住まい探しを始めるタイミングは、就職・転勤・結婚・子どもの誕生など、ライフステージの変化がきっかけになることが多いといわれています。理解したいのは、今の年収3000万円で、いくらの家賃なら適切なのかということです。
そこで今回は、年収3000万円の単身世帯の家計をシミュレーションし、家賃の目安金額・いくらの家賃なら適切なのか考えてみたいと思います。あわせて、気になるエリアの家賃相場もご紹介します。
住まい選びで目安になるのは、「家賃の額を収入の何割くらいに抑えたらいいのか」ということ。そこで、住まい選びについて紹介する前に、一般的な収入の状況を見てみたいと思います。
厚生労働省が公表している「令和3年 賃金構造基本統計調査」の結果によると、令和3年の一般労働者の平均給与は、男性が前年度比0.5%減の33.72万円、女性が同0.7%増の25.36万円で、男女合わせた合計は同0.1%減の30.74万でした。年収に換算すると、男性の平均年収は約404.6万円、女性の平均年収は約304.3万円、男女合わせた全体の平均年収は約368.9万円です。
年齢・男女別の平均月収は、20代前半では男女差はあまり見られません。しかし、20代後半から男性の賃金の上昇スピードが女性を上回るようになり、男性の平均月収は30代後半で30万円を超え、50代後半でピークの41.36万円(年収換算で約496.3万円)に達します。一方、女性の平均月収は30代後半で25万円を超え、その後も緩やかに上昇していきますが、ピークは50代前半の27.79万円(年収換算で約333.5万円)で、平均月収が30万円を超えることはありません。
女性の賃金の上昇が男性より緩やかな点について調査では触れていませんが、調査対象となった男性の平均勤続年数が13.7年だったのに対して、女性の平均勤続年数は9.7年でした。勤続年数の短さが要因の一つになっている可能性がありそうです。
年齢 | 男性 | 女性 | 男女計 | |||
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平均月収 | 平均年収 | 平均月収 | 平均年収 | 平均月収 | 平均年収 | |
全体平均 | 33.72 | 404.6 | 25.36 | 304.3 | 30.74 | 368.9 |
~19歳 | 18.56 | 222.7 | 17.73 | 212.8 | 18.25 | 219.0 |
20~24歳 | 21.54 | 258.5 | 21.07 | 252.8 | 21.31 | 255.7 |
25~29歳 | 25.33 | 304.0 | 23.62 | 283.4 | 24.62 | 295.4 |
30~34歳 | 29.05 | 348.6 | 24.85 | 298.2 | 27.58 | 331.0 |
35~39歳 | 32.70 | 392.4 | 26.00 | 312.0 | 30.50 | 366.0 |
40~44歳 | 35.76 | 429.1 | 26.99 | 323.9 | 32.80 | 393.6 |
45~49歳 | 38.28 | 459.4 | 27.09 | 325.1 | 34.43 | 413.2 |
50~54歳 | 41.21 | 494.5 | 27.79 | 333.5 | 36.62 | 439.4 |
55~59歳 | 41.36 | 496.3 | 27.33 | 328.0 | 36.55 | 438.6 |
60~64歳 | 31.81 | 381.7 | 23.44 | 281.3 | 29.28 | 351.4 |
65~69歳 | 27.48 | 329.8 | 22.22 | 266.6 | 25.98 | 311.8 |
70歳~ | 25.65 | 307.8 | 21.01 | 252.1 | 24.33 | 292.0 |
平均年齢 | 44.1歳 | 42.1歳 | 43.4歳 | |||
平均勤続年数 | 13.7年 | 9.7年 | 12.3年 |
毎月の給料から天引きされるのは、所得税や住民税、厚生年金・健康保険・雇用保険の保険料などです。一般的には、月収の約8割から7割が手取り額の目安といわれていますが、独身なのか、パートナーが働いているのか、子どもがいるのかなど、家族構成によっても目安が変わってきます。そこで、年収3000万円の家計をシミュレーションしてみたいと思います。
年収3000万円の単身世帯の会社員は、毎月の額面給料は250万円です。そこから、厚生年金保険料が59,475円、健康保険料が68,180円、雇用保険料が12,500円、所得税が645,938円、住民税が232,818円、あわせて1,018,911円が天引きされ、月の手取り額は1,481,089円になります。
額面給料 | 2,500,000円 |
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厚生年金保険料 | 59,475円 |
健康保険料 | 68,180円 |
