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近ごろSNSなどで人気が高まる韓国インテリア。「#韓国インテリア」はInstagramで77万件を超える投稿(2025年9月現在)があり、淡いトーンの色合いや柔らかなデザインが支持を集めています。とはいえ具体的にどうすれば韓国インテリアが作れるのかわからないという人も多いのでは。今回はワンストップリノベーションサービス「リノベる。」のデザイナー、勝又愛華さんに、韓国インテリアを楽しむためのリノベーションのポイントや、賃貸でできる韓国インテリアの実践法を教わりました。
数年前から、SNSなどで10~20代の女性を中心に人気が高まっている「韓国インテリア」。といっても、韓屋や李朝家具などの伝統的な韓国文化にのっとったものではありません。インスタグラムで「#韓国インテリア」を調べるとわかるように、それは淡くやさしいトーンのインテリアスタイルを指しています。
「インスタグラムやピンタレストの事例を分析して私たちがとらえた韓国インテリアの特徴は、白やベージュ、シャーベットカラーのような明るく淡いカラーリングをベースに、ラタンなどの自然素材や淡い色の家具、ウェーブのフォルムや丸みのあるデザインの小物を合わせているということ。ネオンカラーのようにポップな色をポイントで効かせたりするのも特徴です」(勝又さん、以下同)
発祥や定義については、はっきりと特定することが難しいと勝又さんは言います。ただ、韓国のインテリアや雑貨のブランドは、洗練されたユニークなデザインながらコストパフォーマンスのいいものが多く、それらのアイテムを使った韓国のZ世代のSNSもトレンドの起源のひとつといえるかもしれません。
勝又さんによると5年ほど前から韓国インテリアのニーズが増えているのだそう。
「お部屋づくりの希望や参考写真として韓国インテリアっぽい画像をいただくことが増えました。それより前から流行している北欧インテリアのニーズも依然として高いですが、若い世代を中心に韓国インテリアの人気が高まっており、弊社で20~30代のお客さまが増えたこともあって、韓国インテリアのニーズをより顕著に感じています」
韓国アイドルや韓国カフェといった韓国カルチャーの人気の高まりを受けて、2022年に「リノベる」では独自の空間デザインツール「sugata」で、韓国インテリアをイメージしたデザイン「bingsu」を発表。「sugata」とは、事例やトレンド分析をもとに70種以上のインテリアテイストをシミュレーションできるものです。
その後、いっそうのニーズの増加を反映して、「mint」「sweet pea」「mei room」などさらなる韓国インテリアっぽいデザインも追加されています。
今回はそれらのインテリアデザイン画像をもとに、韓国っぽいインテリアのブラッシュアップ方法を紹介しましょう。
韓国インテリアの特徴のひとつが、柔らかくてやさしいカラートーンで全体をまとめること。
「数年前までは、白やベージュのナチュラルカラーをベースに、ラタンなどの自然素材や曲線の小物、パンパスグラス(ふわふわした花穂の観葉植物)などを合わせるのが定番でしたが、最近はポップなカラーリングが増えています。韓国のかき氷にインスパイアされた『bingsu』(タイトル画像)も淡いシャーベットカラーで空間を構成していますが、暖かい色と冷たい色の両方を使って、個性的なテイストに仕上げています」


生活感の少ない、カフェのような空間を心がけることも韓国インテリアらしくなるコツ。
「インテリアの主役になるような見せたい小物だけをディスプレーして、生活感の出るものなどは収納して完全に見せないこと。たくさんのものをごちゃごちゃ置くのではなく、見せたいものだけを出す、メリハリをつけたアイテムの配置がポイントです」
照明使いにも韓国インテリアっぽさを演出するポイントがあります。
「シーリングライトなどの大きな照明1つで全体を照らすのではなく、ダイニングテーブルの上にペンダントライト、ソファの上には別のペンダントライト、部屋の角にはスタンドライトというふうに部屋のコーナーごとに専用の照明を置いたり、間接照明を取り入れたりすることで、生活感を減らして韓国インテリアらしさが演出できます」

