ウエリス三国シティ （取材レポート）

Q.豊中南部エリアの特長を教えてください。
「南部エリアは、大阪都心に近接しており自転車でも気軽にアクセスできる立地の良さが大きな強みです。また、大阪音楽大学があるため音楽文化が生活に根づいており、文化的な空気感もこの地域の大きな魅力だと感じています」

Q.まちづくりの具体事例を教えてください。
「代表的事例では、2023年に開校した小中一貫校『庄内さくら学園』があります。当校は『自ら考え、行動し、仲間とともに豊かな社会をつくる子どもを育てる』を掲げ、『4年（1～4年生）－3年（5～7年生）－2年（8～9年生）』の三段階に分けた新しい教育体制を導入し、中学校進学時のコミュニケーションギャップの解消や、教職員間の連携強化といった効果が期待されています」

「評判を聞いて転居されるご家庭もいらっしゃいますね。学年間のつながりが自然に生まれるため、高学年の児童が低学年の子どもたちをサポートする場面も多く見られます。また、教員間の連携も取りやすいというお声も頂いています」

「廃校となった校舎では、スポーツや音楽などの文化的な取り組みを先行して実施しており、今後は民間企業などと連携しながら学校跡地を活用した新たな魅力をつくりだしていきます」

「第二弾として、同じく小中一貫校『庄内よつば学園』が2026年に開校予定です。さらに子どもたちにとってより良い街になるよう取り組んでいきます」

図書館、子育て支援センター、保健センターなど9つの機能を備えた複合施設「庄内コラボセンター ショコラ」※5。その館長である橋本氏は、「人がつながり、体験する場であることを大切にしている」と語ります。

例えば、子どもたちが放課後に宿題をする姿を見て誕生した「しょこぺん」は、NPOの協力による放課後学習支援活動。公民学連携事業では「こども広告代理店」や「動画制作体験」といったユニークな取り組みが広がり、企業取材などを通じて子どもたちが本格的な体験を積む中、現在では「豊中子ども報道」として継続的な活動へと成長しています。

さらにユニークな事例として、雑草対策のために敷地内で１ヶ月間ヤギを飼育するという試みも。学生たちが自発的に世話を始め「ヤギ部」が誕生、地域の大工さんが小屋作りを支援し、餌代をまかなうためのステッカー販売や、音大生による“ヤギコンサート”まで開催されるなど、多世代・多方面に広がるつながりを生んでいます。

橋本氏は「地域の活性化には単なる賑やかしだけではなく、街にある資源を生かした“仕掛け”が必要で、関わる人が増えることで街に愛着が生まれると考えています。本質的な価値をつくる拠点として、ショコラがその役割を果たしていけたら」と語ります。子育て世帯を中心に、多様な人々が地域と関わりながら学び・体験できる場として、豊中南部地域はこれからも進化を続けていきます。