一戸建て(土地あり)を建て替える費用はどれくらい?坪数別シミュレーションも紹介

公開日 2024年03月04日
一戸建て(土地あり)を建て替える費用はどれくらい?坪数別シミュレーションも紹介

若い頃に建てた家が古くなったり、親から古い一戸建てを相続したりしたときに、建て替えを検討することがあります。その際「費用はいくらぐらい見込めばよいのだろう」と気になっている人も多いのではないでしょうか? この記事では、家を建て替える費用の相場や必要な費用の目安などを、旭化成ホームズの関侑介さんに伺い解説します。

延床面積が20坪・30坪・40坪の場合の建て替え費用のシミュレーションもおこないますので、参考にしてみてください。

家(土地あり)の建て替えにかかる費用の種類と相場は?

家を建て替えるためには、「新しい家の建築費」、「既存の家の解体費」、「地盤調査費・地盤改良費」、「仮住まいや引越し費用」などがかかります。これらがいくらぐらいかかるのかを関さんに伺いました。

新しい家の建築費

家の建て替えでもっとも費用がかかるのは、新しい家の建築費です。家の建築費は「本体価格」「付帯工事費」「諸費用」で構成されています。

本体価格

本体価格は、建物そのものにかかる費用です。

「本体価格は、家の広さだけでなく、木造か鉄骨造かといった家の構造や、設備のグレード、使用する外壁や屋根の素材の種類などによって異なります。そのため本体価格を延床面積で割った『坪単価』を、本体価格の目安とするのが一般的です」(関さん/以下同)

国土交通省の令和4年度住宅市場動向調査によると、家の建て替えにかかった住宅建築資金の全国平均は約4500万円です。諸費用は5%、付帯工事費は25%が目安であるため、本体工事費は約3462万円になると考えられます。平均延床面積が約42坪なので、3462万円(本体価格)÷42坪(延床面積)で、坪単価は約82万円になる計算です。

「なお、平屋は2階建てよりも屋根や基礎など建築コストが高い部分の面積が広くなるため、坪単価が高くなるのが一般的です」

付帯工事費

「付帯工事費は本体工事以外にかかる電気・ガス・水道などの工事費などを指し、本体価格の20%程度、太陽光などを含む場合は30%程度。平均すると25%が目安です」

諸費用

「諸費用は、住宅ローンの借り入れや登記にかかる費用などを指します」

諸費用の目安は以下のとおりです。

印紙税 1万円~3万円程度(1000万円~1億円以下の場合)
登録免許税 あわせて4万円~15万円程度(建物の固定資産税評価額・借入額による)
不動産取得税 10万円~100万円程度(建物の固定資産税評価額による)
司法書士報酬(登記費用) 5万円程度
住宅ローン関係費用 借入額の2~3%程度(一括払いの場合)
火災保険・地震保険料 3万円程度(初年分)

新築する住宅の価格や固定資産税評価額によりますが、3000万円の家を新築した場合で、諸費用は150万円程度になります。諸費用としては、本体価格の5%程度見積もっておくとよいでしょう。

家の建築費を計算する女性
家を建てるときには、本体価格の3割程度を諸費用や付帯工事費に見込む必要がある(画像/PIXTA)

既存の家の解体費

「解体にかかる費用は既存の家の構造によって異なります。解体費用は擁壁の有無や大型機材の搬入の可否などにも左右されます」

工法 解体費用の相場(目安)
木造 約6万円~6.5万円/坪
鉄骨造(S造) 約7万円~8万円/坪
鉄筋コンクリート造(RC造) 約10万円/坪

地盤調査費・地盤改良費

地盤調査費は、地盤の硬さを調べるためにかかる費用です。地盤調査にかかる費用は方法によって異なりますが、5万円~30万円程度です。

「地盤調査の結果、地盤が弱いと判断されたら、地盤に杭を打ち込み補強する地盤改良をおこないます。地盤改良もあわせると、30坪で200万円程度かかります。なお建築地に工事車両が入れず、遠い場所から職人さんが資材を運搬するような場合は、さらに人件費が追加されます」

地盤改良については、軟弱地盤を掘り返して固化剤を混ぜた土を埋め戻し強化する方法もあり、杭を打ち込むよりも安価です。どちらがおこなわれるかは、地盤の状態や新しく建てられる家の種類などによって異なります。

地盤補強工事
地盤調査の結果補強が必要と判断されたら、杭を打つなどの地盤改良工事をおこなう(画像/PIXTA)

仮住まい・引越しにかかる費用

「家を建て替える間は、仮住まいが必要です。仮住まいにかかる費用は、『家賃×半年』を見積もっておきましょう。さらに2回の引越し代として、数十万円程度かかります」

家の建て替えにかかる費用
家の建て替えには新しい家の建築費以外に解体費、地盤調査費、引越し代などが必要(イラスト/あべさん)

家を建て替える流れと費用を支払うタイミングは?