壁や天井、床などに間接照明を仕込めるのはリノベーションならでは。リノベーションで韓国インテリアの空間を作る際にはぜひ取り入れたいポイントです。「bingsu」では、キッチンカウンターの足元やリビングのコーナー、玄関や洗面に、韓国で人気のネオンの照明がアクセントとして使われています。
韓国インテリアらしさを醸し出すには、家具や小物の選び方も大切です。
「私が韓国インテリアをデザインする際に家具選びで意識するのは “線の細さ”。重厚な色の木やがっしりした金属を使ったものではなく、ラタン(藤)やアクリル、ステンレス、ワイヤーなど、軽やかさや透明感のある素材の家具を使うと韓国インテリアらしくなります」

「うねうねとしたカーブを描く形や丸みがある小物も韓国インテリアの特徴的なアイテムといえます」
よく使われるのが、水たまりのような形のカーブミラー。空間の主役になるような姿見サイズから、さりげないアクセントになりそうな小さなものまで、カーブの形状もさまざまなものがあります。

韓国インテリアっぽい家具や小物を配置してLDKや寝室などの一つの空間を作り上げるだけではなく、収納や照明計画、造作家具もあわせてトータルな世界観のある空間を作れるのは、やはりリノベーションならでは。完成度の高い韓国インテリアを成功させるポイントのひとつといえるでしょう。

白やベージュ、アースカラーのカラーリングや、木などの天然素材もよく使われる韓国インテリア。北欧をデザインルーツに持つ家具や照明類もよく使われているため、「北欧インテリアとの違いがよくわからない」と疑問を持つ人も多いかもしれません。
「私たちがデザインしていて、韓国インテリアと北欧インテリアのいちばんの違いを感じるのは、“木目の量”ですね。北欧インテリアは木をふんだんに使ったほっこり温かなテイストですが、韓国インテリアは木の分量が少なく無機質なイメージです」
北欧インテリア・・・節のあるフローリングや、木目が印象的な木の家具を多用
韓国インテリア・・・グレーのフロアシートやマーモリウムなど表情の少ない床材or淡色フローリング



韓国インテリアのお部屋を作りたい!と思っても、賃貸物件ではフローリングを変えたり壁に間接照明を仕込んだりするのは難しいもの。原状回復がマストの賃貸物件で韓国インテリアを作るには、物件選びにもポイントがありそうです。
「面積の大きい床や壁の色は、お部屋のイメージを大きく左右します。賃貸物件だと壁の色は白しか選べない場合も多いと思いますが、床材は節の目立たないフローリングの物件を選ぶと韓国インテリアが作りやすいと思います」
床材が濃い色の物件でも、置くだけの床材など原状回復可能な素材を使って好みの床色にするという手段もあります。

「生活感を少なくするために、見せたくないものをしまえるスペースがあることも大事。収納がしっかり確保された物件を選びたいところです」
加えて、上記で紹介した部屋のコーナーごとに照明を使う手法や、韓国インテリアを象徴するような家具・小物類を取り入れれば、賃貸でも韓国インテリアを満喫できるでしょう。

明るく淡い色のトーンでまとめられた韓国インテリアは、そこで過ごすのがうれしくなるようなハッピーオーラに満ちています。やさしい色の家具や小物で賃貸マンションの空間を彩るだけでも気分が変わりそうですし、リノベーションであれば、壁の色やフロア、間接照明までこだわった完成度の高い空間が作れます。自分の生活スタイルに合わせて取り入れれば、自宅で過ごす時間がますます充実したものになりそうです。
明るく淡いトーンに、軽やかな家具や丸みのある小物を合わせるのが韓国インテリアのコツ
コーナーごとに照明を配置し、生活感のあるものは収納を
木を多用しないことで北欧インテリアとの差別化に