延床面積とは?基本の計算式と面積を減らす方法を解説

最終更新日 2025年10月23日

延床面積とは?基本の計算式と面積を減らす方法を解説

これから家を建てようとする人の中には、「開放的な住まいにするために広い部屋にしたい」という人もいるでしょう。そんな住まいの広さと大きく関わってくるのが「延床面積」です。延床面積が広ければわが家も広くなりますが、実は含まれない部分もあるため注意が必要です。

そこでこの記事では、一級建築士の佐川旭先生から延床面積の基本や計算方法、延床面積の広さを減らす方法などを聞きました。これから家づくりを始める人は、ぜひ参考にしてみてください。

延床面積ってなに?

延床面積とは、建物における各階の床面積を合計した面積を指します。例えば2階建て住宅で1階部分の床面積が150m2、2階部分が100m2だった場合、延床面積は250m2ということになります。一方、平屋建ての場合は1階建て部分のみなので、1階の床面積がそのまま延床面積になります。

延床面積を計算するとき、壁の厚みも面積に含まれます。部屋の内側だけではなく、壁や柱の中心線で囲まれた面積で計算するため、数字で見るより部屋が少し狭く感じられるかもしれません。

また、延床面積は容積率を計算する際にも用いられます。容積率は延床面積が土地に対してどれくらいの比率かを求めたものです。用途地域ごとに容積率の上限が決められており、建物を建てる際には容積率の上限を超えないように設計します。

延床面積の計算方法

延床面積は、上記で解説したように各階の床面積の合計を指します。そのため、計算も各フロアの床面積を合計すれば算出することが可能です。例えば、1階の床面積が50m2、2階の床面積が30m2だった場合の延床面積は以下のとおりです。

50m2+30m2=延床面積80m2

ただし、建築基準法で延床面積には含まれない箇所もあるので注意が必要です。

【床面積に含まれるもの・含まれないもの】
特徴・条件
吹抜け 吹抜けの上階部分は床がないため、延床面積には含まれない
ベランダ、バルコニー 外壁から2mを超えている場合、超えた分は延床面積に含まれる
ロフト 天井高1.4m以下、設置する階の床面積の1/2以下の面積、はしごが固定されていないなど、条件を満たすことで延床面積には含まれない
ビルトインガレージ 延床面積に参入されますが、緩和制度によって、延床面積の1/5までの部分は延床面積から除外されます
出窓 床面から出窓の下まで30cm以上、外壁面から出た水平距離が50cm未満、見付面積の1/2以上が窓になっているなど、条件を満たせば延床面積に含まれない
屋上 屋上スペースは基本的に延床面積には含まれない。ただし、屋上に出るためのペントハウス(塔屋)は、床面積が建築面積の1/8を超えると、その超えた部分が延床面積に参入される
屋外階段 通常屋外階段は延床面積に含まれますが、屋外階段の周長が1/2以上が外部に開放されており、階段の天井から手すり・壁までの高さが1.1m以上、階段の外部に開放されている部分が天井の高さの1/2以上の場合は含まれない

延床面積と混同しやすいもの

延床面積に混同しやすい言葉として、「建築面積」や「敷地面積」、「施工面積」があります。

建築面積

建築面積とは、建物を上から見たときの面積で、真上から見える部分(水平投影面積)のみ対象です。2階以上ある場合は、一番広い階の床面積が建築面積になります。

敷地面積

敷地面積は、建物が建っている、またはこれから建てようとしている土地の面積を指します。延床面積は建物の面積で、敷地面積は土地の面積です。敷地面積も建築面積と同様に、土地を真上から見たときの全体面積になります。土地に高低差や斜面があったとしても、水平だと仮定して計測されます。

施工面積

施工面積は、延床面積に含まれない部分も含めた面積です。延床面積よりも数値が大きくなるのが一般的です。施工面積に関しては法律による明確な基準がなく、建築会社によって独自に算出されています。

延床面積に含まれないものを活用して、より開放的な家を建てよう

次に、希望の土地を見つけていよいよプランニング。広々した家がいいのだけれど、費用や土地の制限から、「延床面積」を増やせないという場合に役立つ情報を紹介します。「ポイントは延床面積に算定されず、視覚の広がり、抜けを感じられる空間を設けることです」(佐川さん)

