木造住宅のメリット・デメリットを徹底解説。木造軸組工法やツーバイフォー(2×4)工法の耐震性、耐火性は?

木の家は落ち着く感じがするし、新築時は木の香りにホッとするという声も聞くけれど、そもそも木造住宅にはどんな種類があるの? 木造住宅のメリット・デメリットって何? 子や孫に残せるほど長持ちするの? そんな木造住宅の基礎知識を一級建築士の佐川さんに教えてもらいました。

木造住宅にはどんな種類がある?

木造軸組工法と木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)の2種類に分けられる

木造住宅は大きく「木造軸組工法」と「木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)」の2種類に分けられます。「軸組工法は点を結ぶように構造物を造っていく工法で、枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)は面を組み立てて構造物を造る工法です」と佐川さん。どういうことか、それぞれを見ていきましょう。

●木造軸組工法
木造軸組工法は日本古来の工法で、在来工法ともいわれます。柱を立て、梁を水平に渡し、筋交いという斜めの材を入れて補強……という具合に家を建てます。このように柱や梁、筋交いなどを使って、まるで空間上の点を結ぶかのように空間を構成します。

木造軸組工法

●木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)
一方で木造枠組壁工法は、戦後に北米から輸入されたツーバイフォー(2×4)工法が代表的です。木製パネルと角材(2インチ×4インチ※)でつくったパネルで壁や床、天井という面をつくり、この面を組み立ててできる6面体の構造をベースに家を建てます。輸入住宅やログハウスなども基本的に面の構成ですから、木造枠組壁工法の一種といえます。主に低層集合住宅などに用いられるコンクリートの壁式構造も同じ考え方です。

※角材のサイズによって、ツーバイシックス(2インチ×6インチ)、ツーバイエイト(2インチ×8インチ)、ツーバイテン(2インチ×10インチ)などの工法があります

木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)

木造軸組工法と木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)の特徴を比較

このように木造軸組工法と木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)では、点を結んで建てるか、面の構成で建てるかという違いがあります。その違いによって、それぞれが得意とするものが異なります。さまざまな側面から両者の比較を見てみましょう。

●間取りの自由度
木造軸組工法>木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)

木造軸組工法は点と点を結ぶように柱や梁を備えるため、点の位置によって空間のカタチやサイズを自由に決められます。そのため1つの面のサイズが決まっている木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)と比べて、あと何センチ広げたいとか、斜め方向に張り出したいといったことにも対応しやすくなります。例えば階段の下に収納をつくるなど自由に空間をつくり出しやすく、狭小地や変形地でも土地の形状に合わせて敷地を有効に使いやすい工法です。

●大きな開口部をとりやすい
木造軸組工法>木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)

木造軸組工法では点と点の距離が自在ですから、面で構造物を支える木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)と比べて壁(面)を抜きやすいメリットがあります。そのため柱と柱の間隔があいた大空間のある間取りや、大開口の窓をつくりやすくなります。

●リフォーム時の間取り変更に対応しやすい
木造軸組工法>木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)

「間取りの自由度が高い」のは、建てた後のリフォームなどでの間取り変更にも有効です。子どもたちが独立したのちに夫婦2人の生活に合うような間取りにするとか、あるいは子ども夫婦と同居して二世帯住宅にするといったことに対応しやすい工法です。

ただし新築時の設計とは違い「建物を支えるためには抜けない柱や壁」も出てきますので、注意は必要です。

一方で木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)は壁で建物を支えるため、抜けない壁が多く、空間を後から広げることが比較的難しくなります。また木造軸組工法は昔からあるため手がける施工会社が多く、A社が建てた住宅をB社がリフォームすることがしやすいのですが、木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)はメーカー独自の工法があったりするので、たいていは新築時の施工会社に依頼する必要があります。

●耐震性
木造軸組工法<木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)

もちろんどちらも現在の耐震基準をクリアできるのは当たり前ですが、比較すればやはり面で構成する木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)のほうが有利です。

なぜなら木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)の、パネルを組み立てて6面で支える構造はモノコック構造とも呼ばれ、飛行機や新幹線、F1マシンなどにも採用されているほど強固な構造だからです。そのため耐震性に木造軸組工法よりは優れていると言えます。

木造軸組工法も耐力壁や柱、梁の配置で十分地震に強い家をつくれます。例えばリビングの庭側に大きな開口部を備える場合、耐力壁を開口部の周囲に設けるなど、きちんと構造計算をして耐力壁などをバランス良く配置することが大切です。

