高さ日本一を誇ったタワーに潜入!元祖・天空生活の魅力とは?

エルザタワー55の外観

南側から望んだ外観。階層によって変わるデザインも特徴
物件名:
エルザタワー55
所在地:
埼玉県川口市
竣工年:
1998年
総戸数:
650戸

中層階でも打ち上げ花火が同じ目線で鑑賞できる高さ

2000年前後を境に供給が目立ち始めたタワーマンション。一般的な定義は「地上20階建て以上」の物件だ。東京カンテイが公表したデータでは、2021年12月末時点で、全国のタワーマンションストック数は1427棟。そのうち50%超に相当する760棟が、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県に集中している。

近年は超高層化が進んでおり、50階建て以上も珍しくなくなったタワーマンションの市場において、パイオニア的存在なのが、今回取材した埼玉県川口市の「エルザタワー55」だ。
物件名に冠されているとおり55階建てで、高さは約185m。川口市は再開発によって建てられたタワーマンションが多く、埼玉県内でもトップクラスの“天空生活”が送れる街だが、55階建てのエルザタワー55は、文字通り頭ひとつ抜けた存在だ。1998年の竣工当時は「日本一の高さ」として不動産業界はもちろん、社会ニュースとしても取り上げられ、話題となった。

エルザタワー55の外観

最寄りの埼玉高速鉄道川口元郷駅から出ると、すぐそれと分かる存在感。北側は黄色の装飾が目印で南側とはかなり印象が変わる

現在、理事を務める中山さんは地元川口市の出身。学生時代、実家の窓から建設中のエルザタワー55をよく眺めていたという。

「偶然、定点観測できる場所に家があったので、毎日のように見ていました。日に日に少しずつ背が高くなっていくのを見て、『いつかはあのマンションに住んでみたいな』と思っていたんです。完成後には車で現地に来て“下見”もしました。いまでこそ川口市内でタワーマンションはまったく珍しくない存在ですが、当時は、川口はおろか、全国でもほかに例のない高さのマンション。すごいインパクトを感じましたね。改めて、ここに住みたい!という思いを強くしました」

エルザタワー55のエントランスラウンジ

重厚な印象の1階エントランスラウンジ。エレベーターは低層・中層・高層階で乗り場が分かれており、荷物運搬・非常用も含めると計7基

エルザタワー55のカフェラウンジ

1階にはカフェラウンジもある

エルザタワー55の人工池

南東側には人工池がしつらえられている

中山さんは都内の会社に勤務しており、通勤の利便性を理由に一時期は都内で暮らした。
しかし、エルザタワー55の最寄り駅で徒歩数分の距離にある埼玉高速鉄道の川口元郷駅からでも仕事場への所要時間はほぼ変わらないこと、資金面など購入する環境が整ったことで、約10年前、ついにエルザタワー55を購入。夢をかなえた。

「室内に入った時の第一印象は、素直に『すごい!』。うちは中層階ですが、それでも55階建ての中層なので、かなりの高さです。近隣の花火大会で打ち上げられる花火が同じ目線に見えますし、都内の高層ビル群も一望できます。
暮らし始めて気がついたのが、交通情報を肉眼で確認できること。エルザタワー55から直線で約1km西のあたりを走る、JR京浜東北線の線路も手に取るように見えるのですが、たまに京浜東北線に遅れが生じると、その直後から、エルザタワー55の近くを走る国道122号線が渋滞し始めるんですよ。通勤・通学客がバスやタクシーなどに流れるために起きるのだろうか…?などと想像しながら、その風景を眺めています。
ちなみに、エルザタワー55の住人の都内への足となる埼玉高速鉄道は、ありがたいことにほとんど遅延や運休がない優秀な交通インフラ。その点でもここを選んで良かったですね」

地上55階のスカイラウンジで飲むシャンパンの味は?

お話をうかがったもうお一方、管理組合理事長の小室さんは、マンション竣工時、新築で購入した“第1期生”。やはり強いこだわりをもってエルザタワー55を選んだのだろうか?

「確かに日本一の高さのマンションという事実は知っていましたが、私は、さほど物件自体へのこだわりはなかったんです。結婚直後にここを買ったんですが、理由は、第一が妻の実家が川口市であったこと、第二が都内のオフィスへの通勤利便性でした。埼玉高速鉄道は南北線に乗り入れていて、都心の主要駅まで乗り換えなしの一本で通えるのがありがたかったですね」

エルザタワー55の住人

お話をうかがった中山さん(左)と小室さん

地上55階建てというエルザタワー55ならではの長所には、暮らし始めてから気づいたそうだ。

「初めて深夜にタクシーで帰ってきた時でした。マンションは東京と埼玉の境を流れる荒川を渡ってすぐの場所。荒川にかかる新荒川大橋を通っていて『もうすぐ着くな…』と思い、ふと右手を見た時、まだ住戸の灯りが煌々と輝くエルザタワー55が見えたんです。まさに『ランドマーク』という感じで『私たちはあそこに住んでいるんだ、すごいな』と実感できましたね」

