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平屋を建てるとき、建物の広さ床面積を30坪(100平方メートル)確保できれば、間取りの自由度はぐっと高まります。暮らしやすくおしゃれな30坪の平屋の間取りを作る上で気をつけたい点について、一級建築士事務所 秋山立花の秋山怜史さんに教えていただきました。
さらに、さまざまな坪別の「30坪の平屋の間取り」の成功例も紹介します。
30坪の平屋の広さは、およそ100平方メートルで、約60畳。30坪の広さがあれば、自分たちの希望に応じた間取りを作りやすくなりますが、30坪の平屋を建てることを検討する場合、注意しておきたいポイントもあります。
「30坪の平屋を建てる場合、例えば建蔽率(以下、建ぺい率)50%の土地だとしたら60坪の土地の広さが必要です。広い庭も欲しいなどの希望があれば65坪、70坪の敷地が必要になることを考えておかなければなりません」(秋山さん、以下同)
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合です。平屋の場合は「床面積=建築面積」になります。地域によって建ぺい率の規定は異なりますが、30坪の平屋を建てたいと考える場合は、2階建てで床面積30坪の家を建てる場合よりも広い敷地が必要です。

さらに、その土地が平屋を建てるのに適した周辺環境かどうかというのも大事な点です。平屋は1階のみなので、周囲を建物に囲まれてしまうような土地では日当たりや採光の確保が難しくなります。

生活スペースがワンフロアに集約される平屋の暮らしは、上からも下からも熱の影響を受けやすくなります。夏は屋根からの熱、冬は地面からの冷えに悩まされることにならないよう、しっかりとした断熱対策が不可欠です。
「平屋の場合、特に屋根については面積が大きくなるので断熱対策をきちんと行いましょう。ハウスメーカーなどの規格プランで平屋を建てる場合も、標準仕様でどの程度断熱対策が行われているのか、必ず確認をしてください。
住み始めてから冷暖房費がかさむなどの問題が起きないように、断熱対策については事前に設計者などと相談しておく必要があります」

2階部分のない平屋は構造的にも安定しているため、開口部をたくさんとることができます。
「平屋の場合、間取りや建物デザインの自由度が高いため、光や風を多く取り込めるようなプランニングも可能です。開口部も大きくとれるので、風通しの良さを意識したプランにすると快適に暮らせると思います」
外との距離が近い暮らしができるというのは平屋の特長の一つですが、室内に自然の風や光をたくさん取り込むことで、より「平屋らしい暮らし」を実現できそうです。

