賃貸保証会社の審査とは?審査の流れや落ちる理由について解説

最終更新日 2023年07月24日
賃貸保証会社の審査とは?審査の流れや落ちる理由について解説

賃貸の契約をする際、以前は保証人を立てて契約を行うのが一般的でした。しかし現在では、契約の際に保証会社を利用するケースが多くなっています。賃貸保証会社とは何か?また、審査の流れや審査に落ちるポイントなどについて、SIRE代表取締役の木津雄二さんに伺いました。

賃貸保証会社とは?

賃貸物件を借りる際に、保証人の代わりになる会社

賃貸保証会社とは、家賃の滞納などが起きた場合に、立て替えて支払うことを保証する会社のことです。家賃保証会社、あるいは保証会社とも呼ばれます。

以前は、連帯保証人を頼める人が周囲にいない場合などに利用されることの多かった保証会社ですが、現在では賃貸契約の際に保証会社を利用するケースの方が一般的になっています。

「2020年の民法改正により、連帯保証人になる人には保証する債務の上限金額(極度額)を明示し、発生する可能性のある債務を連帯保証人に明確に説明することが義務づけられました。そのため、個人の連帯保証人を立てることが以前よりも難しくなったという背景があり、現在では保証会社を利用するケースの方がスタンダードになっています」(SIRE木津さん、以下同)

連帯保証契約のイメージ
(画像/PIXTA)

保証会社の保証範囲は家賃以外にも及ぶ

賃貸契約をすると、さまざま債務が発生します。主な債務は月々の家賃ですが、保証会社が保証するのは家賃以外も含むさまざまな債務が対象となります。

「保証会社の保証範囲は家賃のほか、共益費、管理費、更新料、退居時のクリーニング費用、鍵交換費用、違約金、原状回復費用なども含まれるのが一般的です。会社によっては、契約者が亡くなった場合の荷物の撤去費用などもカバーされます」

賃貸保証会社の保証範囲

・家賃
・共益費
・管理費
・更新料
・クリーニング費用
・鍵交換費用
・原状回復費用
・違約金
・荷物の撤去費用 など

保証会社を利用するためには審査が必要

賃貸物件の契約をする際には入居のための審査が行われます。審査は家賃の滞納や入居後のトラブルなどを防ぐために行われるもので、審査を通らなければその家を借りることはできません。

入居審査には大家さんによるオーナー審査、管理会社が入っている場合は管理会社審査、そして保証会社を利用する場合は保証会社の審査などがあります。

保証会社の審査の流れや落ちるポイント

審査ではまず申込書に身分証明書や保険証を添えて提出

物件の申し込みを行うときに、保証会社の審査用の申込書にも必要事項を記入して提出します。その際、申込書と併せて身分証明書や保険証、収入を証明する書類も提出します。

「保険証には勤務先が書いてあることもあるので、申し込みの時点では身分証明書と保険証だけで進められるケースが少なくありません。保証会社によっては審査を申し込む時点で源泉徴収票などの収入証明が必要になることもあります」

審査の申し込みのイメージ
(画像/PIXTA)

入居審査にかかる日数は1週間程度

審査を申し込んだら、できるだけ早く結果を知りたいと思うものですが、書類の不備や確認先に電話がつながらないなどのケース以外は、保証会社の審査結果がでるまでにそれほど時間はかかりません。ただし、オーナー審査なども含めた入居審査全体としては1週間程度かかることもあります。

「保証会社審査については数時間で済むことが多いですが、オーナーや管理会社の審査については、支払い能力以外の要素も含めて総合的に判断するため、時間を要することもあります。入居審査全体にかかる日数としては、1週間程度が目安と考えておきましょう」

保証会社は審査で何を調べる?

保証会社の審査では年収、勤務先、勤続年数などを総合的に判断し、支払い能力があるかをみています。最近では、電子契約や非対面での契約が浸透し、本人確認も厳格に行われるようになりました。また、家賃が収入の何%程度を占めているかという家賃比率も確認しています。「家賃比率は、年間賃料の支払い額が年収の30%程度に収まっているかを目安としているところが多いですね」(木津さん)。ただし年金生活をしている人など年収が少ない場合でも、口座残高を確認してOKにするケースはあります。

個人信用情報機関( CICやJICCなど)にクレジットカードの支払い状況や携帯電話の割賦販売の利用状況などの個人信用情報を確認する保証会社も増えています。「ただし、滞納履歴があったからといって審査を落とすわけではなく、こちらも追加で口座残高を聞くなどできるだけ救おうとするケースが多いです」(木津さん)。ほかにも貸主保護の観点から、反社会勢力のチェックを独自のツールで行う会社も増えています。

また最近は、はじめにアプリで審査を行い、借りられる上限賃料を知った上で物件を決めることができるサービスもあります。フリーランスなどの場合、部屋を決めても「審査に落ちるかも」という不安があるかもしれませんが、このサービスは先に審査を行うので、審査に落ちることがなく、確実に部屋を借りることができます。一部の保証会社で行っているので、審査を不安に思う人はこうしたサービスを利用するのもいいかもしれません。

滞納の履歴がある場合は要注意

審査では、収入などの支払い能力に加え、個人信用情報などもポイントになります。「保証会社は主に信販系、協会系、独立系に分類され、それぞれ審査の際に用いる情報が異なるため、事前に把握しておくといいでしょう。

