私道負担とは?私道と公道の見分け方やよくあるトラブルをわかりやすく解説

最終更新日 2025年07月23日
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私道負担とは?私道と公道の見分け方や起こりやすいトラブルをわかりやすく解説

購入検討中の土地が私道に接する場合、家を建てるときや道を通行する際に制限が発生することがあります。私道と公道の違い、私道に接する土地を買う前に知っておきたい私道負担のことや注意点、私道負担ありの土地を買うメリット・デメリットなどについて、不動産コンサルタントの田中さんに教えてもらいました。

私道と公道の違い

国や各自治体が所有する道路を公道と呼び、それ以外の、個人や団体などが所有する道路は私道と呼ばれます。どちらも基本的に道路の所有者が整備や管理を行い、私道についてはその所有者が通行許可を出す権限を有します。

これらの違いに起因する注意点については後述します。

「建築基準法上の道路」かどうか確認することが重要

「家を建てるなら、まずは『建築基準法上の道路』かどうかを調べる必要があります。公道であれ私道であれ、建築基準法上の道路ならば、その道路に面した土地に家を建てることができます。中には『通路』としか認められていない公道や私道もあります。その場合は家を建てることができません」(不動産コンサルタント・田中歩(たなか・あゆむ)さん。以下同)

建築基準法の定めで建築物の敷地は「幅員(※1)4m以上の道路に2m以上接しなければならない」と定められています。これがいわゆる接道義務で、それが公道か私道かは問いません。

ちなみに4m未満の道路でも建築が認められる場合もあります。

「例えば昔は幅が一間(約1.8m)など4m未満の道路が多かったのですが、その中には建築基準法ができる前から周囲の人々が道路として使っている道もあります。それらの中には建築基準法上の道路として認められた(建築基準法42条第2項)道路もあります」

そのほかにも建築基準法の第43条2項2号により、建築基準法上の道路に該当しなくても建築できる場合もあります。まずは、各自治体の窓口で建築可能な道路かどうかを調べるようにしましょう。

※1 ふくいん。道路の幅を指す

よくある私道のパターンと私道の所有者について

私道はさまざまな事情によって生まれるため、いくつかパターンがあります。その中でもよくある3つのパターンを下記に挙げてみましょう。

よくある私道のパターン

よくある私道のパターン
(図版作成/SUUMO編集部)

上記のような私道でよくあるのは、地主や不動産会社が持っている土地を分譲地として販売する際に、道路をつくったケースです。

誰が私道の所有者か

私道の所有者は以下のパターンが考えられます。

(1)地主
(2)土地を購入した人たちの共有名義
(3)土地を購入した人々による私道の分筆(下記図参照)

土地を購入した人々で私道を分筆
土地を購入した人々で私道を分筆
黄色が私道。Aの敷地の所有者がa、Bはb……というように私道に面する土地の所有者同士が、私道を分筆(分割)して持ち合う。自分の土地に隣接する私道部分を所有することもあるが、図のようにあえて違う所有者の土地に接する私道(飛び地)を所有(Fがaを所有するなど)していることが多い(図版作成/SUUMO編集部)

(2)の共有名義になっている私道とは、例を挙げると、マンションのゴミ置き場やエレベーターのような共有部分と考えるとわかりやすいでしょう。一方(3)の私道を分筆する方法は一見特殊に思えますが、そうする理由があります。

「30年ほど前までは(3)土地を購入した人々で私道を分筆して飛び地で所有することが意外と多かったのです。他の所有者との関係が悪化しても、私道の通行上の不利を被らないようにお互いが牽制する意味合いがあったようです。しかも理由ははっきりしませんが、図のようにランダムに持ち合うことが多いのです」

私道負担とは

私道負担とは、敷地内に私道部分が含まれているケースや敷地のほかに私道部分を別途保有または共有しているケースを指します。中でも接道義務を果たすために、敷地の一部を道路(私道)として扱い、道路の幅を4m以上にするケースが多いです。

