リビングダイニングのつくり方　居心地の良いレイアウトとおしゃれな間取りのポイントを専門家が解説

リビング・ダイニング・キッチン、それぞれの違いを解説

「リビングは◯平米以上にしたい」「ダイニングキッチンの壁紙はこんな色にしたい」など、家づくりで頻繁に出てくるリビング、ダイニング、キッチンという言葉。同じ意味だと思われがちですが、実はそれぞれ役割や特徴が異なります。

リビング（＝L）とは？その役割と特徴

リビングは「リビングルーム」の略称で、家族が主に過ごす部屋、いわゆる「居間」や「茶の間」を指す言葉です。居間ではなくリビングという場合は、洋風の部屋であることが多く、間取りにおいては「L」と略記されることがあります。

日本ではこれまで、食事をしたり、布団を敷いて寝たりするのも、一つの部屋で行っていました。食事する部屋と寝る部屋が分けられた“食寝分離”が進められたのは戦後のことで、実はそれほど大昔というわけではありません。

そして、「LDK」という名前の間取りができる前は、リビングも、後述するダイニングも「お客さまをもてなす場所」「家族がくつろぐ場所」という機能を兼ねていました。日本ではあまり馴染みがありませんが、「家族がくつろぐ場所」を分けて、家族で過ごす「ファミリールーム」を備えた間取りも存在します。

幅が広いソファは家族団らんにもぴったり（画像提供／PIXTA）

ダイニング（＝D）とは？その役割と特徴

「ダイニングルーム」の略称であるダイニングは食事をするための部屋、いわゆる「食堂」や「食事室」を指す言葉で、本来はキッチンやリビングからも独立した部屋のことです。しかし、日本ではダイニング（D）のみの部屋は珍しく、ダイニングキッチン（DK）や後述するリビングダイニング（LD）が多くを占めます。間取りにおいては主に「D」と略記されることがあります。歴史を遡ってみると、戦後の食寝分離が始まったころは食べる場所と台所が合わさったDKの間取りが一般的でした。ダイニングは本来、テーブル（ダイニングテーブル）を使って食事をする場所を指しますが、昔の日本の住宅において、ダイニングテーブルは作業台＋朝食などの簡単な食事用とされ、夕食時は基本的に居間に座って食べていました。今でもダイニングテーブルを使用せずに床に座って食事をする家は珍しくありませんが、そう考えると、自然と食事とくつろぐ空間が一つで済むようになったので、間取りの主流がDKからLDへと変化したのかもしれませんね。

食事をゆったりと楽しむ空間（画像提供／PIXTA）

リビング・ダイニング（=LD）とは？その役割と特徴

リビング・ダイニングとは、リビングとダイニングの空間が一体となった部屋のことで、間取りにおいては主に「LD」と略記されることがあります。

戦後になって食寝分離が進み、寝室を分けることには慣れたものの、リビングとダイニングは分けず、一つの部屋で完結させる昔に近いライフスタイルが馴染みやすかったのかもしれません。そこで、LDという一体型の間取りが広まったのでしょう。

ダイニングテーブルからソファまでスムーズな間取り（画像提供／PIXTA）

キッチン（＝K）とは？その役割と特徴

キッチンとは調理をするための部屋、いわゆる「台所」や「調理室」を指す言葉です。部屋として独立しているものだけでなく、部屋の一部に調理コーナーがある場合もキッチンと呼びます。間取りにおいては「K」と略記されることがあります。

リビング、ダイニング、キッチンの間取り表記を理解しよう

間取図を見ていると、「1K」や「2DK」などと表記されています。間取図を見ただけで部屋のイメージが湧くよう、間取り表記について正しく理解しておきましょう。

「○K」は食事専用のスペース（D）や居間（L）がない間取り

本来、2Kなど「○K」の冒頭の数字は、寝室の数を表すものです。例えば、「2K」と表記される場合は「2つのベッドルーム＋キッチン」という意味になります。とはいえ、ベッドルームを全て寝室にする必要はなく、「2K＝2つの居室＋キッチン」と捉えても問題ありません。また、間取図の表示ルールによると、1Kは部屋とキッチンの間に間仕切りがあり、キッチン部分だけで2～4畳の広さがあるとされています。

ちなみに、ひと部屋で一部がキッチンになっている（オープンキッチン）場合は、Kが省略され「1R」（ワンルーム）と表記されます。ただし、本当にキッチンがない場合にも「1R」と表記されるため要注意です。

明るく開放感のある1R（ワンルーム）（画像提供／PIXTA）

「○DK」「○LDK」はリビング・ダイニング・キッチンが近接した間取りのこと

住宅で「1DK」と表記される場合、ダイニングとして使えるスペースとキッチンがある「1ベッドルーム＋DK」の間取りのことを指します。キッチンが独立していて「ベッドルーム＋D＋K」という場合も考えられますが、基本的には「居室兼寝室+DK」と考えていいでしょう。間取図の表示ルールによると、DKは合わせて4.5～8畳ほどの広さが目安とされています。

