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シンクとコンロがL字型に並ぶL型キッチン。壁付けにも対面にもできるため、レイアウトの選択肢が幅広く、ライフスタイルや好みに合わせて導入しやすい点が人気の理由です。ここでは住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所の井上恵子さんにお話をうかがい、L型キッチンの特徴やメリット・デメリット、サイズ決めやレイアウトのコツについて紹介します。
「L型キッチンとは、アルファベットのLの形をしたキッチンのことです。L字の両翼にコンロとシンクをそれぞれ配置するレイアウトが一般的です。このレイアウトは後述しますが、ワークトライアングルがつくりやすく、作業効率が良くなることが魅力です。また、対面・壁付けどちらのタイプも対応可能です」(井上さん、以下同)

ウォール型(壁付けタイプ)は、部屋の角に合わせてL字の2辺が壁付けされたレイアウトです。設置スペースはそれほど必要でないため、キッチンが狭い家にもオススメです。調理中は壁に向かって作業しますので、集中しやすい点もメリットといえるでしょう。
ただし、照明の場所によっては手元が暗くなる場合もあります。設置の際は照明器具や窓の位置を工夫してください。
ペニンシュラ型(対面タイプ)は、一面を壁側、もう一方の面をリビング・ダイニングに向けたレイアウトです。調理しながら、リビング・ダイニングに目を向けやすいつくりとなっています。調理中に家族とコミュニケーションを取りたい、という方にもぴったりです。
ウォール型のL字キッチンの後ろに独立型の作業台を設置するのが、アイランド型L字キッチンです。作業スペースが広く取れるという利点があります。ほかの型と比較すると、レイアウトの自由度が高い点もメリットといえるでしょう。
ただし、設置には広いスペースが必要です。
キッチンスペースをほかの部屋とは分けて独立させたL字キッチンが、独立型L字キッチンです。調理に集中できる、料理の匂いがリビングに漏れにくい、キッチン周辺が来客の目に触れにくい、などのメリットがあります。
反対に、作業中に家族の様子を確認できない、配膳がしにくい、といった部分はデメリットとして挙げられる点です。

キッチンのレイアウトについてもっと詳しく
→【実例付き】壁付けキッチンのレイアウトはどうする?後悔しないためのコツを紹介
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「一般的なL型キッチンは両翼にコンロとシンクが配置してあり、コンロとシンクが一直線に並ぶI型キッチンと比べると効率の良い動線をつくることができます。また、シンクとコンロ、冷蔵庫を結ぶ三角形の動線をワークトライアングルと呼びますが、L型キッチンはワークトライアングルをコンパクトにつくりやすいというメリットがあります」

「L型キッチンはキャビネットの面積が広くなるため収納量が豊富です。また、壁付けのレイアウトなら吊り戸棚も活用できます。キッチンの背面スペースを活かして食器棚など大きな収納も設置可能です」

「作業スペースを広めに確保できる L型キッチンは、2人で調理しやすいというメリットがあります。作業スペースの形状がL字という特性により、お互いの様子を確認しやすいのもメリットといえます」

「シンクとコンロが一列に並ぶI型キッチンと比較すると、L型キッチンを採用するには広めのスペースが必要になります。特に対面式の場合は4.5畳程度のスペースが必要です。通路幅や家電の置き場所も検討してレイアウトを決定しましょう」

「L型キッチンの直角に折れ曲がっている部分がデッドスペースになりやすいので注意しましょう。コーナースペース専用の収納などを使用して、デッドスペースをつくらないように工夫したほうがよいでしょう」

「L型キッチンの価格はメーカーにより金額幅が異なりますが、大手住宅設備系のシステムキッチン本体で150万~200万円ほどが一般的な価格となります。仕上げ材はもちろんオーブンや食洗機など設備面のグレードによっても金額は異なります。メーカー品ではなく、セミオーダー、フルオーダーの造作キッチンを採用することも可能です。注文住宅であれば選択の幅も広がるので、予算や希望に合わせて検討してみてください」

L型キッチンのサイズとレイアウトの目安を部分ごとに紹介します。
「日本工業規格(JIS)では、キッチンのワークトップの奥行きを60cmまたは65cmと定めています。これは、調理作業のためのスペース(作業域)を考慮して定められた寸法であり、一般的に使用する場合に使いやすいとされる奥行きです」
「作業スペースとは、シンクやコンロを除いた部分で調理や盛り付けをする場所のこと。4人家族の場合、作業スペースは横幅50cm~60cm程度あるとよいでしょう。
横幅50cm~60cm、奥行き60cm~65cm程度あれば、直径24cmのお皿を4枚並べることができる広さになります。直径24cmのお皿は食洗機への収まりがよいサイズです」
「シンクの標準幅は75cm~80cmです。4人家族でも十分使いやすいサイズですが、さらにゆったりと使いたい場合は90cm幅のジャンボサイズがオススメです。また、コンロの横幅は60cmが平均です」
「日本工業規格(JIS)では、ワークトップの高さを80cm、85cm、90cm、95cmと5cm刻みで定められています。メーカー製造品のキッチンの場合はこの中から使いやすい高さを選ぶ方が多いです。作業しやすい調理台の高さの一般的な目安は『身長÷2+5cm』の式で算出することができます。なお、コンロの場合は鍋をのぞき込む動作をするため、計算式の目安より3cm低いほうが使いやすくなります」

