都内屈指の桜の名所・中目黒の空で育まれる快適タワー生活

中目黒アトラスタワーの外観

目黒川のやや下流から見た中目黒アトラスタワー。左の大木は桜の木
物件名:
中目黒アトラスタワー
所在地:
東京都 目黒区
竣工年:
2009年
総戸数:
432戸

40以上のテナントと住宅432戸が1本のタワーの中に

中目黒と聞くと、東京やその近郊に住む多くの人は「都内トップクラスの花見の名所」を連想するのではないだろうか。事実、駅前を流れる目黒川沿いには数百本のソメイヨシノが連なり、シーズンには何と300万人もの人が訪れるという。筆者も行ったことがあるが、確かに目黒川の両脇沿いの道は、通勤ラッシュ時の電車の車内並みだった。ライトアップされた薄いピンクのソメイヨシノはなるほど美しいのだが、ゆっくりお花見を楽しめる環境ではなかった。

しかし、このマンションに暮す人なら、目黒川の花見は、自宅、あるいは高層階の共用施設から余裕をもって楽しめるだろう。それが、中目黒駅前に立つ中目黒アトラスアワーである。高さ164m、地上45階建て。まさに街のランドマークだ。

タワー1~5階にはレストランやコンビニ、銀行、クリニック、保育園など40以上のテナントが入居。6~45階の住宅は、新規分譲された123戸、かつてこの地に暮していた地権者住宅113戸、そしてUR都市機構の賃貸住宅196戸で構成されている。計432の住戸と商業等の施設が1本に収まった大規模複合タワーである。

中目黒アトラスアワー1階のラウンジ

目黒川の歩道に面した1階のラウンジ。桜並木の緑が窓いっぱいに広がる

数多くの個人住宅と一般の来街者が使う施設が同居しているだけに、管理の仕方は独特。住宅をまとめる住宅管理組合、テナントをまとめる施設管理組合、両者の意見、要望をすり合わせる場として全体管理組合がある。全体管理組合は、住宅、施設双方の理事が兼任する仕組みだ。

住人の指摘が集まる『みなさまのこえ』でアップデート

聞いて驚いたのが、組合の仕事のボリューム。住宅、施設、全体の3つの組合で月に計3回の理事会を開催する。しかも開催の前週には、理事長と副理事長があらかじめ議案の内容をチェックしておくそうだ。

通常のマンションであれば、1カ月か2カ月に1回の理事会開催が一般的なペースである。なぜ中目黒アトラスタワーは、これほどたくさんの議案があるのだろうか。

中目黒駅前に長年住み続け、まちづくり研究会発足時からメンバーとなり、現在は中目黒アトラスタワー住宅管理組合の理事長を務める神山隆男理事長に話を聞いた。

「ここのタワーは、単身者からファミリーまで実に多様な家族構成の住人が暮していて、住環境や住み心地の判断基準が幅広い。加えて40以上の商業施設が入居し、不特定多数の人が大勢いらっしゃるという特殊な事情もあります。それゆえに管理組合の組織は複雑になり、おのずと話すべき議題も増えてくるのです。それでも理事会のチームワークは良く、合意形成はスムーズに進みますよ」

中目黒アトラスタワーの案内板

商業施設へのアクセスを分かりやすくするためにタワー内のサインをリニューアルした

加えて、マンション管理の方針を決めるひとつの目安となっているのが、1階コンシェルジュデスクに置かれた『みなさまのこえ』という意見箱。毎月投書される住人の気づきや指摘などを議論し、細かな改善を重ねてきたそうだ。

中目黒アトラスタワーのコンシェルジュデスク

1階エントランスのコンシェルジュデスク。左側に『みなさまのこえ』が置かれている

「例えば39階にある予約制・有料のパーティールームは、神宮花火大会開催日に一夜限定で無料開放して、より多くの住人が花火を楽しめるようにしました。方角によっては花火が見えない住戸もあるので、共有財産をシェアしようというわけです。また、悩みの種だった不要なチラシのポスティングを防ぐため、メールボックスコーナーへのアクセスを、人目のある防災センター経由に変更しました。すると投げ込まれるチラシの量が激減し、住人の皆さんからたいへん好評をいただきました」