家を建て替えるときには、どのタイミングで、どの費用を支払うのか、流れにあわせて確認しておきましょう。

流れ 支払う費用
1.建て替え計画を立てる
2.建築会社を選び建築請負契約を締結する 建築工事費の10%程度(契約金として)・印紙税
3.住宅ローンを申し込む
4.仮住まいに引越す 引越し代、仮住まいの家賃(新居完成まで)
5.解体工事をおこなう
6.地盤調査・地盤改良工事をおこなう
7.建て替え工事を開始する 建築工事費の30%程度×2回(着工金・中間金)
8.決済引き渡し・登記手続きなどをおこなう 建築工事費の残金、登記費用、住宅ローン関係費用、火災・地震保険料
9.新居に引越し住み始める 引越し費用、不動産取得税

「建築会社に解体や地盤調査・地盤改良なども一括して依頼する場合は、すべてを建築工事費に含めるのが一般的です。ただし工務店などでは、工事のタイミングで支払うこともあるようです」

【坪数別】建て替え費用の目安は?

それでは実際に家を建て替えた場合、どれくらい費用がかかるのかをシミュレーションしてみましょう。

延床面積20坪の家を建て替える場合

延床面積20坪の平屋を、坪単価80万円で同じ延床面積の平屋に建て替える場合にかかる費用の目安は、以下のようになります。※国土交通省の令和3年度住宅市場動向調査をもとに算出した住宅の平均坪単価は約82万円でしたが、延床面積20坪の家は平屋であると考えられるため坪単価92万円で試算しました。

建築費 本体価格 1840万円
付帯工事費(25%) 460万円
諸費用(5%) 92万円
解体費(木造6.5万円/坪) 130万円
地盤調査 10万円
仮住まい(家賃10万円×半年) 60万円
引越し(10万円×2回) 20万円
建て替え費用 2612万円
※地盤調査の結果地盤改良をおこなう際には、地盤改良費がかかります。

延床面積30坪の場合

延床面積30坪の2階建てを、同じ延床面積の2階建てに坪単価82万円で建て替えた場合にかかる費用の目安は、以下のようになります。

建築費 本体価格 2460万円
付帯工事費(25%) 615万円
諸費用(5%) 123万円
解体費(木造6.5万円/坪) 195万円
地盤調査 10万円
仮住まい(家賃10万円×半年) 60万円
引越し(10万円×2回) 20万円
建て替え費用 3483万円
※地盤調査の結果地盤改良をおこなう際には、地盤改良費がかかります。

延床面積40坪の場合

延床面積40坪の2階建てを、同じ延床面積の2階建てに坪単価82万円で建て替えた場合にかかる費用の目安は、以下のようになります。

建築費 本体価格 3280万円
付帯工事費(25%) 820万円
諸費用(5%) 164万円
解体費(木造6.5万円/坪) 260万円
地盤調査 10万円
仮住まい(家賃10万円×半年) 60万円
引越し(15万円×2回) 30万円
建て替え費用 4624万円
※地盤調査の結果地盤改良をおこなう際には、地盤改良費がかかります。

マイホームを建て替えた実例を紹介!

実際にマイホームを建て替えた人は、どんな家を建てたのでしょうか? 2つの実例を紹介します。

限られた敷地を最大限活用!中庭と一体のLDKで広く明るい空間を実現

「地震に強い家で安心して暮らしたい」と建て替えを決めたTさん。前の家を建てた後に用途地域の指定変更があり、建て替えの際には既存の家よりも小さな家になることがわかりました。「小さくても広々と、プライバシーを確保しつつ明るい家」をリクエストしたところ、周囲の視線が入らない中庭と一体のLDK、縦に伸びやかに広がる吹き抜けなど、創意に満ちた設計プランを提案され、理想の家を実現しました。

家の外観
中庭のある家
窓は全開できるタイプを採用。中庭はリビングと高さを合わせたので一体感がある(画像提供/旭化成ホームズ)

地震に強い鉄骨造の頑丈な家に建て替え!将来の同居を想定し間取りを工夫

リフォームして住んでいた築30年超の家を「鉄骨造の丈夫な家に建て替えたい」と考えたIさん。空間を遮る柱を少なくしながらも地震に強い構造にすることで、念願のビルトインガレージのある家を実現しました。和室は玄関土間から直接入れるようにするなど、将来的なお母様との同居を想定して間取りを検討。四角いフォルムがスタイリッシュな家への建て替えを実現しました。

家の外観
同居に備え建て替えられた家
建て替えに際しては、将来的な同居を考えて間取りを検討する人も多い(画像提供/旭化成ホームズ)

建て替え費用を抑えるコツは?

