竣工時の世界観にこだわり続ける港区台場の希少な分譲マンション

ザ・タワーズ台場の外観

ティアラをモチーフにした塔屋が際立つツインタワー。最寄駅は新交通ゆりかもめのお台場海浜公園駅で、徒歩2分とアクセスも良好だ(画像提供/ザ・タワーズ台場管理組合)
物件名:
ザ・タワーズ台場
所在地:
東京都港区台場
竣工年:
2006年
総戸数:
525戸

遊ぶ街・お台場に輝く“暮らしのアイコン”

2021年夏に開催された東京2020大会。臨海部には多くの競技施設がつくられ、熱戦が繰り広げられた。その一角に含まれていたエリアが港区台場だ。お台場海浜公園でトライアスロン、マラソンスイミング競技が実施され、さらに公園沖の海上には、巨大なオリンピックシンボル、パラリンピックシンボルが設置された。

そもそも台場といえば、お台場海浜公園に加えて、自由の女神、複合エンタメ施設のアクアシティお台場、デックス東京ビーチ、フジテレビ本社、グランドニッコー東京 台場など「遊ぶ街」というイメージが強いが、そこには決して小さくない「暮らし」の側面もある。レインボーブリッジのたもとに近い台場1丁目に総戸数1135戸のマンション「シーリアお台場」、2丁目に総戸数525戸の「ザ・タワーズ台場」が立っているのだ。

本稿で紹介するザ・タワーズ台場は、港区台場初の分譲マンションであり、しかもランドマーク性の高いツインタワー。イースト棟、ウエスト棟の塔屋は、遠くからでもすぐにそれと分かるティアラ(王冠)のデザインが施され、2棟とも外壁は濃いワインカラーで統一されている。お台場の景観に欠かせないアイコンと言っていい。

ザ・タワーズ台場のエントランスアプローチ

「港区台場」では初の高層分譲マンション。ホテルのような雰囲気が漂うエントランスアプローチも魅力的(画像提供/ザ・タワーズ台場管理組合)

ザ・タワーズ台場の駐車場前

歩道と車道が分離されていて歩行者の安全を担保している。駐車場台数は住戸分100%を確保(画像提供/ザ・タワーズ台場管理組合)

「この独特のロケーションやデザインが、住人の購入動機に少なからず作用しています。そこで管理組合では、竣工時の意匠や世界観、コンセプトを極力守り、イメージを変えずに継承していくことに力を入れています」
と話すのは、管理組合理事長。以前は東京都世田谷区の閑静な住宅街にお住まいだった。東京で根強い人気を誇るエリアのひとつだが、
「戦争で大きな被害を受けなかった地域で、幹線道路から一本裏に入ると道路整備が行き届いていない場所も多い。私はちょっと窮屈な住環境と感じていました。車道、歩道の区別がややあいまいで、バスも車も自転車も歩行者も一緒になって通行するような状況に抵抗があったんです。
ですから、そんな私にとって、このマンションの立地は理想的です。まずは開放感。マンションの周りの歩道は広く、自転車・歩行者レーンの区別は明確です。歩道幅自体も広いですし、電柱はすべて地下に埋設されています」

ちなみに台場は、1996年に開催予定だった『世界都市博覧会』の会場の一部であり、その“遺産”としてザ・タワーズ台場の地下には大規模なダストシュートも埋設されている。マンションから出るゴミはすべてこのダストシュートで外部に運び出すことができるため、マンションにはゴミ収集車が来る必要がないという。

そして、次に管理組合理事長が挙げたのが、高層階暮らしならではの眺望の良さ。
「レインボーブリッジのはるか向こうにある富士山に夕日が沈んでいく眺めは初めて見た時から今に至るまで、何度も見ても素敵だと思います」(管理組合理事長)