同じく「1LDK」と表記される場合、ベッドルームやリビング・ダイニング（LD）とキッチンを備えた「1ベッドルーム＋LDK」の間取りのことを指します。間取図の表示ルールによると、LDKは合わせて8畳以上の広さが目安とされています。キッチンが廊下にあるような「1ベッドルーム＋LD＋K」の場合も「1LDK」と表記されるので、詳細なレイアウトは間取図を確認する必要があります。

「○LK」とは？珍しい間取りの特徴

ごくまれですが、リビングにカウンターキッチンが隣接している「LK（リビングキッチン）」の間取りも存在します。一般的な間取りとしてはここまで紹介してきたR、K、DK、LDKがほとんどを占めるので、LKの間取りはかなり珍しいといっていいでしょう。

ちなみに、間取図に「S」とあるのは「サービスルーム」の略で、「準備室」や「納戸」などを指します。居住の基準として建築基準法に定められているように「居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上としなければならない」「採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、五分の一から十分の一までの間において居室の種類に応じ政令で定める割合以上としなければならない」など、居室としての条件を満たしていないスペースなのでこのように呼ばれます。

K/DK/LDK、それぞれどんなライフスタイルや家族構成に向いている？

ライフスタイルや家族構成などによって、最適な間取りもさまざま。では、「K」「DK」「LDK」はそれぞれどのような人や世帯に向いているのでしょうか。

一人暮らしなど、ミニマムに暮らしたいなら「必要な部屋数＋K」

食事をするスペースも居間もそれぞれ専用でなくても良い場合は、必要な部屋数＋「K」（R）で十分。掃除などの手間も減り、住居費なども比較的安く済むでしょう。例えば、2Kの部屋なら、キッチンに近接する1部屋をリビング兼ダイニングとして使い、もう1部屋を寝室兼仕事部屋にする、といった具合です。もちろん1Kであればリビングやダイニング、寝室も一つの部屋が兼ねることになります。

（画像提供／PIXTA）

少人数で、食事の場でそのままくつろぎたいならリビングダイニング兼用の間取り「必要な部屋数+DK」

1人または少人数の暮らしで、キッチンにある程度の広さが必要で、寝室と食事をするスペースを分けたい人には、必要な部屋数＋「DK」がオススメ。1Kだと、キッチンも最低限の大きさということは珍しくありませんが、DKのキッチンはある程度きちんと料理ができる広さがあるケースが一般的です。食事をした後は各自の居室でくつろぐもよし、そのままテーブルでテレビを見てもよし、という感じですね。

「ダイニングセットの代わりにソファセットを置き、そこで食事をとる」「ソファを置かなくてもダイニングセットでくつろいだりできるよう、通常よりも低いテーブルと椅子、もしくはソファタイプの椅子を選ぶ」といった工夫があれば、リビングがなくてもくつろぎの場をつくることができるでしょう。

（画像提供／PIXTA）

家族の人数が多く、人を呼ぶことも多く、食事とくつろぐ場を分けたいなら「必要な部屋数＋LDK」

家族の人数が多く一緒に過ごす空間を広くとりたい、人を呼ぶことが多いのでダイニングセットもソファセットも両方置きたい、食事の場と居間をしっかり分けたいという場合は、必要な部屋数＋「LDK」でしっかりスペースを確保するのが良いでしょう。

これまでなんとなく選んできたK/DK/LDKにも、よく見ると生活スタイルに合わせた使い方があるということがわかったのではないでしょうか。自分たちにピッタリな住まいを手に入れるためには間取りの構成だけでなく、L・D・Kそれぞれの広さはどれくらいあるか、L・D・K以外の部屋構成、どの部屋を何に使うのか──つまり、その家での理想の暮らしについてあらかじめよくイメージすることが大切なのです。

居心地の良いリビングダイニングのレイアウトをつくるためのポイント【編集部まとめ】

家の中でも特に過ごす時間の長い、リビングやダイニング。居心地の良いレイアウトにするためにはどうすればいいのでしょうか。

家族のライフスタイルや生活動線を考慮してレイアウトする

同じような家族構成、人数であっても、家庭によってライフスタイルはさまざまです。「テレワークなど自宅で仕事をする機会がある」「子どもにリビングで宿題をさせたい」など、目的に合わせて家具を配置することで、快適に過ごせるようになるでしょう。

また、リビングやダイニングで快適に過ごすためには、「家族が頻繁に行き来するエリアには家具を置かない」など、生活動線への意識も重要です。家具を配置する際は、人が通れる程度の幅を確保しておくのが鉄則。一般的に、1人が通れる幅は600mm程度、2人がすれ違うことができる幅は900～1200mm程度とされています。