私道負担のひとつにセットバックがある

セットバックとは、幅員4m未満の道路がある場合、接道義務を果たすためにその道路に接する敷地を後退させて道幅を4m以上確保しましょうというルールを指します。これは消防車などの緊急車両が通行できるようにすることなどが目的とされています。

セットバックのある私道負担
セットバックのある私道負担
現状の公道が2mだった場合、その道路に面した土地AとBはそれぞれ道路の中心から2mセットバックすることで道路幅を4m以上にする。上図では真ん中が公道だが、私道のケースもある(図版作成/SUUMO編集部)

これまでは宅地として使用されていなかったことから道路幅に問題がなかった場合でも、宅地として造成する際に、接道義務を果たすため図のようにセットバックする場合があります。こうした土地は販売時に「セットバック」と広告などに記載されていますし、不動産会社からも説明されるはずです。また、セットバック済みの中古住宅を購入する場合でも、引き続きセットバックした状態を維持する必要があり、私道部分には何も建てられません。

なお、先述した(2)の共有名義になっている私道や(3)の分筆された私道に面する土地を購入する場合も、私道負担ありの土地ということになります。

上記図を例にすると、(2)の共有名義の私道に面する土地を購入したい場合、購入者は敷地以外の私道負担分も含めて購入し、共有名義に加わることになります。そうでなければ、下手をすると私道が通行不可能になるリスクを負うことにもなりかねません。

(3)の私道が分筆されている場合でも、売主が所有する私道部分のみ買わない選択もできます。しかし、将来不都合が生じる可能性があるため、大半の場合はセットで購入することになります。

私道負担にはセットバックのほかに私道持分と私道所有がある

私道持ち分 共同所有型とは 

私道持分とは、ひとつの私道に複数の敷地が接する場合、その道路を通行する必要のある敷地所有者全員で共有する所有権のことを指し、共同所有型と言います。

共同所有型は私道に接する土地の所有者全員が、均等な割合の持ち分で共同で共有します。

私道所有 相持合合型とは 

また、共同所有型の私道持分のほか、私道の一部を単独で所有する相互持合型もあります。

相互持合型は、ひとつの私道を分筆し、その各筆を私道に接する土地の所有者全員がそれぞれ所有する状態のこと。単独所有されている私道を組み合わせて、一本の道を成立させます。

私道負担部分の固定資産税はどうなる?

私道には固定資産税がかかります。上で挙げた私道の所有者別にいえば、(1)の地主が所有者の場合、納付する義務は地主にあります。自分の敷地をセットバックしてつくった私道も同様です。(2)の共有名義では関係者それぞれの持ち分割合を支払います。(3)の分筆した場合は、各自が所有する分の固定資産税を支払います。

また、ほかの土地と同様に、私道の取得により不動産取得税が、都市計画法の市街化区域内に指定されていることで都市計画税が、相続した場合には相続税がかかります。

「私道であっても、各自治体に申請して『公衆用道路』と認められれば固定資産税・都市計画税・不動産取得税が非課税になります。公衆用道路とは一般公衆の交通のために利用されている道路ということです。公衆用道路と認められると、私道の登記簿謄本の地目に『公衆用道路』と載ります。そうでない私道は地目が『宅地』となっています」

税金の負担に関係するため、土地を購入するときは売主の納税通知書も見せてもらうようにしましょう。

「納税通知書には売主の所有する土地と建物の地番が載っています。地番に「非課税」とあればその私道が公衆用道路として認められていることになります」

私道と公道の調べ方・見分け方

ある道が公道か私道かの区別は、各自治体の役所へ行くことで確認できます。また公図(※1)で調べることも可能です。

「公図で道路のような形をしているけれど地番(※2)がついているところは私道です。公道は地番がありません」

私道には地番がついている
私道には地番がついている
図の黄色の部分は私道。「道」とある水色の部分は公道。このように私道には地番が振られている。(図版作成/SUUMO編集部)

※1 公図:土地の形状や地番などがわかる地図。法務局で入手できる
※2 地番:土地につけられた番号のこと。住所とは異なる

私道に面した土地を購入するときのデメリット

道路や水道などのインフラ整備の負担が必要なケースもある

土地が公道に面する場合は自治体が水道の配管・整備などを行いますが、私道に面する場合は原則、私道所有者の許可を得て、自分の土地や私道の配管や整備などの維持管理を行う必要があります。

