一人暮らしを経験してみたいけど、家賃以外にも光熱費や水道代などの出費を考えると、なかなか踏み切れない……という人もいるかもしれません。しかし、それぞれにかかる金額が分かれば、1カ月の支出の目安が把握でき、家賃の予算を決めることができて、あこがれの一人暮らしにぐっと近づくはずです。本記事では、一人暮らしにチャレンジする人へ向けて、1カ月の水道・光熱費を含む生活費や、一人暮らしアドバイザー・河野真希さん直伝の水道・光熱費を抑える節約法などを紹介します。
一人暮らしで毎月必ずかかるお金が、家賃、水道・光熱費。光熱費とは、生活に必要不可欠な熱や光などのエネルギーを購入するのにかかる費用で、具体的には電気やガス、灯油などを指します。上下水道と光熱費をあわせて「水道・光熱費」と言います。
総務省の家計調査によると、単身世帯(34歳以下)の水道・光熱費の月間平均額は以下の通りです。
一人暮らしの水道・光熱費(平均) | 9272円 |
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※以降のガス代を除く水道光熱費の数値は34歳以下のデータを記載しています
水道・光熱費の合計金額を知ってから物件の予算を決めれば、お金の管理がしやすくなり、使い過ぎなど、後々苦労しなくて済みますね。一人暮らしを始めてからも、封筒に領収書をまとめたり、領収書のない支出はメモをしたり、家計簿アプリを活用したりして、自分の1カ月の生活費を把握し、管理するようにしましょう。
総務省統計局が公開している「家計調査 家計収支編 単身世帯(2022年)」によると、男女別水道・光熱費の金額は男性が9535円、女性が8907円と、結果に大きな違いは見られませんでした。
電気料金は「基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金」で計算されます。また、電力量料金は燃料価格の変動により調整され、「燃料費」などの名目で徴収されます。毎月の検針票で内訳を確認しましょう。
一人暮らしにかかる電気代の全国平均額について、総務省の家計調査のデータをもとにみていきましょう。
一人暮らしの電気代(平均) | 4768円 |
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ただし、住むエリアによって差が出ますので、自分の住む地域や契約予定の電力会社のホームページなどで料金を確認しましょう。
男女別一人暮らしの電気代は、男性が4817円、女性が4699円となり、ここでも男女で大きな差は見られませんでした。
電気代は季節によって変動します。年間で一番電気代が高い時期は、冬です。これは、暖房費がかさむ上、日照時間も短いため照明をつける時間が長いことが関係しています。そのため、冬は暖房と照明の使い方を工夫するのが節約のポイントです。
冬 1~3月 |
春 4~6月 |
夏 7~9月 |
秋 10~12月 |
年間 1カ月平均 |
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4466円 | 3564円 | 4263円 | 4051円 | 4768円 |
便利で快適に暮らすために家電は欠かせません。ほとんどの家電を使う際の電気代は高くても1回15円程で安く感じますが、実生活では、テレビをつけっぱなしにしたり、スマートフォンを何度も充電するなど、毎日いくつもの家電を繰り返し使います。ささいな節電を積み重ねることで1カ月、1年後に大きく差が出ます。
水道光熱費の中でも節約しがいがある電気代。一人暮らしアドバイザーの河野真希さんに教えてもらった節電術の中から5つのチェックポイントを紹介します。一気にすべてのポイントに取り組むのはハードルが高いため、まずはひとつから実践してみましょう。
チェック | 電気代の節約 5つのチェックポイント |
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エアコンの運転モードは「自動運転」に | |
エアコンのフィルターは月に1回以上掃除をする | |
家電のつけっぱなしや消し忘れをなくす | |
使わない家電はこまめに電源や電源タップをオフに | |
電力会社やプラン、アンペア数をライフスタイルに合わせて見直す |
何気なく使っている家電ですが、テレビの点けっぱなし、電気の消し忘れ、トイレの温水洗浄便座のふたの開けっぱなしに気をつけましょう。
また、電気代の節約で大事なのはエアコンの使い方です。河野さんが実践しているエアコンの節約術は、上に挙げた2点に加えて、サーキュレーターを併用すること、夏の日中は換気をしてからエアコンを入れ、カーテンを閉めるなど温度に気をつけることです。
また、2016年4月に電力の自由化がスタートして、消費者が電力会社や料金メニューを自由に選べるようになりました。賃貸住まいでも、本人名義で契約していれば、電力会社の切り替えが可能ですし、電気とガスなどのセット割引など、お得なサービスも選べます。アンペア数も含めて、ライフスタイルに合ったプランを検討しましょう。
電気代や電気代の節約について詳しくは
一人暮らしの電気代って平均どれくらいかかるの? 冬は高くなる?