スケールメリットを活かしたマンション共用施設に対する満足度も高いそうだ。
「特にスーパーマーケットやクリニックがあるのが便利ですね。また、気分を変えて仕事をしたい時はライブラリーが格好のスペースになります。ゲストルームも複数あって、稼働率が高い。
このくらいの規模のマンションでは、適当なボリュームの共用施設のラインナップだと思います。過度に設けると万が一将来利用率が低くなった場合、維持管理コストが負担になってきますが、ここならそのような事態にはならないと考えています」(管理組合理事長)

ザ・タワーズ台場の1階にあるスーパー

雨に濡れることなくアクセスできるマンション1階のOKストア。8:30~21:00営業で多くの住人に利用されている

ザ・タワーズ台場のライブラリー

ウエスト棟1階のライブラリー

ザ・タワーズ台場のレジデンスクラブ

イースト棟1階のレジデンスクラブ

ザ・タワーズ台場のゲストルーム

ゲストルームは4タイプ用意。ここは最も人気の高い「リゾートスイート」

ザ・タワーズ台場の屋上

ツインタワーの間にある共用部のANNEXHALL屋上には、散歩などが楽しめる空中庭園が設けられている。フィットネスハウスやパーティーハウスもあって人気だ

ザ・タワーズ台場の外観

空中庭園の遠景。デザインは太陽系をモチーフとしており、プラネットガーデンとも呼ばれる。約3000㎡でテニスのダブルスコートが11面収まる広さ(画像提供/ザ・タワーズ台場管理組合)

ザ・タワーズ台場の最上階からの景色

最上階にはスカイテラスを配置。東京湾に架かるレインボーブリッジと東京タワーを望むことができる(画像提供/ザ・タワーズ台場管理組合)

大規模修繕工事「18年周期」実現でさらに進化

2019年、築13年目に実施した初めての大規模修繕では、特徴的なワインカラーの外壁を竣工時の状態に近づけるべく塗装を行った。グレーや白の系統が多い港区台場の街並みで、変わらず目を引く外観を維持している。

「大規模修繕と同時に行った共用廊下のカーペット交換は、廊下の一部に試験施工をして、実際に換えたらどんな印象になるかをリアルにイメージしていただきました。
サンプルやカラーチャートで見てもらうほうが、当然、圧倒的にコストは低いのですが、これもマンションの世界観を維持しながら、住人の皆さんに納得していただきたいという考えから行ったのです」(管理組合理事長)

ほかにも全10基のエレベーターすべてに姿見の鏡を設置、エントランスの照明を更新、鍵をポケットやバッグの中に所持しているだけでオートロックを通ることができるハンズフリーキー導入、水盤や噴水のリニューアルも実施。いずれも住人に好評とのことだ。

ザ・タワーズ台場のエレベーター

10基のエレベーターすべてに姿見を設置。住人に好評とのこと

ザ・タワーズ台場のエントランス

ポケットやバッグに入れているだけで開錠できるハンズフリーキーを導入。以前使われていたセンサーにかざす非接触型のキーも併用できる

ザ・タワーズ台場の銘板

水盤の前にはマンション名が書かれた銘板があり、アートワークのようだ。夜にはライトアップもされる。このような細かい部分においても、デザインのディテールへのこだわりが現れている

「住人の皆さんは、このマンションに深い愛着を持って暮らしています。それだけにお預かりした管理費や修繕積立金は、効果的に、透明性を保って使うことが管理組合の使命です。そこで大規模修繕の施工会社は、工事項目ごとに、どの会社にどんな仕事をいくらで発注するか価格を明らかにする方式に応じてもらうことを条件にして選びました。私たちがこの方式を選んだ理由は、莫大な大規模修繕工事の費用が、具体的にどのように使われるのかを“見える化”したかったからです。修繕工事の結果もさることながら、お金がどう運用されたかも住人の皆さんと共有できたことで、第1回目の大規模修繕には概ね満足しています」(管理組合理事長)