1.吹抜け

「吹抜け」は、なかでも代表的な空間だそうです。「横だけでなく縦に空間が広がるので、例えば同じ面積のリビングでも、開放感がまるで違います。また、吹抜けに窓を設けることができれば、通風や採光が得られるので、より心地よくくつろげる空間にもなります」

イラスト

2.バルコニー

もうひとつは「バルコニー」です。「ベランダやバルコニーは外壁からの出幅が2m以下の部分は延床面積には含まれません。また、庇などの壁で囲まれていない外側の空間も2m以下であれば含まれず、2m以上出している部分が延床面積に入ります。この2mは例えばテーブルセットを置けるなどかなりの奥行きがあるので、有効に利用したいですね。配置はリビングに隣接させることが効果的。リビングからの抜けがよくなり、視覚効果が大きくなりますし、開口部を全開口サッシなどにしてリビングと一体感を高めれば、セカンドリビングのように使うこともできます。ちなみにDIYでも人気の高いウッドデッキも延床面積に入らないので、オススメです」

イラスト

3.小屋裏収納(ロフト)

「天井高が1.4m以下、ロフトがある階の2分の1以下の面積、はしごが固定されていない場合には床面積に含まれません。小屋裏収納は、居室として利用することはできません」

4.その他できることは?

細部にこだわるとさらに広さを感じられるとのことです。「例えば出窓です。一般的な45cm幅ほどを適所に設ければ、通風採光だけでなく、インテリアを楽しめるスペースも広がります。また人がよく通る動線上のドアの高さも、天井までの高いタイプを採用すると圧迫感を軽減できるでしょう」

緩和措置があるビルトインガレージも一考の余地あり

上記以外にも一定条件をクリアすれば延床面積に算定されない空間があります。「建物内に駐車スペースを設けるビルトインガレージです。車やバイクが趣味の人に人気ですね。ビルトインガレージは、全延床面積の5分の1以内であれば延床面積には入りますが、容積率は緩和措置があり対象からはずれます。超過した場合にその面積を算定します」。同様に地下室も一定の基準まで緩和されるので、興味のある人は調べてみましょう。

価格や税金、部屋数も……。延床面積の広さで変わるものって?

一般的な建築会社の場合、建物価格を知るには「坪単価」が目安となります。資料や広告などに『坪単価目安:30万円~』などを目にする機会があると思います。1坪=約3.3m2なので、坪単価が50万円で100m2(約30坪)の延床面積の場合、約1500万円~が建物価格の目安になります。当然延床面積が増えれば価格が上がります。

また、家を建てると税金がかかります。固定資産税と不動産取得税が代表的なものです。前者は、不動産(土地や家屋)をもっているとかかってくる税金で、もっているあいだ毎年かかります。後者は購入時にかかる税金です。税額を算定するのは、「固定資産税評価額」です。固定資産税評価は、建築費の40%~60%程度が評価水準となります。つまり一般的に建築費用が高ければ高いほど税金がかかるので、延床面積が広ければ広いほど税金も上がると考えておきましょう。(不動産取得税は一部特例があるので、詳細は各自治体の税務署に問い合わせてください)

延床面積を減らす方法

延床面積が増えれば、建物の本体価格や固定資産税・不動産取得税なども増えていきます。コスト削減を目指して延床面積を減らすには、以下の方法を試してみてください。

部屋数を最適化する

間取りを考えている中で、家族が集まるリビングの他に、和室やセカンドリビングを設けたいと考える人もいるでしょう。しかし、いざ和室やセカンドリビングを設置しても、結局家族はメインのリビングに集まるため、あまり使わなくなってしまうケースも多いです。このように、本当に使う部屋かどうかを精査し、部屋数を最適化することで延床面積も減らせるでしょう。

また、書斎をつくろうと考えている場合にも、リビングや寝室などにワークスペースを設けることで問題ないか考えてみてください。

廊下を最小限にする

延床面積を減らす方法として、廊下を最小限にすることも挙げられます。廊下は各部屋を移動するために必要なスペースですが、この分のスペースを部屋に活用できれば、余計なスペースを減らすことができます。

廊下を最小限にする方法として、よく利用されているのがリビング階段です。通常では部屋から出て廊下に階段が設置されているものですが、リビング階段にすることで廊下が不要になり、さらに各部屋からリビングへの動線も良くなります。また、リビング階段を家の中央に設置することで2階の廊下も減らすことが可能です。

