アパートやマンションなどの賃貸のお部屋を探していると、「インターネット使用料無料」の物件を目にします。インターネットが無料であれば毎月の通信費が節約できるので助かるところですが、「遅い」や、「安定しない」などの注意点はあるのでしょうか。今回はインターネット無料の賃貸物件について、その特徴やメリット、入居前に確認すべき点、入居後の対策などを解説します。
インターネット無料の賃貸物件とは、インターネットの回線使用料が無料のお部屋のことです。賃貸物件の所有者(大家さんや法人など)がプロバイダとインターネット回線を契約し、使用料を負担している仕組みです。
インターネット無料物件は、毎月必要になる通信料金が無料のうえ、すでに部屋に回線が通っている状態なので、入居後すぐにインターネットが利用できます。引っ越し前後は慌ただしいので、プロバイダの比較検討、契約、場合によっては回線工事などのプロセスが省けて、時間や手間がかからないメリットがあります。
ちなみに、賃貸の物件募集では、「インターネット接続可」「インターネット完備」「インターネット対応」などの文言がありますが、統一された表記ルールはありません。
「インターネット完備」は「インターネット無料」を意味することが多いようです。
一方で、「インターネット接続可」「インターネット対応」は、建物までの配線は完了しているものの、各部屋までの配線は完了していない、または部屋までの配線は物理的に完了しているものの、オーナーによる契約はされていない状態のお部屋をさすことが多いようです。
この場合は別途、入居者がプロバイダと契約をする必要があり、インターネット利用料金も入居者が支払います。
インターネット無料物件のメリットは以下のようになります。
光熱費や通信費などは、毎月発生するものだけに、少しでも抑えたいものです。マンションやアパートのインターネット回線使用料は月額3000~4000円といわれていますが、これが無料というのは大きなメリットです。
引っ越し時にさまざまな手続きが必要になりますが、インターネット使用料無料の物件であれば、設定はすでに終えてあることが多く、入居後にすぐに利用できるようになっているものです。設定や契約手続きなどをしなくてもいいのはうれしい特典でしょう。
インターネット使用料が無料の物件は、設定や契約手続きはすでに終えているため、基本的には工事などが不要です。プロバイダや回線業者を探し、プランを比較検討したり、申し込みや契約などをする必要がありません。
一方でデメリットや注意点もあります。
インターネット無料物件の多くは、インターネット回線をマンションやアパート全体で契約し、1つの回線をすべての部屋で共有して使用しています。そのため、基本的に通信速度はあまり期待できません。さらに利用者が多い時間帯(夜間や土日など)などは、通信速度が遅くなりがちです。動画を視聴できない、ゲームに接続できないこともあるといいます。
インターネット無料物件はすでに大家さんなどとプロバイダが契約をしているため、入居者がプロバイダを選ぶことはできません。自分でプロバイダを選びたい人、速度が必要な人は、満足できないことでしょう。また、建物の状況によっては速度の早い光回線などを物理的に引くことができないこともあります。
インターネットのプロバイダとは大家さんや物件所有者が契約し負担していますが、基本的には大家さんはインターネット通信料も含めて家賃を設定しています。そのため、インターネット無料でない物件と比較して、家賃や共益費が高くなっていないか、十分に注意する必要があります。
「インターネット無料」をうたっていても、設定や接続方式は物件ごとに異なります。
有線方式であれば、LANケーブルとパソコンを接続して、設定すればその日からインターネットが利用できます。電話などと同じでわかりやすい方式です。
無線方式であれば部屋にルーターなどが置いてあるはずです。説明書に従って、自分で接続、設定する必要があります。不明な点があれば、自身でプロバイダに連絡します。
インターネット無料物件のメリットやデメリット、接続方式などを踏まえて、以下のような人は、インターネット無料の賃貸に向いている人といえます。
反対に以下にあてはまる人はインターネット無料の賃貸には向いていません。
通信環境や速度を重視したい人であれば、「インターネット無料」の賃貸はあまり向いていません。
通信環境や速度を重視したい人が、「インターネット無料」の部屋を気に入ることもあるでしょう。その場合、物件の見学時に、「別途、プロバイダは契約できますか?」「光回線の●●は使えますか?」と確認しておきましょう。光回線のエリアが来ているかどうか、自身で調べることも可能です。利用できるようであれば、引っ越してきたあとに、自分で個別に光回線と契約をします。自身での契約となるため契約料や工事費、毎月のネット使用料は、自己負担となります。アパートや戸建ての場合であれば、こうした個別契約や工事もさほど難しくありません。
ただ、建物の状況よっては別途工事が難しいこともあります。特に分譲マンションであれば、管理組合の許可が必要になるため複雑になり、個別契約ができないことがあります。
建物の状況によって、個別にプロバイダ契約ができない場合もあることでしょう。その場合、モバイルルーター・モバイルWi-fi、ホームルーターを利用する選択肢もあります。コンセントにつなぐことで設定が完了し、電気工事なども不要で設定も比較的かんたんです。慌てることなく引っ越し後に機器を手配し、設定して使うとよいでしょう。
「アパート」「マンション」のインターネット使用料が無料の物件があります。無料なだけでなく、設定なども不要なので、手軽さ、身軽さが特徴になります。一方で、「遅い」「つながらない」といった注意点もあります。ただ、入居前に確認したり、入居後に対処することでネット環境を向上させることも可能です。特色や傾向を理解して、自分にあったお部屋探しにつなげましょう。
インターネット無料賃貸は、毎月の通信料金が不要で、入居後すぐにインターネットが利用できる
マンションやアパート1棟で回線契約をしているため、速度は早くなく、安定しないことがある
通信環境や品質にこだわりたい人は、インターネット無料賃貸でも別途プロバイダ契約をするといい