フランス人デザイナーが監修したヨーロピアンスタイルの街並み
神奈川県横浜市のなかで最も南に位置する金沢区。東側には東京湾の海が広がり、横浜市最高峰の大丸山をはじめ山の自然も豊かなエリアだ。歴史も息づき、金沢文庫や称名寺など鎌倉幕府ゆかりの史跡が残されている。
そんな金沢区の一角に、2000年代初頭、誕生したのが「レイディアントシティ横濱 ル・グランブルー(以下、レイディアントシティ横濱)」だ。
このマンションは特筆すべき点が多々ある。
まず1つは規模だ。開発総面積は東京ドームおよそ3個分にあたる約14万6500㎡。敷地内は「カルティエ」と呼ばれる11の街区に分けられ、住居棟も全部で11棟。総戸数は全棟合わせて、なんと1805戸!破格のスケールを誇る超大規模マンションなのである。
加えて、大きな特色となるのが“街並み”である。
ランドスケープデザインを監修したローラン・ドゥ・リュー氏は、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオールなどハイブランドブティックのデザインを多数手がけてきたフランス人デザイナー。南仏のリゾート地、コート・ダジュールにゆかりが深く、このマンションには彼の地の景観が投影されている。
確かに、ヨーロピアン様式の瀟洒な建物とパームツリーが風にそよぐ街並みは日本とは思えないほど。リゾート感溢れる美しい街並みに魅了されて購入を決めた居住者も多いそうだ。
もちろん、同じヨーロピアン様式でも住居棟それぞれに個性が盛り込まれている。ここで全11棟の特色を紹介していこう。
カルティエ1
西側の高台に位置し、エントランスホールの大階段がシンボル。
カルティエ2
パークサイドエリアにあり、全戸南向き。直線のスカイラインが美しい。
カルティエ3
2つのアベニューに面した棟はモンテカルロのアパートメントをイメージ。開口部がラウンド形状になった住戸や120㎡に及ぶ広い住戸も。
カルティエ4
パークサイドの一角。1階のパルミエプロムナードに面してパティスリーや歯科クリニックなどが入る。
カルティエ5
屋根に配したドーム状の意匠がシンボル。1階にはコンビニが入り、「ちょっとした買い物や宅配便を出すのもラク」と住人から好評。
カルティエ6
ラウンド形のフォルムが特徴。前面にはグランアジュール(水盤)も。小児科、内科、調剤薬局が入る。
カルティエ7
ゆったりとした曲面が特色。共用棟のシーサイドアネックスはこの街区に。
カルティエ8
ユーロヴィラと呼ばれるエリアの入口にあり、ファサードはカンヌのクラシックホテルをモチーフにデザイン。
カルティエ9
スペイン瓦を取り入れたリゾートホテルを思わせるデザイン。回廊のある荘厳なエントランスホールも印象的。
カルティエ10
地中海の岬にたたずむ老舗リゾートホテルがモチーフ。明るく開放的な雰囲気が魅力。
カルティエ11
最南端に位置する棟は城塞をイメージさせるエントランスが特徴。屋上にはサインやフラッグを備えて華やかな雰囲気を演出。
これら11棟の住戸プランはいずれも100㎡超が中心。開放感があり、さまざまなライフスタイルに柔軟に対応できるという。また玄関前のポーチは自転車2台を並べて置けるほどゆったり。ヨーロピアンテイストの門と生け垣を設けてプライバシーを守りつつ、開放廊下に洗練された雰囲気をもたらしている。
また、駐車場は各棟に全戸分が完備され、車通勤する居住者も少なくない。
ちなみに、最寄りの京浜急行本線金沢文庫駅からは徒歩約20分かかるが、駅とマンションを結ぶ路線バスが竣工時から運行を開始している。ほぼ10分おきにバスの出着があるので通勤・通学の足は快適だという。
スケールメリットを活かした共用施設と約9000㎡の公園がシンボル
一方、共用施設にもスケールメリットがフルに活かされている。その目玉は6階建ての共用棟「シーサイドアネックス」だ。1階には25mプールやサウナなどが設けられ、3階には本格マシーンをそろえたジムやフィットネススタジオを完備。5階にはピアノラウンジやAVルーム、6階にはゲストルーム3室にライブラリーという充実ぶりだ。さらに、4階には認可保育園が入り、共働き世帯の強い味方になっている。
このほか、各棟にもキッズルームやコミュニティルームなどが設けられ、歯科、内科、小児科などのクリニックやコンビニエンスストアまである。敷地内にこれだけの施設がそろっていれば便利なのはもちろん、暮らしの安心感にもつながるだろう。
