旧中川と広大な公園に近接した閑静な環境と生活利便性が共存
江戸川区と墨田区・江東区の境界を縫うように流れる旧中川は、荒川水系の一級河川。整備された河川敷で散歩やジョギングをしたり、ベンチに座ってのんびりと川の景色を眺めたりと地元の人たちでにぎわっている。
この旧中川のほとりに立つのが、今回、紹介する「亀戸レジデンス」だ。約2万㎡の敷地には住居棟5棟と共用棟のほか、認可保育園、学童クラブ、住宅型有料老人ホーム、さらにクリニックや薬局、コンビニも入居。多世代が共生する複合型マンションの先駆けといえるプロジェクトだ。
お話を聞かせてくださったのは、2008年の竣工当時からここに暮らす、管理組合副理事長のMさんと、取材当時、副理事長を務めていたYさん。
お二方にまずは住み心地から伺ってみた。
「マンション内のクリニックは軽度の病気やケガのときに駆け込めるので安心ですね。放課後の子どもの居場所になる学童クラブが入っているのも助かりました。学童クラブが終わったら同じ敷地の自宅に帰るだけなので心配が少ないですから。保育園はマンションの居住者に優先権があるわけではないのですが、わが家は幸運にも入園できたので送り迎えがスムーズでした。エレベーターで降りるだけでコンビニがあるのもなにかと便利ですね」(Mさん)
もちろん、魅力はそれだけにとどまらない。Yさんが挙げたのが交通アクセスのよさだ。
「最寄駅は徒歩9分の東武亀戸線亀戸水神駅ですが、総武線平井駅も歩いて12分ほど。同じ総武線の亀戸駅も徒歩圏内ですし、東京メトロ東西線の葛西駅行きのバス停も近くにあります。買い物も便利ですよ。ライフやオーケーストア、島忠ホームズにはロピアも入っているので使い分けができます」
利便性の高い場所にありながら、自然に囲まれている点も大きなポイントだという。冒頭で紹介した旧中川はその一つ。
「旧中川は東京で屈指のカヌースポットで、カヌーツーリングを楽しむことができます。釣りをする人も多く、特にハゼ釣りの好場。クロダイも釣れるそうですし、ボラが跳ねているところもよく目にしますね。8月のお盆には灯籠流しも行われます。このマンションがある江東区側と対岸の江戸川区側の両岸で白い舟灯籠に文字や絵を描いて流すのですが、いくつもの灯籠が連なる光景は夏の風物詩になっているんです」(Yさん)
この旧中川にかかるふれあい橋も住人自慢の人気スポットだ。橋の上からは桜、梅、あじさいなど季節の花が彩る川の景色が一望でき、東京スカイツリーも見晴らせる。
「夜になると橋がライトアップされ、それがまたきれいなんです。クリスマスの時期は緑や赤などカラフルな配色になるんですよ。景色がいいので、テレビドラマのロケにも使われていましたね」(Mさん)
さらにもう一つ、住環境の魅力として挙げられたのが都立亀戸中央公園だ。マンションから公園までは徒歩1分の近さ。約10万㎡もの広大な園内は芝生の広場やじゃぶじゃぶ池などがあり、野球ができる球技広場やテニスコートも整備されている。桜並木もあって春はお花見も楽しめるとか。
「子どもが小さかった頃は毎週末、遊びに行っていました。ボール遊びをしたり、夏は池で水遊びをしたり。とにかく広いので、のびのびと過ごせるんです。毎朝6時半からラジオ体操が行われていて、ランニングやストレッチで汗を流す人も多いですね。私も一時期、走っていましたが、今は散歩をしてリフレッシュしています」(Yさん)
この公園ではコロナ禍の間を除き、毎年8月に江東区の夏まつりが開催されていた。模擬店がずらりと並び、盆踊りやステージでの催し、花火の打ち上げも行われていたそうだ。
約120種の植栽と多彩な共用施設が暮らしの潤いを創出
川と公園に囲まれた環境に呼応して、マンションのランドスケープも緑豊かだ。敷地内の植栽は約120種に及び、樹木の数は9000本以上。
例えば、亀戸中央公園側にあるパークサイドエントランスの前に広がるのは、“アウターガーデン”と呼ばれる公開空地。ケヤキやモミジなどが植えられ、四季折々の景色を楽しめる。
一方、ふれあい橋からつながるリバーサイドエントランスは“フォレストアベニュー”と名付けられた並木が彩り、こちらも緑が満載だ。
さらに、マンションの中に入ると、サークル状のインナーガーデンが出迎えてくれる。敷地の中央に位置するこのガーデンは広々とした芝生の広場が特徴。その周りをシンボルツリーのシラカシを中心にクスノキ、サザンカなどの樹木が取り囲み、全長25mの石張りのサークルベンチで和むことができる。
このインナーガーデンに面して設けられているのが、共用棟の“カナルハウス”だ。天井高約3.3mに及ぶ開放的なカフェラウンジはジャズなどのBGMが流れ、コーヒーを飲みながらひと心地つくのに絶好。一角にはキッチンも設けられ、貸し切りにしてパーティーを開く居住者も多いとか。
