近未来的空間の先に待ち受ける驚きの光景
誰しも自宅への帰路に就くとホッとした気持ちになるものだ。マンション暮らしなら、敷地に足を踏み入れると、安堵の感情はより強くなるだろう。
しかし、ブリリアシティ横浜磯子の場合は、強くなる、というよりは「帰ってきたぞー!」とテンションが上がること間違いなし!? 以下の写真を見ると、この表現も納得していただけるはずだ。
ここは、ブリリアシティ横浜磯子に上るグランドエレベーターへ続くグランドコリドー。JR根岸線磯子駅から徒歩4分の場所にあるグランドエレベーター入口を入ると、この近未来感あふれる通路が出現する。駅、オフィスビルなどに使われているのと同様の自動改札機を通ってグランドコリドーを歩き、グランドエレベーターで約60mの高さを一気に上ると、そこに待っているのがブリリアシティ横浜磯子だ。東京ドーム約2.5個が収まる約11万7000㎡の丘陵状の敷地に建てられた、A~Mの計13棟、総戸数1230戸の大規模マンションである。
マンションが建てられる前、この丘には、2つの歴史的な施設があった。ひとつは1937年に建てられた「貴賓館」。昭和天皇の義弟にあたる東伏見邦英伯爵が別邸として建築したものだ。1993年には横浜市の歴史的建造物に認定されており、今なお、マンションのシンボルとして管理組合が維持管理を行っている。
そしてもうひとつは、1960年に開業、2006年まで営業した「横浜プリンスホテル」。政財界の要人から地元横浜の人々まで幅広く愛され、磯子のランドマークとして歴史を刻んだ。ちなみに貴賓館は同ホテルが大規模改装された1990年以降に宴会場として活用された後、近年では、創作和食レストランとして営業していたストーリーもある。
ともあれ、一般的なマンションとは異なる来歴やスケールの大きさに、圧倒されっぱなしの筆者。取材に応じていただいた管理組合理事長の廣田さんも、初めて訪れた時のインパクトはかなり大きかったと振り返る。
「ここで暮らし始める前は、千葉市におよそ20年間住んでいました。ずっと勤務先の社宅で生活していたのですが、一定の年齢に到達すると出なければならない決まりがありましてね。そこで、マンションを購入しようと千葉でいくつか物色したのですが、一方で“横浜アドレス”に暮らすことへの憧れみたいな気持ちも持っていました」(廣田さん。以下コメントはすべて同じ)
そんな時、磯子区在住の廣田さんご夫妻の友人が『うちの近所で気になるマンションが分譲されている』と情報をくれたのだという。
「それがブリリアシティ横浜磯子だったわけです。2014年12月末に私と妻、友人の3人で見学しました。磯子駅近くに設置されていたモデルルームを見た後、現地へ向かったんです。そして、グランドコリドー、グランドエレベーターのアプローチにびっくりして、さらに、丘の上に広がっていた別世界のような大規模マンションの街並みにもう一度驚いた。
近未来的なエントランスと歴史的な貴賓館が同居する非日常的な空気感、敷地内の静かな街並み、ゆったりした時間の流れ方……ほぼ一目惚れでしたね。購入を即決して妻と友人を驚かせてしまいました。
敷地内の共用施設にスーパーマルエツや各種のクリニックなど、生活に必要な施設がひととおりそろっていたことや、多彩な共用施設も決め手でした。ただ、実は、品川にある自分のオフィスへの移動時間はどのくらいかかるのか、という非常に重要な情報を確認することを忘れていたのですが(笑)」
結果的にはオフィスまで1時間15分程度で、乗り換えもラクだったので問題なかったのですが、と廣田さん。また、磯子は遊びや買い物にも便利なロケーションとのこと。
「観光スポットが集まり、今も進化し続けるみなとみらいや桜木町、関内などの横浜エリアと、観音様や大きな商業施設が整っている大船のほぼ中間に位置していて、どちらに行くのも磯子駅から根岸線で15分程度なんですよ」
絶景も堪能できる敷地内ウォーキングで運動不足を解消
以前の住まいが千葉市ということで、海が近い点では住環境が変わらないのではと聞いてみると、
「確かに海までの距離はあまり変わらないのですが、絶対的に違うのは海抜約60mの丘の上という“高さ”。その恩恵で、北側に横浜市街地、南側に東京湾や房総半島、西側に富士山や丹沢山地が一望できます。 日が沈む直前の時間帯や、夜景などはいまだに見飽きることはないですね。もっとも、私がここを購入したのは後期で残戸数が少ない時期だったこともあり、自宅からはどの景色も見えないのですが(笑)」
しかし、これらの眺めは敷地内を歩くだけでも十分に愉しめるんですよ、と廣田さん。
「私の勤務先はかなりテレワークを普及させていて、事実私も今年になって出社したのはたったの1日だけなんです(注:取材日は2021年7月23日)。どうしても運動不足になってしまうので、勤務時間終了後、敷地内をウォーキングするようになりました。ウォーキング中に先ほどお話しした景色(夜景)を眺めることができるので、続けられています」
敷地内遊歩道はトータルで約2km。根岸線で磯子のひと駅隣の根岸駅までの距離に匹敵するそうだ。丘の上は程良くアップダウンがあり、ウォーキングしているとそれなりにキツいのだが、約60m下のグラウンドレベルに比べると、緑地の多さも相まって風が涼しく感じられるとのこと。日中、デスクワークで凝り固まった身体をほぐすには絶好の環境だろう。
