注文住宅 大手ハウスメーカーを比較! 一級建築士が解説

注文住宅 大手ハウスメーカーを比較!一級建築士が解説

注文住宅を建てるとき、どのハウスメーカーに依頼するかはとても重要。ハウスメーカーによって、工法やデザインテイストに違いがあるからだ。そこで、ハウスメーカーを比較して自分にぴったりの依頼先を決めるために、工法やデザインについて一級建築士の佐川旭さんに解説してもらった。

木造の家、鉄骨造の家、どこが違うの? 工法についても知って比較しよう

どんな家を建てようかイメージするとき、骨組みが「木造の家」か「鉄骨造の家」か、工法は何がいいか、デザインは「和風」か「洋風」かなど、さまざまな選択肢がある。まずは、「木造の家」と「鉄骨造の家」について整理しておこう。

「木造の家も鉄骨造の家も外観から見分けるのは難しいものです。鉄骨造でも内装や外まわりに木材をふんだんに使うことができますし、木造でも梁や柱を隠してしまえば骨組みが木なのかどうか分かりません。違いがあるとすればコストや耐震性です」(佐川さん、以下同)

建てるときのコストが抑えやすいのは木造の家

同じ規模の家なら鉄骨造のほうが本体にコストがかかる。木よりも鉄のほうが重量があり、それを支える基礎部分に費用がかかるためだ。また、地盤の強度によっては、木造では地盤の補強工事が不要でも、鉄骨造の家は重たいために補強が必要なことも。

耐震性がより優れているのは鉄骨造の家

耐震性が優れているのは鉄骨造の家。木造の家も今の建築基準法では耐震性能は確保されているが、あえて比較をすれば、鉄骨造のほうが優秀。
「木造の場合、柱と梁、筋交いの入った壁をバランスよく配置することで耐震性能を保ちますが、使う樹木の種類や状態によって揺れに対する建物の強さに違いはあります。鉄骨にも種類はありますが種類ごとに強度計算ができるので、耐震性を明確にできる分、安心といえます」

木造か鉄骨造かで間取りや内装材に特徴が出る

木造と鉄骨造では、間取りや内装のプランに違いが出る。
「鉄骨造の家は木造に比べて地震の際の揺れが出やすいという特性があります。そのため、内装材に漆喰(しっくい※1)や珪藻土(けいそうど※2)を使うと、揺れによる引っ張りが繰り返されることで小さなヒビが入りやすくなります。伸縮性のあるビニルクロスと相性がよく、シンプルで都会的な内装デザインが得意といえます。一方、木造の家は天然素材と相性がいいですね」

※1消石灰に糊などを加えて水で練った塗料
※2植物性プランクトンの珪藻からできた土を原料とした塗料

間取りの自由度は工法の違いによるところが大きい。軸組工法は柱と梁以外は動かしやすいため、部屋の形や開口部(窓や出入口)の大きさの自由度が高く、2×4工法やユニット工法は床、壁、天井の「面」で建物を支えるため、外すことができない壁があり、開口部の大きさにも制約が出る。
「より大きな空間を作りやすいのは鉄骨造の家。鉄骨は強度が高いため、最小限の柱や梁、壁で建物を支えることができるためです」

工法 工法について 間取りの特徴
木造 木造軸組 日本の伝統的な工法。柱と梁で建物を組み、斜めの筋交いを入れて強度を保つ 間取りの自由度が高い工法。柱と梁以外は移動しやすいため、将来のリフォームでの間取り変更もフレキシブル
2×4 北米で生まれた工法。2 インチ×4インチの角材を使用しているためこの名前がついた。角材と板を組み合わせたパネルで、箱型をつくる工法 「壁」の面で建物を支える工法のため、壁の位置や量、窓の位置や大きさなどに制約があるため、木造軸組に比べると、間取りの自由度は低い
木質系ユニット 壁や床を木でできたパネルで作り、組み立てる。面の力で建物を支える工法。部材を工場生産する割合が高い
鉄骨造 鉄骨軸組 鉄骨でできた柱や梁で骨組みを作る工法 木造の家よりも柱と梁の間隔を広くとれるため、大きな空間をつくることができる。柱と梁の間の間仕切り壁も自由に動かせるので、間取りの自由度は高い
鉄骨系ユニット(プレハブ) 鉄骨の骨組みでできた柱や梁、ブレース(筋交い)で骨組みをつくる。部材を工場生産する割合が高い 木質系ユニットと同様、間取りは軸組工法に比べると制約がある。鉄骨系ユニットは、木質系ユニットよりも広い空間が可能