L字キッチンで後悔しないために、注意するべき6つのポイントをご紹介します。
「ワークトライアングル」とは、シンク・コンロ・冷蔵庫の3つを結んだ作業動線のことです。結んだ動線の形が正三角形に近いほど、作業効率が良くなります。L字キッチンのレイアウトはワークトライアングルを意識しながら考えましょう。
また、作業動線を良くするためには、ワークトライアングルの3辺の合計を360cm~600cmの間に収めるのが良いとされています。これ以上、もしくは以下になるとキッチンが使いにくくなるため注意してください。
一般的にL字キッチンのサイズで最も小さいものは180cm×165cmです。15cm刻みで設定できますので、必要な作業スペースを確保できるサイズで決定しましょう。奥行きについても、60cmもしくは65cmから選択できます。
調理器具が多い方は収納スペースが多いタイプのL字キッチンを選びましょう。複数人で調理作業をすることが多い方は作業スペースを十分に取る必要があります。
また、動きやすい動線のため、電子レンジ、オーブン、炊飯器、冷蔵庫などの調理器具を配置するスペースもあらかじめ確保しておきましょう。
L字キッチンを選ぶ際は、家電やコンセントの配置についても事前にしっかり考えておきましょう。例えば、デッドスペースになりやすいコーナー部分は調理家電を置く場所にする、冷蔵庫はスムーズな動線を邪魔しない場所に置く、などを念頭にコンセントを家電の場所・数に合うよう設置してください。
L字キッチンはI型キッチンよりも設置スペースを広く取る必要があります。設置の際は、リビングやダイニングを圧迫していないかまで考えましょう。圧迫感がでないように、壁などの仕切りがない「オープンレイアウト」にするのも一つの手です。
キッチンに限らず、家の設備は数十年間使い続ける前提で設置しなければなりません。L字キッチンでいえば、ワークトップが高いものを選ぶと、年を重ねて身長が縮んだときに使いにくくなる可能性があります。また、奥行きの深いコーナー部分に手が届かなくなるかもしれません。
将来にわたって不自由なく使える設備・レイアウトを考えましょう。
対面式キッチンでリビング側から腰壁が見える場合は、腰壁にタイルなどアクセントとなる素材を張るとおしゃれになります。デザインに凝りたい人やキッチンに個性を演出したい人に人気の手法です。

デッドスペース化しやすいコーナー部分。ワークトップ上部には調理家電や花瓶を置くとおしゃれに見せることができます。壁付けの場合はコーナーラックを置くと収納量も増えて便利です。キャビネット内部には回転トレーなどを設置すると物が取り出しやすくなります。

「標準よりも大きなワークトップを採用すると、インパクトがありキッチンがインテリアの一部のような印象になります。調理だけでなく食卓としても活用したい場合や、料理教室など複数人で使用する場合は大きいサイズを選択してみるのもよいかもしれません」

「デザインや設備の仕様、サイズなどを自由に決められるのがオーダーメードキッチンの魅力です。国内外にさまざまなオーダーメードキッチンの会社があるので、ぜひ調べてみてください。自分にとって使いやすいキッチンを実現できますよ」

ここからは、L型キッチンの代表的な間取りを4つ紹介します。
キッチンが壁付けしてあるウォール型。油や水がはねた場合も手入れしやすく、出窓を設けて換気ができるようにすればにおいや煙が生活空間に広がるのを防ぐことができます。
対面キッチンと比べると空間を有効に活用できるため、図のようにダイニングテーブルを置くことも可能です。

L型キッチンの片面が壁に設置されているペニンシュラ型。家族とコミュニケーションを取りながら作業ができるのは、対面キッチンの魅力です。ダイニングテーブルを図のように設置すると配膳しやすくなり便利です。

カウンターを設置したアイランド型のL型キッチン。ほかの型と比べて作業スペースを多く設けることができるため、本格的に料理をしたい人に人気の間取りです。カウンターをダイニングテーブル代わりに使用することも可能です。

近年は対面式のキッチンが主流ですが、独立した個室タイプのL型キッチンもあります。作業に集中したい人、においや煙、音が生活スペースに広がることを避けたい人に向いている間取りです。また、独立タイプは出入口にベビーゲートを設置しやすいのが利点です。

最後に、L型キッチンを住まいに取り入れるときのコツを井上さんにうかがいました。
「L型キッチンの導入を検討している方は、日常的にキッチンをどのように使いたいかを具体的にイメージし、サイズやレイアウトを決めるとよいでしょう。対面キッチンはリビングやダイニングとの統一感も大切です。デザインの統一感や、家具・家電のレイアウト、収納計画を工夫することで、おしゃれで使いやすいL型キッチンを実現できます」
サイズやレイアウトに注意して使いやすいL型キッチンにしよう
L型キッチンとは、アルファベットのL字にレイアウトしたキッチンのこと
便利な作業動線を確保できる
限られた面積の中でコンパクトなキッチンにしたい場合は不向き