また、駐車場のほとんどは地下につくられ、歩行者動線と完全に分離されているため、小さなお子さんのいるファミリー、お年寄りも安心して敷地内を歩くことができる。
丘の上の住まいの“責務”として斜面のリスク管理に臨む
ところで、冒頭で触れたとおり、廣田さんはマンション管理組合の理事長でもある。管理組合運営や自治会などの活動についても聞いてみた。
「理事は13の棟から偏りがないよう、立候補者や抽選で選んだ方々で構成されています。任期は2年で半数を入れ替え、知見やノウハウの継承が途絶えないようにしていますね。
竣工から8年。大規模修繕の具体的な準備はまだ先なのですが、これだけのスケールがあるだけに課題は決して少なくありません」
直近の大きな課題は2つ。まずは、ここまでに繰り返し触れてきた、マンション独特の丘陵状の地形に由来するものだ。
「南側斜面において確認されている、伐採や剪定が必要な76本の“高木”の存在です。マンションが立つ丘をぐるりと囲む斜面は、原則的に管理組合の所有物なので、こうしたリスクをヘッジすることが必要になるのです。万が一、台風などで木が倒れたり、枝が落下したりすると斜面下にあるマンションや一戸建てなどに何らかの被害を及ぼす恐れもあります。範囲が広大でボリュームがあることから、およそ4年かけて徐々に対応していく方針です」
もうひとつはコロナ禍対策である。
「これを前向きにひとつの契機ととらえ、不測の事態でも理事会を継続的に開催できるように管理規約の改定や、通信環境の構築を進めています。今年の春から始めたばかりなので、まだ試験的な側面もありますが、できるだけ早期の本格運用を目指しています」
理事20名と監事2名で計22名とかなりの大所帯。課題も少なくないとなれば理事会にはそれなりの負荷がかかりそうだが……
「理事会は原則、月1回開催ですが、総務・予算・会計/施設・設備/防犯・防災/広報と4つの分科会を理事会の下部に置き、理事会とは別に、各分科会で専門的に課題解決に取り組んでもらうことで議論を深め、意思決定のスピードアップを図ってきました。
それでも、課題共有が理事会当日になることや、理事会進行が効率的でないことなどにより紛糾して5時間くらいかかったこともあって、これでは負荷がキツくて成り手がいなくなるかもしれないなと。
そこで、理事会資料に審議目安時間の記載と資料の事前配付、理事会で審議目安時間での時間管理や審議が長引く議題は次回に回す、分科会からの報告はポイントを絞る、などの対策を実施し、今では、理事会を2時間程度にまで短縮できるようになったんですよ」
各分科会は理事会と別に開催されるため、理事は月2回のミーティングに出席することになるが、それでもトータルの時間は短くなり、概ね好評だという。
多様な価値観に触れられるのは大規模マンション暮らしのだいご味
「マンションには、季節のイベントや行事を行う自治会もあります。理事会では自治会と協働して防災訓練を実施。昨年11月には、地元の磯子消防署の協力で水消火器や起震車体験、グランドエレベーター横の非常階段の降下体験や、磯子区役所担当者による講話などを行いました。実体験参加とZoomオンライン配信の2通りで実施したところ、総計105名の参加があり、関心の高さを実感できました」
さらに理事会は、マンション住人と、周辺に暮らす住民との親睦交流や健康の促進、文化的な活動、安全などの向上を目的とする「磯子タウンマネジメント倶楽部」とも連携している。
「磯子タウンマネジメント倶楽部が行う人気のイベントは、ブリリアシティ横浜磯子の敷地内の広場で、奇数月に行う“いそご丘の上マルシェ”。産直野菜の販売などが好評で、今年5月のマルシェでは多くの方に来場していただきました。また、偶数月には複数のキッチンカーが集結。4月には、薪窯焼きピザ、創作アジアン料理、ドイツの手づくり無添加ソーセージなど、個性的な味がそろいました。こうしたイベントは、昨年はコロナ禍で休止していましたが、今年から細心の感染対策を行いながら、徐々に再開しています」
廣田さんがブリリアシティ横浜磯子の住人となって5年。独特の地形を活用した住環境や生活利便性、足まわりの良さなど、さまざまな恩恵を享受しているが、理事会活動を始めてからは、また新たな魅力に気が付いたという。
「以前の社宅暮らしでは、住人皆が同じ企業に勤めていることもあり、コンセンサスは得やすかった気がします。一方ここは1230戸の大規模マンションであり、いろいろな価値観や異業種の方々が暮らしている。理事会での検討に時間がかかることはありますが、視点を変えれば、自分が今まであまり触れてこなかった価値観を知る機会でもあるわけで、その意味では大規模マンション暮らしならではの有意義な時間を過ごせていると思いますね」
今年度で理事の任期が終了する廣田さん。その後も終の棲家として暮らし続けるそうだ。
※2021年のイベント開催、共用施設の使用は新型コロナウイルス感染症対策のため変更になる可能性があります。今後の開催は未定です