスト20をエリア別に一挙公開。その中から、今後新築マンションが販売され、編集部が注目する街(駅)を紹介しよう。また、将来購入したマンションを賃貸に出すなら、PERも併せてチェックしよう。(※)PBRとPERについては下図を参照。
ベスト20に登場した街の多くに共通するポイントは3つ。資産価値を維持しやすい街選びの指標にしよう。
ランキング上位は、都心主要駅に直結する路線の駅が多い。また、郊外ではターミナル駅に隣接する駅も、価格の割安感などから需要があるため、資産価値が落ちにくい傾向が見られる。
上位の駅に共通するのは駅周辺に商業施設や商店街があることだ。大規模SCが駅前にある街も多い。また、利便性と自然環境を兼ね備えた街や文教地区として有名な街の評価も高い。
駅周辺の再開発に伴う大規模な住宅分譲から5~10年経つ駅が上位に入っている。また、大規模団地の建て替えで街の様子が一変した駅も登場。今後、開発予定のある街にも注目したい。
順位 | PBR | 駅名/沿線 |
---|---|---|
1位 | 1.19 | 三鷹台/京王井の頭線 |
2位 | 1.16 | 桜街道/多摩都市モノレール |
3位 | 1.05 | 狛江/小田急線 |
3位 | 1.05 | ひばりヶ丘/西武池袋線 |
3位 | 1.05 | 三鷹/中央線 |
6位 | 1.04 | 小田急永山/小田急多摩線ほか |
7位 | 0.98 | 田無/西武新宿線 |
8位 | 0.97 | 仙川/京王線 |
9位 | 0.96 | 西国分寺/中央線ほか |
10位 | 0.95 | 国領/京王線 |
10位 | 0.95 | 東小金井/中央線 |
12位 | 0.94 | 吉祥寺/中央線ほか |
12位 | 0.94 | 八王子/中央線ほか |
12位 | 0.94 | 一橋学園/西武多摩湖線 |
15位 | 0.93 | 豊田/中央線 |
15位 | 0.93 | 東大和市/西武拝島線 |
17位 | 0.92 | 武蔵小金井/中央線 |
18位 | 0.91 | 飛田給/京王線 |
18位 | 0.91 | 西府/南武線 |
18位 | 0.91 | 東府中/京王線ほか |
三鷹を筆頭に中央線の駅がトップ20中7駅を占める。ほかの沿線では、狛江、ひばりヶ丘、田無、仙川など、最も都心寄りの駅や所要時間が短い駅が名を連ねた。いずれも過去の調査で何度も上位に入っており、資産価値が安定している。「近郊エリアの資産価値を左右する第一条件は都心アクセスの良さ。都心まで30分以上のエリアでは、快速停車や大規模再開発などが条件になるようです」(高橋さん、以下同)
狛江~新宿駅まで18分
隣の街は世田谷区、利便性と自然環境を満喫できる
小田急線の各駅停車駅だが、世田谷区に隣接し、都心への所要時間も短いことからPBRは高めに推移している。駅の北口ロータリーには大型商業施設があり生活利便性が高い。その向かい側は2.1haもの『狛江弁財天池特別緑地保全地区』が広がり緑を間近に感じられる。多摩川の河川敷も近い自然豊かな住環境だ。
ひばりヶ丘~池袋駅まで15分
急行で池袋駅まで2駅、駅前に大規模商業施設が集結
西武池袋線は有楽町線、副都心線直通もあり都心や横浜方面にアクセスしやすい。駅南口には大規模商業施設や医療モールが集まり、図書館や公園も近い。北口でも駅前ロータリーの整備工事などが行われ、利便性の向上が期待できそうだ。
仙川~新宿駅まで14分
駅前に400店舗以上の商店街、アーティスティックな街並みも
京王線の区間急行停車駅。世田谷区の準特急停車駅の千歳烏山には一駅だ。駅周辺は商店街が充実していることに加え、安藤忠雄氏が設計した『東京アートミュージアム』などがあり、芸術的な雰囲気も感じられる街だ。
西国分寺~新宿駅まで23分
国分寺まで徒歩21分、駅前商業施設が充実