ガスは、都市ガスとプロパンガスの2種類があります。都市ガスは地面の下を通るガス導管で供給され、プロパンガスは専用のボンベを用いて供給されます。都市ガスは公共料金である一方、プロパンガスは各社による自由料金制を採用しています。料金は都市ガスの方が安いですが、災害時の復旧はプロパンガスの方が早いです。
ガス代の計算式は「基本料金+従量料金(単位料金×ガス使用量)」です。従量料金の単位料金、使用量は毎月変わります。
では、一人暮らしにかかる1カ月のガス代についてみていきましょう。
一人暮らしのガス代 | 平均額 |
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プロパンガス | 5170円 |
都市ガス | 約1486円 |
ガスコンロ、暖房器具、お風呂を沸かす給湯器、キッチンでお湯を沸かす給湯器など、ガスは暮らしに欠かせません。ガス代は、都市ガスとプロパンガスのどちらと契約しているかで変わります。
2017年に都市ガスの小売り全面自由化が始まり、消費者がガスを供給する会社や、料金メニューを自由に選べるようになりました。会社を変えてもガスの品質は変わりません。賃貸物件でもガス会社を選べる場合があるので、大家さんに相談してみましょう。
浴槽に1回お湯を張る際にどれくらいのガス代がかかるのかは、「最初の水温×貯める水量×熱効率÷発熱量×平均従量単価」で算出できます。以下の前提条件で計算してみましょう。最初の水温が20℃の水を40℃まで温め、一般的な浴槽に200Lのお湯をためると仮定しています。
最初の水温 | 20度 |
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貯める水量 | 200L |
設定温度 | 40度 |
熱効率 | 80% |
発熱量 | 10750kcal(都市ガス) 24000kcal(LPガス) |
都市ガスの平均従量単価 | 145円 |
LPガスの平均従量単価 | 843円 |
都市ガスの場合
20度×200L×80%÷10750kcal×145円=43.16円
1カ月のガス代 約1295円
LPガスの場合
20度×200L×80%÷24000kcal×843円=112.4円
1カ月のガス代 約3372円
ガス代を節約するには、お風呂とガスコンロの使い方を見直しましょう。「ちりも積もれば山となる」と言うように、小さなことでも積み重ねることで、節約につながっていきます。
チェック | ガス代の節約 5つのチェックポイント |
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お風呂のとき、湯船の量を少なめにする | |
お風呂やシャワー、お皿洗いの際の設定温度を上げすぎない | |
お湯を沸かす際は必要な量だけを入れ、鍋ややかんにはふたをする | |
電子レンジや保温機能付きの家電を上手に活用する | |
中火調理や余熱調理でガスを使う時間や頻度を減らす |
「一人暮らしのお風呂は、湯船にお湯を溜めるより、シャワーの方が節約になります。料理をするときは、ガスを使うより電子レンジや保温調理鍋、電気ケトルなどの家電を使った方が節約になります。ガスを使っての調理は、調理時間を短くする工夫を」と河野さん。ガスを使うときに、無駄をなくすことを意識するだけでも節約につながります。
ガス代とガス代の節約について詳しくは
一人暮らしのガス代って平均どれくらいかかるの? 都市ガスとプロパンの違いは?
