賃貸物件のDIYどこまでならOK? 壁やキッチンに棚をつけるときの注意点

賃貸住宅に住んでいると「もう少し収納があればいいのに」と思うこと、ありませんか? 持ち家であれば、自己判断で後から壁に収納棚を造作することもできますが、借家の場合は勝手に取りつけていいものか悩みどころです。さらに、収納棚を取りつけるにしても、DIY初心者にとっては材料選びや設置時に気をつけるべきことなど、分からないことが多いもの。そこで、今回は『DIYで壁に棚をつける場合』の疑問を解消するべく、賃貸のDIYに詳しいプロ、そしてDIYで棚設置の肝になる金具を製造している企業、それぞれに話を聞きました。

壁に棚を取りつけたい!賃貸の部屋はどの程度DIY可能?

そもそも賃貸物件の契約条件として、「原状回復」を義務つけているケースが大半です。これは、「貸し出したときの状態で退去してね」というルールになります。ただし、「年月が経つうちに劣化した」「普通に使用して傷んだ」と考えられるものは、原状回復に含まれません。つまり「借りた当初の状態に戻すこと」ではなく、「借主の住まい方、使い方によって発生した損耗」などについて、元に戻す必要があるということになります。

ということは、収納棚を取りつけるときに壁に穴を開けたら原状回復の義務が生じ、弁償することになるのでは……? まずは、この疑問点について、賃貸住宅におけるDIYのルールに詳しいハウスメイトパートナーズの伊部 尚子さんに解説してもらいました。

「例えば、『画びょうの穴』レベルであれば、原状回復の必要はないと定められていますが、壁に棚を設置する場合、『くぎやネジの穴』が開くことになります。これは、基本的には原状回復の義務に含まれるケースです。ただし、くぎの穴程度であれば修復に際しての費用を高額請求されたり、敷金から大幅に引かれるケースは少ないです」(伊部さん)

では、なぜ「画びょう」がOKで、「くぎやネジ」がNGなのでしょうか。それは、日本の住宅ならではの「壁のつくり」が関係しています。木造の賃貸住宅では、壁紙やクロスの内側を見てみると、まず「石膏(せっこう)ボード」が取りつけられていることがほとんど。この石膏ボードのさらに奥に「間柱」と呼ばれる柱が等間隔に立てられています。

画びょうは壁紙やクロスを貫通し、石膏ボードにわずかに刺さるか。また、壁紙やクロスは6年で価値がなくなると見なされるので、たとえ新築で入居したとしても6年住めばどんなに汚しても弁償する必要はありません。

一方で、くぎやネジは石膏ボード自体を傷つけてしまいます。さらに棚を設置するとなると石膏ボードでは重量に耐えられないため、「間柱」にくぎを刺すことになります。
通常、退去後のリフォームであっても、石膏ボードを取り換えることはなく、穴を埋めるための余計な補修作業が生じてしまうのです。この差が、原状回復義務が発生するかどうかの違いにつながるようです。

賃貸物件の原状回復については、貸す側のオーナーや管理会社、借りる側の入居者との間でトラブルが起きないよう、国交省がガイドラインを定めています。とはいえ、賃貸物件の数だけ事情が異なるため、ガイドラインをふまえつつもケースバイケースで対処していることが多いようです。

「そもそも『原状回復しなくてもOK』にしている物件もありますので、契約内容が曖昧(あいまい)なときは管理会社に確認してみるといいでしょう。さらにいえば、築年数が古い物件であればあるほど、オーナーの許容範囲が広くなるケースが多いので、相談次第で合意が得られる可能性も高いです」(伊部さん)

ということで、壁に収納棚を取りつけたいと思ったら、オーナーや管理会社に次の手順で確認を取りましょう。

その1.部屋のどのあたりに、どのような棚をつけたいのかを図や写真で示しつつ、壁に穴を開けて棚を取りつけても問題ないかどうか、また原状回復の必要がある場合は敷金からいくら引かれるのか確認。
その2.(問題ない場合)具体的にどこに、どのメーカーのどの商品の棚をつける予定なのか書面で申請。
その3.許可が出た範囲でDIYを実施。

DIY棚の要になる金具、どうやって使い分ける?

DIYで壁に棚を取りつける場合、金具や棚板が必要になります。初心者におすすめの一番シンプルな棚は、L字金具を2本使用した上に、棚板を置いたタイプのもの。さほどの収納力は期待できませんが、書籍や雑貨を並べるなどして飾り棚のように使うことができます。 

そこで、L字金具を取り扱う際の注意点について、さまざまな家具金物を製造するスガツネ工業に教えてもらいました。

「まず、金具を選ぶうえでポイントになるのは、棚板やその上に乗せる荷重です。これは、金具によってさまざまですが、耐荷重は必ずパッケージに書かれているので、それを守ってください。また、金具の柄が棚板幅の3分の2くらいまで。30 cmの棚板であれば、最大20cmとなります」

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ちなみに、棚板がたわんでしまわないためには、2本の金具の間隔を60cm以内に抑えると良いそう。間柱の多くは45cm間隔なので、ひとつの目安になりそうです。また、L字金具はくぎで壁に取りつけることになりますが、ネジの長さも気をつけたいところ。

「基本的に、金具は下地材と呼ばれる、木材の芯柱や間柱にくぎを差し込むことを前提に強度が設計されています。そのため、厚みおよそ12mmの石膏ボードを貫通して、さらにその先にある柱にきちんと届くことがポイントです。金具ごとに適したくぎのサイズが記されているとは思いますが、これはきちんと守っていただきたい点です」

ただし、下地材は石膏ボードをはがしてみないと正確な位置は分かりません。そのため、壁裏の見えない下地材を探し出す道具も販売されています。

(左)壁面をすべらせて、壁の内側にある下地材をランプで知らせてくれます。価格は1000円から4000円が相場の模様。プロ仕様になると10万円近くになるものも。(右)先端を壁に垂直にあてて軽く押し込むタイプの下地材探しツール。柱がなければ針が深く刺さり、柱があれば途中まで入ります。1000円以内で購入可能

材料はシンプルで簡単に取りつけられますが、どこに棚を設置するかは慎重に決めたいところ。とはいえ、原状回復についてのベーシックなルールと、取りつけ時の注意ポイントさえ気をつければ、それほど手間をかけずに、デッドスペースになりがちな壁に簡単な棚を取りつけることができそうです。ぜひご参考あれ!

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取材・文/やじろべえ 末吉陽子
公開日 2018年06月12日
最終更新日 2018年08月28日
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