道路や水道管本管の老朽化が進んでいても、私道所有者以外の人が勝手に道路を掘削したり修繕することはできません。また、私道が共有名義なら関係者全員の同意と費用の負担が必要になります。私道が分筆されていて、私道全体の工事になる場合も同様です。実際に修繕などをするか否か、費用負担をどうするかなど、関係者全員の合意が取れなければ整備できません。

「最近問題になりがちなのが、こうした道路や水道管の老朽化対策です。分譲されたころは老朽化する将来のことまであまり考えられていなかったこともあり、維持管理の負担方法などについて全く議論がなされていないことが多いのです」

なお、狭い公道からセットバックして私道負担している場合、配管に関する費用は、本管から自分の敷地に引き入れる部分のみを負担します。また、私道を自ら提供している部分は自己所有のため、他者の許可は必要ありません。

土地を売買する場合には注意が必要になる

地主など一人だけが私道の所有者の場合、敷地のみの売買となります。ほかの土地売買と扱いはほぼ同じです。

共有名義の場合でも、私道負担の解説で触れた通り、買主は私道の共有名義分もセットで取得します。買主としては私道部分を買わない選択も可能ですが、後述する後のトラブルを避けるためにもセットで購入することをオススメします。

「飛び地として私道を持ち合っている土地の購入を相談された場合、購入前に持ち合っている所有者全員に、通行の自由や掘削の自由などを書いた承諾書に捺印してもらうようにしています。そうすることで後のトラブルを防ぎやすくなります」

私道所有者とトラブルになることもある

私道の所有者との関係性が悪ければ、通行を拒否されたり道路のインフラ整備などを制限されたりすることがあります。また、現所有者と良好な関係性を築いていても、相続や売買などをきっかけに所有者が変わって関係が悪くなり、インフラ整備なども円滑に進められなくなる可能性があります。

「例えば通行させない・自動車の通行は認めない・通行料を請求されるなど、私道を使いにくい状況になる場合があります。その私道が建築基準法上の道路であれば、裁判で勝てる可能性が大きいですが、そもそも裁判をする費用や手間がかかりますし、裁判をすることで所有者との関係がさらに悪化する恐れもあります」

トラブルケース1:私道の関係で新築が建てられない

家を建てるときなど建築工事をする際、水道管などを引き込む掘削工事が必要になります。これが公道の場合は掘削工事が可能ですが、私道の場合は原則として所有者の許可が得られないと工事を進められません。

許可が出ない理由として、騒音などの理由で拒否されるケースがあります。ただ実際のところ、全ての私道で工事が拒否されるというわけではありません。また、許可に対して金銭を要求されるケースもないわけではありません。

こうしたトラブルを防止する方法として、工事を進める前に私道所有者と話し合いをし、通行承諾書・掘削承諾書を取得しておくことが大切です。

トラブルケース2:不動産を売却したいが承諾を得られない

ほかの所有者から通行・掘削承諾書が得られない場合は、不動産の売却ができない可能性があります。私道持分がない場合や分筆している場合、不動産を売買する際の条件として買主から無償の通行承諾書・掘削承諾書を求められることがあるからです。

私道は、その所有者が通行や掘削等を制限することができます。そこで、生活や必要な工事をするために事前に通行承諾書や掘削承諾書を取得しておく必要があります。その承諾書の取得も簡単に進まない場合もあります。承諾料を要求されたり、そもそも拒否されたりするなどのケースもないわけではないのです。そうした背景から不動産の取引では承諾書の有無は重要な要素になります。もし承諾を得られなかった場合は、不動産の売買が成立しない可能性も考慮しなければなりません。