水道代は、「基本料金+従量料金」で上水道と下水道料金の合計額を計算します。基本料金は水道メーターの口径で変わり、従量料金は水を使うほど単価が高くなります。また、住んでいる自治体によって基本料金、従量料金が違い、下水道料金がかからない地域もあります。
総務省の家計調査によると、単身世帯(34歳以下)の水道代の1カ月の平均金額は以下の通りです。
一人暮らしの水道代(平均) | 1488円 |
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水道代は季節により大きな変動はありませんが、住んでいるエリアで多少異なります。また、水道代の支払いは2カ月に一度です。
一人暮らしをしている男性の水道代は1503円、女性は1467円と、男性の方がやや高くなっています。
水は、飲み水やお風呂、炊事、洗濯、掃除、水洗トイレなど、一人暮らしでも1日にバケツ35杯分以上使っています。上記は生活に伴う水道代で、いずれも衛生に関わるため、使わないわけにはいきません。トイレや歯磨きは1回分が1.44円と微々たる金額ですが、その回数が多いケースでは1カ月の水道代はより高くなります。
お風呂場が占める水道代のウエイトは大きく、水道代全体の40%を占めます。お風呂の入り方は自分のこだわりと好みも考えながら節約を工夫しましょう。
チェック | 水道代の節約 5つのチェックポイント |
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歯を磨いているときなど、使わないときは水を流しっぱなしにしない | |
油汚れがひどい食器や鍋は紙や布でふき取ってから洗う | |
お風呂の残り湯は洗濯などに活用する | |
トイレの水は大と小を分けて流す | |
飲み水は買わずにお茶を作るなどして水筒を持ち歩く |
河野さんによると「水は流しっぱなしにしないで、こまめに水を止めたり、お湯が出るまでの水は溜めておいて食器洗いや植物の水やりなどに使ったりしましょう。最近はペットボトルの水を購入することが当たり前のようになっていますが、ここも節約できるポイントです」とのこと。水をできるだけ無駄にしないことを意識して使っていきたいですね。
水道代と水道代の節約についてもっと詳しく
一人暮らしの水道代の平均金額は? お風呂に毎日お湯を溜めるといくらかかる?
一人暮らしにかかる主な費用は以下のものが挙げられます。
・食費
・家賃
・水道光熱費
・日用品費
・被服・美容費
・保険医療
・交通・通信費
・勉学・書籍費
・教養娯楽費 など
総務省統計局の家計調査によると、2022年における一人暮らしの消費支出は15万8198円です。男女別に見ると、男性が15万7372円、女性が15万9438円となっています。
日本学生支援機構が実施した「令和2年度 学生生活調査報告」によると、2020年における学生寮やアパートに暮らしている大学生の1カ月の生活費は16万~18万円でした(授業料・その他学校納付金 8万~9万円を含む)。生活費には、食費や住居・光熱費をはじめ、就学費や保健衛生費なども含まれており、最も大きなウエイトを占めているのが住居費で、食費や娯楽・し好費も1万円を超えています。
一人暮らしでは出費がかさむケースも珍しくありません。節約を成功させるには、毎月の収支を正確に把握した上で、食費やサブスクリプションサービスの見直しなどを検討しましょう。
節約の第一歩は月々の収支を正確に把握することです。お金が貯まらない、すぐ金欠に陥ってしまうといった人の場合、収入に見合わない支出があるケースが少なくありません。まずは、家計簿をつけて毎月の収支を把握しましょう。
家計簿は文房具店や書店などで購入できます。また、現在では高性能で使い勝手のよい家計簿アプリがあり、レシートをスマートフォンのカメラで撮影するだけでデータを取り込めるものもあります。
ただ、最初からきっちりやろうとすると、面倒になり継続できないかもしれません。まずは家計簿づけを習慣にすることが大切なので、最初から細かく取り組みすぎないよう注意しましょう。
水道光熱費のほかに節約できる余地がある項目として食費が挙げられます。毎日外食している、コンビニで弁当を買っているといった人は、そこを見直すだけでも節約として有効です。