建て替え費用を抑えるには、どのようなコツがあるのでしょうか?

国や自治体の補助金・助成金を活用する

建て替え費用を抑えるためには、国や自治体の補助金・助成金制度を活用することをおすすめします。

既存の家に対する補助金や助成金

多くの自治体では、主に旧耐震基準で建てられた住宅の解体・撤去に対する補助金や助成金制度を設けています。旧耐震基準の家は震度6を超える地震が想定されておらず、万一倒壊した場合、地域の安全性に悪影響を与える可能性があるためです。対象となる家の条件は自治体により異なるので、調べてみるとよいでしょう。

「さらに東京都内だと、火災に強い街づくりを目指して『不燃化特区』が設けられています。特区内では老朽化した建物の撤去費用が全額補助され、さらに建て替える住宅の設計や建築工事に対しても助成されます」

不燃化特区についてもっと詳しく
不燃化特区の制度

新築する家に対する補助金や助成金

新築する家に対する国や自治体の補助金や助成金もあります。近年は政府がカーボンニュートラルの実現を目指していることから、とくに省エネ性能が高い家に対する補助金や助成金制度が多いようです。

「国の補助金制度で代表的なのは、大幅な省エネを実現できる住宅に対するZEH(ゼッチ)補助金事業です。ZEHの基準を満たすと、1戸あたり最高で100万円が補助されます」

ZEH補助金事業についてもっと詳しく
経済産業省及び環境省による戸建ZEH補助事業

住宅の解体工事
旧耐震基準の住宅に対しては、多くの自治体が解体費用の一部を助成している(画像/PIXTA)

シンプルな形状の家にする

家の形状は複雑になるほど手間がかかるため、建築費用が高くなる傾向があります。建て替えで新しく建てる家の形状は、できるだけシンプルなものにすると、同じ延床面積であっても建築コストを抑えられます。

資産運用もあわせて計画を考える

「弊社では、建て替えに際しては、今後の資産運用も踏まえて計画を立てることをおすすめしています。

建て替えに際しては、親世帯と協力して二世帯住宅を建てる方が多い一方、家族の人数が減り今よりも小さな家を建てられるシニアの方もいらっしゃいます。

そのようなときには、広い土地の真ん中に小さな家を建てるのではなく、土地の一部を売却し、新しい家の建築資金に充てるのも方法のひとつです。あるいは土地の広さはそのままで賃貸併用住宅を建て、収益を得ることも考えられます。

建て替えに際しては、いろいろな可能性を踏まえ、建築会社に相談するとよいでしょう」

家の建て替えについて相談する夫婦
家の建て替えに際しては、資産として今後どう活用するかも踏まえて検討しよう(イラスト/あべさん)

新しく建て替える家は子世代に引き継ぐ資産! 建築会社に相談しつつ検討しよう

最後にあらためて関さんに、建て替えにかかる費用についてのアドバイスを伺いました。

「建て替えに際しては、費用面からリノベーションと迷う方もいらっしゃいます。そして最終的に『建て替えよりも費用を抑えられるから』とリノベーションに踏み切る方も少なくありません。

しかし一戸建て住宅に関しては、今後の耐久性を考えるとぜひ建て替えをご検討いただきたいです。せっかく大きな資金を投入して大がかりなリノベーションをしても、構造部分が劣化したままであれば資産価値を維持できないためです。

また近年は建築価格が高くなるのに対し住宅ローン減税は縮小傾向にあります。そう考えると、建て替えを迷っているのであれば早めに進めることも、結果的にはコスト抑制につながると思います。

新しく建てる家は、自分たちにとってはもちろん子世代に引き継ぐ資産でもあります。既存の家の取り壊しや新しく建てる家に対する助成金や補助金制度を活用しつつ、大切な資産としてどのような家を建てるのか、建築会社と相談しつつ考えていただきたいと思います」

まとめ

家(土地あり)の建て替え費用の目安は延床面積30坪で3500万円程度

建て替えに際しては、国や自治体の補助金や助成金を活用するとコストを抑えられる

建て替え時には、今後の資産運用も踏まえて建築会社に相談するのがおすすめ

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取材・文/佐藤カイ(りんかく) イラスト/あべさん
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