子ども部屋や寝室をコンパクトに

延床面積を減らす上で、子ども部屋や寝室をコンパクトにすることも検討してみてください。一般的な子ども部屋は4.5~6畳+クローゼットになります。子ども部屋に勉強机とベッド程度しか置かないのであれば、4畳程度でも問題ありません。最近では「リビング学習」の影響から、リビング側にスタディスペースを設ける家庭も増えています。その分、子ども部屋の面積を狭くすることで延床面積を減らすことも可能です。

夫妻の寝室に関しても、最初は広めにスペースを確保する人も多いですが、余裕はあまりないものの、4.5畳あればシングルベッドを2台置けます。また、6畳にすればセミダブルを2台置くことも可能です。

書斎や畳コーナーなど“+αの空間”を見直す

家づくりをする中で「自分だけの書斎をもちたい」「畳コーナーを設けたい」と考える人も少なくありません。こうした+αの空間は憧れる人も多いですが、延床面積を減らしたいことを考えると、あまり設置しないほうがよいといえます。

ただし、延床面積を減らすために+αの空間を諦めないといけないわけではありません。例えばデッドスペースになりやすい階段下の空間にワークスペースを設けたり、リビングの床を畳に変えて畳リビングにしたりするなど、工夫次第で延床面積を減らしつつ+αの空間を実現できます。

リビングを2階に配置する

リビングは1階に設けるというイメージがありますが、2階全体をLDK+トイレにすることで、広々としたLDK空間を確保しつつ、極力延床面積を減らすことが可能です。また、2階にリビングを配置すると、1階に比べて採光性や通風性が良くなります。上階に部屋を設置しないのであれば、天井高を高くしてより開放的な空間をつくったり、ロフトを設置して広い収納スペースを確保したりすることも可能です。

ただし、リビングを2階に配置することで毎回階段の上り下りをしなくてはいけなかったり、買い物をした後に重たい荷物を2階まで運ぶのが大変だったりするなど、デメリットに感じる部分もあるため、優先順位を決めて配置するかどうかを検討することが大切です。

延床面積を抑えて『30坪の家』を建てる かなえやすいこと・工夫が必要なこと

最後に、なるべく延床面積を抑えながら広く開放的な家をつくるなら、ということで、ひとつの目安として『30坪の家でかなえやすいこと、工夫が必要なこと』を伺いました。

「30坪という広さは、住むには十分ですが、どういう暮らしがしたいかしっかりと優先順位をつけて取捨選択を行うことが求められる面積です。希望によってプランは大きく変わりますが、まず夫妻+子ども2人で、子ども部屋を2つ設けるという場合、LDKは15畳程度となるでしょう。吹抜けは設けられるので15畳でも開放的なリビングにすることは可能です。

主寝室は6畳、子ども部屋は4.5畳×2つ、さらにウォークインクローゼットは2畳程度であれば設けられます。ただ部屋をもう一部屋増やすと、当然ながら各居室が狭くなり、動線や水まわり設備の位置、面積に無理が生じやすいでしょう。その場合、1階2階にトイレを設けることを諦め、2階のトイレをなくすことも考えないといけないかもしれません。

ちなみに近年の植栽ブームの高まりから注目されるのが、サンルームやガーデンルームです。壁や屋根、扉などをガラス張りにして、自然光や風を取り入れられる空間です。こちらも延床面積に算定されますが、1.5畳~2畳ほどは確保できるでしょう。この程度なら税金もそれほどかからないので、開放的な家をつくるなら検討してもいいと思います」

佐川旭先生に聞く 『30坪の家』で “かなえやすいこと”、“工夫が必要なこと”

かなえやすいこと 工夫が必要なこと
3つの居室+LDKの間取り 広々LDK(20畳以上)
ファミリータイプの洗面浴室 6畳以上のキッチン+パントリー
トイレを2つ設置 1坪以上の浴室
大型収納をひとつ設置 4LDKの間取り
4人家族(夫妻+子ども2人)で、主寝室+子ども部屋を2つ設けることを想定

どのように延床面積に算定されない空間を設けられるかは、開放感や暮らしの充実につながってきます。上手に取り入れて、希望の家づくりに役立ててください。

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