現在は、次の大規模修繕工事に向けて「18年周期」の導入を検討中とのこと。通常、12~13年に1度のペースで行われるマンションの大規模修繕工事を18年スパンに延長して支出を下げ、本当に必要な箇所にお金を投じて価値を維持していくという方針だ。この「18年周期」、一部の大手マンション管理会社が取り組みを始めており、マンション管理の世界では新たな潮流になりつつある。ザ・タワーズ台場がそのモデルとなるかもしれない。

徹底したディテールへのこだわりが“らしさ”を支える

現在、すべてのマンションにおいて優先課題のひとつとなっている新型コロナ感染対策。ザ・タワーズ台場では、マンションの世界観に即した工夫をしているという。感染対策を担当している自治会の会長に聞いてみた。

「マンションやスーパーマーケットなどでよく見られるのは、自分の手で押したり、ペダルを踏んだりしてボトルから消毒液を出し、手につけるタイプですよね。でもここでは、手のひらをかざすだけで自動的にアルコールが2回噴霧されるディスペンサーを導入しました。東京都からコロナ対策として自治会に支給された助成金で賄ったものです。やはり、マンションがつくられた時のコンセプトを守るため、感染対策もスマートに、という考えから実施しました」(自治会長)

ザ・タワーズ台場のエントランス

アルコールディスペンサーは共用施設やエントランスの入口などに置かれている

ディテールへのこだわりはほかにも。例えば、ウエスト棟とイースト棟のエントランスのオートロック前には季節を感じさせる、大きな鉢に活けられた草花が飾られているのだが、これは造花ではなく生花で、しかも毎週交換されている。年間で数百万円かけているそうだ。

ザ・タワーズ台場のエントランス

ウエスト棟とイースト棟のエントランスのオートロック前に生花が置かれている

ザ・タワーズ台場のエントランス

生花ならではの華やかさ。撮影した日に飾られていたのはトルコ桔梗とアスパラ

「エレベーターが近いので、住人はもちろん、訪れた人ほぼ全員が目にする場所。この生花を見て季節を感じていただき、心の潤いを感じていただければ、との思いで続けています。住人や訪れる人の好印象につながれば、ひいてはマンションの価値向上にも結びつくのですから、決して高い投資ではないと考えています。
また、細かい箇所ですが、オートロックのドアの『自動ドア』と記された、野暮ったい印象のシールをはがし、「AUTO」と描かれたスマートなグレーのシールに変更しました。面積的には小さくても、コンセプトを守る意味では大きな役割を果たしています」(自治会長)

ザ・タワーズ台場のエントランス

「自動扉」→「AUTO」に文言を変更、シールの形、色にもこだわった

楽しみの要素を加えてマンション防災を“自分事”に

こうしたハード維持管理のこだわりもさることながら、住人の安全・安心な暮らしにも配慮している。防災訓練はどのマンションでも行うが、ここではひと工夫加えることで、参加者の増加、関心、意識を高めている。

「地元消防署に協力いただいて、水消火器の体験をしたり、署員さんに講話をいただいたりすることも大切ですが、何らかのインセンティブを付けると、楽しんで学びながら意識を高めたり、モノの配布によっておトク感を得ていただいたりできて『防災』が身近になると考えています。参加者全員配布のモノの例では、ラップ、感染対策用アルコール、簡易防災グッズ、火災初期対応用のスプレー式消火器なども配り、好評でした。
以前はバスをチャーターして、有明にある防災体験学習施設『そなエリア東京』を見学。地震災害発生後をいかに生き抜くかをテーマにした施設で、子どもたちはもちろん、大人にとっても勉強になる体験でした」(自治会長)

また、自治会の主催で港区総合防災訓練にも参加している。例年は、ザ・タワーズ台場から徒歩5分ほどの場所にある、区立小中一貫教育校お台場学園で実施。炊き出しの試食、バルコニー隔壁を蹴破り、隣戸へ逃れる破壊訓練、放水訓練、屋内消火栓取り扱い訓練、負傷者搬送訓練などいずれも本格的な内容だ。この訓練にはザ・タワーズ台場住人だけでなく近隣マンションの住人も参加。子どもを介したご近所づきあいを広げる場にもなっているという。