雇用保険料 | 12,500円 |
所得税 | 645,938円 |
住民税 | 232,818円 |
月の手取り額 | 1,481,089円 |
家賃の目安に明確な定義はありませんが、一般的には手取りの3割が目安といわれています。先ほどのシミュレーションに照らし合わせると、年収3000万円の手取り額は月148万円~149万円なので、約44万円~45万円が家賃の目安といえます。
住まい選びで大切なのは、家賃の負担が家計を圧迫しすぎないように配慮することです。住む地域によって家賃の相場も違うので、家計に余裕があればワンランク上の部屋を、余裕がない場合は家賃の安いエリア・物件を中心に探すなどの工夫も必要です。
年収・世帯年収額 | 家賃目安 |
---|---|
200万円 | 3.86万円 |
250万円 | 4.76万円 |
300万円 | 5.69万円 |
350万円 | 6.62万円 |
400万円 | 7.55万円 |
450万円 | 8.47万円 |
500万円 | 9.39万円 |
550万円 | 10.20万円 |
600万円 | 11.12万円 |
650万円 | 12.03万円 |
700万円 | 12.75万円 |
750万円 | 13.56万円 |
800万円 | 14.33万円 |
850万円 | 15.20万円 |
900万円 | 16.03万円 |
950万円 | 16.86万円 |
1000万円 | 17.69万円 |
1500万円 | 25.13万円 |
2000万円 | 32.11万円 |
2500万円 | 38.37万円 |
3000万円 | 44.43万円 |
単身者が東京都23区内を中心に住まいを探す場合、想定される主な間取りは1Kや1DKなどです。23区内の家賃相場はマンションタイプだと最も安い江戸川区・葛飾区・足立区で7万円、人気が高いエリアでは渋谷区が10.2万円、千代田区が10.4万円で、最も家賃相場が高かったのが港区で11万円でした。
年収3000万円の単身者の家賃目安は約44万円~45万円なので、1Kや1DKなら23区内のどのエリアでも選べます。通勤に便利なエリアを中心に、お気に入りの住まいを探してみるといいかもしれません。
順位 | エリア | 家賃相場 |
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1位 | 江戸川区 | 7.0万円 |
1位 | 葛飾区 | 7.0万円 |
1位 | 足立区 | 7.0万円 |
4位 | 練馬区 | 7.3万円 |
5位 | 板橋区 | 7.5万円 |
6位 | 杉並区 | 7.9万円 |
7位 | 荒川区 | 8.0万円 |
7位 | 北区 | 8.0万円 |
7位 | 大田区 | 8.0万円 |
10位 | 豊島区 | 8.3万円 |
10位 | 中野区 | 8.3万円 |
12位 | 世田谷区 | 8.5万円 |
13位 | 墨田区 | 8.7万円 |
13位 | 文京区 | 8.7万円 |
15位 | 品川区 | 8.8万円 |
16位 | 江東区 | 9.0万円 |
17位 | 台東区 | 9.3万円 |
18位 | 新宿区 | 9.5万円 |
19位 | 中央区 | 9.6万円 |
20位 | 目黒区 | 9.8万円 |
21位 | 渋谷区 | 10.2万円 |
22位 | 千代田区 | 10.4万円 |
23位 | 港区 | 11.0万円 |
年収3000万円の家計を具体的にシミュレーションしてみましょう。支出金額は、総務省統計局発表の「家計調査 2022年」をもとに主な項目を抽出し、家賃は手取り額の3割を目安に計算しています。
単身世帯の1カ月の支出は54.36万円で、手取り額との差額93.75万円が手元に残ります。金銭的に余裕があるので、旅行などの趣味に対する支出を増やすことができます。
支出項目 | 金額 |
---|---|
家賃 | 44.43万円 |
食費 | 3.91万円 |
水道光熱費 | 1.31万円 |
教養娯楽 | 1.80万円 |
通信費 | 0.70万円 |
交通費 | 0.38万円 |
衣類 | 0.50万円 |
家具・家事用品 | 0.55万円 |
習い事・教育費 | 0.04万円 |
保険・医療費 | 0.74万円 |
支出合計 | 54.36万円 |
手取り額 | 148.11万円 |
貯金可能額 | 93.75万円 |
年収3000万円の世帯は、目安といわれている44~45万円の家賃の部屋を借りても、収入の範囲内で暮らしていくことができそうです。今回紹介したシミュレーションを参考にして、無理なく暮らせる住まいを探しましょう。
家賃相場は手取り額の3割が目安といわれており、年収3000万円の世帯の家賃目安は約44~45万円になる
収入に余裕があっても、自身の支出額を計算することは重要
家計に余裕があるので、収入の使い道をマイホーム購入費などに充てるなども検討しよう
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