部屋の広さや間取りに合わせて家具を選ぶ

リビングダイニングを快適な空間にするには、部屋の広さや間取りに合わせた家具選びが重要です。大きすぎる家具は動線を妨げ、小さすぎると物足りない印象になります。空間のバランスを考慮し、機能性とデザインを兼ね備えた家具を選びましょう。

リビングダイニング兼用の場合にオススメのソファ・テーブル

リビングダイニング兼用の場合、食事とくつろぎの両方のシーンに対応できるソファダイニングセットがオススメ。背もたれの角度を調節できるソファや、高さの調節が可能な昇降式テーブルを選べば、食事時とリラックス時の姿勢の違いに対応できます。

リビングがない間取り（DKやK）では、ダイニングテーブルの椅子をソファタイプにすることで、食卓を家族がくつろぐリラックススペースとしても使えるようになります。

また、コーナーソファと伸縮式のダイニングテーブルを組み合わせることも効果的です。普段はテーブルを小さくまとめておいて広々した空間を確保し、来客時にはテーブルを伸ばして多くの料理や食器を並べる、といった使い方ができるためです。収納つきのソファやテーブルを選べば、リビング用品やダイニング用品をスッキリと片づけることができるため、空間をより広く使えるでしょう。

リビングとダイニングを分ける場合にオススメのソファ・テーブル

リビングとダイニングを分ける場合、それぞれの空間の特性を生かした家具選びが重要です。

リビング側には、ゆったりとくつろげる大型のソファセットがオススメです。L字型ソファやカウチソファなら、家族全員で座るのに十分なスペースを確保できます。センターテーブルは、収納や昇降機能がついているものを選べば、生活シーンに応じた柔軟な使い方が可能になります。

ダイニング側のテーブルは、希望する形が配置できるかが重要です。長方形をはじめ、円形や半円、変形テーブルなど、さまざまな形がありますので、サイズや動線に応じてお好みのものを選択しましょう。椅子は、背もたれがあり、長時間座っても疲れにくいものを選びます。

両空間の調和を図るには、色調や素材感を統一することも大切です。例えば、リビングとダイニングを木目調の家具でそろえれば、温かみのある落ち着いた空間が生まれます。

おしゃれなリビングダイニングをつくるコツとは？

おしゃれなリビングダイニングをつくるには、統一感と個性のバランスが重要です。具体的には、家具のテイストをそろえることで空間に調和をもたらし、間接照明を効果的に使用することで雰囲気を演出するといった手法が挙げられます。また、アクセントとして小物や植物を取り入れれば、自分らしくくつろげる空間をつくり出せるでしょう。

家具のテイストを統一する

おしゃれなリビングダイニングをつくるうえでは、家具のテイストを統一することが重要です。統一感のある空間は、洗練された印象を与え、居心地の良さを高めます。

そのためには、まず、テーブルやチェアといった大型家具のスタイルを決めましょう。北欧風やモダン、ナチュラル、アンティークなどスタイルはさまざま。部屋の顔となる大型家具で全体の方向性を定めたら、その他の小型家具や小物類をそれに合わせて選んでいきます。

また、スタイルに加えて色調も統一することで、さらに上質な雰囲気を演出できます。例えば、木目調の家具でそろえれば温かみのある空間に、モノトーンで統一すればシックでモダンな雰囲気に。この時のポイントは、全ての家具を同じ色にするのではなく、同系色や補色も取り入れることです。それによって、雰囲気が単調になるのを防ぎ、奥行きのある空間を表現できます。

おしゃれな間接照明を取り入れる

間接照明は直接部屋を照らすのではなく、壁や天井などに光を反射させることで、明かりを拡散させる効果を持っています。明かりが空間を柔らかく包み込むため、部屋全体が温かみのある落ち着いた雰囲気になるでしょう。

間接照明ビギナーがまず取り入れたいのが、天井や壁に取り付けるブラケットライトやウォールウォッシャーです。これらは壁面を優しく照らすことで、空間に奥行きを与えます。次に、フロアスタンドを部屋の角に配置すると、より上品な光を加えられます。

また、テーブルランプをダイニングテーブルやサイドテーブルに置くと、食事や読書の時間に適度な明るさを確保できます。さらにLEDテープライトを家具の裏側や棚の内側に設置すれば、さりげない光の演出ができ、部屋全体がモダンな印象になります。

間接照明を効果的に配置することで、リビングダイニングは日常的な空間から、くつろぎと癒やしの特別な場所へと変貌するでしょう。

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  取材協力

  住吉さやか

  ｜Class S interior design代表。インテリアコーディネーター、アートライフスタイリスト・マスター
  大手ハウスメーカーで新築一戸建てのインテリアを3年間で約100件を担当。2018年7月に独立し、Class S interior designの代表に。さまざまなインテリアコーディネートを手掛け、アートのある暮らしを広めるための講師活動も行う