気になる買い物施設についてもスーパーが徒歩圏に3軒あり、「イオン金沢八景店」では会員向けサービスとして無料送迎バスを運行。便は1時間おきにあり、乗車時間は10〜15分ほど。利便性は申し分なしだ。

多彩な共用施設に加え、敷地の中央に広がる「レイディアントパーク」もシンボリックな存在だ。面積は約9000㎡と広々。正式名称は「八景西公園」で横浜市が管理する公園だが、マンションの中庭として活用されている。
思い切り駆け回れる広場の隣には滑り台などの遊具スペースがあり、子どもにとってはまさに楽園。公園の一角には花壇があり、四季折々の草花が住人の目を楽しませている。
この日も花を眺めつつベンチでひと息つく人がいたり、写真を撮って楽しむ人がいたり。公園内には桜の並木もあり、春にはお花見をする居住者でにぎわうそうだ。
住居棟と共用棟で12の管理組合を組織。連携を取りながら活動中
これだけの規模を誇るマンションとなれば管理も気になるところだ。聞けば、このマンションでは11の住居棟に共用棟を加えた12棟それぞれに管理組合が立ち上げられ、管理や修繕などの取り組みは個別に行われているという。
例えば、「カルティエ3」では独自の防災マニュアルをいち早く策定。配布から数年経ったことから、現在、その周知・徹底に力を入れているという。
「防災訓練の参加率は8割以上と高く、花壇を維持する有志グループの活動も活発です。また、住民間で挨拶や声がけも自然に行われるなど、とても住みやすい棟です。その満足度をより高めていくことに活動の主眼を置いています。
課題としては理事会の時間短縮や理事の負担軽減、理事会の議事の深化と活動の充実を両立することがあり、それを将来まで維持できる仕組みやルールづくりにも力を入れています」(レイディアントシティ横濱カルティエ3管理組合理事長)
一方、「カルティエ11」では早い段階から修繕積立金の増額を行い、長期的な修繕への備えを確保しているほか、家族構成や生活スタイルの変化に対応し、バイクとミニバイク置場の区画を敷地内に増設。また、防災検討委員会を立ち上げ、管理組合理事会を中長期的にサポートする専門委員会としての組織化にも注力しているという。さらに、共用部電灯をLED化すべく準備をしたり、エレベーターの内装更新については3D画像パターンで住民アンケート実施しているそうだ。
ほかにも、「カルティエ1」では防災マニュアルの策定とともに、地震など災害時の共助体制の構築に注力し、築18年を迎えて現状に合わせた管理規則等の改定も視野に入れている。
「カルティエ8」では機械式駐車場の保守契約の見直しを検討中だという。また、棟の前のマロニエ通りに土留めのためのプラウッドを設置。大規模修繕時にはベンチの塗装も行って外観との統一化を行い、憩いの空間を生み出している。
「カルティエ5」でもやはり防災に注力。防災マニュアル作成・説明会を行うほか、災害備蓄品の確保なども積極的に取り組んでいる。
「この棟は階下にコンビニが入っているため、年2回の防災訓練が義務付けられています。この点がほかの棟とは異なり、住民の防災に対する理解がより重要になるため、周知にも重点を置いています」(レイディアントシティ横濱カルティ5管理組合理事長)
これら各棟の管理組合のほかに、「レイディアントシティ横濱団地管理組合法人」という組織があるのも一般のマンションからすると異色だ。役員は各棟の理事2名ずつ、計22名で構成され、共用棟や各棟に置かれた共用施設の維持・管理を役割としている。上村和巳理事長に話を伺った。
「当管理組合では共用施設の修繕にあたるほか、利用方法の見直しなども行っています。例えば、年末年始は管理会社が休みになるためゲストルームを使うことができませんでしたが、『お正月も使いたい』という声が多いことから、勤務シフトの見直しをお願いしました。また、夏祭りの商品や自治会のボランティア活動に参加した方へのお礼に無料利用券を配布するといった、共用施設の利用を促す取り組みもしています」
今後は居住者の世代やライフスタイルの変化に応じ、例えばキッズルームをワークスペースにするといったことも検討していきたいとのこと。潤沢な共用施設を柔軟に活用していければ、住み心地はより高まるだろう。
「フレンドリークラブ」がコミュニティの醸成に活躍