中央線快速停車駅の国分寺まで徒歩21分、通勤や生活に2つの駅を利用できる。駅前商業施設など生活利便性はよく、周辺に都立公園をはじめ公共施設も多い。
豊田~新宿駅まで32分
八王子に隣接の中央特快停車駅、団地の建て替えなどで街が再生
八王子の隣駅で都心へのアクセスはほぼ同等。駅の北側は広大な多摩平団地の建て替えや、大規模商業施設の誕生で利便性が大きくアップ。図書館なども近い。
最後に、賃貸にする場合の収益性「PER」が高い街のトップ30を一挙掲載。各エリアのトップの街も紹介しよう
PERトップ10は、山手線主要駅から30分~40分の駅が多く、賃貸の収益性は都心が高いとは限らないことが分かる。「都心や23区エリアは価格の高騰によって、賃料による収益性が下落傾向です。一方、郊外エリアには、賃料に対して価格が割安な駅があります。もちろん都心へのアクセスが良いエリアでも、目黒や武蔵小杉など再開発で街のポテンシャルが向上して、賃料水準が上がったエリアはPERが低く上位に入っています」
柏~上野駅まで26分
商業施設充実の中核駅。上野東京ラインで注目
商業・業務施設が集結する常磐線の中核駅。駅の周りは大規模商業施設や商店街が充実。上野東京ラインの開業で東京方面へのアクセスが向上、賃料が上昇したことでPERは比較的高い収益性を期待しやすくなっている。
京急川崎~品川駅まで9分
交通アクセスの良さで賃貸のニーズが高い
駅周辺は商業地域が広がり、住宅地としてあまり知られていないため、新築価格は低め。一方、都心、横浜へのアクセスが良く羽田空港にも10分の立地から、シングル中心に賃貸のニーズが多く賃料は比較的高い街だ。
目黒~渋谷駅まで5分
再開発で街のポテンシャル向上
大規模駅前再開発が完成、駅ビルも改装され街のポテンシャルが向上した。住宅地としても人気だが、駅から少し離れた物件の価格は若干低めだ。
町田~新宿駅まで31分
新宿、横浜に直通できる
小田急線と横浜線が使え、周辺より賃料は高め。横浜線の駅の南側は住宅エリアで、買い物に便利な小田急線駅周辺より価格に割安感がある。
吉川美南~秋葉原駅まで28分
駅近の新築マンションが多い
数年前に駅前で大規模分譲がスタートした街で駅徒歩5分以内のマンションが多い。両隣は大型商業施設のある新三郷と越谷レイクタウンだ。
結婚や出産などライフステージに合わせて家を買い替える人も多いはず。どうせ買うなら売却や賃貸を考慮して、資産価値の情報はチェックしておきたいもの。今人気の街だけでなく、将来性を見据えた街選び、家選びをすることが大切だ。
PBRは、過去10年間に分譲された新築マンションが中古として流通した際の平均価格が、分譲時の何倍かを駅別に示したもの。数値が大きいほど資産価値が維持しやすいと考えられる。ただし、PBRは過去の実績をもとに集計したもので、1.00以上の街の資産価値が将来必ず上がるというわけではない。
※当記事掲載のPBRは全て東京カンテイ調べ(PBRは東京カンテイ独自の指標)。ランキングのPBRは2017年調査。2007年1月~2016年12月に分譲された新築マンションの平均価格(70m2換算、以下同)と同物件から発生した中古流通事例の平均価格による(専有面積30m2未満の住戸、年間の分譲住戸数及び流通事例数が10戸未満の駅は集計から除外)
※ランキングは各エリアの上位20駅を掲載。PBRが同値の駅が複数ある場合、同順位で掲載(五十音順)。掲載順位が20位未満になることや掲載駅が20駅を超えることもある
・資産価値が落ちない街ランキング2017~東京23区編~
・資産価値が落ちない街ランキング2017~神奈川県編~
・資産価値が落ちない街ランキング2017~埼玉県編~
・資産価値が落ちない街ランキング2017~千葉県編~
・資産価値が落ちない街 2014