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所在地:東京都渋谷区
竣工年:1983年
総戸数:1194戸
価値のある古いものを意味する言葉「ヴィンテージ」。クルマや時計、家具、ワイン、古着などが代表格だが、それが当てはまるマンションも複数存在するのはご存じだろうか。
広尾ガーデンヒルズは、その筆頭格だ。
築30年以上が経過しても、概ね分譲時より現在の流通価格が上昇している上、そもそも手放す住人が少なく、あまり中古市場に出回らない。その希少性を裏付けるのが、唯一無二の立地とスケールである。
地下鉄広尾駅の六本木寄り改札から地上に出ると、そこは交通量、人どおりも多い外苑西通り。目の前のオープンカフェの角を入って緩やかな坂を登り始めたところから、広尾ガーデンヒルズの時間が始まる。

外苑西通りの喧騒は消え去り、辺りは渋谷区、港区の区境という都心とは思えない一大緑地に変貌する。約5万7000m2の敷地に、ケヤキ80本、クスノキ45本、キンモクセイ370本、桜43本、ウメ34本などが立ち並ぶ様子は、まさに“広尾の森”だ。

住宅棟は全15、総戸数は約1194戸。数字からは大規模物件の圧迫感を想像するが、前述した潤沢な植栽と、5つのヒルに分けられたゾーニング、そして広大な敷地のおかげで、窮屈さはまったく感じない。


これほどのスケールだけに、開発当時はまだ例が少なかった、大手マンションデベロッパー数社の参画によるJV(ジョイント・ベンチャー)方式が採用された。1983年の最初の分譲街区・イーストヒルには「億ション」も含まれていたが、平均抽選倍率は40倍超、最高209倍に到達したと言われ、即日完売になったことは当時の社会現象となった。


竣工当初から恵まれていた立地や環境は大きなアドバンテージだ。ただ、どれだけ優れていても、管理の仕方が悪ければ少しずつ質は低下していく。しかし広尾ガーデンヒルズの場合は、代々の管理組合の努力によって、さらにその価値が向上している。
5つのヒルはそれぞれ170戸台から330戸台といずれも戸数はかなり多い。そのため、管理組合の分業体制としてヒル単位の管理機構が存在する。各ヒル内に支部総会があり課題などが話し合われ、5つのヒル共通の事案については全体総会で検討される仕組みだ。また、各ヒルの代表者は、全体理事会の理事が兼任している。かくして最終的には広尾ガーデンヒルズ全体としての整合性、一体感が生まれる。

管理組合の組織には、環境専門、会計、総務、コミュニティ活動、広報、ペット、植栽と計7つの専門委員会が存在し、マンション管理に必要な業務を分担する。こうした委員会制はほかの大規模マンションでも見られるが、広尾ガーデンヒルズが特徴的なのは、各委員会で仕事をする役員の存在性だ。住人には、ゼネコン、不動産、建築、法曹、金融、マーケティング、報道、学会など多様な業界の第一線でキャリアを積んだ人が多く、その経験値を管理組合の役員として活かしている。
マンション管理は、一般的に管理会社が実際の業務を遂行するが、それを実行するか否かの意思決定は住民で組織する管理組合が牽引するものだ。したがって役員の能力は管理の質に直結するのだが、広尾ガーデンヒルズの場合は前述したとおり人的資源に恵まれている。このことも、30年超にわたってマンションの価値を維持、向上させてきた原動力といえるだろう。

次に、冒頭でも触れた広尾ガーデンヒルズの価値を象徴する、植栽管理の取り組みに焦点を当ててみよう。
建物・設備の保全維持については5年に1度の長期修繕計画などグランドデザインの見直しを実施している。それに加えて、豊かな樹木草花は住民がマンションに対する愛着を育む媒介の役割も果たしていることもあり、植栽の維持管理も日ごろのメンテナンス作業に加えて、長期的視点に立って入念に行っているとのこと。2011年からは、建設時に設計を担当した三菱地所設計も参画して、長期的なグランドデザイン見直しを実施。2013年には敷地中央の道路歩道の植栽を改修した。この道は区道だが、予算の関係で管理組合が自主的に整備したそうだ。
本来なら支出の必要がないにもかかわらず、予算と時間をかけて植栽を守る。ほかではなかなか聞くことができないエピソードだ。広尾ガーデンヒルズの住環境を改善し、価値観を向上させようとする真摯な姿勢を示している。
「竣工から築30年以上経っているだけに、ここ数年、高木上部は葉、枝が生い茂り過ぎ、干渉し合って互いの生育を阻んでいました。それらを剪定した結果、地面まで日光が届くようになり、地上の植物の生育も促進できました。過去に有機肥料、有機土壌改良剤も使い、10年、20年先も変わらぬ緑が見られるように配慮しています」(荒木広報委員)