最も効果的なのは自炊です。外食などに比べると大幅にコストを抑えられるため、自分で調理したことがない人もこの機会にチャレンジしてみましょう。最初はおかずはお惣菜などを購入し、ご飯を炊くだけでもよいでしょう。毎食ごとに料理をするのが面倒なら、多めに作って冷凍保存しておくのもおすすめです。
また、頻繁に買い物へ出かけると、不要なものまで購入してしまうことがあります。一度の買い物でまとめ買いするように心がけると、余計な出費を抑えられます。
支出が多くなかなか貯金ができないのなら、先取り貯金にチャレンジしてみましょう。給料が入ったら、決まった金額を貯蓄に回してしまうことで節約につながります。
先取り貯金を行うのなら、銀行口座を複数開設しておくとよいかもしれません。生活費用と貯蓄用の2口座を開設しておくと、うっかり貯蓄分に手を出してしまうリスクを軽減できます。
財形貯蓄制度や積立貯蓄口座を利用するのもおすすめです。口座へ給料が振り込まれたタイミングで、設定した金額が貯蓄用の口座へ自動的に振り込まれます。ただ、サービスによっては、満期前に解約してしまうと全額が戻ってこないこともあるため注意が必要です。
不要なサブスクリプションサービスに加入したままになっていないか、一度確認してみましょう。現在では、さまざまなサブスクリプションサービスが提供されているため、使わないのに解約せず放置しているといったケースは珍しくありません。
見直すべきサブスクリプションサービスとしては、動画配信サービスが挙げられます。動画配信サービスはいくつもあり、それぞれで視聴できる作品などが異なるため、1人で複数のサービスに登録するケースも多々あります。利用状況などを一度確認し、あまり利用していないサービスは解約の手続きを進めましょう。
併せて、インターネット回線や携帯電話料金なども見直すと節約につながります。現在では、低価格で利用できる格安SIMや格安プランが提供されているため、乗り換えることで効果的な節約が可能です。
日ごろから意識的にポイントを貯めることで節約が可能です。例えば、スーパーや家電量販店、ホームセンターなどにおいて、利用するお店をひとつに絞っておくと、効率的にポイントを貯められます。できるだけ還元率が高いお店を利用するのも大切です。
クレジットカード決済が多いのなら、クレジットカードも見直してみましょう。多くのクレジットカードはポイントサービスを提供していますが、還元率はカードによって異なります。比較しつつ還元率の高いカードを選び、日常の買い物や家賃の引き落としなどに利用すると、効率的にポイントが貯まります。
一人暮らしの1カ月の水道・光熱費や節約術を見てきました。一人暮らしはお金の管理など、すべてが自分の裁量次第です。初めは大変そうに思えるかもしれませんが、慣れてくると自分の生活のペースができて、やりくり上手になり、家事スキルもアップできるかもしれません。節約で浮いたお金を趣味に費やす、前から欲しかったものを買うために貯金する、お気に入りの家具を買って自分のセンスでお部屋をコーディネートするなど、やりくりに慣れてくると楽しみにもつながります。水道・光熱費をはじめとした生活費を把握し、自分で支払える家賃の金額を確かめたら、早速物件を探してみましょう。
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水道・光熱費に並ぶ現代の必須サービス インターネットについてもっと詳しく
一人暮らしでインターネットを快適に使うには? 目的に合わせてWi-Fi・回線を選ぼう!
出典
家計調査(総務省統計局)
家計調査 家計収支編 単身世帯(総務省統計局)
家庭用給湯器(化学工学会SCE・Net)
プロパンガスと都市ガスの特性比較」(プロパンガス料金消費者協会)
ガス料金表(家庭用/業務用・工業用 共通)(東京ガス株式会社(2024年1月 一般契約料金 A表の基準単位料金より))
2023年10月「LPガス 月別(関東局)(一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター(10m3のデータをもとに1/10で算出))
令和2年度 学生生活調査報告独立行政法人 日本学生支援機構
一人暮らしの水道・光熱費の平均は9272円
小さなことでも積み重ねることで水道・光熱費を含む生活費が節約できる
サブスクや食費の見直しなど、水道・光熱費のほかに節約できる余地も
毎月必ずかかる水道・光熱費の金額も考えて予算に合う賃貸物件を探そう