1805世帯、約5000人が暮らす街では住人同士のコミュティ形成も大きな課題だ。マンション内につながりができれば暮らしが豊かになるのはもちろん、防災・防犯面でも力になるだろう。
そんなコミュニティづくりで活躍しているのが「フレンドリークラブ」だ。メンバーは各棟の理事2名に有志を加えた約30人。イベント部、セミナー部など4つの部会に分かれて活動しているそうだ。
「コロナ禍の前、2019年の実績では大小合わせて40〜50のイベントやセミナーを実施していました。
大きなところでは春に『RCYマルシェ』、夏にフラダンスなどの出し物を行う野外イベント『ハワイアンの夕べ』、秋には『文化祭』と銘打って公認サークルの発表会を行っています。参加者数は正確には数えていませんが、ハワイアンの夕べで300人以上、文化祭は全世帯の3分の1は参加していると思いますね。
一方で、子ども向けのクリスマス会、音楽ライブ、チョコレートづくりセミナーなど対象を絞ったイベントやセミナーも数多く開いています」と「フレンドリークラブ」の和田茂会長は言う。
もっとも、ご承知の通り、昨年来のコロナ禍で住人が集うイベントの実施は困難に。この状況下でも住人同士がつながりをもてるよう、現在はヨガなどのセミナーをオンラインで開催している。さらに、「子どもたちにワクワクする体験をさせてあげたい」と頭を捻り、昨年のクリスマスにはポストイン方式でクイズ&ぬり絵大会も実施された。そのほか、金沢区内を巡る歴史散策を少人数で行うなど、制約があるなかで工夫を凝らしたイベントが行われている。
こうしたイベントやセミナーの企画・運営とともに、サークル活動の支援もフレンドリークラブの重要な活動の一つだ。現在、フレンドリークラブ認定サークルは、フラダンス、テニス、コーラスなど38団体。認定を受けると共用施設の優先予約や、クラブ所有のコピー機の利用もできる。地域のイベントやコンテストなどに参加する際には、参加費用の一部助成も受けられるそうだ。
聞けば、和田会長もウクレレサークルに所属。2カ月に1回、メンバー10人で集まり、外部講師の指導を受けながら演奏を楽しんでいるとか。
「サークルに入ってから別の棟にも知り合いが増え、コロナ禍前は飲みに行く機会もよくありました。フレンドリークラブの活動も同様ですね。マンション内に仲間が増えると世界が広がり、家と職場の往復だけでは得られない楽しみも生まれると実感しています。もちろん、災害など万が一の時の安心感にも繋がるので、コミュニティを築くことはとても大事だと思いますね」
住人有志の活動も活発。管理会社のバックアップでより暮らしやすい街に
まさに特色満載の「レイディアントシティ横濱」だが、魅力はまだまだある。
今回、マンション内を歩いて気づいたのは緑の豊かさだ。パームツリーやサクラのほかにも、マロニエ、カツラなどさまざまな樹木が茂り、ラベンダー、コデマリなどの季節の草花も敷地のあちらこちらで目にできる。
なかでも、マンションの名物になっているのはローズガーデンだ。共用棟近くのスペースを使い、住人の有志団体「バラ同好会」がバラを栽培。満開の時季は見事だという。
さらに、公園の花壇についても住人有志の「公園愛護会」が整備を請け負い、各棟の植栽についても住人がボランティアで手入れをしているケースが多いそうだ。住む人の心が込もった植栽は単にきれいなだけでなく温かみがあり、心を一層、和ませてくれる。
このようにさまざまな魅力をもつマンションで縁の下の力持ちとして活躍しているのが、管理会社「大和地所コミュニティライフ」のスタッフだ。管理センターは「カルティエ4」にあり、コンシェルジュカウンターもここに設置。共用施設の予約など居住者の暮らしをサポートしている。
さらに、12の管理組合が組織されるこのマンションでは、各棟の連携を保つための、いわば扇の要となるのも管理会社の役割だ。毎月1回、各棟の管理組合理事長、フレンドリークラブ会長、自治会会長が出席する“4者協議会”が開催されているが、その幹事役も管理スタッフが務めている。
竣工からすでに15年以上。当時から街の輝きが色褪せていないのは、そうした連携がうまく保たれている証拠だろう。自分が住む街区への愛着と、マンション全体への愛着。その両輪によってこの街は着実に歴史を刻んでいくのだろう。
※2021年のイベント開催、共用施設の使用は新型コロナウイルス感染症対策のため上記の通りではありません。今後の開催は未定です