資産価値が落ちない街（駅）ランキング2017～東京23区編～

家を買うなら「資産価値の維持しやすさ」も考えて選びたい。そこで、資産価値を見極める上で参考となる「PBR（※）」が高い駅ベスト20をエリア別に一挙公開。その中から、今後新築マンションが販売され、編集部が注目する街（駅）を紹介しよう。また、将来購入したマンションを賃貸に出すなら、PERも併せてチェックしよう。
（※）PBRとPERについては記事下図を参照。

街の資産価値を見極めるポイント3

ベスト20に登場した街の多くに共通するポイントは3つ。資産価値を維持しやすい街選びの指標にしよう。

1.都心へのアクセス

ランキング上位は、都心主要駅に直結する路線の駅が多い。また、郊外ではターミナル駅に隣接する駅も、価格の割安感などから需要があるため、資産価値が落ちにくい傾向が見られる。

2.生活利便性・住環境

上位の駅に共通するのは駅周辺に商業施設や商店街があることだ。大規模SCが駅前にある街も多い。また、利便性と自然環境を兼ね備えた街や文教地区として有名な街の評価も高い。

3.大規模な再開発

駅周辺の再開発に伴う大規模な住宅分譲から5～10年経つ駅が上位に入っている。また、大規模団地の建て替えで街の様子が一変した駅も登場。今後、開発予定のある街にも注目したい。

都心8区の資産価値ランキング

都心8区…千代田区、港区、中央区、文京区、渋谷区、新宿区、品川区、目黒区

都心8区は、交通・生活利便性の高さから「PBR1.00」以上が63駅に上る。「特に3Ａ地区（青山、赤坂、麻布）など、ブランド住宅地が多い南部エリアが多数を占めています。新駅が開業する田町－品川間も将来性を見込み人気が高まっていますね。一方、北・東部や山手線の外側では、新御茶ノ水、飯田橋など、2013年以降に再開発された駅が目立ちます」（高橋さん、以下同）

注目の駅の詳細をご紹介！

新御茶ノ水～大手町駅まで2分
3路線利用で東京、新宿に直結。駅前再開発で生活利便性アップ

駅西側に日本大学、明治大学のキャンパスが広がる文教地区。丸ノ内線淡路町、都営新宿線小川町、中央線御茶ノ水駅も利用でき、秋葉原、神保町も徒歩15分以内と生活圏だ。駅前再開発により、2013年に駅直結のタワービル『ソラシティ』と、業務・商業施設、共同住宅などが入る『ワテラス』が開業、駅周辺の利便性が向上した。

『ニコライ堂』が目の前の『ソラシティプラザ』。地下広場にはスーパーやコンビニもあり日常品の買い物に便利

麻布十番～東京駅まで8分
『六本木』『元麻布』の最寄駅。下町の雰囲気漂う商店街が人気

麻布十番は『六本木五丁目』『元麻布二丁目・三丁目』の最寄駅。2000年の駅開業で交通アクセスが向上し、駅周辺の麻布十番商店街などは他エリアの人も集まる人気スポットに変貌。PBRも徐々に上がっている。

麻布十番商店街には、江戸時代からの老舗や国際色豊かな飲食店、個性的なファッションショップなどが並ぶ

御成門～東京駅まで6分
徒歩15分の虎ノ門に日比谷線の新駅開業予定

徒歩圏内に山手線、日比谷線、都営浅草線、大江戸線、ゆりかもめの駅があり、通勤や生活に複数駅を利用できるマンションが多い。特に、駅から徒歩約15分の虎ノ門地区では2020年に日比谷線の新駅が開業予定。今後の発展が期待できる。

駅前は広大な芝公園。日常の買い物は愛宕グリーンヒルズMORIタワー(写真右)のスーパーなどでできる

飯田橋～東京駅まで6分
有楽町線、南北線、大江戸線、中央線が交差するターミナル

都心各方面へのアクセスの良さに加え、東京ドームシティも近くにぎわう。駅の南側は大学や中高一貫の私立校が集まる一方、閑静な住環境も。多彩な顔をもつ街だ。

教会が立つ駅前広場。隣のオフィスビルにはスーパーやスポーツジム、音楽教室なども入る

神楽坂～東京駅まで9分
江戸時代には武家屋敷が並んだ歴史ある住宅街

飯田橋に隣接、都営大江戸線の牛込神楽坂駅も利用できる。坂が生み出す変化に富む風景が魅力。江戸時代には武家屋敷が立ち並んだ歴史ある住宅街だ。

神楽坂と飯田橋を結ぶ通りは多彩な店が並ぶ。路地に入ると料亭がひっそり立つ和の街並みも

城北・城西・城東15区の資産価値ランキング

城北・城西・城東15区…台東区、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、足立区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区、大田区

豊島区、板橋区、荒川区、江東区など城北～城東エリアがトップ20の半数以上を占めた。特に城北エリアは、池袋から2駅ほど離れた各沿線の駅がランクイン（東長崎、巣鴨、千川、板橋）。
「都心アクセスが良い割に、城西・城南に比べ価格が低めの駅が多いですね。実質的な住みやすさを求める共働き家庭などには、価格と利便性のバランスの良さが魅力的で、今後も注目されそうです」

注目の駅の詳細をご紹介！

富士見ヶ丘～渋谷駅まで16分
井の頭線の始発駅。緑豊かな一戸建て中心の住宅街

駅前の商店街を一歩入ると、一戸建ての街並みに低層マンションが点在する第一種低層住居専用地域が広がる。駅の北側では13.7haの都立公園整備が計画中。都心の間近で自然に親しめる街だ。このため駅徒歩圏のマンション数は隣の高井戸駅に比べて少なく、希少価値もあって資産価値が維持しやすいといえる。