CASE1 木造と鉄骨造の家をハウスメーカーの住宅商品で見てみよう

<木造の家>

住友林業 My Forest[GS]

主要構造材に国産の木材を多く使った木造の注文住宅。柱と梁で建物を支える家ならではの設計の自由度の高さが特徴。また、住友林業のMy Forest[GS]は耐震性能の高さも大きな特徴のひとつ。日本の伝統的な木造軸組工法に、強い柱と土台をつくるスーパー檜や、地震の際の建物の変形を抑え、繰り返しの中小地震にも強さを維持する「地震エネルギー吸収パネル」を採用。長く安心して暮らせる家だ。

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木の縦格子がアクセントになっている外観デザイン。シンプルでシャープなラインが感じさせる凛とした佇まいと、木の持つあたたかみが調和して、家全体の表情を豊かにしている。

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内装にも木を使うことで、外観と同様に木の家のぬくもりが得られる。LDK(リビング・ダイニング・キッチン)は、大きな窓を開放すると、室内のフローリングとの段差のないウッドデッキに続き、その先の庭との一体感が感じられる。

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木製の内装材は樹種や木目の生かし方によって、空間にさまざまな表情をつくることができる。間取りだけでなく、床や壁の素材選びも自由設計で家を建てる楽しさ。写真はマホガニーを多く使ったプラン。

<鉄骨造の家>

ヘーベルハウスterra craft(テラクラフト)

重量鉄骨の柱と梁で建物を支える構造。建物の外周以外に柱が不要なため、室内は柱のない開放感のある空間にできる。このため、30~45坪程度の比較的コンパクトな3階建てでも広く感じる住まいを実現。また、ヘーベルハウスでは重量鉄骨の3階建て住宅商品には独自のオイルダンパー制震装置「サイレス(SeiRReS)」を標準装備。これは、高層ビルなどの地震対策として使われることが多い装置を、一戸建て向けに改良したものだ。

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都市の住宅密集地など限られた敷地を有効に使う3階建ては、窓の位置や高さの工夫で快適な通風や採光を確保することができる。

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1階のLDK。写真右奥にはリビングの床よりも30cm下がった土間キッチン。右手前はリビングより40cm高くなったスペース。高さの異なる床があることで、柱のない広い空間でありながら、家族がそれぞれの居心地のよい場所を見つけたり、さまざまな使い方をしたりできる。

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3階建てでは暗くなりがちな1階LDKだが、吹抜けに天窓を設けることで周囲に建物が建っていても太陽の光が降り注ぐ明るい空間にできる。

多種多彩な住宅のデザイン。人気のデザインや特徴は?

住宅雑誌やハウスメーカーのホームページ、住宅展示場のモデルハウスを見ると、さまざまなデザインの家がある。なかでもよく見かけるのは「和モダン」「シンプルモダン」「洋風」。自分はどんなデザインの家で暮らしたいのか、それぞれの特徴を知ったうえで考えてみよう。

主張しすぎない「和」が心地いい「和モダン」

「純和風の家では立派な柱や梁が使われることが多く、年月を重ねた自然素材の迫力に、家具などのインテリアが押されてしまいがちです。シンプルな暮らしや家具が好まれる今、人気が出たのが和モダン。和のテイストを残しながら、和を主張しすぎないデザインが、今の日本人のライフスタイルや好みに合っているのでしょう。シンプルな中に、ところどころで柱や梁を見せるなど、軸組に木材を使う木造軸組工法と相性がいいデザインです」

インテリアの好みが変わっても似合う「シンプルモダン」

「若い世代に人気があるシンプルモダンは、外観や内装そのものがあまり主張しないデザインなので、どんなテイストの家具でも合わせやすいのが特徴。多様性がある空間といえます。将来、インテリアの好みが変わっても家具や、カーテンなどのファブリックを変更することで、違う雰囲気をつくりやすいことが特徴です」

どんな工法とも相性がいい「洋風」

「洋風といってもいろいろ。花柄の壁紙に猫足の家具が似合うようなエレガントなタイプや、天然木やテラコッタ(素焼き)のタイル、アイアン(鉄製)の手すりなどを使ったスパニッシュスタイルやプロヴァンススタイル、シンプルでナチュラルな中にデザイン性を感じさせる北欧スタイルなど、バリエーションは豊富です。ハウスメーカーに依頼するときは、単に『洋風』ではなく、どんなテイストが好きなのかを明確にして伝えることが大切です。洋風の家は、柱や梁を壁で隠してしまうことが多いので、どの工法でも実現できるのがメリットです」

