玄関の広さの理想は?2畳・3畳の目安と失敗しない間取りのポイントを解説

最終更新日 2025年07月07日
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玄関の広さの理想は?2畳・3畳の目安と失敗しない間取りのポイントを解説

玄関は「家の顔」ともいえる空間ですが、玄関の広さや収納について考えたことは少ないのでは?そこで、玄関の広さの目安や収納の選び方、玄関ホールの広さや必要な畳数、明るく使い勝手の良い空間をつくるコツなどについて、建築士の白崎治代さんに教えていただきました。

玄関の広さはどうやって決める?たたきとホールのバランスは?

一般的な間取りでいう玄関は、土足で入る「たたき(三和土)」と、廊下などにつながる「ホール」から構成された空間のこと。では、この玄関部分はどのくらいの面積を確保すれば良いのでしょうか。

2畳(1坪)は確保したいが、家の広さや家族構成とのバランスが大事

「戸建住宅の場合、玄関の広さは最低2畳確保したいですね。2畳では狭いと思うかもしれませんが、廊下や階段とうまくつなげたり、窓を適切に設けて視線を通したりすることで、実際よりも広く感じさせることは可能です。

ただし、家の広さとの兼ね合いはとても重要です。50~60坪の広い家なのに、玄関の広さが2畳ではバランスが悪いですよね。一方で30坪程度の広さの家なら2畳より狭くして、その分リビングなどを広くする方が良いこともあります」(シーズ・アーキスタディオ 白崎治代さん、以下同)

また、家族構成や使い方も配慮すべきポイント。
「二世帯住宅など大人数で住んでいる場合は、帰宅・外出時に2~3人は玄関に入れるように広めにしたいですね。玄関先で近所の方と話をする機会や、軽い接客をする機会が多い場合にも広めにした方が良いと思います」

玄関の広さが2畳(1坪)のイメージ
玄関の広さの目安イメージ
左/幅1.82m×奥行き1.82m。右/幅1.64m×奥行き2.03m。同じ2畳でも幅や奥行きによって印象は異なります(イラスト/長岡伸行)

玄関の幅は、1m以上を目安に

玄関の広さを約2畳(1坪)にする場合は約3.3m2のスペースが必要になりますが、最小限に抑えるにはどのくらいの幅や奥行きが必要なのでしょうか。

「玄関の幅の決め方ですが、人間1人の幅は約50cmなので、1m程度あれば多少きつくなりますが2人が並んで立つことができます。幅を1m程度確保するのが難しい場合には、奥行きを1m以上と深めにして前後に並べるようにすると良いでしょう」

玄関のたたきの広さは、何を置きたいかによって決める

たたきの広さは、どのように決めると良いのでしょうか。

「たたきの広さは、ホールの広さとの兼ね合いと、何を置きたいのかをイメージして決めてください。例えば、靴や傘などを入れる収納(下足入れ)を置きたいか、普段履きの靴やサンダルを何足出しておきたいか、ベビーカーや自転車を常時置いておきたいか、靴を履くためのベンチを置きたいかなどを検討しましょう」

玄関ポーチの広さも重要

玄関の広さを考える上で、もうひとつ知っておきたいのが「玄関ポーチ」です。ポーチとは、屋外の玄関前スペースのこと。庇(ひさし)の下だとイメージするとわかりやすいですね。

家族で一緒に帰ってきたときや来客が複数人来たときを想定すると、玄関ポーチは2〜3名が並んで立てる広さが理想。180cm×90cm(約1畳)ほどのスペースを確保している事例が多いですが、ベビーカーや自転車の出入り、複数人での利用が想定される家族構成の場合はもう少し広めに180cm×120cm以上を確保するとより快適に過ごせるでしょう。

明るく風通しの良い玄関にするコツは?

家族が毎日使い、お客様をお迎えすることも多い玄関は、明るく風通しの良い空間にしたいもの。開放的な玄関にするためのコツを聞きました。

開閉できる窓を設けるとベター

「心地よい自然の光や風を取り入れるために、窓を設けると良いですね。ただ、道路側に面している玄関の場合は、家の中の気配が伝わりやすい“大きな窓”は防犯上オススメしません。人が入れない細長い形状やサイズで、開閉できる窓にすれば、採光も通風も確保できて防犯面も安心です」

