せっかくなら、理想の暮らしをかなえてくれる素敵な家が欲しい。でも予算には限りがある……。
そんな悩みをさまざまな方法で解決し、コストコントロールしながら理想の注文住宅をローコストで建てたのポイントや3つの実例を通じて予算内でおしゃれな家をGETする方法を学ぼう!
「憧れのマイホームを、予算内でGETしたい」
そのためにわれわれはどんな工夫ができるのか、立地や物件探し、キッチン・お風呂・トイレなどの設備機器やフローリングなどの建材などコストダウンできる方法はさまざま。基本から飛び道具的アイデアまで、11のポイントを紹介。せひ、参考にしてほしい。
建築コストは家の形状や間取りが複雑なほど高くなる。出窓などの凹凸や間仕切り壁などが少ないシンプルな外観・プランが◯。逆に土地は旗竿地や三角地、狭小地など個性的だと単価が低め。建物が建たない部分は庭などに活用しよう。
マンションのゴミ置き場やエレベーターに近い住戸は割安。音やにおい、プライバシーへの配慮があれば気にならない場合が多い。墓地の近くや幹線道路沿いの土地も同様。北向き道路の土地は人目が気にならず日当たりのよい南側の庭が可能に。
寝室や子ども部屋の床材は合板にして、家族が集まるリビングだけむく材を使用。2階のトイレはタンク付きだが、よく使う1階はおしゃれなタンクレスに。部材が選べる注文住宅やリノベでは、一点豪華主義でお金をかけてこだわる場所を見極めよう。
築年の古い建物は購入前にインスペクション(建物状況調査)を頼めば入居後の修理費の節約につながる。資金計画はファイナンシャルプランナーにアドバイスを仰ぐのが得策。お金を払ってでもプロに意見を聞けば、結果的に支出を減らせる。
家を買うなら若いうちのほうが住宅ローンを長く組めるし、早く完済できれば老後の負担も軽くなる。新築マンションや建売住宅は未完成のうちに購入するとセレクトプランやオプションの選択肢が多く、希望の間取りや設備仕様を実現しやすい。
注文住宅では壁や収納の仕上げを省略し、施主がDIYで完成させるハーフビルドという選択肢も。門や塀などの外構は様子を見て入居後に工事すれば初期費用を抑えられる。中古住宅のリフォームも可能なメンテナンスは自分ですれば割安に。
マンションの間取りで「2LDK+S」などと書かれている場合のSは「サービスルーム」の略。採光や換気が居室の基準を満たしていないが、実際には問題なく使えるケースが多い。同じ広さでも3LDKの住戸より割安な場合が多く、狙い目だ。
バス便の物件は駅徒歩圏の物件に比べて割安な傾向がある。電車で通勤する場合は利便性の面で譲ることになるが、それだけ土地・建物の面積が広めで、緑が多く暮らしやすい環境が多い。テレワークで通勤が少なくなった人にもオススメだ。
入居後の生活費にも注目。近所のスーパーや商店街の価格をチェックし、購入頻度の高い食料品や日用品などの物価が安い街で家を買えば、暮らしのコストを抑えられる。街ごとに子どもの医療費助成や水道代にも違いがあるので確認しておこう。
建物の完成から1年以上たつと「未入居」物件となり、新築同様でも中古扱いとなって割安になることも。またマンションで棟内モデルルームに使われていた住戸は使われていた家具などがついた状態で買える場合もあり、家具代の節約にもなる。
家に稼がせるプラスの発想なら、コストダウンは不要かも。写真スタジオとしての時間貸しや民泊、3階建てにして1フロアを賃貸にするなど、家を活用して稼ぐ方法はさまざま。無論手間がかかるし、市場ニーズの見極めが大切なので上級者向きになる。
「市内中心部に平屋を建てたい!」と夢を描いていたSさん夫妻。当時、共働きをしていたものの夫はアルバイト、贅沢はできなかった。
そこで予算を3000万円台に決め、土地は希望エリアに旗竿地を購入。真四角の整形地よりも格安だった。建築費は1000万円台を希望した。こだわる所にはお金をかけ、それ以外は安価な素材を使用するなどメリハリをつけてコストコントロール。
例えば、間取りはシンプルなハコ型で壁面を少なく。また既製のサッシやシステムキッチンに設計を合わせコストを抑える。一方、居心地やデザイン性にはこだわり、床は家の雰囲気を柔らかく演出するアカシアのむく材を使用。高さ4mの三角天井と屋外テラスを採用して実際の面積以上の広さを感じる空間を実現した。いつも明るい笑い声が絶えないS邸。「予算内で理想以上の平屋ができて大満足です」
DATA(Sさんファミリー)
建物 1700万円
土地 2000万円
Total 3700万円
延床面積/86.03m2
敷地面積/149.02m2
竣工/2018年
設計/クニヤス建築設計
商業施設などの空間デザインを仕事にするYさんの自邸は、ポップな色づかいがチャーミング。「中古マンションをリノベーションすることは決めていたので、まず賃貸で移り住み、5年かけて費用を貯めながら街の住み心地を確認。その間に物件を探しました」
予算はトータルで2500万円。今の物件は当初予算オーバーだったが、こまめに情報をチェックし値下がりのタイミングで即決した。間取りはオープンに、可変性高く。「家の奥行きを活かせるよう、収納や脱衣所にも扉はなし。リビングは壁ではなく大きな棚で空間を仕切っています」
これにより壁や扉のコストを抑え、将来的な間取り変更にも対応している。個性的なデザイナーズ家具も、時間をかけて買い集めたため、思いのほか安価だ。「“今”必要だからと焦らず、長い目をもつことが予算内でお気に入りに囲まれて暮らすコツかもしれませんね」
DATA(Yさんファミリー)
建物 1500万円
リノベーション 730万円(+防音室 80万円)
Total 2310万円
延床面積/79.13m2
築年月/1986年
竣工/2011年
設計施工/アートアンドクラフト(防音室別途)
高台の造成地に建売住宅を購入したFさん。「購入時はインテリアに興味がなかったのですが、注文住宅で建てた友人宅に招かれ、映画に出てくるような住空間にすっかり魅了されました」
内装のリフォームも考えたが、資金面で断念。そんなとき、アイルランド人の夫の「僕の家族は自分で壁を塗っていたよ」という一言でDIYに初挑戦した。目指したのは夫の実家や、留学中に見たヨーロッパの住宅。インスタグラムやピンタレストでイメージづくりをし、DIYのノウハウはYouTubeで勉強した。「英語で検索すると、海外の情報が入手できてとても参考になりました。手づくり感が出ないようプロの動画を見るのがコツ」
壁にモール材を張り、ペンキを塗って海外風にアレンジ。「安価なので気軽にやり直せます。DIY費用は全部で20万円程度。建売&DIYはとてもいい選択でした」
DATA(Fさんファミリー)
建物+土地 3400万円
DIY 20万円
Total 3420万円
延床面積/115m2
敷地面積/155m2
竣工/2018年