「マンション直下に駅改札」の便利さは一度体験したら止められない!?
タワーマンションが林立する東京都心のなかでも、特にその密度が高いのが湾岸エリアだ。増え始めたのは1990年以降。都心部を中心とした地価下落に伴う不動産価格の低下、金融緩和、企業のリストラによるマンション用地の大量供給などによって、タワーマンションや大規模マンションが増えた「都心回帰」がきっかけだった。
湾岸エリアではいまもなお、タワーマンションの活発な供給が続く。外観デザインやスケール、共用施設の充実度など、各タワーはそれぞれの特徴をもっているが、とりわけこのマンション「勝どきビュータワー」は、地下鉄の都営大江戸線勝どき駅のほぼ真上という“直結”の利便性が群を抜く。駅改札からマンションのエントランスまでは約1分。もちろん雨が降っていても傘要らずだ。
住宅管理組合副理事長を務めている川真田(かわまた)幸夫さんも、この圧倒的な足まわりの良さに満足するひとりである。(以下コメントはすべて川真田さん)
「かつて私の勤務先のオフィスが品川にあり、その日の仕事のスケジュールが外出なしで、自宅とオフィスの間を移動するだけなら傘は不要でした。また、直結している駅は都営大江戸線の勝どき駅のみですが、大江戸線はほかの多くの地下鉄路線やJRと連絡しているので、どこに行くのも移動がしやすいんです。この便利さを一度体験してしまうと、もう他のマンションでは暮らせないですね」
さらに電車に加えて、バス便の充実度も素晴らしいとのこと。
「タワーのふもと、勝どき駅前交差点近くに都営バスのバス停があり、東京駅、銀座方面のバス便が非常に多いんです。例えば平日朝7時台の銀座~東京駅方面は1時間で14本運行。バスが2~3台、数珠つなぎに走って来ることも珍しくありません。渋滞がなければ、東京駅まで15分前後で到着するんですよ」
ちなみに銀座四丁目の交差点までは歩いても20分程度。散歩がてら銀座をブラブラできる点でも、特別な立地といえる。
「“直結”に関連したところでは、タワー地下1階~地上4階に商業、医療施設がそろっているのも助かります。スーパー、コンビニ、ドラッグストア、ファミリーレストランや多種の飲食店、クリーニング、内科、眼科、歯医者、児童館、中央区立認可保育園……また、道路を渡れば郵便局、銀行もある。さらに、テニスコート約15面分もある中央区立の月島第二児童公園がタワー足元に一体整備されていて、定期的に産直野菜などが買える“太陽のマルシェ”も開催されるんです。掛け値なしに、ここに住むと動かずに生活のほとんどの用事が事足りてしまいますね。親戚に『運動不足になるんじゃないの?』と、なかば本気で心配されるほどです(笑)」
東京タワーの足元からてっぺんまで眺められる希少性
というわけで、駅直結で、なおかつ商業・医療施設の複合タワーであることが、勝どきビュータワーの長所なのは疑いのないところ。そして、そこに加えなければならないのが、物件名にも冠されている「眺め」だ。
「私の最大の購入動機はむしろ眺望なんです。以前は自由が丘のほうの中層マンションに暮らしていたのですが、徒歩圏になんでもそろっている都心部での暮らしを志向して、数件のタワーマンションを見学しました。ここの眺望は別格でしたね。東京タワーが見えて景色の良いタワーマンションは、もはや珍しくないと思いますが、私の住んでいる住戸からは、東京タワーの足元からてっぺんまで、すべてを見ることができる。東京タワーの一部だけしか見えないのとは、まったく価値が違うと思っています」
取材を行った38階のパーティールームが、川真田さんが暮らす住戸とほぼ同じ方角に窓があるため、川真田さんが説明する“東京タワーの足元からてっぺんまでの眺め”を疑似体験できた。確かに足元からてっぺんまで、1本の塔としての東京タワーの全貌を眺められるのは希少なロケーションだ。パーティールームは予約制で1時間2000円から利用可能。仮に住んでいる住戸が東京タワービューでなくても、この共用施設で住人が絶景をシェアできるのは素晴らしい。