駅前通り沿いの富士見丘商店街には昭和の趣を残す店舗も。5分ほど歩くと24時間営業のスーパーもある

有明テニスの森～東京駅まで13分
オリンピック4競技の会場予定10ha以上の大規模開発も計画中

15年ほど前から駅徒歩10分圏内で大規模マンション開発が活発に行われた新しい街。駅から徒歩12分のりんかい線国際展示場から渋谷に19分で行ける。駅前では10ha以上の大規模複合開発が計画中。オリンピック後の発展も期待できそうだ。

オリンピック会場の整備が進む有明テニスの森公園。近辺では体操やバレーボール、自転車競技なども開催予定

日暮里～東京駅まで10分
駅前タワーマンションの開発で下町エリアの魅力がアップ

谷中銀座商店街、日暮里繊維街など歴史ある商店街を抱き、高台には江戸の趣を残す寺社街が広がる。下町エリアの代表ともいえる街だ。山手線の駅のなかでは、新築価格に割安感があるため注目され、PBRも高くなっている。

再開発で複数のタワーマンションが建ち、近代的な趣も付加された駅前。商業施設も増え利便性も向上した

新井薬師前～西武新宿駅まで9分
中央線中野駅まで徒歩20分。商店街や公園も充実した街

新井薬師駅から徒歩圏のマンションは、中野駅や都営大江戸線落合南長崎駅も利用できる物件が多く資産価値の高さにつながっている。哲学堂公園など公園も多い。

駅南口から新井薬師をはさみ中野駅まで商店街が続く。駅近くの商店街はアーケードがついている

板橋本町～池袋駅まで13分
新築価格に割安感があり、ファミリータイプの供給も多い

都心アクセスの良さに対し、5000万円前後で3LDKを探せる割安感から注目を集めている。都営三田線の巣鴨から当駅までの駅はいずれもPBR1.00以上だ。

駅前にスーパーがあり日常の買い物に便利。徒歩圏には『国立スポーツ科学センター』もある

将来賃貸に出すことを検討している人は必見！街の「収益性」の見方と注目の街を紹介

最後に、賃貸にする場合の収益性「PER」が高い街のトップ30を一挙掲載。各エリアのトップの街も紹介しよう

PERトップ10は、山手線主要駅から30分～40分の駅が多く、賃貸の収益性は都心が高いとは限らないことが分かる。「都心や23区エリアは価格の高騰によって、賃料による収益性が下落傾向です。一方、郊外エリアには、賃料に対して価格が割安な駅があります。もちろん都心へのアクセスが良いエリアでも、目黒や武蔵小杉など再開発で街のポテンシャルが向上して、賃料水準が上がったエリアはPERが低く上位に入っています」

柏～上野駅まで26分
商業施設充実の中核駅。上野東京ラインで注目

商業・業務施設が集結する常磐線の中核駅。駅の周りは大規模商業施設や商店街が充実。上野東京ラインの開業で東京方面へのアクセスが向上、賃料が上昇したことでPERは比較的高い収益性を期待しやすくなっている。

柏駅東口には家電量販店やデパートが並び、駅前通りには商店街もある

京急川崎～品川駅まで9分
交通アクセスの良さで賃貸のニーズが高い

駅周辺は商業地域が広がり、住宅地としてあまり知られていないため、新築価格は低め。一方、都心、横浜へのアクセスが良く羽田空港にも10分の立地から、シングル中心に賃貸のニーズが多く賃料は比較的高い街だ。

駅前には映画館やアーケード商店街もある。仕事帰りの楽しみが多い街だ

目黒～渋谷駅まで5分
再開発で街のポテンシャル向上

大規模駅前再開発が完成、駅ビルも改装され街のポテンシャルが向上した。住宅地としても人気だが、駅から少し離れた物件の価格は若干低めだ。

駅前再開発で2017年にオフィスビルと商業・住宅のツインタワーマンションが完成

町田～新宿駅まで31分
新宿、横浜に直通できる

小田急線と横浜線が使え、周辺より賃料は高め。横浜線の駅の南側は住宅エリアで、買い物に便利な小田急線駅周辺より価格に割安感がある。

横浜線の駅北口から小田急線の駅周辺に商業施設が集結。目的に合った買い物ができる

吉川美南～秋葉原駅まで28分
駅近の新築マンションが多い

数年前に駅前で大規模分譲がスタートした街で駅徒歩5分以内のマンションが多い。両隣は大型商業施設のある新三郷と越谷レイクタウンだ。

2017年、駅前に食料品、ファッション、生活雑貨などがそろう商業施設がオープンした

結婚や出産などライフステージに合わせて家を買い替える人も多いはず。どうせ買うなら売却や賃貸を考慮して、資産価値の情報はチェックしておきたいもの。今人気の街だけでなく、将来性を見据えた街選び、家選びをすることが大切だ。

PBRは、過去10年間に分譲された新築マンションが中古として流通した際の平均価格が、分譲時の何倍かを駅別に示したもの。数値が大きいほど資産価値が維持しやすいと考えられる。ただし、PBRは過去の実績をもとに集計したもので、1.00以上の街の資産価値が将来必ず上がるというわけではない。

※当記事掲載のPBRは全て東京カンテイ調べ（PBRは東京カンテイ独自の指標）。ランキングのPBRは2017年調査。2007年1月～2016年12月に分譲された新築マンションの平均価格（70m²換算、以下同）と同物件から発生した中古流通事例の平均価格による（専有面積30m²未満の住戸、年間の分譲住戸数及び流通事例数が10戸未満の駅は集計から除外）
※ランキングは各エリアの上位20駅を掲載。PBRが同値の駅が複数ある場合、同順位で掲載(五十音順)。掲載順位が20位未満になることや掲載駅が20駅を超えることもある

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