中目黒アトラスタワーのパーティールーム

花火大会のひと晩のみ無料開放される39階のパーティールーム

中目黒アトラスタワーのパーティールームからの眺望

パーティールーム隣の展望ラウンジからは都心のパノラマを一望できる

理事会が真摯に住人の声に耳を傾けて、できることを速やかに実行に移す。マンションの暮し心地を向上させる好例といえそうだ。

個性的な外観デザインや独特の立地が暮しの満足度を上げる

今では想像するのが難しいが、このマンションの竣工前は、老朽化した木造住宅やアパートが狭い歩道を挟んで林立し、景観や防災上の問題を抱えていた。

そこで1980年代初頭に立ち上げられたまちづくり研究会を発端に再開発がスタート。2005年ごろに既存建物の解体工事が始まり、2009年に中目黒アトラスタワーが登場したのだ。

前出の神山さんは「今、私は高層階に住んでいます。入居当初はさすがに地上100m以上の場所に住む感覚には慣れませんでした。中目黒の街をそんな高い視点から見たことがなかったので、非常に新鮮だったのを覚えています。しかし、今では高層階からの眺めはすっかり日常の一部になりましたね。鍵ひとつで戸締りが済み、バリアフリーで安全に移動がしやすいマンションの暮しは快適です」と話す。

目黒銀座商店街から見える中目黒アトラスタワー

目黒川と反対側、山手通りを挟んだ目黒銀座商店街からの眺め。かつての中目黒の街並みも想像できる

他の住人は「おしゃれエリア・中目黒のタワーにふさわしい外観が気に入っています。普通のタワーはホワイト、ベージュ、ブラウンなど無難な色づかいですが、ここは高層階はアイボリー系、中層から下はイエローのツートン。しかも微妙な楕円を描いているカタチにも個性があります。この街を象徴するマンションの住人であることは自慢できますね」と答えてくれた。

独自の眺望に満足している住人もいる。「東京の都心に超高層マンションはたくさん建っていますが、ここは渋谷から2駅離れているので、周囲に同じような高層の建築物がありません。だから抜け感が良く『ザ・東京』的な都心の風景を俯瞰して見ることができるんです。この景色をじっくり楽しむなら、私のお薦めは39階のゲストルーム。ビューバスで湯に浸かり、お酒を片手に都心の夜景を眺めた時は最高に幸せでした。一緒に泊まった友達にも思いっ切り感謝されましたよ」

中目黒アトラスタワーのゲストルーム

1泊6000円で定員2名のゲストルーム

中目黒アトラスタワーのゲストルームのビューバス

ゲストルームのビューバス。都心のパノラマビューをひとり占めできる

毎年300万人が訪れる桜の季節には、このマンションならではの花見を楽しむ人も。「高層階で目黒川を見下ろせる位置に窓があるので、そこからライトアップされたベルト状の桜を見ながら、友達と宴会をするのが恒例のイベント。竣工から毎年やっていますが、徐々に目黒川の花見客は増えている気がしますね。以前、ここに住む前は私も目黒川沿いを歩いて、手を伸ばせば届く場所でお花見をしていましたが、アトラスタワーに住んでからはお花見スタイルがガラリと変わりました。桜はどこで見てもそんなに変わらないけれど、ここからの桜は独特の見え方です。1年に1回しか見ないので、まったく飽きません」

中目黒アトラスタワーから眺める夜桜

アトラスタワー高層階から見た目黒川の桜のライトアップ。薄いピンクのベルトが美しい(住人提供)

中目黒アトラスタワーには、大規模マンションによくみられる、住人の交流を促進するイベントや同好会、サークルなどは特にないそうだ。それでも、かつてここに暮していた地権者と、新しく暮し始めた住人が協力し合い、快適なタワーライフがつくられていると感じた。

目黒川から見た中目黒アトラスタワー

目黒川から見た中目黒アトラスタワー(写真中央)

構成・取材・文/保倉勝巳 撮影/柴田ひろあき

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