ランドマーク性については中山さんも同意見だ。

「確かに都内から新荒川大橋を車で走っていてマンションを見ると『あ~帰ってきたな~』とほっとできますね。それと、川口市内や近郊の鳩ケ谷などを車で走っている時もちょくちょくエルザタワー55が視界に入り、道標になるというか、見守られているかのような安心感があります」

エルザタワー55の芝生公園

タワー足元には芝生広場が。段差のある地形を利用してすべり台が設けられている。住人はもちろん、地域にも開放されている場所

公園に咲いている梅

取材は2月末。梅が咲いていた

公園敷地内に生えているサルスベリ

公開空地内の植栽にはネームプレートが付いている

加えて中山さんは、共用施設の多彩さも強調する。

「総戸数650戸ですからかなりの大規模マンションであり、この規模に付き物の魅力的な共用施設が設けられています。
テニスコートやパーティールーム、ゲストルームなどいろいろあるのですが、私がダントツで気に入っているのは最上階の55階にある『スカイラウンジ』。パノラマワイドの窓が北側に面していて、浦和レッズのホームである埼玉スタジアム2002や、さいたま新都心の高層ビル群、冬場で空気が澄んでいる時期は筑波山もきれいに見えます。
以前は、友人たちを招いて、ここで夜景を見ながらシャンパンパーティーを何回か楽しみました。地上185mの高さで飲むシャンパンは格別なんですよ。いまはコロナ禍で使用休止中ですが、再開したあかつきには真っ先に予約したいです(笑)」

エルザタワー55のスカイラウンジ

55階のスカイラウンジからの眺め

エルザタワー55のスカイラウンジ

同じくスカイラウンジ。キッチン、カラオケ設備も付いている。天窓のおかげでさらに開放感がup

エルザタワー55のゲストルーム

絶景が拝める43階のゲストルーム

エルザタワー55のスカイスタジオ

36階のスカイスタジオは備え付けのピアノのほか、自分の楽器を持ち込んで演奏を楽しむこともできる

エルザタワー55の和室サロン

29階にはお茶を点てることもできる和室サロンが

エルザタワー55のクラフトルーム

工作などに集中できる20階のクラフトルーム。吹抜けに面した窓の雰囲気が宇宙船のコックピットを連想させた。備品の工具を使うこともできる

エルザタワー55の空中広場

これも20階にある空中広場

185mの超高層タワーマンション大規模修繕工事を成功に導けた理由

前述したとおり、小室さん、中山さんはともに管理組合でマンション管理にも従事している。650戸の大所帯であり、いろいろな課題がありそうだ。まずは小室理事長に管理組合の仕組みを聞いてみた。

「輪番制と立候補で理事を決めています。私は一昨年初めて輪番で理事になり、昨年推薦されて理事長に就きました。理事会は総勢26名。任期は2年で半数の理事が入れ替わります。
月に1回開く理事会とは別に『委員会』があり、全理事が所属する決まり。建物施設、生活環境広報、防災、会計、植栽庭園管理運営の計5つで、私は建物施設委員会に所属しています。

私の本業の分野は新聞業界で、まったく畑は違うため、未知の用語が多く、ググって勉強しながら取り組んでいます(笑)。理事経験は初めてで、それまで視野に入っていなかった大規模マンションの管理を目の当たりにして、知見が大きく広がりました。

最近の大きなトピックでは、2021年3月から2022年2月ころまで約1年かけて行った、2フロア・360台分の自走式駐車場と、駐車場屋上のテニスコートの大規模修繕工事。次はタワーマンションの生命線である、全7基のエレベーターリニューアル工事について検討中です」

エルザタワー55の駐車場

マンション北側に駐車場が設けられている。ゲートが出入口で計360区画。メンテナンス費用がかさみがちな機械式ではなく、すべて自走式だ。駐車場の屋上にはテニスコートが2面設けられている

エルザタワー55の屋上

屋上にはスキージャンプ台のような形状の屋根が。このデザインも遠くからでも視認性が高い要因に

エルザタワー55の屋上からの眺め

屋上から南側を俯瞰。ゆったり流れている荒川の向こうには東京都心の高層ビル群が見えた

ちなみに筆者は、2018年初めにもエルザタワー55を取材した経験がある。当時は2015年から約2年をかけて行った外壁タイル補修や塗装、防水などの大規模修繕工事が終了したばかりだった。185mの高さ、低層・中層・高層階で外観のフォルムが異なるため、外壁に設ける仮設足場の設置が難しく、かなりの“難事業”だったという。

それでも、住人に対する多数の説明会はもちろん、理解しやすい内容にアレンジした子ども向けの説明会も開いたほか、居住者の車両と工事車両の動線を完全に切り離す、マンションに隣接する小学校に登下校時の注意喚起、工事中は居住者もマンション内の安全確保状況を見回る「ZA(ゼロアクシデント)運動」の実施など、多様な取り組みを行った結果、当初の予定どおり、2年間で大規模修繕工事は終了。1990年代から徐々に増え始めた超高層タワマン大規模修繕工事の先駆例となった

