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「〇〇ビルが無事竣工しました」「竣工式を行いました」といった言葉を新聞やチラシなどでよく見ますが、この「竣工」の読み方や正しい意味を知っていますか?また、「竣功」「落成」「完工」「竣成」など、竣工に似たような言葉がいくつもありますが、どのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、意外と知らない「竣工」について、気になる疑問をズバリ解明します。
建物の建築工事やその完成にあたって、よく耳にする「竣工」という言葉。まずは、読み方や正しい意味から見ていきましょう。
「竣工」は、「しゅんこう」と読み、建物の建築工事や土木工事の完成を意味する言葉です。
辞書で「しゅんこう」と引くと、同じ読み方の「竣功」という単語が出てきます。「竣工」と「竣功」は読み方が同じですが、意味は異なるのでしょうか。
集英社国語辞典によると、「竣工」と「竣功」は同じ意味。一般的には「竣工」が使われますが、神社仏閣については「竣功」が使われるといわれています。竣工・竣功の「竣」は、常用漢字ではないため、報道などでは「しゅん工」のように平仮名を使う場合があります。
竣工と混同されがちな単語として、「竣成」「完工」「落成」「完成」が挙げられます。それぞれの意味を見ていきましょう。
「竣成(しゅんせい)」は、建築物の出来上がりを意味する言葉です。
「完工(かんこう)」は、文字どおり、工事の完了を意味する言葉です。
「落成(らくせい)」は、工事の完成を意味する言葉です。
「完成(かんせい)」は、完全に成し終えた状態を意味します。上の3つの単語とは異なり、工事に限った言葉ではなく、すっかり出来上がった状態を指す言葉として使われています。
総評すると、いずれの単語も「竣工」とほぼ同じ意味で明確な違いはありません。ただ使い方にはやや違いがあり、例えばマンションでは「竣工」を使うのが一般的なのに対し、一戸建てでは「完工」や「完成」が使われることもあります。「落成」は一般住宅で使われることはなく、ビルや社屋、公共の建物などが完成したときに使われます。

不動産広告では、マンションが出来上がるときに「竣工間近」「堂々竣工」、完成時期前後は「竣工」という言葉が使われ、物件の概要欄などでは「完成予定、完成時期」と記載されています。
これは、竣工日の後にも追加で工事を行うことがあるため、「完成間近」ではなく「竣工間近」と表現するなど、「完成」と「竣工」を使い分けているのです。
「竣工日=物件の引き渡し日」と思われることも多いですが、実際はそうではありません。ここでは、竣工日の定義、完工日や引き渡し日などとの違いを解説します。
施主や事業主によって異なる場合もありますが、一般的には建築工事が完了し、完了検査を受けた日を「竣工日」といいます。このタイミングで完了検査が実施され、「検査済証」が公布されます。検査済証とは、建物が完成した後、引き渡し前に行われる検査のうち、完了検査に合格すると交付される証書です。

完了検査についてさらに詳しく
検査済証とは?確認済証との違いやいつもらえるのか、検査の義務化、再発行などの疑問を一撃解明!
竣工日、完工日、引き渡し日、新築年月日の違いを見ていきましょう。
例えば、建物の瑕疵担保期間は、引き渡し日から起算され、建物の火災保険契約時の「建築年月」は、「建物完成年月」、または「建物完成予定年月」 になっています。
ただし、保険会社により基準が異なる場合もあるので、不明な点はその都度、確認するといいでしょう。

新築住宅と中古住宅は竣工日が1日違うだけで、手続きが変わることもあるため、注意が必要です。建築主として、竣工日の日付についてはきちんと確認しましょう。
例えば、住宅金融支援機構の【フラット35】では、新築住宅と中古住宅で必要な手続きが異なります。
国土交通省の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によると、新築物件とは「新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事完了の日から起算して一年を経過したものを除く)をいう」とあります。
ここでいう「建設工事完了の日」とは、住宅瑕疵担保履行法の考え方に基づき「建築基準法上の完了検査の終了時点」を建設工事の完了の日=竣工日とすることがほとんどです。
ただし、何らかの理由で引き渡しができない状態である場合は完了検査済でも工事完了とはならないため、個別の工事の状況を勘案して判断される例外があることに注意が必要です。
SUUMOの新築住宅の定義も、「竣工日から1年以内の住宅」としています。