まず、信販系の保証会社はクレジットカードやローンなど、信販系の過去の履歴をもとに審査を行う保証会社で、協会系や独立系の保証会社よりも、審査は厳しいです。

協会系の保証会社の場合は、全国賃貸保証業協会(LICC)がデータベース化した、賃貸住宅の借主の申し込み情報や家賃の滞納履歴などをもとに審査を行います。

独立系の保証会社については、独自で蓄積された情報などをもとに審査を行うため、信販系や協会系と比べると、比較的審査は通りやすい傾向があるようです」

保証会社の審査に落ちた場合、収入に対して家賃が高すぎるなど、現在の支払い能力が家賃に見合わないというケースもありますが、過去の滞納履歴などが審査に落ちる理由になることもあるので注意しましょう。

クレジットカードのイメージ
(画像/PIXTA)

審査に落ちた場合の対処法

保証会社の審査に通らない場合、対処法はあるのでしょうか。

「保証会社によって審査の基準は異なるので、1社の審査に通らなかったからといって、すべての保証会社の審査に落ちてしまうということではありません。

通常、不動産会社は複数の保証会社と提携しているため、1つの保証会社の審査に落ちた場合は、ほかの保証会社を用意してくれることもあります。

借主に保証会社の選択権はありませんが、過去に信販系の保証会社の審査に通らなかったなど、審査に不安がある場合は、事前に不動産会社に相談してみてもいいでしょう」

複数の保証会社に申し込みをして、すべての審査に落ちるということはまれなケースだそうですが、どうしても審査に通らないという場合は、収入に対して家賃が高すぎるという可能性もあります。その場合は、自分の収入に見合った家賃の別の物件を探すというのも賢明な判断かもしれません。

審査後申し込みをキャンセルした場合、ブラックリストにのるのか?

クレジットカードやローン、キャッシングなどを利用すると、申し込み情報や利用履歴などが個人信用情報機関に記録されますが、滞納などのネガティブ情報も同様に登録されます。このネガティブ情報が記録されている状態を「ブラックリストにのる」と表現することがあります。ブラックリストにのると数年間削除されない上に、リストにのっている間は保証会社やクレジットカード会社などの審査に通りにくいとされています。

賃貸借契約は、審査後に申し込みをキャンセルしても、特にペナルティーはなく、ブラックリストにのることもありません。しかし、「双方で意思確認があり、後は捺印のみというタイミングでの一方的なキャンセルはもめることが多いのでおすすめしません。どうしてもキャンセルせざるを得ない場合には、不動産会社に正直に事情を説明し、理解してもらうことが必要です」(木津さん)。キャンセルすることを決めたら迷惑がかからないよう、なるべく早いタイミングで連絡をするようにしましょう。

一方、賃貸借契約書にサインした後はクーリングオフ対象外です。「売買契約の際は場合によりクーリングオフが適用されることがありますが、賃貸借契約では契約締結後にキャンセルした場合、契約の条文に則って解約の手続きをすることになります」(木津さん)
この場合、契約を結んでから解約となるため、既に住んでいる人が退去するのと手続きは変わりません。一般的には、解約の予告期間というものが定められていて、解約の意思表示から1カ月~2カ月程度の期間を経て解約手続きとなります。

申し込み後、契約後どちらのキャンセルであっても、契約の意思表示をした後は、他の希望者を断っている可能性もあります。キャンセルになった場合は、不動産会社や大家さんは再度入居者の募集を行う必要がありますので、ペナルティーがないとしても、誠実な対応をするよう心がけましょう。

保証会社を利用するメリット

家を借りたい人にとって、保証会社を利用する最大のメリットは、連帯保証人がいなくても部屋を借りられるということでしょう。

親や親族など、周囲に連帯保証人を引き受けてくれる人がいる場合でも、相手の年収を尋ねたりするのは気がひけるということもあります。そのような厄介なプロセスを省略して、自分だけで賃貸契約を進めることが可能になるというのは、借主にとって魅力的なポイントです。

また、借主だけでなくオーナーや管理会社側にとっても、保証会社の方が個人の連帯保証人よりも安心感があり、家賃滞納時の連絡などの負担も軽減されるというメリットがあります。

保証会社とオーナーのイメージ
(画像/PIXTA)

保証会社を利用するデメリットや注意点

オーナーや管理会社側にとって、保証会社を利用するデメリットはほとんどありませんが、借主にとっては保証会社に保証委託料を支払わなければならなくなるというデメリットがあります。

「保証会社を利用する場合、最初に賃料管理費の0.5カ月分程度の金額を初回保証委託料として支払うのが一般的です。保証会社によってプランなどは異なりますが、通常1年ごとに契約を更新することになり、更新の度に1万円程度の更新料が発生します」

賃貸借契約の場合は2年で更新するケースが一般的なので、更新料の支払いは2年に1度というイメージを持っている人も多いと思いますが、保証会社との契約は1年で更新するケースが多いため、保証会社に対しては、毎年更新保証委託料を支払うことになります。

保証料支払いのイメージ
(画像/PIXTA)

保証会社の審査は入居審査と並行して行われるため、保証会社を利用するからといって、手続きが複雑になったり、長引いたりするというものではありません。保証会社を利用するとなると、保証会社に対して保証委託料を支払うことになりますが、連帯保証人を立てずに、身軽に賃貸契約を進められるというのは、うれしいポイントですよね。ここまで紹介した保証会社の審査の流れやポイントを踏まえた上で、ぜひスムーズに賃貸契約を進めていきましょう。

まとめ

賃貸保証会社とは賃貸物件を借りる際に、保証人の代わりになる会社。滞納した際などに立て替えなどをしてくれる

保証人を立てなくても賃貸の契約ができる一方、保証会社を利用する場合は保証委託料が発生する

審査では、収入などの支払い能力のほか、家賃比率や信用情報などを確認される

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取材・文/島田美那子、SUUMO編集部
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