その隣のコモンスペースは通常2室に区切られているが、可動間仕切りを開放すれば約20畳の大空間に。理事会はここで開いているそうだ。
リバーサイドエントランス側には2層吹抜けのライブラリーラウンジがあり、こちらもまた開放感満点。 「多彩な書籍が用意されているので読書を楽しめますし、仕事や勉強の場にも活用されています。24時間開放しているので、うちの娘も勉強場所に使っています」(Yさん)
ゲストルームはリバーフォート棟(E棟)の15階にあり、ジャパニーズスタイルとコンチネンタルスタイルの2室から選ぶことができる。ジャパニーズスタイルは長い廊下に沿って雰囲気の異なる2つのスペースがあり、思い思いの場所でくつろげる。コンチネンタルスタイルは大きなソファを置いたリビングのほか、キッチンとダイニングスペースも設けられ、雰囲気はまるで別荘のよう。パーティールームとしても利用されているというのも納得だ。
このほか、レンタサイクルやカーシェアリングといったサービス面も充実している。レンタサイクルは50台ほどあり、電動アシスト自転車も用意されている。レンタル料は一般自転車の場合、1回50円で12時間まで、子ども用椅子付きの一般自転車は1回50円で4時間まで利用可。電動自転車は1回200円で4時間まで借りられる。
「駐輪場は1世帯あたり2台分を確保していますが、それでは足りない世帯も少なくありません。そんな場合にレンタサイクルを利用してもらえれば、自転車を止める場所に困りません。実際、毎日利用している方もいらっしゃいますね。カーシェアリングは30分から貸し出しているので、こちらも稼働率が高いです」(Yさん)
多彩な共用施設を利用してイベントも数多く開かれている。なかでもメインイベントとなるのは夏まつり。インナーガーデンに焼きそばや飲み物などの模擬店が並び大盛況とか。
クリスマスイベントも恒例で、さらに昨年10月にはハロウィンイベントも初開催された。
「ハロウィンは仮装した子どもたちにお菓子を配り、おもちゃなどが当たるくじ引きも1回100円で実施しています。ジュースのほかにビールなども販売するので、大人も楽しめると好評ですね。クリスマスは豪華景品が当たるプレゼント抽選会がメインイベントとなり、こちらも人気です。昨年は100名に豪華プレゼントを進呈しました」
さらに、毎年2月に実施されるのが小学生以下を対象にしたお絵描き展。応募作品は毎年60点以上と盛況だ。参加賞はノートで入選者には図書カードがプレゼントされる。
「応募作品はすべてカナルハウスに掲示するので、それを楽しみに応募するお子さんも多いようです。加えて、5月には塗り絵展も開いていたのですが、昨年は講師を招いて折り紙教室に変更しました」(Yさん)
聞けば、これらのイベントにかかる経費は、資源ごみのリサイクルで得たお金から捻出しているという。企画・運営は理事会の広報・防災班を中心に理事全員で当たるのが慣例になっている。最近はキッチンカーを呼んだり、イベント会社に委託したりするケースも増えつつあるが、このマンションでは住人による手づくりのイベントで和やかな交流を生み出している。
駐車場の全区画に電気自動車の充電設備を導入
最後に管理組合の活動について伺った。理事会は監事2名を含めた20名体制で、先述のイベントをはじめ多岐にわたって活動をしている。
そのなかで直近の特筆すべき成果は電気自動車用充電設備の導入だろう。電気自動車への対応は管理組合の課題としてよく挙がるが、このマンションでは駐車場427区画と来客用駐車スペース5区画すべてに一気に設置したというからすごい。
「充電器は2区画で1基を利用するスタイルですが、動き出しは早かったですね。充電器の利用料は各自の負担になりますが、マンション内で充電できるのはやはり便利でしょう。今はまだ電気自動車に乗っている方は少ないものの、今後の増える可能性を考えればマンション自体の評価にもつながると思います」(Mさん)
ほかにも、議案や議事録などペーパーレスでやりとりするDX化も推進。理事会の議事録や管理組合からのお知らせなどは「くらしスクエア」という居住者専用のホームページで見られる体制も整えられている。
ちなみに、植栽については管理会社と植栽管理業者が連携し、植栽の状態のチェックや剪定などを年に10回実施。インナーガーデン内の芝生への立ち入りを適宜制限するなど適切な管理により、緑豊かな環境が維持されている。
「このマンションは24時間有人管理なので防犯面も安心。便利に暮らせる半面、夜はとても静かで穏やかに生活できます。竣工から16年たち居住者の年齢層も上がってきましたが、イベントを開くと小さなお子さんの姿が今も多く見られます」(Yさん)
恵まれた住環境と手厚い管理体制で潤う暮らしは、これからも旧中川の流れのようにゆったりと紡がれていくのだろう。