一人暮らしをするには、契約・引越しのときの初期費用、さらに入居後の生活費などと、何かとお金がかかるもの。女性と男性、それぞれ1カ月いくらあれば一人暮らしができる? 節約&貯蓄のためのポイントは? 一人暮らしの気になるあれこれをハウスメイトショップの伊藤基さん、一人暮らしアドバイザーの河野真希さんに教えてもらった。
一人暮らしを始めるときにかかる「初期費用」は、大きく分けて2つ。物件の契約時に支払うお金と、新生活で使う家具・家電を準備するお金が必要となる。
まず、物件の契約時に支払うお金は、家賃の4~5カ月分が目安と言われるが、「物件によっては、そこまでかからないことも」とハウスメイトショップの伊藤さん。「例えば、敷金・礼金が無料の『ゼロゼロ物件』や家賃1カ月分が無料のフリーレント付き物件などを選ぶと、初期費用は大きく抑えることができます」
具体的な初期費用の内訳も教えてもらったので、以下の表をチェックしておこう。
家賃・共益費 | 入居月と翌月分の家賃・共益費を契約時に支払うのが一般的。契約日が月の途中の場合、日割りの家賃・共益費を支払う |
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敷金 | 家賃の1カ月分が目安。契約期間の家賃債務の担保(滞納時)として預けておくお金。退去時に壁紙を張り替えるなど原状回復の費用を差し引かれ、残りは返金される |
礼金 | 家賃の1カ月分が目安。大家さんへのお礼として支払う費用。人気エリアの新築物件などの場合、家賃2カ月分で設定されていることも |
仲介手数料 | 家賃1カ月分が目安。不動産会社を介して借りた場合、紹介料として支払う |
火災保険料 | 2年間で2万円くらいが目安。入居中に火災に遭った場合の保険 |
鍵の交換費用 | 1万5000円~2万5000円が目安。鍵の防犯性の高さによってアップダウンする |
保証会社利用料 | 家賃・共益費を合わせた総額の50%、または100%のいずれかが一般的。入居者が家賃を払えなくなった場合などのため、保証会社の利用が条件となる物件が増えている |
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一人暮らしを始めるときの初期費用 資金は最低どれくらい必要?
物件の契約時の初期費用のほかに必要となるのが、新生活で使う家具・家電を準備するお金。家具・家電付きの物件もあるが、数が少ないので、ほとんどの場合は自分で用意することになる。
家具・家電は人によって何を買うのかが違い、また商品の価格にも大きな幅があるので、一概にいくらが目安とはいえないが、「一人暮らしを始める人用のセット商品が出ているので、その値段が参考になるでしょう」と一人暮らしアドバイザーの河野さん。新生活のシーズンには、必要になる家具や家電を「初めての一人暮らしセット」としてお得に販売しているメーカーも。家具や量販店のホームページを見てみよう。
また「家具・家電は買わずに借りるという発想で、サブスクリプションを利用するのもアイデア」なのだとか。「気に入らなければ違う商品への変更もできるので、どんなものを買えばいいのか迷っている人にも向いています」。初めての一人暮らしで何を買えばいいのか迷っている場合は、選択肢の一つとして考えてみよう。
なお、知人やオークションサイト、地元の人から中古品を無料で譲ってもらえるサイトなどを利用すれば、安価または無料で入手することもできる。これらを利用すれば、家具・家電代はぐんと抑えることができるのでチェックしてみよう。
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食費、光熱費など「家賃以外の生活費」がどれくらいかかるのかも重要。下表は総務庁統計局のデータで、家賃以外の一人暮らしの生活費は、月平均11万4768円となっている。男女別に見ると、男性の平均は11万7474円、女性の平均は11万1127円で、男性のほうが6300円ほど高い数値となっている。内訳を見ると、水道光熱費は600円、保険医療費は1000円ほど男性のほうが高いが、生活用品費は女性が約1000円、その他(理美容・交際費)は約5000円高く、家具や雑貨、美容や化粧品などにお金をかけていることがわかる。通信費は男女で変わりはなかった。
お金の使い方には個人差があるが、「特に初めての一人暮らしでは、家賃のほかにかかる生活費の目安を知っておくことが大切です」と河野さん。目安を知ることで、無理のない家賃で部屋を探すことができる。
食費 | 34,385 |
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水道光熱費 | 9,272 |
生活用品費 | 3,577 |
被服費 | 7,643 |
保健医療費 | 5,348 |
交通費(※) | 7,266 |
通信費 | 6,063 |
教養娯楽費 | 21,908 |
その他(理美容・交際費) | 19,306 |
合計 | 114,768 |
食費 | 37,587 |