筆者は2019年にこの防災訓練を取材した。「ザ・タワーズ台場」の物件名が記されたオレンジや黄色のビブスをまとった多くの住人が、さまざまな訓練を体験しつつ、マンション内外の住人と談笑していた風景が印象的だった。校庭の向こう側には巨大なレインボーブリッジ。「港区台場でのマンション暮らし」を実感したものだ。

ザ・タワーズ台場の防災訓練の様子

2019年10月、港区総合防災訓練に向かうザ・タワーズ台場の住人の一団(撮影/suumo編集部)

ザ・タワーズ台場の防災訓練の様子

蹴破り体験ほかさまざまな訓練を行った(撮影/suumo編集部)

また、2020年末にはコロナ禍にあったものの、感染対策に十分配慮して、サイレントな弦楽コンサートを開催。住人間のコミュニティー継続や横のつながりを維持し、ひいては災害時の共助にも役立てる狙いがあったそうだ。自粛によるストレスを強いられていた人が多いなか、つかの間の非日常的なコンサートは、穏やかな良い時間になったことだろう。

ザ・タワーズ台場で行われたコンサート

コンサートはウエスト棟とイースト棟の間にあるティアラホールで行われた。写真は2020年に引き続き行われた2021年のコンサートの様子(写真提供/ザ・タワーズ台場管理組合)

レインボーブリッジを渡った先にある“理想の我が家”

さらに自治会では、マンション敷地の外回りの環境改善にも取り組んでいる。

「以前、東京2020大会に伴う道路拡張でマンション前の信号を、歩行者ではなく自動車優先の点滅にしたい、と行政から連絡がありました。しかし住人目線で繰り返して交渉した結果、歩行者にも配慮して、青信号の時間も適切に確保した点滅スパンが実現しました。ほかにもありがちな青く区別された自転車走行レーンの色が景観的にいまひとつ、ということで青の使用を避けていただけないかという交渉も行っています」(自治会長)

ザ・タワーズ台場前の道路

マンション前の信号は全方向同時に青になる

防災訓練や行政との交渉、コロナ感染対策……。管理組合同様、自治会のタスクもまた少なくない。仕事を遂行する熱意の源は何なのか。

「私はザ・タワーズ台場の前もマンション暮らしが長く、江東区や港区三田などのマンションに住んでいました。理事を務めたこともあったのですが、正直言っていまほど熱意をもって取り組んではおらず、時々休んだりもしました。それが何故このマンションに来て変わったか? やっぱり、このマンションに暮らす者しか感じられない空気感が好きだ、ということなんだと思います」(自治会長)

その空気感は、車で帰宅する時に特に感じるという。

「私のオフィスは田町にあって、いつも車で通勤しています。レインボーブリッジが通勤ルートで、帰路、ブリッジを走りながらライトアップされたティアラが近づいてくるのを見ると『うちのマンションが立つエリアは別世界だな』といつも思う。安らぎを感じるんですよね。確かに新橋駅前にあるような渋い居酒屋とかは一軒もないのですが、でも行きたければ、ゆりかもめに乗って新橋に行けば事足ります(笑)。オンとオフ、明確な線引きができている点はザ・タワーズ台場の大きな魅力だと思います」(自治会長)

また、自治会、理事会での人との出会いも、このマンションへの愛着を深める理由になっているそうだ。

「このマンション独自の哲学みたいなものに少なからず惹かれて購入している人が多いこともあり、審美眼、センスが似ている安心感もあります。有意義な異業種交流ができるのは、ここのような強い個性のある大規模マンションならではだと思います」(自治会長)

ザ・タワーズ台場のホール

コンサートが行われたティアラホールは2層吹抜けの大空間

※今後のイベント開催、共用施設の使用については、新型コロナウイルスの感染状況によって変更になる可能性があります

構成・取材・文/保倉勝巳 撮影/吉田 武

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