便利な住宅設備を採用することで、毎日の家事はラクになる。さらに、家族のライフステージの特性を知り、それに適した設備を選べば、家事の負担が一層減って暮らしにゆとりが生まれるだろう。今回は、共働き世帯の設備選びの優先ポイントをまとめてみた。
夫婦共働きでフルタイム勤務の場合、家にいる時間は限られる。ポイントは時短、そして夫婦2人で効率よく家事を行えるようフォローしてくれる設備を選びたい。
「キッチンは夫婦で一緒に作業しやすいよう通路幅に余裕をもたせ、カウンターは身長の高いほうが疲れないよう少し高めにするとよいでしょう」(竹岡さん・以下同)。
掃除の手間を省くために汚れにくい材質を選ぶのも賢い方法だ。多機能コンロや調理家電も、時短・効率アップの後押しをしてくれる。
また「朝は忙しいので洗濯は夜間に済ませられるよう、室内干し用の設備を採用することをオススメします」。花粉症対策にも有効。片付けに時間をとられないように、収納も工夫したい。「リビングに置きっ放しになりやすい上着類や、パソコンなどの収納場所も確保しておくといいですね」
夫婦でキッチンに立ち、同時進行で作業を行う場合、シンクや作業台、加熱機器のレイアウトがポイントに。動線がぶつからず、別々の作業を同時に行いやすいレイアウトのものを選びたい。
シンクは油などで意外と汚れやすいので、汚れのつきにくい加工をしているものを選ぶと手入れがラクだ。洗い物と同時に食べかすなどをスムーズに流す形状のシンクも出ている。
ガスコンロのグリル機能は年々進化しており、焼き魚以外にもいろいろなメニューの調理が可能。コンロでの料理と並行してグリルを活用することで時短につながる。
便利な調理家電は共働きの味方。縦型の集中収納なら、その分配膳スペースが確保しやすくオススメ。同時に使うことが多いので、電気配線は専用回路にしてブレーカーが落ちないように。
室内干し用の設備があれば夜間や雨の日の洗濯も安心。廊下や部屋の端などに竿を上下させるタイプの物干しを設置するのが手軽な方法だ。洗濯物を掛けたまま、竿を自由な高さに調整可能。
竿を昇降できるタイプの物干し。洗濯物を干した後は、邪魔にならないよう天井近くまで上げておくことができる。●川口技研「室内用ホスクリーン昇降式(操作棒タイプ)」
「”個人の持ち物は本人が管理”を基本ルールに」と竹岡さん。ダイニングテーブルに置きっ放しにしがちな小物は、めいめいの引き出しを設けることで解決。自分の引き出しがあれば自分で責任をもって片付ける習慣がつく
リビングに置きっ放しになりがちなコートや上着、カバンは専用の収納をつくってしまうようにルール決めを。玄関の近くやリビングまでの廊下の途中にあると便利だ。
棚板や間仕切りの移動、棚や引き出しの追加ができ、家族構成やライフスタイルの変化に対応可能なクロゼット収納ユニット。●ウッドワン「e・ra・bo」
リビングにパソコンやスマートフォンが置きっ放しで、散らかってしまうケースは多い。収納スペースだけでなく、充電もできる場所をあらかじめ確保しておくと片付けがラクに。
お話を伺った方
アトリエ雲 代表 竹岡美智子さん
設計事務所、住宅メーカーなどを経て、1991年に「アトリエ雲」を設立。女性の立場から、住みやすさ、快適さを追求した住宅の新築・リフォームの設計を手がける
2016年07月26日 住まいの設備を選ぶ本 2016秋より転載