●防火性
木造軸組工法<木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)

柱と柱の間を空けられる木造軸組工法と比べて、面の多くなる木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)のほうが、面で炎を跳ね返しやすくなるため、防火性で有利です。

とはいえ高い耐火性が求められる防火地域や準防火地域でも木造軸組工法で建てられているように、外壁材など防火性能の高い素材の選び方次第で、木造軸組工法・木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)工法)どちらでも十分防火性を高めることができます。

耐久性や防火性は? 木造住宅のメリット・デメリットを解説

木造の耐久性は!?

木は腐ると思っている人もいるかもしれません。確かに湿気には弱いものの、きちんと対応をすれば木造住宅はとても長持ちします。ちなみに世界で最も古い木造建築物は法隆寺の五重塔。築1200年以上の国宝です。また最近は築100年以上の木造の古民家も人気で、カフェやホテルにリノベーションされて注目されているケースもあります。つまり、それだけ木造住宅は本来耐久性があるのです。

木造は防火性が弱い!?

そもそも木造住宅の防火性はどうなのか、もう少し詳しくみてみましょう。

「木は燃えると言われますが、実は燃え切るのは木材の白木部分(辺材)を使った部分で、木材の中心部である赤太は燃えにくいのです。なぜなら燃えた部分が炭化層となってそれ以上の酸素供給を阻むため、中心部まではなかなか燃え進まないからです」

木材の断面

そのため防火地域等で必要な耐火建築物にも木造住宅が認められています。「さらに2018年9月に公布された建築基準法の改正で、従来木造の耐火構造は2階建てまででしたが、それが3階建てまでに改められました。それだけ防火性能の高さが認められているということなのです(施行:2019年予定)」

木造住宅はシロアリに弱い!?

また木造住宅の場合、シロアリによる被害を心配される方も多いでしょうが、結論からいうと今の木造住宅ではさほど心配することはありません。「かつての木造住宅の基礎は布基礎と呼ばれる、家の下の地面が露わな基礎が一般的でした。しかし最近はベタ基礎という底一面が厚いコンクリートで覆われた基礎が主流です。シロアリは『ガラスと陶器以外は何でも食べる』と言われていますが、厚いコンクリートを食べ続けるのはほぼ不可能です」

また最近は布基礎でも、薄いコンクリート(鉄筋なし)で地面を覆うことが多いようです。

ベタ基礎はシロアリの侵入を防ぎやすい
左がベタ基礎、右が布基礎

「ただしシロアリは湿気を好むため、湿気の多い土地であれば10年に1回程度は床下をチェックするといいでしょう」。風通しがよくて乾燥している立地であれば、あまり気にしなくても大丈夫そうです。

木造住宅で高い建物は建てられない!?

「最近は集成材(板材を貼り合わせたもの)の進化や、CLT(繊維方向が直交するように積み重ねた集成材)の開発によって、木造でも高層建築物が建てられるようになっています」

すでにヨーロッパや北米ではCLTによる高層建築物が建てられていて、日本でも10階~12階の高層建築物の建設が予定されています。このように木造だからといって高い建物ができないことはなく、今でも10階以下の建築物であれば建てられています。

「そもそも木は引張(ひっぱり)に対して鉄の約4倍強く、圧縮に対して鉄の約2倍強い素材なのです」。つまり高層建築物に採用されても不思議ではない性質をもっているというわけです。

このように木造住宅は100年以上使えて、高い建築物にも用いられます。また適切な処理さえすれば防火地域にも建てられますし、シロアリの被害も防げます。

最近は無垢(むく)の床材が流行っていたり、木のフィトンチッド(※)が注目されるなど木の良さが見直されています。もちろん和風だけでなく洋風の家も建てられます。木の魅力を感じているなら、ぜひ木造住宅を検討してみてください。

※木が発散する物質で、消臭や抗菌、リラックス効果があると言われている

まとめ

木造住宅には「木造軸組工法」と「木造枠組壁工法(ツーバイフォー(2×4)」の2種類の工法があり、「どんな家を建てたいか」によって最適な工法は異なる

木造の弱点として捉えられがちな耐震性、防火性、シロアリ被害もきちんと対策すれば問題ない

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取材・文/籠島康弘 イラスト/長岡伸行
公開日 2019年05月20日
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