部屋探しは、進学・就職・結婚など人生の転機にすることが多いもの。よって、一人暮らしか夫婦かなどにより、部屋を選ぶポイントは変わる。そこで、関東地方一都六県で賃貸住宅への引越しをした、または考えている人の部屋探しの実態を調査。それぞれの違いを見ていこう。
※調査データのパーセンテージは四捨五入により合計が100%にならないことがあります
(Q.1)の円グラフで「一年以内に引越しをした」「今後1年以内に引越しを考えている」と回答した人たちに、引越しのきっかけについて聞いたのが(Q.2)のグラフ。
一人暮らし社会人は男女とも「更新時期がきたから」が最も多いが、男女で数値に開きがあるのが特徴。女性よりも男性のほうが、更新手数料を支払って今と変わらない生活を続けるより、一時的に出費が増えても新しい生活を、と考える人が多いようだ。
夫婦は「結婚した(する)から」が最も多く、次に「更新時期がきたから」が多いが、数値は一人暮らし社会人よりも少なめ。反対に「今よりよい条件の物件を見つけたから」の数値は、一人暮らし社会人に比べて多い。一人暮らしのように身軽に引越しはできないが、よりよい暮らしを望む安定志向が強くなるようだ。
一人暮らし社会人男性・女性、夫婦とも「同じ都・県内」が最も多いという結果となった。
特徴的なのは、一人暮らし社会人女性のみ、「同じ沿線ではないが、同じ市区町村郡」が少なく、「首都圏の1都3県外・その他都道府県」が多い点。上の「引越しを思い立ったきっかけ」のデータ(Q.2)で「転職したから」の回答が多めだったことからも、大きな転機を迎えての引越しが多いことがうかがえる。
すべての層において「家賃」を重視した人が多いが、それ以外は人数・性別などによりさまざま。
注目したいのは、一人暮らし社会人女性のデータ。家賃に次いで重視しているのは「間取り」だが、「セキュリティ」を重視した人が半数以上と、ほかの層より飛び抜けて多いこと。ほかにも一人暮らし社会人女性は「路線・駅やエリア」「最寄駅からの徒歩分数」「立地・周辺環境」などを重視した人がほかの層より多めとなっており、安心して帰宅できる環境へのこだわりがより強いことがわかる。
夫婦が重視する項目で特徴的なのは、ほかの層と比べて「部屋の数」を重視している割合が多いこと。「部屋の数」へのこだわりが強いのは、共同生活を快適に送るため、特に昨今では、リモートワーク時の快適さが一人暮らしの人以上に重要だから、ということも考えられる。
住んでいる街の「好きなところ」をフリーコメントで聞いたところ、どの層にも「便利」というキーワードが多く見られた。通勤に、買い物に、レジャーなどに「便利」であることが暮らしやすさにつながるようだ。実際の声をいくつか紹介しよう。
すべての層において、あきらめるポイントとして多く挙げられたのは「家賃」と「築年数」。
また、一人暮らし社会人女性は、ほかの層に比べて「面積(広さ)」をあきらめたという人が多く、「通勤時間」をあきらめたという人が少ない。仕事が忙しいから家は最小限の広さでよく、その代わり通勤に便利なところがいい、と考える人が多いのかもしれない。
同じく一人暮らし社会人女性でほかに数値が多かった項目は「最寄駅からの徒歩分数」と「面積」で、いずれも20%超。反対に「路線・駅やエリア」をあきらめた人は少ないことから、駅から多少歩いたり部屋が狭くなったりしても、希望のエリアに住みたいという人が多いようだ。
引越しをしないと答えた人に、その理由をフリーコメントで聞いたところ、どの層でも多く見られたのは「お金」関連のキーワード。敷金・礼金などの初期費用、引越し自体の費用などを積み上げると大金になるため、との声が多かった。
夫婦の場合は、子どもの環境を変えたくない、保育園問題などに関するコメントも多いのが特徴。実際のコメントをいくつか紹介しよう。
さまざまな立場の人の引越し事情を、さまざまな切り口から紹介してきたとおり、引越しのきっかけも、物件へのこだわりも、人それぞれ違うことがわかった。自分の置かれた状況が変われば、自分の中での優先順位も変わっていくので、これらのデータを部屋探しの参考にしよう。
引越しのきっかけは「更新」、引越し先は「同じ都・県内」が多い
重視するのは「家賃」「アクセス」、あきらめるのは「家賃」「築年数」
→前回の調査を紹介した記事はこちら
きっかけは? 重視する条件は? 857人に聞いた引越し・住み替えの実態調査2017