玄関に窓を設けるのが難しい場合は、開閉できる小窓が付いた玄関ドアを選択するのも良いでしょう。比較的簡単なリフォームで交換することも可能です。

照明は設置する位置に注意

玄関の照明は、設置する位置に注意が必要です。

「玄関の広さにもよりますが、たたきとホールの天井に1個ずつ照明を設ければ、十分に明るい空間がつくれます。

もし、照明を1個だけ設置するなら、上がり框(かまち)の真上の天井に設けるのはNGです。というのも、靴を履くために框に腰かけたり屈んだりするときに、自分の影で足元が暗くなってしまうからです。できるだけたたき側にも1個照明を設けて、足元に影ができるのを防ぎましょう」

照明はスイッチを2カ所設置できる3路スイッチにして、玄関と廊下の両方で点灯・消灯ができるようにすれば帰宅・外出時に役立ちます。また、人感センサーを使えば、荷物で両手が塞がっているときや、子どもを抱っこしているときなどに便利です。

玄関の照明の位置のイメージ
照明を上がり框の真上に設置すると、靴を履くときに影になってしまいます。たたき側にも照明を設ければ足元に影ができません(イラスト/長岡伸行)

玄関収納のタイプや収納量の決め方は?

靴や傘、子どものおもちゃやスポーツ用品など、玄関にしまいたい荷物は意外と多いもの。玄関収納のタイプや収納量についてもしっかり考えましょう。

収納量は、家族構成やしまいたい物などで決める

玄関収納のタイプは、家具や造作のシューズボックス(下駄箱)を設置するか、人が中に入れるシューズインクロークを設けるのが一般的です。

「収納のタイプは、靴や傘以外に、何をしまいたいかで決めましょう。最近では、ベビーカーや三輪車、ガーデニングやアウトドアグッズなども収納できる、広めのシューズインクロークが人気です。

収納量は、家族の人数をベースに、しまう物の量を考慮して確保しましょう。男性より女性の方が靴の所有量が多く、ブーツやサンダルなど大きさもさまざまなので、ご家族に女性が多い場合は収納量を多めにして、棚板の位置が動かせるタイプにすると使い勝手が良いと思います」

シューズインクロークが3畳あれば、ウォークスルー型にしても

シューズインクロークを設ける場合、スペースはどの程度あると良いのでしょうか。

「ウィークイン型なら、2畳あればかなりの物が収納できると思います。通り抜けできるウォークスルー型の場合、出入口のために壁面を二面使いますし、通路に物が置けないので、スペースの形にもよりますが3畳程度はないと“思ったより収納できない……”となる可能性があります」

ちなみに、シューズボックスやシューズインクローク内部の、靴を置く棚板の奥行きの目安は約30cmです。シューズボックスに扉を設けるときは、扉や背板の厚み分などを含めて奥行きは40cm程度必要になります。

「シューズボックスに扉を設ける場合、ホール側からも開閉や取り出しができるように計画しましょう。そうしないと、ボックスの中の来客用スリッパを出し入れするとき、たたき側に降りることになり不便です」

収納内部の湿気&臭いの対策を忘れずに

玄関収納は靴や傘、外で使う物をしまうため、湿気や臭い対策が重要になります。

「扉付きのシューズボックスを造作するなら、一番下の底板を設置せずに下側から通気させる方法や、横側の目立たない場所に通気口を設けて通気させる方法があります。

シューズインクロークの場合、換気用の窓や、換気扇の設置をオススメします。現在、建築基準法で24時間換気システムの設置が義務付けられていて、家のどこかの換気扇を常に回す必要がありますが、シューズインクロークの中の換気扇を回せば、湿気も臭いも排出できて一石二鳥です。湿度センサー付きの換気扇なら、いつもは弱運転、湿度が高いと自動的に強運転に切り替わり、とても便利ですよ」

【間取図付き】玄関収納のタイプ別・実例を紹介

ここからは、玄関収納のタイプ別に、間取図と写真で実例を紹介しましょう。

【実例1】シューズボックスを壁面一面に設けて、広さも収納量も確保

Iさんのお住まいの玄関です。当初は家族用と来客用の2WAY動線のシューズインクロークをつくることを考えたそうですが、それより広さを優先。壁一面にシューズボックスを設けて、収納量をしっかり確保しています。壁面収納の中央部分と、廊下のつき当たりに窓を設けることで、明るく広々とした玄関になりました。

窓を設け、明るく広々とした玄関
つき当たりの窓から入る光に視線が導かれ、より広く感じられる玄関に(写真/杉浦幹雄)
実例1の間取図
上がり框を斜めに配したことで、出入りできる幅が広くなり、さらにゆとりが生まれます