住宅金融支援機構が公表している「2024年度 フラット35利用者調査」によると、注文住宅の建築費の全国平均は、3932.1万円です。住宅面積が118.5平方メートル(約35.85坪)のため、坪単価は約110万円であることが分かります。
つまり、30坪の建築費用は約3300万円です。ただし、平屋と2階建てが分けられている金額ではありません。一般的には2階建てよりも、平屋を建てる際の価格が高いといわれています。
また、地域や建築会社、土地の状況などによっても価格差が生じるため、複数の会社から見積もりをとり、納得のいく建築会社を選ぶようにしましょう。
30坪の広さがあれば、4人家族がゆったりと暮らせる広さです。空間に余裕をもたせたり、暮らしに合わせたプラスアルファを計画することも可能です。
「30坪の広さがあれば、5人家族で、主寝室に加えて子ども部屋を3つというような4LDKを作ることも可能ですが、その場合はあまりゆとりのないプランになります。
床面積に余裕があるからといって、必ずしも部屋数を多く作る必要はないので、居住空間のゆとりを重視して、リビングや個室を広くプランニングするというのもいいでしょう」
30坪の平屋であれば、4LDKの間取りも作ることは可能ですが、居住空間をゆったりと作りたいという場合は3LDKまでが目安と考えておきましょう。
4人家族であれば、25坪程度でも十分快適な平屋をプランニングすることは可能ですが、30坪確保できれば、同じ3LDKの間取りであっても、中庭や収納など、暮らし方に合わせてプラスアルファの空間を設けることができます。
「中庭自体は床面積に含まれませんが、通常中庭を作る場合は廊下部分の面積が必要になります。居室の掃き出し窓から中庭に出入りできるような設計にすれば、廊下を作らず中庭を設けることも可能ではあります。もし25坪の平屋で中庭を作りたいとなると、廊下部分に面積を取られることが多いので、リビングや個室部分にゆとりがなくなる可能性があります。一方で、30坪の広さがあれば中庭のプランニングもしやすいでしょう」
平屋の場合、中庭のほかにも、ウッドデッキや縁側など、屋外空間を楽しむスペースを希望する人も少なくありません。これらのスペースは屋根や軒がなければ延べ床面積に含まれませんが、1m以上の軒などがある場合は床面積に含まれます。言い換えれば、30坪の平屋であれば、面積に余裕がある分、軒の深い縁側などを作ることも可能になります。
平屋の場合、2階建てに比べると床面積が狭くなりがちということで、収納スペースの確保に頭を悩ます人も少なくありませんが、30坪の広さがあれば、十分な収納スペースを確保することが可能です。
「床面積に余裕があるのなら、収納の部分を充実させることもできます。例えばキッチンには必要なものを収納できるサイズのパントリーを作ることもできますし、個室には広いウォークインクローゼットを作ることもできます」
「30坪の平屋で部屋数がそれほど多くなければ、廊下も確保できるので、プライベートな動線とパブリックな動線を分けてプランニングすることも可能です」
例えば、玄関からリビングへの動線のほかに、各個室に移動できる動線などを設けておくと、ゲストを招いたときも、プライベート空間を見せずに済みます。
ワンフロアに人が集まり、コミュニケーションがとりやすい平屋だからこそ、プライバシーを確保できる動線をプランニングできるというのは、面積にゆとりがある場合のうれしいポイントです。
床面積の広さにかかわらず、平屋の場合はプラスアルファの空間としてロフトを作る人も少なくありません。天井高を高くしてロフトを作ることで、空間を広く見せることもできます。
「平屋は建物の高さ制限を受けることがないので、天井高を自由に設定することができます。天井高を高くできることから、空間を広く見せるなどの目的で、リビングとつながりを感じられるようなロフトを作ることを検討する人も多いです。ロフトを作ることで、上下空間の広がりを感じることもできるので、子どものいるファミリーなどは面白く活用することができるかもしれません」
収納スペースとしてロフトを使いたいと考えている場合は、ものの出し入れが難しい場所であるため、収納するものや使いやすさを考慮して検討するのがオススメです。
30坪の平屋であれば、自分たちの暮らしに合わせて、さまざまなプランニングが可能です。今回は実際に30坪でどのような平屋を建てられるのか、実例を紹介します。


想定以上に広い土地を購入できたことで、広さを活かした平屋を建てることにしたIさん。南向きのウッドデッキを囲うコの字型の間取りで、どの空間にいても視線が抜けるため、晴れ晴れとした気持ちで過ごせるといいます。
コの字型という形の特長を活かし、住まいは生活シーンに合わせてゾーニング。片方は家族が使うオープンなスペースとしてLDKや水回りなどを配置し、間仕切りをほぼ設けないオープンな空間にしました。さらに、リビングから寝室への通路になる部分はスタディスペースにするなど、空間を無駄なく活用する工夫がされています。
また、リビングの空間は勾配天井による縦の広がりに加え、ウッドデッキとのつながりで横にも広がりを感じられるので、実際の面積よりも広く感じられるそうです。

【DATA】
延床面積:101.02平方メートル(30.5坪)
敷地面積:311.08平方メートル(94.1坪)
家族構成:夫婦+子ども1人
(実例写真・間取図提供:三心)


将来の暮らしを考えて、上下移動なく暮らせる平屋を選んだAさん。室内のドアは全て上吊(づ)り引き戸にするなど、住まいづくりではバリアフリーに徹底的にこだわったそうです。
洋室やタタミコーナーは、今後のライフスタイルの変化に合わせて多目的に使いやすいよう、中央のLDKに隣接。洗面脱衣室から浴室やランドリースペースに行き来できるよう、家事動線も工夫されています。
また、妻がこだわった南側に面するランドリースペースは日当たりが良く、室内干しもできる空間。カウンターでアイロンをかけることもできます。
家を建てて後悔したくないと、住宅性能については特に重視したというAさん。断熱性能にもこだわったそうで、夏でも家に帰ってくると涼しいなと感じるほど、住まいの住み心地には本当に満足しているといいます。

【DATA】
延床面積:103.09平方メートル(31.1坪)
敷地面積:255.00平方メートル(77.1坪)
家族構成:夫妻
(実例写真・間取図提供:富士住建)
30坪の平屋なら、ライフスタイルや理想の暮らしに応じた間取りを作りやすくなります。記事で紹介した間取りづくりの注意点も踏まえた上で、暮らしやすい平屋を建ててみてはいかがでしょうか?
30坪の平屋なら4人家族も快適に暮らせる、ゆとりの3LDKが可能
開口部をたくさんとれるので、光や風を取り込む工夫をすると◎
中庭や収納など、プラスアルファの希望もかなえやすい