家づくりをするときには、竣工に関連する単語がいくつも登場します。「これってなに?」と慌てないよう、意味を理解しておきましょう。
竣工届は、工事完了後に自治体の建築指導課などに施工会社が提出する書類のことです。完了届と呼ばれる場合もあります。
建物完成後、以下の検査がすべて終了して問題がないと判断されれば、建築主(建築を依頼した人)に建物が引き渡されます。

建築主が、引き渡しのときに建築会社から受け取る図面を「竣工図」といいます。追加工事なども記載された最終的な図面で、契約後に発生した設計変更などを反映した設計図とは異なります。不動産売却時やリフォームの際などに必要になるので、受け取りはマスト。念のため、契約時に「竣工図の作成と受け渡し」を明記してもらうといいでしょう。
竣工写真は、建物完成時に撮影された写真のこと。不動産会社やハウスメーカーが営業目的で撮影するほか、注文住宅などにおいては建築主が記念として残すケースも多いです。施工写真では外観だけでなく、内観・内装まで撮影されるのが一般的です。
住宅の完成を祝うとともに、その家と家族の健康や繁栄を願う儀式が「竣工式」です。地鎮祭や上棟式と同じ祭事で、建築に関わる「三大祭事」ともいわれます。
具体的には斎場に神様をお迎えし、建物のお祓いやご神職さまの祝詞を奏上、玉串奉天(たまぐしほうてん)などを行います。また、施主の希望により、入鋏(にゅうきょう)の儀や鍵引渡(かぎひきわたし)の儀、安庫・奉安殿の御扉(みとびら)を開き、神事に使うお神輿を出す儀式などを行うことがあります。入鋏(にゅうきょう)の儀とは、鋏入の儀(はさみいれのぎ)ともいい、いわゆるテープカットのこと。神主や関係者を招いて実施され、規模感に応じて10~30万円前後の費用がかかります。
ただし、一般住宅においては、古典的な竣工式よりも、施工会社による施工パーティーや引き渡しセレモニー、身内や親しい人を招待した新居お披露目パーティーを選ぶ方が多いようです。

竣工式と似た言葉として「落成式」があります。落成式も関係者を招待して工事完成を祝うという点では共通していますが、神事は行いません。どちらかというと関係者への感謝や労いを伝えたり、PRを兼ねた広告的な意味合いが強いです。
具体的な流れとしては、建築主のあいさつ、工事の報告、工事関係者への感謝状の贈呈、来賓の祝辞、工事関係者のあいさつ、祝電の披露などが行われます。
家と家族の繁栄を神に願う儀式を竣工式、関係者への感謝と家の完成を祝う式典を落成式と考えるとわかりやすいでしょう。
最後に、竣工と反対の意味を持つ「着工」と「起工」の意味を解説します。どららも建築シーンで頻出するワードなので覚えておきましょう。なお、同じ「工」が付く「施工」は工事を実施することを指し、「着工」や「起工」とは意味が異なります。
着工(ちゃっこう)は、土木・建築などの工事を始めることを指す言葉です。簡単にいえば工事に取りかかることで、住宅建築の場合によく使用されます。
起工(きこう)は着工とほぼ同じで、工事を始めることを意味します。ただし、こちらは主に大規模な工事を始める際に使用される言葉です。住宅建築の場合は、くい打ち工事、地盤改良工事、根切り工事(地面を掘削(くっさく)する工事)も起工に含まれます。建築確認申請を行い、確認済証が交付される前には工事の起工はできません。
「竣工(しゅんこう)」は、建物の建築工事や土木工事が完了したという意味
「竣功」「落成」「完工」「竣成」は、「竣工」とほぼ同じ意味
「竣工日」は、一般的に建物が完成して、建築基準法で決められた完了検査が終了した日を指す
「竣工図」は竣工したときの正確な図面。設計図とは異なるもので、売買やリフォームの際に必要になる。建物が完成したときに行う「竣工式」は神事。一般の住宅が完成したときにはお披露目パーティーなどのほうが主流