CASE2 ハウスメーカーの住宅商品でデザインの特徴を比較

<和モダン>

住友林業 和楽 華

季節によって光や風、音、匂いが変化する日本の自然。日本の家は、自然と融合するように、木を中心とした自然素材を上手に取り入れてきた。「和楽」からは、そんな日本の家が持つ繊細さやぬくもりを感じることができる。伝統的な和の美しさを追求する「和楽 雅」とモダンな趣を主張する「和楽 華」の2つのスタイルを提案している。

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木の格子や2階の細長いスリット窓、なだらかな屋根など日本建築のデザインが基本になった「和楽 華」の外観例。水平や垂直のシンプルなラインが現代的なシャープな雰囲気を感じさせる。

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障子や低い位置の窓に和のテイストを感じるリビング。床はフローリングだが、ソファやテーブル、椅子にロータイプのものを選ぶことで、より和に近い空間になっている。

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縁のない正方形の琉球畳や格子、シンプルな収納が、和室をモダンな雰囲気にしている。洋風なリビングに隣接していても違和感のない現代的なデザインだ。

<シンプルモダン>

ミサワホーム MISAWA DESIGNERS’ CODE INTEGRITY

シンプルな四角形を組み合わせた外観をベースにした「INTEGRITY」は、流行や時代の変化に影響を受けにくい普遍性の高いデザインの家。住まいづくりのノウハウや設計思想を、外観デザイン、質感や色合い、ディテールの3要素から構成する「デザインコード・パッケージ」として整理。1棟1棟のデザインに生かすことで、シンプルなだけではない、美しさと機能、性能を併せもつ住まいを実現している。

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四角形を組み合わせたシンプルな外観。垂直と水平のラインで構成されたデザインは、洗練された美しさを感じさせる。明るく白い外壁に、落ち着いた土壁風のタイルがアクセントに。

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間仕切りや凹凸がなく、内装材の色使いも白とブラウンの2色に抑えられたリビング。シンプルな部屋は家具やファブリックを変えることで、まったく違う雰囲気になる。ライフスタイルや好みの変化に寄り添う空間だ。

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主張しないデザインがシンプルで美しい部屋。透明な間仕切りで、実際の広さよりも開放感を感じることができ、白いスライドドアを閉めればプライベート感がアップする。

<洋風>

三井ホーム chouchou(シュシュ)

洋風のデザインにはさまざまなタイプがあるが、「chouchou」charm(チャーム)タイプはフレンチモダンスタイルの住まい。瀟酒で風合いのある塗り壁や格子窓、アイアンの装飾など細かなディテールでパリの家をイメージさせる。家の中も華やかな壁紙やタイル、エレガントなデザインのドアや水まわり設備などさまざまなアイテムから選ぶことで、自分らしい暮らしや個性を表現することができる。

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外観は「永く愛されるエレガンス」がテーマ。日本の住宅街の風景にも溶け込みながら、住む人の個性や好みをさりげなく表現できる。窓や玄関まわりの装飾もひとつひとつ選べるのが楽しい。

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大きな窓が庭との一体感を感じさせる明るく広々としたLDK。一段高くなったマルチスペースは子どもにとっては遊び場に、大人にとってはくつろぎの場になる。

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家事の合間に自分の時間を過ごすキッチン横のスペースはパリの素敵なアパルトマンのよう。好みの壁紙を選び、造り付けの棚に好きなものを飾れば、ほっとできる贅沢な空間になる。

ハウスメーカー選びはココがポイント

「ハウスメーカーによって工法やデザインテイストはいろいろです。ひとつの工法やデザインテイストにこだわるハウスメーカーもあれば、複数の工法を扱っていたり、さまざまなデザインテイストの住宅商品を用意していたりするハウスメーカーもあります。どのハウスメーカーにも独自のセールスポイントがあるはずなので、ホームページを見たり、モデルハウス見学をして複数のハウスメーカーを比較し、自分の好みと予算に合う依頼先を選びましょう」

はじめての家づくりでは、どのハウスメーカーに依頼をすればいいのか、なかなか決められないもの。好みの工法やデザインテイストから候補をしぼっていくのも、依頼先選びの方法のひとつだ。

※CASE1、2の建物の仕様は、地域・敷地条件やプラン等により掲載内容と一部異なる場合やオプションとなる場合があります。
※商品内容は予告なく変更される場合があります。

●取材協力
佐川 旭さん
(株)佐川旭建築研究所 代表取締役
一級建築士、インテリアプランナー

用と美を兼ね備えた作品を得意としている。住宅設計、街づくり、公共建築などを中心に講演・雑誌執筆活動をする傍らテレビにも出演。

取材・文/田方みき
公開日 2017年09月26日
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