【実例2】ウォークスルーのシューズインクロークで、動線・通風・採光を良く

Fさんのお住まいは、玄関に2.2畳の広々とした収納スペースが設置されています。たたき側とホール側から出入りできるウォークスルー型で、たたき側の出入口には縦格子の引戸を設け、視線を緩やかに遮りつつ通気を確保。収納スペースの中の2つの横長の窓と、小窓付きの玄関ドアにより、やさしい自然光が入る空間になりました。

ウォークスルー型のシューズインクロークを設けた玄関
収納内の棚板は、靴の高さに応じて可動できるタイプにして使い勝手を良く(写真/アラキシン)
実例2の間取図
シューズインクロークは土間部分も広いので、ベビーカーやアウトドア用品の収納もOK

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【実例3】シューズインクロークと広いたたきで、利便性&収納力の高い玄関に

Kさんのお住まいの玄関は、奥行きがあるたたきの先にシューズインクロークを設けています。たたきには、以前からあると便利だと思っていた手洗いカウンターを設置、その他にベンチや通勤・通学に使う自転車を置くなど利便性の高いスペースです。シューズインクロークは階段下の一部分も取り込み、収納力をアップさせています。

手洗いカウンターを設置した玄関
玄関入ってすぐの場所に、手洗いカウンターを設置
自転車も置ける広い玄関
縦長に広いたたきには、自転車を置くこともできます(写真/一井りょう)
実例3の間取図
階段下の一部分も、シューズインクロークに取り込み活用しています

玄関設計の失敗例と対策

せっかくマイホームを手に入れたのに、「収納が足りない」「なんだか暗い」など玄関がイマイチ……。でも諦める必要はありません!最後に、よくある失敗パターンとその解決策をご紹介します。

よくある玄関の失敗パターンとその解決策

よくある玄関の失敗パターンとして多いのが、以下の事例。

  • スペースが狭く、動きづらい
  • 採光が悪く、日中も暗い
  • 収納が少なく、荷物が溢れている
  • 自転車やベビーカーを置けない
  • 掃除しづらい設計
  • おしゃれではない

なかでも収納不足や狭さ、暗さに悩むオーナーが多いようです。

収納不足を解消するアイデア

スペースが十分に確保できていないと、動きづらく、荷物も思うように収納できないもの。靴、子どもの自転車(三輪車)やおもちゃ、傘、掃除用具などを床に直置きしてしまってごちゃごちゃして見える……というケースも多いようです。設計時点で収納を多く確保するのが理想ですが、すでに完成してしまっている場合は収納の中を見直してみましょう。

最近は、上下の高さを活用して1足分のスペースで2足分を収納できる便利グッズや靴箱下に追加するラックなども販売されています。また、中が収納スペースになった腰かけベンチなどもオススメです。デッドスペースをなくし、上手に収納していきましょう。

暗い玄関を明るく改善する方法

玄関の採光が悪く、日中でも暗い雰囲気だと、なんとなく家全体がどんより見えてしまいます。外の光を取り入れられるスリット入りの玄関ドアが理想ですが、ドアの取り替えは費用も手間もかかるためハードルが高いでしょう。

簡単に玄関を明るくしたいなら、照明とマットに工夫を。センサーライト付きの照明にすると人が来た瞬間にパッと明るくなります。あたたかみのある電球色もいいですが、より明るさを求めるならば昼光色や昼白色ライトが最適。加えて、玄関マットを明るいカラーかつ大きめのものに変えると空間全体が華やかになります。

広さ・収納・明るさと風通しに配慮して、快適な玄関をつくろう

玄関は、狭すぎると複数人で使いにくく、広すぎても無駄な空間になりがちです。最低2畳を目安にして、家の広さとの兼ね合いや家族の人数を考慮して決めると良いでしょう。すっきりとした空間をつくるために、玄関収納はとても重要なので、しまいたい物の種類や量、家族構成をふまえて計画を立ててください。

また、ともすると暗くて臭いがこもりがちな空間になるので、窓や照明の位置にも工夫し、明るくて快適な玄関をつくりましょう。

まとめ

玄関の広さは、約2畳(1坪)は確保したいものの、家の広さや家族構成との兼ね合いも大事

玄関ポーチは、180cm×120cm以上あるとゆったり動ける

玄関に開閉できる窓を設けて、採光と通風を確保できるとベター。難しい場合は小窓付きの玄関ドアでも

玄関収納の量は、家族構成やしまいたい物を考慮して決める。収納内部の臭い/湿気対策を忘れずに

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取材・文/SUUMO編集部 イラスト/長岡伸行
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