エルザタワー55の吹抜け

マンションの内部は共用廊下に面した吹抜けになっている

エルザタワー55で行われた防災施設見学会

2017年2月に実施された防災施設見学会。これは普段は立ち入り禁止の屋上でのひとコマ(画像提供/中山理事)

エルザタワー55で行われた防災訓練

2019年6月に実施された防災訓練の様子(画像提供/エルザタワー55自治会)

エルザタワー55で行われたコンサート

同時期にエントランスロビーで住人の懇親を目的としたコンサートも開かれた(画像提供/エルザタワー55自治会)

「理事会は役員以外に、過去の理事経験者で組織される『顧問委員会』を設置していて、過去の事例共有やアドバイスをいただき、理事会をサポートしていただいています。マンション管理のノウハウを継承する点でも非常にありがたい存在ですね。
エレベーターのリニューアル工事もアドバイスをいただきつつ、安心安全を第一に進めていきたいと考えています」(小室さん)

スキルアップ、知見も広がる!「大規模マンション管理という仕事」

中山さんも理事経験は初めてだ。

「ここで暮らし始めてからしばらくは、完全に一住人の目線しかもっていなかったので、管理する側に入ってみて、動くお金の大きさや植栽管理の難易度、こまごまとしたメンテナンス、修繕の実態を知り、発見の連続でした。改めて、マンションは皆の共有財産であり、理事になった以上、期間中の仕事をまっとうしなければならないと思っています」

中山さんは会計委員会に所属し、小口会計を担当していた。ちなみにご自身の仕事では会社の総務で長年キャリアを積んでおり、その点で言えば、建物施設委員会の仕事に取り組みやすかった。にもかかわらず敢えて会計を希望したという。

「自分の得意ジャンル以外に挑戦できる良いチャンスだと思ったんです。また、マンションの会計管理がどうなっているのかを知るのも、ひいては自分の仕事に活きてくるかも、と考えました。
企業の総務、マンション管理は、確かに重なる部分もあります。基本的な設備や仕組みは同じものも多いですね。例えば、CO2を活用した消火設備や荷物運搬用エレベーターの存在、防火防災管理者の選任や、管理者が立案する防災計画に基づいて災害訓練をする、などです。先日、産廃業者と結ぶ契約書を読む機会があったのですが、本業で法律関係にも携わっているので、内容は理解しやすかったですね」

では、企業総務とマンション管理の違いは何だろう。

「決定的なのは『管理組合』の存在です。何千万円もかけて手にした大切な資産なので、全役員は、非常に真剣に理事会、委員会の仕事に取り組んでいます。意見が対立して紛糾することもたまにありますが、それは『エルザタワー55の資産価値を維持したい』という真摯な思いの表れ。議論を重ねて、できるだけ良い落としどころを探す作業を続けています。
私が所属している会計委員会の委員長は長年経理事務に携わってきた方で、深い知識をお持ちの人。本当に勉強になりますね。ほかにも法律、不動産、建設など多様な業界の方が役員に就いておられるので、理事会、委員会を通じて『集合知』に触れることができ、良い経験になっています」

エルザタワー55に設置されているアートワーク

公開空地には、かつての「鋳物の街・川口」にちなみ、鋳物のアートワークが点在している

「1階のコンシェルジュカウンターに投書用ボックスと専用フォーマットを設けて『居住者の声』を集めています。理事会では気がつきにくい部分を指摘いただき、ご要望に応えることもありますね。例えばタワー周囲の植栽の生育状態や、住人のマナー、モラルなどに関する気づきなどです。エルザタワー55への愛着や、良い環境にしていきたいという意識の強さを感じます」

住人の意識といえば、2019年10月に象徴的なできごとがあったそうだ。

「東日本に甚大な水害をもたらした台風19号が近づいた際のことです。住人の有志の呼びかけから多くの住人が集まって、マンション1階の出入口に土のうを積みました。幸いにして荒川の堤防が決壊することはなく、浸水被害もゼロだったのですが、マンション防災に対する取り組み強化にもつながりました。その後に、出入口への止水板設置が実現したのです。
かつては『防災餅つき大会』として、防災訓練と餅つきを同時開催し、防災意識と住人同士顔の見える関係を築くためのイベントを毎年行っていました。機会を見て再開させていきたいと考えています」(小室さん)

理事会、住人、いろいろな人の思いで支えられている超高層タワーマンションの草分け・エルザタワー55。今後も変わらず快適な天空生活が送れそうだ。

エルザタワー55の銘板

エントランスそばにさりげなく配置されているマンション銘板

※今後のイベント開催、共用施設の使用は新型コロナウィルス感染症対策のため上記の通りではありません

構成・取材・文/保倉勝巳 撮影/一井りょう

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