礼金・更新料・保証人が不要など、お得そうな話をよく聞くUR賃貸住宅。ただ、民間の賃貸住宅と比べてどうなの? デメリットもあるのでは? と疑問を抱いている人は多いはず。そこで、都市再生機構に、UR賃貸住宅のメリット・デメリットをズバリ聞いてみた。
UR賃貸住宅とは、都市再生機構(UR都市機構)という独立行政法人が管理している公的な賃貸住宅のこと。全国に約74万戸あり、そのなかには従来の公団住宅のほか、最新設備を備えたハイスペック住宅も含まれている。
民間の賃貸住宅との違いは、以下にUR賃貸住宅のメリット・デメリットを挙げながら解説していこう。
民間の賃貸住宅を契約するときは、敷金(家賃1~3カ月分)・礼金(家賃1~3カ月分)・不動産会社への仲介手数料(家賃1カ月分)がかかり、さらに契約2年ごとに更新料(家賃1カ月分)がかかるのが一般的。
一方、UR賃貸住宅では、礼金や仲介手数料が不要。入居時に必要なのは、敷金として月額家賃の2カ月分、日割りの家賃と共益費だけなので、初期費用が抑えられる。さらに入居後は1年ごとに契約が自動更新され、更新料がかからない。また、UR賃貸住宅から別のUR賃貸住宅へ引越した場合、敷金は引き継ぐことができる。
民間の賃貸住宅では、保証人を立てる(もしくは保証会社を利用する)必要があるが、UR賃貸では、保証人が不要。収入などの審査をパスすれば、自己責任で契約することができる。このほか、火災保険への加入義務がないなど、手間や費用を省けるポイントが多い。
都心近郊を開発してきたという経緯から、敷地が広々としているのが特徴。物件によっては公園、保育園、病院、スーパーなどを備えているところもある。また、1つ1つの部屋もゆったりとつくられている。例えば民間の賃貸住宅なら2LDKの間取りになるところ、UR賃貸住宅では1LDKで提供されているなど、部屋数のわりに面積が広くなる傾向がある。
部屋の面積が家賃に反映されるため、同じ部屋数の民間の賃貸住宅に比べると、面積が広い分、家賃は高めに設定される傾向が。ただし、契約時の初期費用が少なくて済み、更新料が不要なことを加味すると、総費用は割安なこともある。
駅からのアクセスのいい物件もあるが、駅から遠い、バス便になるといった物件も少なくない。また、特に昭和30~40年ごろに開発された古い物件などでは、エレベーターがない、洗濯機の排水口がない(浴室に排水する)といったケースも。ただし、古くても大規模リニューアルで設備が改善されていることもあるため、内見でチェックしてみよう。
保証人がいらない代わりに、入居者本人に課す条件はやや厳しめ。例えば、毎月の平均収入額が基準月収額(家賃の4倍。家賃が一定の金額を超える物件についてはURが定めた固定額)以上であること、もしくは貯蓄が借りたい物件の月家賃の100倍以上あることなど、UR賃貸住宅が定める条件をクリアする必要がある。ただし、1年分の家賃を前払いすればOKなどの緩和措置もある。
前述のように、初期費用や入居後の手続きの費用を抑えられるのがUR賃貸住宅の大きなメリット。では、実際に長く住んだ場合、一般的な民間の賃貸住宅と比べてどれくらいの差が出るのだろう。以下にシミュレーションしてみた。
仮に10万円の物件に5年住んで退去したとして計算すると、一般的な民間の賃貸住宅と比べ、約50万円の差が。つまりUR賃貸住宅なら、家賃10.5万円の物件に住んだとしても、家賃10万円の民間の賃貸住宅よりトータルコストを抑えることが可能ということになる。
一般的な民間の賃貸住宅 | |
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家賃 | 10万円×60カ月=600万円 |
敷金 | 10万円×2カ月=20万円 |
(退出時) | (3万円差し引かれると仮定し17万円返還) |
礼金 | 10万円×2カ月=20万円 |
仲介手数料 | 10万円×1カ月=10万円 |
更新料 | 10万円×2回=20万円 |
5年間合計 | 653万円 |
UR賃貸住宅 | |
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家賃 | 10万円×60カ月=600万円 |
敷金 | 10万円×2カ月=20万円 |
(退出時) | (3万円差し引かれると仮定し17万円返還) |
礼金 | 0円 |
仲介手数料 | 0円 |
更新料 | 0円 |
5年間合計 | 603万円 |
民間の賃貸住宅と比べると、さまざまな違いがあるUR賃貸住宅。結局のところ、どんな人に向いていて、どんな人には向かないのか、まとめてみた。
UR賃貸住宅には、固定のファンも多いという。条件さえクリアすれば、さまざまなメリットをふんだんに享受できるからだ。長い目で見て、自分に向いているかどうかを考え、ぜひ比較検討してみよう。
UR賃貸住宅とは、都市再生機構という独立行政法人が管理している公的な賃貸住宅
契約に関する費用が抑えられ、また手間の少ないこと、敷地や部屋の面積が広いのがメリット
逆に、駅から遠かったり築年数が古い物件があること、入居者の審査基準が厳しいのがデメリット
子育てファミリーやお得な家賃プランの対象になる人、初期費用をなるべく抑えたい人にはおすすめ