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水道光熱費 | 9,535 |
生活用品費 | 3,194 |
被服費 | 7,780 |
保健医療費 | 5,809 |
交通費(※) | 7,289 |
通信費 | 6,117 |
教養娯楽費 | 22,857 |
その他(理美容・交際費) | 17,306 |
合計 | 117,474 |
食費 | 30,035 |
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水道光熱費 | 8,907 |
生活用品費 | 4,107 |
被服費 | 7,447 |
保健医療費 | 4,748 |
交通費(※) | 7,253 |
通信費 | 6,003 |
教養娯楽費 | 20,570 |
その他(理美容・交際費) | 22,057 |
合計 | 111,127 |
「年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(単身世帯)」のデータ(~34歳の全国の男女)によると、家賃のほかにかかる一人暮らしのお金は平均11万4768円。
※出典/「統計調査 家計収支編 単身世帯(2022年)」(総務省統計局)
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家賃は「月収の3分の1以内」に抑えるのが目安と言われる。ただし、「収入が多くない若い人、家賃が高めの都市部などでは、その範囲内に抑えるのが難しいこともあります」と河野さん。「それより『月収から家賃以外の生活費と貯蓄したい金額を引く』という考え方で、自分に合った適正家賃を割り出すほうが現実的です」
適正家賃の中で気に入った部屋を探すためには、何が家賃のアップダウンに影響する条件なのかを知っておく必要がある。人気のあるエリアや沿線ほどアップするのはもちろんのこと、複数路線が乗り入れている駅、特急・急行などが停車する駅、さらに駅から近いほうが家賃はアップする。ほかにも「セキュリティがしっかりしている物件はそれが家賃にも反映されることが多いでしょう」と河野さん。
例えば、駅から遠くてもいいなど、自分が許容できる条件をたくさん持っておくと、満足できる物件を見つけやすくなるだろう。SUUMOで家賃相場もチェックしてみよう。
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家賃は決まった金額が毎月かかるが、それ以外の生活費は「節約の工夫や努力によって抑えることができます」と河野さん。「例えば、食費は食材の無駄を出さないように使い切るのが鉄則。光熱費は家電のつけっぱなし・水道の流しっぱなしをなくすなど、地道な努力の積み重ねで節約できます。また、通信費は格安SIMへの変更や、契約プランの見直しを。インターネット環境の整った部屋を選ぶのもポイントです」
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節約のためには、自分のお金の使い方を知ることが重要だが「家計簿をつけるのが面倒、という人は、もしかして使いすぎ?と気になる項目だけでも記録してみては」と河野さん。「例えば毎日コンビニでお菓子を買う、という人は、そのレシートを貯めておきます。1カ月分を合計してみて、使いすぎなら節約しましょう」
節約には、家計簿アプリも活用してみたいもの。「家計簿をつけなくても、レシートをスマホで撮影するだけで記録してくれるなど、さまざまな機能が。メモがわりに使うことから始めてみてもいいかもしれません」
急に大きなお金を使うことになったときのために、貯蓄(貯金)もしっかりしておきたいもの。「収入の1割以上を貯蓄に回すのが理想です」と河野さん。
とはいえ、難しい金融商品はハードルが高い。そこで「一人暮らしには簡単で確実な積み立てがオススメ。銀行でも財形貯蓄でもiDeCoでも、特に何かしなくても自動で積み立ててくれるものがいいでしょう」
また「現在の総資産はいくらなのか、月1回はチェックする習慣をつけましょう」。例えば毎月、給料日や仕送りの日などに「総資産が減っているのか、増えているのかだけでもチェック。減っている場合は使いすぎ、増えていればしっかり貯蓄できているということがわかります」
お金を使いすぎた項目、自分の資産状況を毎月チェックし、節約&貯め体質を目指そう。
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毎月の生活費を抑えるのは大変。でも、家賃以外にどれくらいのお金がかかるのかを予測できていれば、無理のない家賃で部屋を探すことができる。部屋探しの前に、暮らしにかかるお金をシミュレーションしておこう。
物件の契約にかかる初期費用は家賃4~5カ月分が目安だが、物件により抑えられる
家賃のほかにかかる月の生活費は平均11万円強。この費用も考えて家賃を決めよう
使いすぎの項目をチェックし、手持ちの金額が先月より増えているかチェックしよう