なお、勝どきビュータワーには38階と5階にゲストルームが用意されている。38階のゲストルームからは同様に東京タワーの全貌を眺めることができるそうだ。
修繕積立金を段階値上げから均等積立へ変更、長く安心して暮らせるマンションに
さて、ここからは質問を変えて、住宅管理組合副理事長としての川真田さんに、マンションの資産性を維持・向上させるための取り組みについて聞いてみた。2010年竣工で、今年で築13年目。近づく大規模修繕工事を踏まえて本年、「準備委員会」を立ち上げるという。
「建築委員会は既にあり、活動の内容は、直近で必要な各種修繕の見積り、不具合の確認や査定などです。実は私は建築業関連が本業であり、そのスキルを活かして、勝どき以前に住んでいたマンションでも理事長や大規模修繕工事委員長で営繕関係の仕事をしてきました。ここでもその経験を活かしていければと思っています」
また、大規模修繕工事に大きく関わる活動として、修繕積立金の改定も実行したとのこと。
「当初の計画では3年ごとに金額を1.5倍ずつ値上げしていくことになっていました。最初はさほどでもないかもしれませんが、やがて負荷が大きくなり、特にシニア世代になってからは不安を感じる人も増えていくことが予想できました。そこで、綿密なシミュレーションを繰り返し、将来にツケを回さない“均等積立”に変更したのです」
運用を開始したのは3年前。均等積立に変更直後の修繕積立金の上がり幅は大きかったが、住民総会では異論が出ず、了承されたという。
「総会で承認を得るため、事前にシミュレーションを交えた住民説明会を4度実施し、納得感を得ていただけていたので、総会ではスムーズに承認されたと思います。長期的に勝どきビュータワーに暮らすことをふまえれば、当初の払いは高くなっても結果的に均等積立のほうが長く、安心して住み続けられると判断していただけたということですね」
ほかにも、長く、安心して暮らすための取り組みとして注目したいのが「隣接する空き住戸を購入し、リノベーションしてひとつの住戸につなぐことができる」という管理規約の追加だ。リフォーム工事の内容に規定はあるが、最大3戸まで接続できるそうだ。
「子どもの成長などの理由で家が手狭になり、引っ越していく世帯が見られたことが、この改定のきっかけでした。もちろん資金があることが前提になりますが、隣を購入してつなげられるという選択肢はほかのマンションにあまり見られません。将来、選ばれるマンションになるための要素になり得ると思っています」
コミュニティ醸成でマンション防災力も向上
コミュニティの醸成にも積極的に取り組んでいる。コロナ禍にあった2020年春から2023年にかけては自粛、縮小していたが、コロナ禍以前は、季節の行事やイベントをひんぱんに行っていたそうだ。
「さまざまな仕事やバックグラウンドをもつ住人が暮らす大規模マンションのメリットを活用して、住人のツテで歌手や芸人さんを招いてクリスマスパーティーをしたり、落語家さんを呼んで寄席を開いたり。2019年秋にはパーティールームでラグビーワールドカップのパブリックビューイングも行い、盛り上がりました。感染対策には引き続き留意しつつ、今年から少しずつ交流促進を後押しする催しを再開して、以前の規模に戻していきたいですね。
住人交流の目的は、顔と名前が一致する関係を広げ、普段から楽しく暮らしていただくこと。ひいては、首都直下地震など災害発生時の共助にも大いに役立つはずだと考えています」
勝どきビュータワーは、既に東京都中央区の「中央区防災対策優良マンション」の認定を受けているが、今後、住人交流の機会が再び増えていくことで、マンションの防災力はさらに向上するはずだ。駅直結、生活利便性に優れたハード面のアドバンテージも相まって、一層暮らしやすいマンションに進化するだろう。