ここからは視点を変えて、住人目線の感想を聞いてみよう。広報委員のお2人に、理事としての立場を離れていただき「一住人としての印象」をうかがった。
まずはおよそ16年前に賃貸で暮らし始め、その後、流通していた中古住戸を購入して住み続けている荒木さん。
「うちは6階で、年中、窓の向こう側全面がケヤキの葉や枝で覆われています。季節の経過とともに鮮やかな新緑が黄色、赤色に変化し、冬になると落葉する。そして夏はセミ、秋は虫の音がうるさいくらいに聞こえてきます。都心にいながらにしてこれだけ季節感が味わえる住まいはそうはありません。賃貸でその魅力が分かったので、引き続きここで暮らしたいと思い、購入に踏み切りました」
敷地の広さゆえの特徴も魅力とのこと。
「普通のマンションは、エントランスから屋外に出れば、そこはもう雑多なパブリックスペースですよね。でも、ここはエントランスを出た後も敷地の端に行くまでしばらくは、森に包まれた広尾ガーデンヒルズの空間が続きます。帰ってくるときも同様で、敷地に足を踏み入れた途端『うちに帰ってきた』とほっとできる。こんな時間が漏れなくついてくるのは広尾ガーデンヒルズだけです」

続いて上野さん。竣工当時から住み続けており、完成時に初めてここに来た時は感激したそうだ。一住人として気に入っているのは、住環境の保全改善の努力がよくなされていること、そして情緒面において、多様なコミュニティ活動が自然に生まれ、幅広い年代が交流を続けている点だと話す。
「さまざまな趣味のサークルがあるんです…芸術、スポーツ、遊びなど。例えば竣工と同時に発足した『広尾ガーデンヒルズゴルフ会』。来るもの拒まず、去る者追わずのゆるやかなスタンスで、年代や男女を問わずゴルフ好きが参加し、年に4回、バスをチャーターして関東近郊のコースに行きます。既に140回を超える歴史があるんですよ」

また、超高級マンションらしからぬ、気分がほっこりする催しも。
「60歳以上の住人でつくっているプラチナ倶楽部という集まりがあり、歴史散策や美術館巡り、食事会などを行っています。住民間の交流と心身の健康維持に役立てるためです。倶楽部のメンバーが主催して始まったのが、敷地に隣接する広尾北公園で、悪天候の日を除き毎朝行っているラジオ体操です。10年近く続いていて、特に夏休みには子どもたちも集まってきて100人近い人々がそろってラジオ体操をします」

住民の交流の場として、「アフタヌーンコンサート」と呼ばれる音楽会が年2回開催されている。弦楽四重奏による演奏会を春と秋の2回管理組合主催で行っており、多くの住民の潤いの場となっている。ほかにも健康麻雀教室、子どもカラテ、矯正体操、楽しく歌う会、フラワーアレンジメント、書道、ヨガ、フォークアート、ストレッチ体操、囲碁などなど、さまざまなサークル、同好会があり、老若男女が楽しんでいる。

広尾ガーデンヒルズには現在、推定で約2300人が暮らしている。もちろん、すべての住人がこうしたサークルや同好会に属しているわけではないが、それでも30年以上も継続してきた交流の輪は、幅広い世代に快適で豊かな住み心地を醸成してきた。そのような住環境が世代ごとに受け継がれ子どもも孫もここに住み、こうした二世代・三世代のマンション内近居の例が目立って増えているそうだ。
住み継がれていく“元祖”ヴィンテージ・マンション。住人の世代は少しずつ変わっても、広尾の森に流れるゆったりとした時間と穏やかな空気が変わることはないだろう。

※物件の状況によって、空室情報がない場合もございます。
この記事は2019年11月21日に公開された記事を転載したものです。掲載内容は取材当時の情報です。細心の注意を払って情報を掲載していますが、当該情報について内容の正確性・最新性・信頼性・合法性等につきましては保証できかねますので、ご自身の責任で本ページをご利用ください。
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