「もちろんすべての私道でトラブルが発生するわけではありません。ただし私道に面した土地にはこのようなリスクがあることだけは知っておいた方がいいでしょう」

私道に面した土地を購入する場合のリスク

以上の私道に面した土地にあるリスクについては、所有者が誰であるかという観点から次のようにまとめられます。

(A)所有者が一人の場合

通行の自由やインフラ整備は私道の所有者次第です。特にインフラ整備の費用は所有者あるいは利用者が負担せざるを得ません。また、私道が共有名義の場合、そこで暮らす人の思うように整備が進まないこともあります。昨今は水道管の老朽化対策が必要とされているため、そうした私道に面する土地を購入する際はインフラの状況なども確認しておきたいところです。

(B)私道負担(セットバック)の場合

道路の真ん中が公道で、敷地をセットバックして私道を足すことで接道義務を果たしている場合は、私道部分のみインフラ整備を負担します。また、インフラの工事範囲によっては関係者の許可が必要になる可能性があります。例えば、道路の両脇にある2戸の家がそれぞれ2mずつセットバックして私道をつくった場合や地主が所有する私道に面する場合などです。そうした状況であれば、インフラ整備をする際の関係者になる可能性を考えて、日ごろから良好な関係を築いておくようにしましょう。

(C)共有名義や分筆の場合

通行の自由もインフラ整備も、共有名義や分筆している人々との関係性で左右される場合があります。私道のトラブルを事前に防ぐためには、先述のように田中さんがオススメした「分筆による持ち合いの私道に面する場合は、分筆で持ち合っている所有者全員に、通行の自由、掘削の自由などを記載した承諾書に捺印してもらう」方法が有効です。またインフラ整備の費用はどのように捻出するのか、マンションの修繕積立金のような仕組みがあるのかなども事前に確認しておきましょう。

このように私道に面した土地を購入する場合はいくつかのリスクがあります。とはいえ、私道に面した土地は求めやすい価格であることが多いというメリットもあります。私道だからといって警戒し過ぎることなく、どんなリスクがあるのか事前に調べてから購入を検討するようにしましょう。

私道を通り抜けできない場合の対処法

私道の所有者と話し合う

所有者から私道の通行許可を得られない場合や通り抜けを禁止された場合でも、冷静に話し合うことが大切です。私道の所有者は近隣住民であることが多く、険悪な関係になると近所付き合いに影響が出る可能性があります。

通行を拒否される理由として、通行者側に実は問題があるケースも考えられます。例えば、騒音被害、ゴミ捨て、無断駐車などです。もし通行者側に非があった場合は、謝罪と改善をすることで許可が出る可能性もあります。こういったお互いの事情についても考えながら交渉することが大切です。また、道路清掃の手伝いや管理費・通行料を支払うなど、相手に協力する姿勢を見せることも許可を得るための手段となります。

ただ、トラブルに発展した場合、警察に相談しても解決してもらえないことも覚えておきましょう。民事不介入のため、基本は自力で問題を解決する必要があります。

自治体に相談する

みなし道路、位置指定道路といった、建築基準法で指定された道路の通行を拒否された場合、各自治体に相談することで解決するケースがあります。建築基準法の指定がある道路は、私道所有者の意思にかかわらず、日常生活に必要な通行を妨害できないことになっているからです。そのため、通行妨害について自治体の担当課に相談すれば、指導してもらえる可能性があります。なお、相談先になる部署名は自治体によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

弁護士に相談する

関係性が悪い当事者同士で話すより、第三者である弁護士が代理で交渉する方が、話は進みやすい可能性もあります。間に入った弁護士は、これまでの経緯や状況を把握したうえでトラブルの解決を試みます。

弁護士が交渉しても私道の所有者が納得しない場合は、民事調停や訴訟が視野に入ります。どちらを選ぶにしても手続きや書類の用意などの準備が必要です。その場合、弁護士のサポートを受けると円滑に手続きを進められます。なお、弁護士に相談する際は不動産関連の案件の取り扱い実績が多い法律事務所を選ぶようにしましょう。

まとめ

購入する土地によっては接道義務を果たすための私道負担がある

共有名義または分筆された私道の場合、通行やインフラ整備に私道所有者の許可が必要

私道の所有者から許可の取得が困難なリスクもある

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取材・文/SUUMO編集部
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